おっさんの異世界建国記

なつめ猫

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第三章 王都暗躍編

第115話 王都震撼(3)

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 一応、同意見という意味合いも込めて俺は頷き――、
 
「ガルガン」
「分かっている。あれだろ? お前に暗殺者を嗾けた奴を探って欲しいということだろう?」
「ああ。だが、汚れ仕事は俺がするから、暗殺者ギルドの場所だけを調べてくれればいい」
「ほう」
 
 暗殺者ギルドが関わっているのなら、下手に放置しておくのは危険だ。
 何より、俺の身内に手を出してくる可能性も出てくる。
 それに、俺を見つけることが出来ないのなら、痺れを切らしてニードルス伯爵領や、開拓中の村にまで手を出してくる可能性がある。
 そうなれば、目も当てられない。
 
「俺の身内に手を出したのだから、その報いは受けさせてもらう」
「そうか。――なら俺様と冒険者ギルドも一枚噛ませてもらってもいいか?」
「ガルガンが、そう申し出てくるって事は、それなりに拡大しているギルドなのか?」
 
 暗殺者ギルドは、以前に修行の一環として俺とガルガンとロランの3人で討伐したはずだが、何時の間にか復活しているだけでなく、冒険者ギルドが総出で動くほど拡大しているとは思わなかったが……。
 
「お前が王都から、港町カルーダに拠点を移してから、しばらくして水面下で復活していたらしい」
「いたらしいと言う事は、詳しい情報はまだ入って来てないってことか」
「そうなるな。とりあえず数日は欲しい。盗賊ギルドに、調査依頼もあるからな」
 
 ガルガンは、懐に手を入れるとカードを取り出し、俺へと投げてくる。
 
「これは、緊急クエスト依頼のカードか?」
「ああ。それがあれば、身分は冒険者ギルドが保障することになっている。そのカードを門番に渡せば正面から入ってくる事が可能だ。ソフィアやリアと言った冒険者も外で待たせているんだろう?」
「――いや、今は違うな」
「冒険者を引退した時に、パーティを解散したのか?」
「パーティを解散したと言うよりも色々あって追い出されていたからな」
「お前を? 誰が、一体、そんな愚かな真似をしたんだ?」
「グローブという男だな」
「グローブ?」
「心当たりでもあるのか?」
「最近、暗殺ギルドの名前を使って王都で問題を起こしているチンピラの名前が、そんな名前だった気がするぞ」
「そうか……」
「復讐でもするか?」
「――いや、そんなつもりは無いが、どちらにせよ暗殺ギルドと繋がっていると言う事は、ギルド間の戦争になるのは避けられないだろう?」
「まぁ、そうだ」
「なら、個人間の争いで暗殺ギルドに警戒されるよりかは放置しておいた方がいいだろう?」
「そうだな。――それにしても、リアとソフィアと一緒に行動していないと言う事は、誰と行動しているんだ?」
「まぁ、その辺に関しては、こんど紹介するよ」
 
 俺はカードを服のポケットに入れたあと、椅子から立ち上がる。
 
「それじゃガルガン、またあとでな」
「うむ。またあとでな」
 
 話を終えたあと、俺は冒険者ギルドを後にする。
 そのあとは、混乱中の王都を、正門から出る。
 外からは警戒していた門番たちも、内部から外に出る冒険者には無防備と言ってもいいレベルで、ガルガンから渡されたカードを使えばフリーパスに近い形で出ることが出来た。
 王都から出たあとは、リルカ達が待っている森の方へと移動する。
 まだ日が空けていない時間帯。
人の目を欺いて動けたこともあり、追跡者もなく俺は森の中へと足を踏み入れることに成功した。
しばらく森の中を歩くと枝の爆ぜる音と灯りが見えてくる。
焚火が見えてきたところで、リルカがいち早く気が付いていたのだろう。
駆け寄ってくると、俺に抱き着いてきた。
 
「エイジ!」
「ただいま、リルカ。ディアナも、護衛、お疲れ様」
「いえ、ご主人様の命をあらば――」
「リルカ、エルナは?」
「馬車で寝ています。藁の中は温かいですし、今日は冷えますから」
「そうか……」
「エイジも、疲れたでしょう?」
 
 リルカが、焚火近くに毛皮を敷くと、その上に座り膝をポンポンとしてくる。
 それは膝枕というモノで。
 
「いや、俺も藁の中で寝るから大丈夫だぞ?」
「むーっ!」
「ほら、地面の上に毛皮を敷いても、体の熱が取られるのは決まっているからな。それなら、最初から藁のベッドで寝た方が効率がいいだろう? なあ、ディアナも、そう思うよな?」
「ご主人様が、そう言われるのでしたら」
「まさしくマッチポンプだな……」
「マッチポンプ?」
 
 俺の言葉にリルカが首を傾げる。
 
「と、とりあえず俺は寝かせてもらうからな」
 
 俺は幌馬車を壊して荷馬車へと無理矢理改造し藁を積んだ荷台に乗り込み、藁の中に入る。
 するとエルナがすやすやと寝ていた。
 それを見て、俺も藁の中で目を閉じて欠伸をすると生活魔法を使い過ぎの影響からか、すぐに睡魔が襲ってきた。
 
 
 
 ――しばらく寝ていた俺は、ふと目を覚ますと、藁の隙間から日差しが入って来ている事に気が付いた。
 
「――んっ……」
 
 艶めかしい声が聞こえてくる。
 そして俺は気が付く。
 俺の横でリルカが寝ていることに。
 
 
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