おっさんの異世界建国記

なつめ猫

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第四章 超古代文明遺跡編

第170話 王城と王宮警備(3)

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「なるほど……。それにしても、ソルティを作ったんだよな? 何か、魔法で作ったとか? それかチート能力を与えられたとか」
「いえ。そのようなことはありません」
「――ということは、ソルティはどうやって作られたんだ?」
「普通に科学を応用した技術で私は作られています。博士が言うには、『十分に発達した科学技術は魔法と見分けがつかない』と、言っていました」
「つまり、この世界で発動している魔法は――」
「以前にも説明致しましたが、魔法ではありません。あくまでも世界中に分布されているナノマシンにより起こされています。そのナノマシンに干渉をある程度許されているのが惑星魔力除去装置であるメディカル・データ。メディデータと呼称される物体になります。もちろんマスターや博士とは、メディデータは生体細胞の肉体細胞構造レベルがまったく異なります。そのため、まったく違う生物とお考えいただければよろしいかと思います」
「それで、よく子供が出来たものだな……」
「減数分裂とは別物ですので。その辺は、博士も考慮に入れていなかったようですので、ただの偶然かと――」
「そうなのか……」
「肯定です」
「まぁ、それはそれでよかったのかも知れないな」
「ご納得いただけましたら何よりです」
「それとソルティ」
「はい」
「今日は色々とあって疲れたから休みたいんだが、俺が休んでいる間、王城に無許可で入ろうとする者がいたら報告してくれ」
「それでは不届きものは拘束しておけばよろしいのですね?」
「ああ。頼んだ」
 
 俺は近場の客室のドアを開けると、高そうなベッドの上へと体を横たえた。
 随分と疲れていたのか、あっという間に意識は闇に沈んだ。
 
 
 
 かなり疲れていたのか一切! 夢を見ることなく俺は目を覚ます。
 
「もう朝か……」
 
 夜何時に寝たか分からないが、俺はベッドから降りる。
 そして、そのまま食堂へと向かう。
 昨日、燭台や蝋燭を探していた際に見つけた王城の食堂に足を踏み入れてから、長持ちしそうな野菜や、食堂の地下に広がるワインセラーや氷室などからワインやパンに肉とチーズなどを運び出す。
 それらを木箱に詰めたあと荷押し車へと載せたあと、俺は王宮へと向かう。
 
 ――コンコン
 
「誰だ?」
「エイジだ。エイジ」
 
 すぐに扉を封印保護していた結界が消える。
 俺は、荷押し車から木箱を手に取り体で扉を開けて室内に入る。
 
「ロラン、約束していた食料持ってきたぞ」
 
 ドカッ! と、肉やパンに野菜と果物が入っている箱を国王の寝室の床の上へと置く。
 床の上には絨毯が敷かれているから衝撃と音は吸収されたのだろう。
 鈍い音しか耳ではとらえることはできなかった。
 
「おお! 3週間ぶりの新鮮な食材だ! 陛下! 新鮮な食糧が届きました!」
「そうか。それではロラン、すぐに用意を」
「はっ!」
「エイジ殿も城の警備を含めて何と言っていいか……」
 
 かなり長い間、寝室に篭り切りだったのだろう。
 新鮮な食材は久しぶりだったようで、礼を言う言葉には嬉しさがにじみ出ているようだ!
 それよりも……。
 
「ロラン」
「どうした? エイジ」
「お前、料理できたっけ? ――むしろ出来るようになったのか?」
 
 よくよく考えてみれば、ガルガンに修行をつけてもらっている時や遠征時の食事当番は殆ど俺がやっていた。
 むしろロランの料理は味付けが、俺には合わなかった。
 
「もちろんだ!」
「そうか……。それならいいんだが……」
「エイジ殿」
 
 カーテン向こうから姿を現し俺に話しかけてくる国王陛下。
 
「もう体は大丈夫なんですか?」
「うむ。女神様の加護もあったからのう。もう普通に歩く分には問題はない。それよりも――」
 
 陛下が、俺が持参したリンゴを手にすると口にする。 
 所謂、丸かじりと言うモノであったが、陛下はリンゴを口にすると笑みを浮かべた。
 
「やはり久しぶりに新鮮な果物を食べると生きていると実感するのう」
「それはよかったです。それよりも俺が食事を作りましょうか?」
「エイジ! 私の食事の腕が信用できないのか!」
「信用できないというか……。お前の味付けを陛下は知っているのか?」
「――うっ!?」
「人の味の好みは、人それぞれだ。俺が料理を作ってもいいぞ? 食材を無駄にするのもあれだし」
「まるで、私が食材を無駄にするような言い方なんだが?」
 
 ムスッとしたロランが、口を尖らせて文句を言ってくる。
 
「エイジ殿。エイジ殿は城と王宮の警護で疲れているはずだ。料理は、聖騎士殿に任せた方がいいのではないのか?」
「国王陛下が、そういうのでしたら――。では、俺は失礼します。また明日の朝、食材を持ってきます」
「うむ。大儀であった」
 
 国王陛下から賛辞を受けながら、俺は国王陛下の寝室を出る。
 そしてドアに結界が展開されたのを見届けたあと、俺は陛下の部屋を後にした。
 
 
 
「ディアナ! どうだ? 城門の様子は」
「ご主人様! 城門前に、屯っていた変な連中は、城門前から動こうとしないにゃん」
「そうか……」
 
 昨日の立ち回りで王城へ無理矢理入るという事はしなくなったと。
 一応、抑止力にはなっているんだな。 
 
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