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第三章 王都暗躍編
第114話 王都震撼(2)
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王都リーズの冒険者ギルドは、エルリダ大陸で最初期に作られた開拓民たちの建物であり、その建物は王都の煉瓦作りの建物とは一線を画している。
200年近くの年季の入った切り出された石で作られた冒険者ギルドの建物の見た目は、一目で見て周囲の建物からは浮いている。
だが、初めて王都に来た人たちから見れば、一発で分かるという意味もあって改装されるようなことはない。
そんな建物は3階建てであり、今現在、俺は冒険者ギルドの3階――、冒険者ギルドマスターの部屋に居た。
「まぁ、まずは座ったらどうだ?」
「そうだな」
俺はガルガンに席を勧められて椅子に座る。
そんな俺の様子を見ていたガルガンは、俺が座っていた椅子よりも一回り大きめの石作りの椅子に座り足を組んだあと、俺へと視線を向けてきた。
「――さて、エイジ。話しは聞かせてもらえるんだろうな?」
「そうだな……。ガルガンは、俺が暗殺ギルドから命を狙われている事は知っているんだよな?」
「ああ。まあ、お前なら暗殺ギルドの刺客くらいは返り討ちにできると思って心配はしていなかった。だが、表立って王都に入って来なかったということは、何か原因があるんだろう?」
「まぁな……」
「ふむ……。まぁ、話してみろ。場合によっては力になるかも知れんぞ? むしろ、俺様の力が必要だからこそ、冒険者ギルドのある広場まで隠れてコソコソと来たんだろう?」
「そう言われると否定のしようがないな」
「そうか……。――で、どういう理由だ?」
「ガルガンが、どこまで知っているかは知らないが、今の俺はニードルス伯爵に身を寄せているんだ」
「ほう……。ニードルス伯爵と言えば広大な穀倉地帯と幾つかのダンジョンがある場所だな」
その言葉に俺は頷く。
ガルガンは脳みそまで筋肉だと思われるというか、冒険者ギルドの連中の大半からは思われているが、それなりに頭が回る人物であることは、付き合いの長い奴らなら知っている。
伊達に冒険者ギルドマスターをしているわけではないのだ。
「――で、そのニードルス伯爵家の統治するソドムの町でレッドドラゴンと戦った」
「レッドドラゴンだと? それは、レッサーではないのか?」
「――いや、普通のレッドドラゴンだな」
「…………まったく」
中腰で立ち上がったガルガンは、ドカッという音を立てて椅子に座ると、額に手を当てる。
ちなみに、その手のひらは魔物の討伐を長年してきた事もあって傷だらけだ。
「お前には、驚かされるな。異世界から五体無事で転移してきた事もそうだが、規格外の生活魔法の次はレッドドラゴンとの戦闘とは――」
「まぁ、生活魔法は別として、レッドドラゴンとの戦いは俺のせいじゃないからな」
そこだけは勘違いしないでもらおうか。
「お前のせいじゃなくてもレッドドラゴンと戦ったことは本当のことなのだろう?」
「まぁ、そうだな……」
「――だが、分からないな。一国を滅ぼすほどのレッドドラゴンと戦える人間に暗殺ギルドが動くとは……。それと、レッドドラゴンは、どうなったんだ? お前が生きていると言う事は、退かせることは出来たと思っていいのか?」
「あー、退かせるというか倒したな」
俺の言葉に一瞬、呆けたガルガンは、数秒すると――、
「ハーッハハハハハッ。俺様の弟子は、レッドドラゴンを倒せるまで成長したってことか! あのエイジがな! これは傑作だ! 師匠としては、嬉しいぞ! この俺様でも、レッドドラゴンを討伐するほどの力は無いというのに! 驚きだ!」
「それは、どうも……」
「何だ? エイジ? 赤竜レッドドラゴンの討伐を下と言う事は、ドラゴンスレイヤーだぞ? もっと誇ったらどうだ?」
「まぁ……、俺一人の力ではないからな」
「一人でなくても数千人規模の討伐隊ですら、レッドドラゴンの討伐は容易ではないのだぞ? まったく、流石は俺様の弟子だな! 謙虚なのも俺様譲りだってことか!」
「いや、あんたは謙虚からは程遠いと思うが?」
俺は思わず突っ込んでいた。
「まったく、俺様の弟子はあーだこーだ言うな。まぁ、話の腰を折ってしまった事はアレだが……、それよりもドラゴンスレイヤーに暗殺ギルドが関わってくるのはますます分からないな」
「あー、そのことなんだが……。たぶん、俺が第三王女と婚約って話が持ち上がっているからだと思う」
「ほう。それはレッドドラゴンを討伐した褒美ということか?」
「さあ? どうなんだろうな……。ただ、ニードルス伯爵家に俺が嫁ぐみたいな話があって、そのあとに婚約の話の書簡が届いたからな……」
俺の説明に、ガルガンは顎に手を当て考え込む。
「良く分からないな。つまり、どういうことだ? 第三王女を、お前のところに嫁がせるということは、王宮側は、それなりの利があると踏まえた上での動きだと言う事だろう? そうでなければ王女を下賜するような事は国王がするとは思えないからな。――、そこに暗殺ギルドからの刺客となると、さらに意味不明だな」
「だろう?」
「ああ……」
俺も正直、訳が分からない。
そこは、ガルガンと同意見だ。
200年近くの年季の入った切り出された石で作られた冒険者ギルドの建物の見た目は、一目で見て周囲の建物からは浮いている。
だが、初めて王都に来た人たちから見れば、一発で分かるという意味もあって改装されるようなことはない。
そんな建物は3階建てであり、今現在、俺は冒険者ギルドの3階――、冒険者ギルドマスターの部屋に居た。
「まぁ、まずは座ったらどうだ?」
「そうだな」
俺はガルガンに席を勧められて椅子に座る。
そんな俺の様子を見ていたガルガンは、俺が座っていた椅子よりも一回り大きめの石作りの椅子に座り足を組んだあと、俺へと視線を向けてきた。
「――さて、エイジ。話しは聞かせてもらえるんだろうな?」
「そうだな……。ガルガンは、俺が暗殺ギルドから命を狙われている事は知っているんだよな?」
「ああ。まあ、お前なら暗殺ギルドの刺客くらいは返り討ちにできると思って心配はしていなかった。だが、表立って王都に入って来なかったということは、何か原因があるんだろう?」
「まぁな……」
「ふむ……。まぁ、話してみろ。場合によっては力になるかも知れんぞ? むしろ、俺様の力が必要だからこそ、冒険者ギルドのある広場まで隠れてコソコソと来たんだろう?」
「そう言われると否定のしようがないな」
「そうか……。――で、どういう理由だ?」
「ガルガンが、どこまで知っているかは知らないが、今の俺はニードルス伯爵に身を寄せているんだ」
「ほう……。ニードルス伯爵と言えば広大な穀倉地帯と幾つかのダンジョンがある場所だな」
その言葉に俺は頷く。
ガルガンは脳みそまで筋肉だと思われるというか、冒険者ギルドの連中の大半からは思われているが、それなりに頭が回る人物であることは、付き合いの長い奴らなら知っている。
伊達に冒険者ギルドマスターをしているわけではないのだ。
「――で、そのニードルス伯爵家の統治するソドムの町でレッドドラゴンと戦った」
「レッドドラゴンだと? それは、レッサーではないのか?」
「――いや、普通のレッドドラゴンだな」
「…………まったく」
中腰で立ち上がったガルガンは、ドカッという音を立てて椅子に座ると、額に手を当てる。
ちなみに、その手のひらは魔物の討伐を長年してきた事もあって傷だらけだ。
「お前には、驚かされるな。異世界から五体無事で転移してきた事もそうだが、規格外の生活魔法の次はレッドドラゴンとの戦闘とは――」
「まぁ、生活魔法は別として、レッドドラゴンとの戦いは俺のせいじゃないからな」
そこだけは勘違いしないでもらおうか。
「お前のせいじゃなくてもレッドドラゴンと戦ったことは本当のことなのだろう?」
「まぁ、そうだな……」
「――だが、分からないな。一国を滅ぼすほどのレッドドラゴンと戦える人間に暗殺ギルドが動くとは……。それと、レッドドラゴンは、どうなったんだ? お前が生きていると言う事は、退かせることは出来たと思っていいのか?」
「あー、退かせるというか倒したな」
俺の言葉に一瞬、呆けたガルガンは、数秒すると――、
「ハーッハハハハハッ。俺様の弟子は、レッドドラゴンを倒せるまで成長したってことか! あのエイジがな! これは傑作だ! 師匠としては、嬉しいぞ! この俺様でも、レッドドラゴンを討伐するほどの力は無いというのに! 驚きだ!」
「それは、どうも……」
「何だ? エイジ? 赤竜レッドドラゴンの討伐を下と言う事は、ドラゴンスレイヤーだぞ? もっと誇ったらどうだ?」
「まぁ……、俺一人の力ではないからな」
「一人でなくても数千人規模の討伐隊ですら、レッドドラゴンの討伐は容易ではないのだぞ? まったく、流石は俺様の弟子だな! 謙虚なのも俺様譲りだってことか!」
「いや、あんたは謙虚からは程遠いと思うが?」
俺は思わず突っ込んでいた。
「まったく、俺様の弟子はあーだこーだ言うな。まぁ、話の腰を折ってしまった事はアレだが……、それよりもドラゴンスレイヤーに暗殺ギルドが関わってくるのはますます分からないな」
「あー、そのことなんだが……。たぶん、俺が第三王女と婚約って話が持ち上がっているからだと思う」
「ほう。それはレッドドラゴンを討伐した褒美ということか?」
「さあ? どうなんだろうな……。ただ、ニードルス伯爵家に俺が嫁ぐみたいな話があって、そのあとに婚約の話の書簡が届いたからな……」
俺の説明に、ガルガンは顎に手を当て考え込む。
「良く分からないな。つまり、どういうことだ? 第三王女を、お前のところに嫁がせるということは、王宮側は、それなりの利があると踏まえた上での動きだと言う事だろう? そうでなければ王女を下賜するような事は国王がするとは思えないからな。――、そこに暗殺ギルドからの刺客となると、さらに意味不明だな」
「だろう?」
「ああ……」
俺も正直、訳が分からない。
そこは、ガルガンと同意見だ。
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