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第三章 王都暗躍編
第121話 王都震撼(9)
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「……それって私達は」
「お留守番だな」
「それじゃ、たくさん出来るニャン!」
「――いや、やらないからな。何か不測の事態が起きた時のために用意しておくとしよう」
俺の言葉に唖然とするディアナ。
悪いな、俺も発情期中の獣人を放置しておくのは気にはなるが、流石に相手の黒幕が判明しない以上、警戒心を解くわけにはいかないからな。
「にゃーん」
「とりあえずディアナ。飯にしよう」
「分かったニャン」
久しぶりに食事を作ったあと、俺とディアナは静かに食事を摂り、そのあとは隠し部屋を作るため、となりの部屋へと繋がる扉を取り払い、木を打ち付け色を塗り部屋が無かったかのようにカモフラージュする。
そして、俺達が宛がわれた3DKの部屋の本棚の後ろの壁をくり抜き、閉じた部屋へと移動できるように隠し通路を作る。
「とりあえず、こんなものか。ディアナ、しばらくは隠し部屋で暮らすとしよう」
「ご主人様、勝手に部屋割りを変更してしまって問題ないですニャン?」
「まぁ、緊急事態だからガルガンには納得してもらうしかないな」
それに、冒険者ギルドの中にも貴族達と内通している奴がいたら、俺が冒険者ギルドの宿舎に居る情報が流れる可能性もあるからな。
それなら部屋を一つカモフラージュして、同じ階で隠れていた方がいいだろう。移動も楽でいいからな。
あとは屋根上までの移動手段を作れば完璧だ。
せっせと生活魔法を使い屋根上まで登れる梯子を作ったあとは、屋根上に昇り、広場の方を見ると、完全に王城へと続く大通りを兵士達が封鎖している光景が見て取れた。
「――さて、どうなることか……」
そう思っていると、広場に面している冒険者ギルドの正面玄関が開く。
すると冒険者ギルドの裏口の――、広場に面してない側の扉が開くのが目に入る。
「あれがそうか……」
暗殺ギルドの討伐に向かう為に武装している冒険者たち。
その数は50名近い。
中には顔見知りもいる。
ガルガンが、一言二言、話したかと思うと冒険者たちは5人一組になり別れて裏路地を走っていく。
そこでガルガンが、こちらへと視線を向けてきた。
どうやら、俺が屋根上に居ることを、感じ取ったらしい。
俺は仕方なく、部屋へと戻った。
「ご主人様?」
「ガルガンが部屋に篭っていろって目で見てきたから戻ってきた」
「そうにゃんですか」
「ああ。とりあえず、俺達が出来ることは少ないからガルガンからの報告待ちだな。ディアナも、しばらくは休んでいてくれ」
「分かったニャン」
――日が沈みかけた所で、ディアナが俺の体を揺すってくることで俺は目を覚ます。
「ご主人様」
「どうかしたのか?」
「聞いた事のない足音が複数、建物内に入ってきましたにゃん」
「聞いた事がない足音が複数か……」
「はいニャン」
「それなら、なるべく気配を殺してやり過ごすしかないな」
しばらく隠し部屋の中で待機していると、何かが壊れる音や割れる音が聞こえてきたあと、
「くそっ! ガセネタか!」
「だが、本当にガセネタだったのか?」
「ああ。間違いないはずだ。冒険者ギルドの受付の女の話だと――」
そんな声が聞こえてくる。
どうやら、俺達が借りている部屋を襲撃してきた連中の仲間は冒険者ギルドの受付にいるらしい。
まぁ、名前を言ってないあたり誰かは分からないが……。
「ちっ! もう始末しちまったからな……。――で、これからどうする?」
「すぐに撤収しよう。目的の人間がいないのあら長居するのは危険だからな」
男達の声が聞こえたところで――、
「ご主人様、どうしますかニャン?」
「とりあえず一人を残して殲滅と言いたいところだが……、俺達が出ていくわけにはいかないからな。様子見だな」
しばらくすると、物音がしなくなる。
「ご主人様。襲撃者は全員、建物の外に出て行ったにゃん」
「そうか……」
耳をピコピコと動かすディアナな得意げな表情で頷いてきた。
流石は獣人。
耳の良さはピカ一だな。
「それよりも、ご主人様。本当に返してしまっていいにゃん?」
「良いわけないだろ?」
「それじゃ?」
「あとをつけるぞ」
俺とディアナは屋根上に出たあと、屋根上を移動しながら、部屋に押し入ってきた連中の後を追う。
すると数分でディアナが北を指差す。
「向こうは……、貴族街か」
「どうしますかにゃん?」
「距離を取っての尾行は可能だよな?」
「もちろんですにゃん」
ディアナの返答と共に、追跡を開始する。
そして貴族街に入り、5分ほど後を追ったところで、俺とディアナは足を止め、俺は身体強化をした上で屋敷の方を見る。
「あの紋章は、グリフリードのモノか……」
つまり俺の部屋を襲撃してきた連中は、エルダ王国の宰相と繋がっていることになる。
「とりあえず撤退するぞ。俺達を襲撃してきた連中がグリフリード公爵家と繋がっていることは分かったからな」
コクリと頷いたディアナを連れて俺達は冒険者ギルドの宿舎まで急いで戻った。
部屋へと戻った俺達の視界に入ってきた光景は無残にも室内が荒らされて壊されたあと。
「これは、ガルガンに怒られそうだな」
「お留守番だな」
「それじゃ、たくさん出来るニャン!」
「――いや、やらないからな。何か不測の事態が起きた時のために用意しておくとしよう」
俺の言葉に唖然とするディアナ。
悪いな、俺も発情期中の獣人を放置しておくのは気にはなるが、流石に相手の黒幕が判明しない以上、警戒心を解くわけにはいかないからな。
「にゃーん」
「とりあえずディアナ。飯にしよう」
「分かったニャン」
久しぶりに食事を作ったあと、俺とディアナは静かに食事を摂り、そのあとは隠し部屋を作るため、となりの部屋へと繋がる扉を取り払い、木を打ち付け色を塗り部屋が無かったかのようにカモフラージュする。
そして、俺達が宛がわれた3DKの部屋の本棚の後ろの壁をくり抜き、閉じた部屋へと移動できるように隠し通路を作る。
「とりあえず、こんなものか。ディアナ、しばらくは隠し部屋で暮らすとしよう」
「ご主人様、勝手に部屋割りを変更してしまって問題ないですニャン?」
「まぁ、緊急事態だからガルガンには納得してもらうしかないな」
それに、冒険者ギルドの中にも貴族達と内通している奴がいたら、俺が冒険者ギルドの宿舎に居る情報が流れる可能性もあるからな。
それなら部屋を一つカモフラージュして、同じ階で隠れていた方がいいだろう。移動も楽でいいからな。
あとは屋根上までの移動手段を作れば完璧だ。
せっせと生活魔法を使い屋根上まで登れる梯子を作ったあとは、屋根上に昇り、広場の方を見ると、完全に王城へと続く大通りを兵士達が封鎖している光景が見て取れた。
「――さて、どうなることか……」
そう思っていると、広場に面している冒険者ギルドの正面玄関が開く。
すると冒険者ギルドの裏口の――、広場に面してない側の扉が開くのが目に入る。
「あれがそうか……」
暗殺ギルドの討伐に向かう為に武装している冒険者たち。
その数は50名近い。
中には顔見知りもいる。
ガルガンが、一言二言、話したかと思うと冒険者たちは5人一組になり別れて裏路地を走っていく。
そこでガルガンが、こちらへと視線を向けてきた。
どうやら、俺が屋根上に居ることを、感じ取ったらしい。
俺は仕方なく、部屋へと戻った。
「ご主人様?」
「ガルガンが部屋に篭っていろって目で見てきたから戻ってきた」
「そうにゃんですか」
「ああ。とりあえず、俺達が出来ることは少ないからガルガンからの報告待ちだな。ディアナも、しばらくは休んでいてくれ」
「分かったニャン」
――日が沈みかけた所で、ディアナが俺の体を揺すってくることで俺は目を覚ます。
「ご主人様」
「どうかしたのか?」
「聞いた事のない足音が複数、建物内に入ってきましたにゃん」
「聞いた事がない足音が複数か……」
「はいニャン」
「それなら、なるべく気配を殺してやり過ごすしかないな」
しばらく隠し部屋の中で待機していると、何かが壊れる音や割れる音が聞こえてきたあと、
「くそっ! ガセネタか!」
「だが、本当にガセネタだったのか?」
「ああ。間違いないはずだ。冒険者ギルドの受付の女の話だと――」
そんな声が聞こえてくる。
どうやら、俺達が借りている部屋を襲撃してきた連中の仲間は冒険者ギルドの受付にいるらしい。
まぁ、名前を言ってないあたり誰かは分からないが……。
「ちっ! もう始末しちまったからな……。――で、これからどうする?」
「すぐに撤収しよう。目的の人間がいないのあら長居するのは危険だからな」
男達の声が聞こえたところで――、
「ご主人様、どうしますかニャン?」
「とりあえず一人を残して殲滅と言いたいところだが……、俺達が出ていくわけにはいかないからな。様子見だな」
しばらくすると、物音がしなくなる。
「ご主人様。襲撃者は全員、建物の外に出て行ったにゃん」
「そうか……」
耳をピコピコと動かすディアナな得意げな表情で頷いてきた。
流石は獣人。
耳の良さはピカ一だな。
「それよりも、ご主人様。本当に返してしまっていいにゃん?」
「良いわけないだろ?」
「それじゃ?」
「あとをつけるぞ」
俺とディアナは屋根上に出たあと、屋根上を移動しながら、部屋に押し入ってきた連中の後を追う。
すると数分でディアナが北を指差す。
「向こうは……、貴族街か」
「どうしますかにゃん?」
「距離を取っての尾行は可能だよな?」
「もちろんですにゃん」
ディアナの返答と共に、追跡を開始する。
そして貴族街に入り、5分ほど後を追ったところで、俺とディアナは足を止め、俺は身体強化をした上で屋敷の方を見る。
「あの紋章は、グリフリードのモノか……」
つまり俺の部屋を襲撃してきた連中は、エルダ王国の宰相と繋がっていることになる。
「とりあえず撤退するぞ。俺達を襲撃してきた連中がグリフリード公爵家と繋がっていることは分かったからな」
コクリと頷いたディアナを連れて俺達は冒険者ギルドの宿舎まで急いで戻った。
部屋へと戻った俺達の視界に入ってきた光景は無残にも室内が荒らされて壊されたあと。
「これは、ガルガンに怒られそうだな」
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