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第三章 王都暗躍編
第125話 王都での戦闘(2)
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王都リーズ。
そこに建てられた密集した建物の屋根上へと移動した後は、俺とディアナは広場の方へと向けて屋根上を駆ける。
その間、王都の通りには、大勢の民が、王都を守る兵士達と多くの場所で、衝突している姿を見かけることが出来た。
「水門を開ければいいだけなのにな」
淀んだ水が、王都の通りを満たしていることで衛生面は最悪を通り越して絶望と言っていい状態になっている。
とくに上下水道がまともに完備されていない中世暗黒期に近い、この世界の衛生観念では、通りにゴミや糞尿が撒き散らされている事もあり、そんな通りの状況で、水が通りを浸食していたらどうなるか一目瞭然だ。
「これは酷いな……」
俺は、王城まで大通りが通じている広場に到着したところで、思わず溜息が出る。
「ふざけるな! この水が原因なんだろ! さっさと水門を開けろ!」
「そうよ! 開けなさいよ! こんな匂い耐えられないわ!」
「国王は何を考えているんだ! 何故、水門を閉じたままなんだ!」
「命令をしたのは宰相って聞いたぞ!」
「王都の民を守るのが兵士の仕事だろ!」
「水門が閉じられてから王都に病が流行っているのよ! 水門を開ければいいじゃないの!」
屋根から見下ろす広場には大勢の王都民が押し寄せていて、槍を向けて王城までの道を塞いでいる兵士達に向けて怒りや憎しみを含んだ声を上げていた。
ハッキリ言って一触即発の雰囲気と言えば分かりやすい。
「これは、いつ暴動が起きてもおかしくはないな」
正直、放置しておけば宰相や軍務卿が自滅するのは目に見えている。
だが、問題はテラン王国の介入だろう。
王都が機能しなくなれば、テラン王国は間違いなくニードルス伯爵領に進軍してくる。
そうなれば、国を一つ丸ごと相手にすることになるニードルス伯爵領は壊滅すると言っていい。
まぁ、無条件降伏するもありだとは思うが、そうなった場合、俺や他の奴隷や、スザンナがどうなるか分かったものじゃない。
「仕方ないな……」
こうなったら俺と敵対している宰相と軍務卿を何とかするしかないか。
問題は、宰相と軍務卿を表立って相手するのはリスクが高すぎるという点だ。
他の貴族が、俺が宰相と軍務卿を何とかしたという情報を得れば煩わしい干渉をしてくるのは目に見えている。
「はぁー、どうしたものか……」
「ご主人様!」
「どうした?」
ディアナの慌てた声に、彼女の方を見ると、ディアナはある一点を指差していた。
指差されている先へと視線を向ければ、兵士達が数人の男を押さえつけている場面が目に入る。
「不味いな……」
どんな理由があろうと兵士が、自国民を力で押さえつけると言う行為は、にらみ合っている現状を動かしてしまう可能性がある。
そう考えたところで、一斉に王都の人間達が叫びながら兵士達の防衛網を突き破り、広場へと侵入していく。
「――ちっ! まったく、何をしているんだ!」
思わず声が上がってしまうが、数千もの民衆が動き出した以上、俺にはどうする事もできない。
それにしても、まさか水門を閉じたままで何も手を打たないとは思わなかった。
今の宰相や軍務卿は、いったい何を考えている?
こんな状況になったら、いくら何でも自身も危険だと言う事が分からないのか?
それとも民衆が反抗するとは思っていなかったのか?
そう考えていると、俺が見ている中で広場では王城へと向かう大通りへと王都民が殺到していく。
そんな民衆を兵士達が見過ごすわけもなく――、
「おいおい、マジか……」
一斉に兵士達が弓矢を構えるのを見て、俺は手のひらを弓を民衆へと番えた兵士達へと向ける。
「生活魔法発動!」
固形石鹸ではなく、液体石鹸を作り出し、座標を設定すると同時に、兵士達の弓矢へと落とす。
無数の液体石鹸が兵士達の頭上へと降り注いでいき、それと共に弓矢を番えていた兵士達の指先が滑り、矢が周囲へと散乱していく。
それにより、民衆たちは矢に打たれる事もなく王城へと向かっていくどころか、弓矢を向けてきた兵士達に殺到し素手でタコ殴りにしていく。
「まぁ、あれだな……。自業自得ってやつだな」
王都の人間に、兵士が危害を加えようとしているのを屋根上から確認しながら、兵士達の邪魔をしていく。
液体石鹸と固形石鹸を無数に作り出し、兵士達の移動と攻撃を阻害し、尚且つ王都の民衆が直接兵士を倒していくように。
「まさしく神の視点で、NPCを動かして敵を倒していくみたいな感じだな」
「ご主人様……。王都の兵士と王都の人達が同士討ちしていますにゃん」
「そうだな。まぁ、これなら俺が関与しているとは気付かれないはずだ」
徹底的に裏方に徹して、王都の民衆を手駒に、王都の兵士を蹂躙していく。
正直、王都の治安がどうとか考えていたが、もうこの際、王都の人間達に宰相と軍務卿を倒してもらう方向もありかも知れないな。
「ふむ……。一考の余地はありそうだな」
もうこうなったら俺が関与していないって事で、何とかした方が早い気がしてきたし。
そこに建てられた密集した建物の屋根上へと移動した後は、俺とディアナは広場の方へと向けて屋根上を駆ける。
その間、王都の通りには、大勢の民が、王都を守る兵士達と多くの場所で、衝突している姿を見かけることが出来た。
「水門を開ければいいだけなのにな」
淀んだ水が、王都の通りを満たしていることで衛生面は最悪を通り越して絶望と言っていい状態になっている。
とくに上下水道がまともに完備されていない中世暗黒期に近い、この世界の衛生観念では、通りにゴミや糞尿が撒き散らされている事もあり、そんな通りの状況で、水が通りを浸食していたらどうなるか一目瞭然だ。
「これは酷いな……」
俺は、王城まで大通りが通じている広場に到着したところで、思わず溜息が出る。
「ふざけるな! この水が原因なんだろ! さっさと水門を開けろ!」
「そうよ! 開けなさいよ! こんな匂い耐えられないわ!」
「国王は何を考えているんだ! 何故、水門を閉じたままなんだ!」
「命令をしたのは宰相って聞いたぞ!」
「王都の民を守るのが兵士の仕事だろ!」
「水門が閉じられてから王都に病が流行っているのよ! 水門を開ければいいじゃないの!」
屋根から見下ろす広場には大勢の王都民が押し寄せていて、槍を向けて王城までの道を塞いでいる兵士達に向けて怒りや憎しみを含んだ声を上げていた。
ハッキリ言って一触即発の雰囲気と言えば分かりやすい。
「これは、いつ暴動が起きてもおかしくはないな」
正直、放置しておけば宰相や軍務卿が自滅するのは目に見えている。
だが、問題はテラン王国の介入だろう。
王都が機能しなくなれば、テラン王国は間違いなくニードルス伯爵領に進軍してくる。
そうなれば、国を一つ丸ごと相手にすることになるニードルス伯爵領は壊滅すると言っていい。
まぁ、無条件降伏するもありだとは思うが、そうなった場合、俺や他の奴隷や、スザンナがどうなるか分かったものじゃない。
「仕方ないな……」
こうなったら俺と敵対している宰相と軍務卿を何とかするしかないか。
問題は、宰相と軍務卿を表立って相手するのはリスクが高すぎるという点だ。
他の貴族が、俺が宰相と軍務卿を何とかしたという情報を得れば煩わしい干渉をしてくるのは目に見えている。
「はぁー、どうしたものか……」
「ご主人様!」
「どうした?」
ディアナの慌てた声に、彼女の方を見ると、ディアナはある一点を指差していた。
指差されている先へと視線を向ければ、兵士達が数人の男を押さえつけている場面が目に入る。
「不味いな……」
どんな理由があろうと兵士が、自国民を力で押さえつけると言う行為は、にらみ合っている現状を動かしてしまう可能性がある。
そう考えたところで、一斉に王都の人間達が叫びながら兵士達の防衛網を突き破り、広場へと侵入していく。
「――ちっ! まったく、何をしているんだ!」
思わず声が上がってしまうが、数千もの民衆が動き出した以上、俺にはどうする事もできない。
それにしても、まさか水門を閉じたままで何も手を打たないとは思わなかった。
今の宰相や軍務卿は、いったい何を考えている?
こんな状況になったら、いくら何でも自身も危険だと言う事が分からないのか?
それとも民衆が反抗するとは思っていなかったのか?
そう考えていると、俺が見ている中で広場では王城へと向かう大通りへと王都民が殺到していく。
そんな民衆を兵士達が見過ごすわけもなく――、
「おいおい、マジか……」
一斉に兵士達が弓矢を構えるのを見て、俺は手のひらを弓を民衆へと番えた兵士達へと向ける。
「生活魔法発動!」
固形石鹸ではなく、液体石鹸を作り出し、座標を設定すると同時に、兵士達の弓矢へと落とす。
無数の液体石鹸が兵士達の頭上へと降り注いでいき、それと共に弓矢を番えていた兵士達の指先が滑り、矢が周囲へと散乱していく。
それにより、民衆たちは矢に打たれる事もなく王城へと向かっていくどころか、弓矢を向けてきた兵士達に殺到し素手でタコ殴りにしていく。
「まぁ、あれだな……。自業自得ってやつだな」
王都の人間に、兵士が危害を加えようとしているのを屋根上から確認しながら、兵士達の邪魔をしていく。
液体石鹸と固形石鹸を無数に作り出し、兵士達の移動と攻撃を阻害し、尚且つ王都の民衆が直接兵士を倒していくように。
「まさしく神の視点で、NPCを動かして敵を倒していくみたいな感じだな」
「ご主人様……。王都の兵士と王都の人達が同士討ちしていますにゃん」
「そうだな。まぁ、これなら俺が関与しているとは気付かれないはずだ」
徹底的に裏方に徹して、王都の民衆を手駒に、王都の兵士を蹂躙していく。
正直、王都の治安がどうとか考えていたが、もうこの際、王都の人間達に宰相と軍務卿を倒してもらう方向もありかも知れないな。
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