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第四章 超古代文明遺跡編
第158話 英雄エイジ!(2)
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ラウリに解散を命じたあと、民衆が王城に入らないように一人、ソルティが破壊した城壁を生活魔法で修復していく。
修復が終わったあとは、国王陛下の寝室に赴く。
理由は、王都の民衆の暴動を何とか抑えることが出来たと報告に行くためだ。
――コンコン
ロランが結界を張っている扉をノックする。
すると、すぐに結界が解除される。
「よく俺が来るのがわかったな?」
扉を開けて中に入れば、そこにはソルティに姿があった。
「ああ。女神様が、エイジが来ることを教えてくれたからな。無事に民衆の暴走は止められたみたいで何よりだ」
「そこまで聞いていたのか」
「女神様のご神託は何よりも信用が置けるからな」
「そうか……」
まぁ、ソルティは超古代文明の人間が作ったシステムだと本人が言っていたからな。
しかも地球の場所まで、正確に知っていて何よりも地球への帰還もできると豪語していたし、外で何が起きているのかを知ることくらい朝飯前なんだろう。
「ソルティ」
「マスター、今戻りました」
「お疲れ様。それでスザンナとは話はできたのか?」
「もちろんです。テラン王国の使者も国王の密書を見せました」
「それでテラン王国側は?」
「黙って領地を出ていくとのことです」
「何も、言って来なかったのか?」
「はい。どうやら国同士の争いにまで発展するような事は避けたいようです」
「そうか……。それなら、王都に来た甲斐があったってやつだな」
「あとは、スザンナが、いつ頃、マスターが戻ってくるのかと聞いていました」
「いつ頃か……。まだ先の話になりそうだよな……」
俺はロランの方を見る。
ロランも俺の意図に気が付いたのか頷く。
「それは王城の警備体制や武官や文官の手配と言ったところですか?」」
俺とロランの考えをピシャリと当ててくるソルティ。
「マスター。妾は、1万年以上の時を生きています。人間の国が、どういう形で成り立っているかくらいは理解しています」
「そういえば、そうだったな……」
ここに居る誰よりもソルティは長生きしているからな。
そりゃ、現状の王城がどうなっていて、それをどうやって改善させるかくらいは簡単に答えが導きだせるだろう。
「エイジ殿」
「国王陛下?」
ソルティの言葉に感心したところで、国王陛下が俺の名前を呼んでくる。
俺は、国王陛下のベッドに近づく。
「どうかしましたか? 国王陛下」
「エイジ殿。じつは頼みがある」
「まだ、何か頼みが?」
「うむ。王城で職務についていた者が全滅したという話は聞いた。そこで、我が娘メリアの息の掛っていない貴族に、連絡を取りたいのだ」
「それは人材を派遣してほしいという事ですか?」
「うむ。そうなる」
「なるほど……」
俺はソルティの方を見るが、ソルティは首を左右に振る。
どうやら、手伝ってはくれないようだ。
「そうなりますと、俺一人では対応は難しいです。冒険者ギルドに仕事を依頼するという形をとるか、それとも町の中の兵士を――」
「――いや、ただでさえ王城内に詰めていた兵士が全滅したのだ。兵士を使うわけにはいかない」
「ですよね……」
下手に兵士が盗賊などに殺されて書類が盗まれたら事だし、王城の現状が隣国に知られれば、攻めてくる絶好の機会を与えることになる。
そうなれば大問題だ。
「――では、冒険者ギルドの中でもAランク以上の冒険者に手紙を配達依頼をかけた方がいいと思います。Aランク以上の冒険者でしたら、それなりの特権がありますし、何よりも国からの強制依頼は断れませんから」
「……そうであったな……。――では、エイジ殿」
「分かりました。それでは手紙をしたためてもらえますか? 手紙の用意が出来次第、俺が冒険者ギルドに手紙を届けますので」
それにガルガンの事もある。
すでに冒険者ギルドマスターは死んでいるから、そのことも何とかしないといけない。
「分かった。すぐに書簡を作ろう。それとエイジ殿。冒険者ギルドマスターになってもらう事は可能か?」
「俺にですか?」
「うむ。エイジ殿であるのなら、王城内のサキュバスを殲滅した事と女神様の加護を受けている事を考えるのなら、エイジ殿が適役だと思っている。さらに英雄でもあるからのう」
「……」
俺は、返事をせずに無言でロランの方を見る。
するとロランは頭を左右に振る。
どうやら、冒険者ギルドマスターにはなりたくないらしい。
「――陛下。一時的に自分が王都の冒険者ギルドマスターになるのは構いませんが将来的には王室と繋がりが深すぎますと民衆に良くは思わないと思いますので、ロランが適役だと思います」
「――いや。ロランには、儂を護衛する近衛兵隊隊長になってもらいたい」
「そ、そうですか……」
国王陛下の言葉を聞いていたロランが必至にジェスチャーで「絶対に無理!」と、表現しているが、そこはロランと国王陛下二人の問題だから俺が間に入るのもおかしな話だ。
まぁ、俺としては冒険者ギルドマスターにロランがなってくれた方がいいんだが、今回のサキュバスの件を考えると国王陛下が落ちていたら、国が下手すれば壊滅していたこともあるし、ロランが近衛兵隊所属になるのも悪くはない。
修復が終わったあとは、国王陛下の寝室に赴く。
理由は、王都の民衆の暴動を何とか抑えることが出来たと報告に行くためだ。
――コンコン
ロランが結界を張っている扉をノックする。
すると、すぐに結界が解除される。
「よく俺が来るのがわかったな?」
扉を開けて中に入れば、そこにはソルティに姿があった。
「ああ。女神様が、エイジが来ることを教えてくれたからな。無事に民衆の暴走は止められたみたいで何よりだ」
「そこまで聞いていたのか」
「女神様のご神託は何よりも信用が置けるからな」
「そうか……」
まぁ、ソルティは超古代文明の人間が作ったシステムだと本人が言っていたからな。
しかも地球の場所まで、正確に知っていて何よりも地球への帰還もできると豪語していたし、外で何が起きているのかを知ることくらい朝飯前なんだろう。
「ソルティ」
「マスター、今戻りました」
「お疲れ様。それでスザンナとは話はできたのか?」
「もちろんです。テラン王国の使者も国王の密書を見せました」
「それでテラン王国側は?」
「黙って領地を出ていくとのことです」
「何も、言って来なかったのか?」
「はい。どうやら国同士の争いにまで発展するような事は避けたいようです」
「そうか……。それなら、王都に来た甲斐があったってやつだな」
「あとは、スザンナが、いつ頃、マスターが戻ってくるのかと聞いていました」
「いつ頃か……。まだ先の話になりそうだよな……」
俺はロランの方を見る。
ロランも俺の意図に気が付いたのか頷く。
「それは王城の警備体制や武官や文官の手配と言ったところですか?」」
俺とロランの考えをピシャリと当ててくるソルティ。
「マスター。妾は、1万年以上の時を生きています。人間の国が、どういう形で成り立っているかくらいは理解しています」
「そういえば、そうだったな……」
ここに居る誰よりもソルティは長生きしているからな。
そりゃ、現状の王城がどうなっていて、それをどうやって改善させるかくらいは簡単に答えが導きだせるだろう。
「エイジ殿」
「国王陛下?」
ソルティの言葉に感心したところで、国王陛下が俺の名前を呼んでくる。
俺は、国王陛下のベッドに近づく。
「どうかしましたか? 国王陛下」
「エイジ殿。じつは頼みがある」
「まだ、何か頼みが?」
「うむ。王城で職務についていた者が全滅したという話は聞いた。そこで、我が娘メリアの息の掛っていない貴族に、連絡を取りたいのだ」
「それは人材を派遣してほしいという事ですか?」
「うむ。そうなる」
「なるほど……」
俺はソルティの方を見るが、ソルティは首を左右に振る。
どうやら、手伝ってはくれないようだ。
「そうなりますと、俺一人では対応は難しいです。冒険者ギルドに仕事を依頼するという形をとるか、それとも町の中の兵士を――」
「――いや、ただでさえ王城内に詰めていた兵士が全滅したのだ。兵士を使うわけにはいかない」
「ですよね……」
下手に兵士が盗賊などに殺されて書類が盗まれたら事だし、王城の現状が隣国に知られれば、攻めてくる絶好の機会を与えることになる。
そうなれば大問題だ。
「――では、冒険者ギルドの中でもAランク以上の冒険者に手紙を配達依頼をかけた方がいいと思います。Aランク以上の冒険者でしたら、それなりの特権がありますし、何よりも国からの強制依頼は断れませんから」
「……そうであったな……。――では、エイジ殿」
「分かりました。それでは手紙をしたためてもらえますか? 手紙の用意が出来次第、俺が冒険者ギルドに手紙を届けますので」
それにガルガンの事もある。
すでに冒険者ギルドマスターは死んでいるから、そのことも何とかしないといけない。
「分かった。すぐに書簡を作ろう。それとエイジ殿。冒険者ギルドマスターになってもらう事は可能か?」
「俺にですか?」
「うむ。エイジ殿であるのなら、王城内のサキュバスを殲滅した事と女神様の加護を受けている事を考えるのなら、エイジ殿が適役だと思っている。さらに英雄でもあるからのう」
「……」
俺は、返事をせずに無言でロランの方を見る。
するとロランは頭を左右に振る。
どうやら、冒険者ギルドマスターにはなりたくないらしい。
「――陛下。一時的に自分が王都の冒険者ギルドマスターになるのは構いませんが将来的には王室と繋がりが深すぎますと民衆に良くは思わないと思いますので、ロランが適役だと思います」
「――いや。ロランには、儂を護衛する近衛兵隊隊長になってもらいたい」
「そ、そうですか……」
国王陛下の言葉を聞いていたロランが必至にジェスチャーで「絶対に無理!」と、表現しているが、そこはロランと国王陛下二人の問題だから俺が間に入るのもおかしな話だ。
まぁ、俺としては冒険者ギルドマスターにロランがなってくれた方がいいんだが、今回のサキュバスの件を考えると国王陛下が落ちていたら、国が下手すれば壊滅していたこともあるし、ロランが近衛兵隊所属になるのも悪くはない。
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