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第四章 超古代文明遺跡編
第154話 国王陛下との対話(5)
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「え?」
俺は思わず首を傾げる。
どうして、そこで娘を娶って欲しいという話が出てくるのか。
そして、ソルティは、どうして俺の横で何度も頷いているのか。
思考していると――、
「エイジ殿」
「何でしょうか?」
国王陛下の方から俺に話しかけてきた。
「不思議に思っていることは重々に承知している。だが、エイジ殿は異世界からの転移者であろう?」
「ソルティ……」
俺は、視線をソルティへと向ける。
「マスター。この国の王には事情は説明しておいた方がいいと思います。そもそもメディデータは惑星環境改善システムの故障。末端のシステムであり人間に作られた存在です。謂わば、人間に仕える為に作られたモノに過ぎません」
「――え?」
俺は、驚く。
塩の女神を作ったのは人間だという話は聞いたが、今生きている現生人類も人間に作られたものだとまでは考えが及んでいなかったからだが……。
「そのことは……」
「エルダ王国の継承者――、国王にだけは代々伝えることが、創造神ユウティーシアにより許可が下りています」
「ユウティーシア?」
初めて聞く名前に、俺は聞き返す。
「イエス、マスター。アルファより、世界を救った初代転生者です」
その言葉に俺は思わず額に手を当てる。
「つまり、なんだ? その創造神の許可を得て、この国の王には自分達の生まれた意味を代々教えてきたと……そういうわけか?」
「はい。マスター」
「エイジ殿。分かって頂けましたでしょうか?」
「――いや。全然、分からないが……」
混乱している頭で、俺は国王陛下に返事をする。
「マスター。つまり人間としてのマスターの遺伝子を保有したいというのが、王国側の考えです」
「それって問題ないのか?」
「エイジ殿。それだけではありませぬ」
「――ん?」
「この国を救った英雄としてエイジ殿を迎い入れないと王国が民からの信用を取り戻すことは出来ないと踏んだからです」
「あー」
そういえば、メリア王女とか宰相とか軍務卿とか、その下っ端の兵士とか近衛兵隊長とかが色々と問題を起こしていたよな……。
そこまで問題を起こしたのだから王国民の王族に対しての信用度は地に落ちているはず。
それを改善させる為に、成り行きとは言え王都の民を処刑から救い、王城に巣食っていた魔物を一掃した俺を、無事な王女と婚約させる事で、信用を得たいというのが、国王の腹積もりと言う事か。
「国王陛下、話は分かりました」
「――それでは!」
「幾つか質問があるんですが……」
「何でも聞いてもらえればと」
「第一に、俺にはリルカという獣人の女性がいます。そして、リルカは俺の正式な妻であり本妻であり、すでに子供がお腹にいます」
「なんと……」
そこはソルティも国王陛下に説明していなかったのか。
まあ、丁度いいか。
「以上の点から、王女殿下との婚約は難しいです。俺にとってはリルカが本妻ですから」
「……なるほど。――ん? 本妻?」
「自分には、他に獣人族の女性が20人以上いますので……」
もう、それはハーレムとも言える。
男にとっては、一つの夢だとも言えるが、さすがに40歳を過ぎると色々と性的な面に関してはきつい。
むしろ死んでしまう!
「なるほど……。――だが、エイジ殿と娘が婚姻を結ぶ方向で話を勧めなければ民からの信用を得ることは……」
「それでは、自分を貴族に取り立てるということでワンクッション置くのはどうですか?」
「どういう意味だ?」
「いきなり自分が王女殿下と婚姻や結婚をすれば他の地方貴族から良い目では見られないのは火を見るよりも明らかです。それで、自分を貴族に取り立てたあと、王女殿下を下賜するというのはどうでしょうか?」
「それは難しいな」
眉間に皺を寄せた国王陛下が呟く。
「何か理由でも?」
「先ほど、女神様より王城内では生存者はいないと聞いた。つまり留学から戻ってきていた高位王位継承権を持つ王子たちも全て命を落としているということになる」
「なるほど……」
どうやら、思っていたよりもエルダ王国はヤバイことになっているようだ。
「よって、いま生存している王位継承権を持つのはローレンシア大陸から帰路の途についている娘ザビーネだけだ」
「ソルティ。分かっていって言ったな?」
「マスター。この世界での生活の安定を考えるのでしたら、国のトップになった方が良いと思います。それにテラン王国の件もあります」
「それはそうだが……」
「――では、エイジ殿」
「ん?」
「娘は第二王妃と言う事でどうでしょうか?」
「王族が、それでいいのか……」
俺は思わず思ったことを、そのまま口にしてしまうが――、
「問題ありません。逆に王国民にとっては、今の王族は敵視されている事でしょう。それなら一緒のこと正妃では無い方がいいかも知れません」
「なるほど……」
それで第二王妃ということか……。
「ソルティは、それで問題ないのか?」
「問題ありません。あとは、スザンナに許可をとるだけです」
「そうだな……」
「エイジ殿は、ニードルス伯爵家の令嬢スザンナともお知り合いなのですか……」
俺は頷く。
「
俺は思わず首を傾げる。
どうして、そこで娘を娶って欲しいという話が出てくるのか。
そして、ソルティは、どうして俺の横で何度も頷いているのか。
思考していると――、
「エイジ殿」
「何でしょうか?」
国王陛下の方から俺に話しかけてきた。
「不思議に思っていることは重々に承知している。だが、エイジ殿は異世界からの転移者であろう?」
「ソルティ……」
俺は、視線をソルティへと向ける。
「マスター。この国の王には事情は説明しておいた方がいいと思います。そもそもメディデータは惑星環境改善システムの故障。末端のシステムであり人間に作られた存在です。謂わば、人間に仕える為に作られたモノに過ぎません」
「――え?」
俺は、驚く。
塩の女神を作ったのは人間だという話は聞いたが、今生きている現生人類も人間に作られたものだとまでは考えが及んでいなかったからだが……。
「そのことは……」
「エルダ王国の継承者――、国王にだけは代々伝えることが、創造神ユウティーシアにより許可が下りています」
「ユウティーシア?」
初めて聞く名前に、俺は聞き返す。
「イエス、マスター。アルファより、世界を救った初代転生者です」
その言葉に俺は思わず額に手を当てる。
「つまり、なんだ? その創造神の許可を得て、この国の王には自分達の生まれた意味を代々教えてきたと……そういうわけか?」
「はい。マスター」
「エイジ殿。分かって頂けましたでしょうか?」
「――いや。全然、分からないが……」
混乱している頭で、俺は国王陛下に返事をする。
「マスター。つまり人間としてのマスターの遺伝子を保有したいというのが、王国側の考えです」
「それって問題ないのか?」
「エイジ殿。それだけではありませぬ」
「――ん?」
「この国を救った英雄としてエイジ殿を迎い入れないと王国が民からの信用を取り戻すことは出来ないと踏んだからです」
「あー」
そういえば、メリア王女とか宰相とか軍務卿とか、その下っ端の兵士とか近衛兵隊長とかが色々と問題を起こしていたよな……。
そこまで問題を起こしたのだから王国民の王族に対しての信用度は地に落ちているはず。
それを改善させる為に、成り行きとは言え王都の民を処刑から救い、王城に巣食っていた魔物を一掃した俺を、無事な王女と婚約させる事で、信用を得たいというのが、国王の腹積もりと言う事か。
「国王陛下、話は分かりました」
「――それでは!」
「幾つか質問があるんですが……」
「何でも聞いてもらえればと」
「第一に、俺にはリルカという獣人の女性がいます。そして、リルカは俺の正式な妻であり本妻であり、すでに子供がお腹にいます」
「なんと……」
そこはソルティも国王陛下に説明していなかったのか。
まあ、丁度いいか。
「以上の点から、王女殿下との婚約は難しいです。俺にとってはリルカが本妻ですから」
「……なるほど。――ん? 本妻?」
「自分には、他に獣人族の女性が20人以上いますので……」
もう、それはハーレムとも言える。
男にとっては、一つの夢だとも言えるが、さすがに40歳を過ぎると色々と性的な面に関してはきつい。
むしろ死んでしまう!
「なるほど……。――だが、エイジ殿と娘が婚姻を結ぶ方向で話を勧めなければ民からの信用を得ることは……」
「それでは、自分を貴族に取り立てるということでワンクッション置くのはどうですか?」
「どういう意味だ?」
「いきなり自分が王女殿下と婚姻や結婚をすれば他の地方貴族から良い目では見られないのは火を見るよりも明らかです。それで、自分を貴族に取り立てたあと、王女殿下を下賜するというのはどうでしょうか?」
「それは難しいな」
眉間に皺を寄せた国王陛下が呟く。
「何か理由でも?」
「先ほど、女神様より王城内では生存者はいないと聞いた。つまり留学から戻ってきていた高位王位継承権を持つ王子たちも全て命を落としているということになる」
「なるほど……」
どうやら、思っていたよりもエルダ王国はヤバイことになっているようだ。
「よって、いま生存している王位継承権を持つのはローレンシア大陸から帰路の途についている娘ザビーネだけだ」
「ソルティ。分かっていって言ったな?」
「マスター。この世界での生活の安定を考えるのでしたら、国のトップになった方が良いと思います。それにテラン王国の件もあります」
「それはそうだが……」
「――では、エイジ殿」
「ん?」
「娘は第二王妃と言う事でどうでしょうか?」
「王族が、それでいいのか……」
俺は思わず思ったことを、そのまま口にしてしまうが――、
「問題ありません。逆に王国民にとっては、今の王族は敵視されている事でしょう。それなら一緒のこと正妃では無い方がいいかも知れません」
「なるほど……」
それで第二王妃ということか……。
「ソルティは、それで問題ないのか?」
「問題ありません。あとは、スザンナに許可をとるだけです」
「そうだな……」
「エイジ殿は、ニードルス伯爵家の令嬢スザンナともお知り合いなのですか……」
俺は頷く。
「
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