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第三章 王都暗躍編
第145話 ロランとの会話
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「自分には分かりかねますが……」
まぁ、リムルの名前が出てきている時点で可能性は非常に高いが……。
問題は、あの女が黙って裏方に徹しているわけがないという点だ。
だからこそ現時点でリムルが姿を見せてない時点で、確定してないというか……。
「陛下。その可能性は非常に高いと思われます」
「そうか」
ロランが国王陛下の言葉を肯定する。
俺は思わずロランの方を見る。
「(おい。ロラン)」
「(問題ない。十中八九、リムルが絡んでいるのは間違いない)」
「(本当かよ……)」
「(ああ。陛下が毒を盛られる数日前にリムルが監獄から脱出したらしい)」
「(そうなのか? 王都の警備とか、どうなっているんだ?)」
「(王宮内だけで言うのなら貴族の子弟が近衛騎士団を形成していたからな。平和ボケというやつだな)」
「(そうか……。それにしても……)」
「(どうした? エイジ)」
「(そこまで理解しておいて、どうして部屋に篭っていたんだ?)」
「(決まっている。誰が敵か分からない状態だったからな。しかも、淫魔王の核を有していることが判明したのは行方不明になってからだし)」
「(マジか……。この国の情報共有は、どうなっているんだ……)」
ロランと会話をしていて俺は思わず脱力感を覚えてしまう。
「(――で、お前は、犯人が分からないから国王陛下を連れて引き篭もりをしていたということか?)」
「(まぁな……。以前から陛下の命が狙われる事があったからな。ガルガン経由で俺に依頼が来ていたんだ)」
「(なるほどな)」
たしかに聖騎士としての力を有しているロランが手配されるのは当然と言えば当然だろう。
魔法抵抗力も高く結界魔法も回復魔法も使えるからな。
「(はあー、――で、どうするつもりだ?)」
「(どうするとは?)」
「(だから、これから、どうするんだ?)」
「(冒険者ギルドが動いているんだろう? それなら、私が、結界を張ってガルガンがサキュバスを殲滅するのを待つのがいい)」
「(ああ、そういうことか)」
「(何か、私はおかしなことを言ったか?)」
そういいつつ、ロランは俺の表情を覗き込んできた。
そして――、
「(お前、何か隠しているだろ?)」
「(隠しているとは?)」
「(――だから……)」
ロランが追及して来ようとしたところで――、
「先ほどから会話をしているだが、王宮内の問題は、どの程度で片付けられるのだ?」
「陛下。もうしばらくお待ち頂ければとのことです。それよりも今は、お体をおやすめください。毒の解呪に時間がかかりますので」
「そうであるな……。――では、そこの冒険者よ」
「はい」
「儂の娘、メリアを救い出してもらえるだろうか? 一応、近衛騎士団をつけておるが、冒険者ギルドの冒険者と連携する事で身の安全を図ることが出来るじゃろう」
あー、そのメリア王女は俺が殺したわけだが……。
そもそもサキュバスになっていたし、その時点で助けるという選択肢はないわけで……。
ただ、それを国王陛下に伝えるかどうかと言えば――、
「分かりました。そのようにガルガンには伝えておきます」
「うむ。任せたぞ」
その言葉を最後に、しばらくすると国王陛下の寝息が聞こえてくる。
どうやら、あんな娘でも国王にとっては大事な娘らしい。
そして俺とロランは、部屋の隅へと移動する。
理由は簡単だ。
ロランに腕を掴まれて部屋の隅まで連れていかれたから。
「どうした? ロラン」
「お前、本当は大事なことを言ってないだろ」
ロランがジト目で俺を見てくる。
さすが冒険者同期は違うな。
「ああ。まぁ、隠していてもいつかはバレるからな」
「何だよ? もったいぶって――」
「メリア王女だが、サキュバスになっていた」
「……は?」
一瞬、ロランが呆けるがすぐに表情を引き締める。
「近衛騎士団はどうしたんだ?」
「知らん。俺も、襲われたからな。別に助けに行ったわけではないし」
「つまり、エイジが城に来た時には――」
「ああ。すでにサキュバスに転化していたと考えるのが自然だな」
「なんてことだ……。それで、そのことはガルガンには?」
「ガルガンだが、死んだ」
「――なっ!? そ、それは本当なのか? Sランク冒険者だぞ?」
「まぁ、たぶん単独行動の時に狙われたんだろうな。あの様子から見てサキュバスに操られていたと見た方がいいかも知れない」
「――ん? 操られていた? そ、それって……、ガルガンが操られていたって事か?」
「ああ。命を狙われた」
「本当か?」
「本当だ。嘘をつく理由がどこにある。それと、メリア王女は、すでに殺したから守るも何もない」
「……情報量が多すぎる……。つまり、お前の口ぶりからすると、ガルガンはサキュバスに操られて、お前と戦ったということか? ――で、お前は、ガルガンを殺したと?」
「ああ。さすがにSランク冒険者相手に手加減して捕縛するような真似は出来ないからな」
「なるほど……。そしてメリア王女もサキュバスだったから殺したと?」
「そいうことだ」
俺は頷く。
するとロランは肩をおとすと――、
「それは国王陛下には伝えることはできないな」
「だろう?」
まぁ、リムルの名前が出てきている時点で可能性は非常に高いが……。
問題は、あの女が黙って裏方に徹しているわけがないという点だ。
だからこそ現時点でリムルが姿を見せてない時点で、確定してないというか……。
「陛下。その可能性は非常に高いと思われます」
「そうか」
ロランが国王陛下の言葉を肯定する。
俺は思わずロランの方を見る。
「(おい。ロラン)」
「(問題ない。十中八九、リムルが絡んでいるのは間違いない)」
「(本当かよ……)」
「(ああ。陛下が毒を盛られる数日前にリムルが監獄から脱出したらしい)」
「(そうなのか? 王都の警備とか、どうなっているんだ?)」
「(王宮内だけで言うのなら貴族の子弟が近衛騎士団を形成していたからな。平和ボケというやつだな)」
「(そうか……。それにしても……)」
「(どうした? エイジ)」
「(そこまで理解しておいて、どうして部屋に篭っていたんだ?)」
「(決まっている。誰が敵か分からない状態だったからな。しかも、淫魔王の核を有していることが判明したのは行方不明になってからだし)」
「(マジか……。この国の情報共有は、どうなっているんだ……)」
ロランと会話をしていて俺は思わず脱力感を覚えてしまう。
「(――で、お前は、犯人が分からないから国王陛下を連れて引き篭もりをしていたということか?)」
「(まぁな……。以前から陛下の命が狙われる事があったからな。ガルガン経由で俺に依頼が来ていたんだ)」
「(なるほどな)」
たしかに聖騎士としての力を有しているロランが手配されるのは当然と言えば当然だろう。
魔法抵抗力も高く結界魔法も回復魔法も使えるからな。
「(はあー、――で、どうするつもりだ?)」
「(どうするとは?)」
「(だから、これから、どうするんだ?)」
「(冒険者ギルドが動いているんだろう? それなら、私が、結界を張ってガルガンがサキュバスを殲滅するのを待つのがいい)」
「(ああ、そういうことか)」
「(何か、私はおかしなことを言ったか?)」
そういいつつ、ロランは俺の表情を覗き込んできた。
そして――、
「(お前、何か隠しているだろ?)」
「(隠しているとは?)」
「(――だから……)」
ロランが追及して来ようとしたところで――、
「先ほどから会話をしているだが、王宮内の問題は、どの程度で片付けられるのだ?」
「陛下。もうしばらくお待ち頂ければとのことです。それよりも今は、お体をおやすめください。毒の解呪に時間がかかりますので」
「そうであるな……。――では、そこの冒険者よ」
「はい」
「儂の娘、メリアを救い出してもらえるだろうか? 一応、近衛騎士団をつけておるが、冒険者ギルドの冒険者と連携する事で身の安全を図ることが出来るじゃろう」
あー、そのメリア王女は俺が殺したわけだが……。
そもそもサキュバスになっていたし、その時点で助けるという選択肢はないわけで……。
ただ、それを国王陛下に伝えるかどうかと言えば――、
「分かりました。そのようにガルガンには伝えておきます」
「うむ。任せたぞ」
その言葉を最後に、しばらくすると国王陛下の寝息が聞こえてくる。
どうやら、あんな娘でも国王にとっては大事な娘らしい。
そして俺とロランは、部屋の隅へと移動する。
理由は簡単だ。
ロランに腕を掴まれて部屋の隅まで連れていかれたから。
「どうした? ロラン」
「お前、本当は大事なことを言ってないだろ」
ロランがジト目で俺を見てくる。
さすが冒険者同期は違うな。
「ああ。まぁ、隠していてもいつかはバレるからな」
「何だよ? もったいぶって――」
「メリア王女だが、サキュバスになっていた」
「……は?」
一瞬、ロランが呆けるがすぐに表情を引き締める。
「近衛騎士団はどうしたんだ?」
「知らん。俺も、襲われたからな。別に助けに行ったわけではないし」
「つまり、エイジが城に来た時には――」
「ああ。すでにサキュバスに転化していたと考えるのが自然だな」
「なんてことだ……。それで、そのことはガルガンには?」
「ガルガンだが、死んだ」
「――なっ!? そ、それは本当なのか? Sランク冒険者だぞ?」
「まぁ、たぶん単独行動の時に狙われたんだろうな。あの様子から見てサキュバスに操られていたと見た方がいいかも知れない」
「――ん? 操られていた? そ、それって……、ガルガンが操られていたって事か?」
「ああ。命を狙われた」
「本当か?」
「本当だ。嘘をつく理由がどこにある。それと、メリア王女は、すでに殺したから守るも何もない」
「……情報量が多すぎる……。つまり、お前の口ぶりからすると、ガルガンはサキュバスに操られて、お前と戦ったということか? ――で、お前は、ガルガンを殺したと?」
「ああ。さすがにSランク冒険者相手に手加減して捕縛するような真似は出来ないからな」
「なるほど……。そしてメリア王女もサキュバスだったから殺したと?」
「そいうことだ」
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するとロランは肩をおとすと――、
「それは国王陛下には伝えることはできないな」
「だろう?」
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