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第四章 超古代文明遺跡編
第178話 冒険者ギルドへの依頼(2)
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「話がついている?」
俺は頷きつつ、獣人族を入れた王都を囲う詰め所の場所を説明する。
話を聞いていたツヨマルが、「なるほど……」と、呟くと俺たちの話を聞いていた冒険者たちを見る。
「お前たち、聞いていたな? エイジが話した兵士がいる詰め所がある門から出入りするように」
「わかったぜ! 副マス! ――んじゃ、行ってくるか!」
そう言いながら一人の冒険者が立ち上がると次々と部屋から出ていく。
そして残されたのは俺とアマネとツヨマルのみ。
「助かった。エイジ」
「――いや、気にしないでくれ。俺も、今日、知ったばかりだからな」
「そうか……。――で、お前は何か理由があって冒険者ギルドに来たんだろう?」
「ああ、そうだった。王都の外に大勢の商人が足止めを食らっているんだが、商人から商品だけを王都内に入れることは可能か?」
「それは王都で起きている問題を外部に知らせないようにするために商品を運ぶのを冒険者に委託するってことか?」
「そうなる」
「それは国王陛下からの勅命なのか?」
「まぁ、違うが――、食糧問題もあるだろう? 事後報告ってことで国王陛下には許可はとっておくから何とかしてくれ」
「そうだな……」
ツヨマルが顎に手を当てながら考えつつ、
「たしかに、最近の王都の治安は悪化の一途を辿っているからな……。食料品だけでも新鮮なモノが王都内に出回ることになれば、多少は一般人の治安はある程度は回復するだろうな」
「――じゃ、頼めるか?」
「分かった。冒険者には、王都内の問題については、外に秘密を漏らさないように徹底させよう」
「じゃ、あとは任せても大丈夫か?」
「ああ。エイジ、国王陛下の承諾を得るのを忘れずに頼むぞ」
「分かっているって――。俺も馬鹿ではないからな。それと、王城に新鮮な肉と野菜を納入してほしいんだが……」
「そんなの無理に決まっているだろ? 今は外から食料品が入って来ないから問題になっているんだから」
「まぁ、それは分かっているが……。そうじゃなくて、これから冒険者が仲介して外の商人から買い付けた食料品を王城に収めて欲しいんだが、無理か?」
「それなら、お前が直接買い付けにいけばいいんじゃないのか?」
「……いや、俺は王城の警護があるから、それは出来ないんだ。何とかできないか?」
「仕方ないな……。何とか手配だけはしておこう」
「頼む。一応、国王陛下にも差し入れる食材だからな」
「――なら、きちんと精査することが必要だな」
「だな……。ツヨマルに、そのへんは任せる」
「分かった、わかった。――で、今日は、冒険者ギルドに来た用事は、いまので全部か?」
「そうだな……。あ――」
「どうかしたのか? まだ何かあるのか?」
「――いや、何でもない」
宰相や軍務卿などの屋敷や使用人がどうなったのか気にはなかったが、俺には関係のないことだと割り切る事にする。
どうせ、あとで国王陛下が何とかするだろうし。
俺が余計なことをする必要もないだろう。
逆に変に干渉して問題になって変な疑惑を国王陛下に持たれても困るからな。
「じゃ俺は帰るわ」
「うむ。今度、こちらで何かあったら冒険者をそちらに送るから、その時は対応してくれよ?」
「分かっているって! 一応、獣人族にも話は通しておくから、俺のところへ送る冒険者には説明しておいてくれ」
話を終えて冒険者ギルドマスターの部屋から出ようとドアノブに手をかける。
「エイジ」
「何だ?」
俺は足を止めて振り返る。
「王都の外に商人が滞在しているのなら、バザーか何かしているんじゃないのか? 何もせずに王都の壁の外で、王都に入れるようになるのを待つだけの商人もいないだろう?」
「そうだな……」
バザーなら、すぐに買い物は出来るか。
「――なあ、ツヨマル。お金あるか?」
「お前は無いのか?」
「まぁ、色々とな……」
逃亡生活と王都まで来る間に路銀は殆ど尽きた。
王城の宝物庫を探して、そこから経費として受け取るという方法もできるが、王城に戻って国王陛下の許可を取ってから戻ってくるのも面倒だからな。
「――と! 言う事で! ツヨマル! 金を貸してくれ!」
「仕方ないな……。まぁ、冒険者ギルドマスターに就任はしている訳だからな。その給料分を、アマネからもらってくれ」
「仕方ないわね」
室内で、ずっと大人しく話を聞いていたアマネが溜息を漏らす。
「それじゃエイジ君、ついてきて。お金を渡すから。副マスも、それでいいわよね?」
「ああ。ただ、エイジが冒険者ギルドマスターだという事が、いまは、他の冒険者にバレると不味いからな」
「なら、俺は通路で待っていた方がいいな」
「そうだな」
「はいはい。――それじゃ、エイジ君、ついてきてね」
アマネと一緒に、通路を歩く。
そして冒険者たちが待機しているホールへと通じるドアの前で俺は待つことにする。
アマネだけが、ドアを開けて出ていく。
しばらくして革袋を手にしたアマネが戻ってくる。
「お待たせ。これ、冒険者ギルドマスターの月収だから金貨20枚だから」
「冒険者ギルドマスターの月収って、金貨20枚なのか……」
日本円で換算すると200万円ってところか。
俺は頷きつつ、獣人族を入れた王都を囲う詰め所の場所を説明する。
話を聞いていたツヨマルが、「なるほど……」と、呟くと俺たちの話を聞いていた冒険者たちを見る。
「お前たち、聞いていたな? エイジが話した兵士がいる詰め所がある門から出入りするように」
「わかったぜ! 副マス! ――んじゃ、行ってくるか!」
そう言いながら一人の冒険者が立ち上がると次々と部屋から出ていく。
そして残されたのは俺とアマネとツヨマルのみ。
「助かった。エイジ」
「――いや、気にしないでくれ。俺も、今日、知ったばかりだからな」
「そうか……。――で、お前は何か理由があって冒険者ギルドに来たんだろう?」
「ああ、そうだった。王都の外に大勢の商人が足止めを食らっているんだが、商人から商品だけを王都内に入れることは可能か?」
「それは王都で起きている問題を外部に知らせないようにするために商品を運ぶのを冒険者に委託するってことか?」
「そうなる」
「それは国王陛下からの勅命なのか?」
「まぁ、違うが――、食糧問題もあるだろう? 事後報告ってことで国王陛下には許可はとっておくから何とかしてくれ」
「そうだな……」
ツヨマルが顎に手を当てながら考えつつ、
「たしかに、最近の王都の治安は悪化の一途を辿っているからな……。食料品だけでも新鮮なモノが王都内に出回ることになれば、多少は一般人の治安はある程度は回復するだろうな」
「――じゃ、頼めるか?」
「分かった。冒険者には、王都内の問題については、外に秘密を漏らさないように徹底させよう」
「じゃ、あとは任せても大丈夫か?」
「ああ。エイジ、国王陛下の承諾を得るのを忘れずに頼むぞ」
「分かっているって――。俺も馬鹿ではないからな。それと、王城に新鮮な肉と野菜を納入してほしいんだが……」
「そんなの無理に決まっているだろ? 今は外から食料品が入って来ないから問題になっているんだから」
「まぁ、それは分かっているが……。そうじゃなくて、これから冒険者が仲介して外の商人から買い付けた食料品を王城に収めて欲しいんだが、無理か?」
「それなら、お前が直接買い付けにいけばいいんじゃないのか?」
「……いや、俺は王城の警護があるから、それは出来ないんだ。何とかできないか?」
「仕方ないな……。何とか手配だけはしておこう」
「頼む。一応、国王陛下にも差し入れる食材だからな」
「――なら、きちんと精査することが必要だな」
「だな……。ツヨマルに、そのへんは任せる」
「分かった、わかった。――で、今日は、冒険者ギルドに来た用事は、いまので全部か?」
「そうだな……。あ――」
「どうかしたのか? まだ何かあるのか?」
「――いや、何でもない」
宰相や軍務卿などの屋敷や使用人がどうなったのか気にはなかったが、俺には関係のないことだと割り切る事にする。
どうせ、あとで国王陛下が何とかするだろうし。
俺が余計なことをする必要もないだろう。
逆に変に干渉して問題になって変な疑惑を国王陛下に持たれても困るからな。
「じゃ俺は帰るわ」
「うむ。今度、こちらで何かあったら冒険者をそちらに送るから、その時は対応してくれよ?」
「分かっているって! 一応、獣人族にも話は通しておくから、俺のところへ送る冒険者には説明しておいてくれ」
話を終えて冒険者ギルドマスターの部屋から出ようとドアノブに手をかける。
「エイジ」
「何だ?」
俺は足を止めて振り返る。
「王都の外に商人が滞在しているのなら、バザーか何かしているんじゃないのか? 何もせずに王都の壁の外で、王都に入れるようになるのを待つだけの商人もいないだろう?」
「そうだな……」
バザーなら、すぐに買い物は出来るか。
「――なあ、ツヨマル。お金あるか?」
「お前は無いのか?」
「まぁ、色々とな……」
逃亡生活と王都まで来る間に路銀は殆ど尽きた。
王城の宝物庫を探して、そこから経費として受け取るという方法もできるが、王城に戻って国王陛下の許可を取ってから戻ってくるのも面倒だからな。
「――と! 言う事で! ツヨマル! 金を貸してくれ!」
「仕方ないな……。まぁ、冒険者ギルドマスターに就任はしている訳だからな。その給料分を、アマネからもらってくれ」
「仕方ないわね」
室内で、ずっと大人しく話を聞いていたアマネが溜息を漏らす。
「それじゃエイジ君、ついてきて。お金を渡すから。副マスも、それでいいわよね?」
「ああ。ただ、エイジが冒険者ギルドマスターだという事が、いまは、他の冒険者にバレると不味いからな」
「なら、俺は通路で待っていた方がいいな」
「そうだな」
「はいはい。――それじゃ、エイジ君、ついてきてね」
アマネと一緒に、通路を歩く。
そして冒険者たちが待機しているホールへと通じるドアの前で俺は待つことにする。
アマネだけが、ドアを開けて出ていく。
しばらくして革袋を手にしたアマネが戻ってくる。
「お待たせ。これ、冒険者ギルドマスターの月収だから金貨20枚だから」
「冒険者ギルドマスターの月収って、金貨20枚なのか……」
日本円で換算すると200万円ってところか。
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