93 / 190
第三章 王都暗躍編
第93話 獣人族の常識
しおりを挟む
なんということだ……。
そんな事情を知っていたら、頭を撫でるような行為はしなかったというのに……。
――いや、それは今さらか。
郷に入っては郷に従えというし。
それにしても……、獣人族の習慣おそるべし。
「そ、そうなのか……。納得はできないが、理解はした」
一応、日本で暮らしてきた一般人として、中学生に行くか行かないかくらいの子供を抱くという常識は持ち合わせはいない俺としては、理解することは出来たが、納得することは出来なかった。
ただ、リルカ達、獣人族の理を真っ向から否定するのも良くないとは思っている。
なにせ、リルカは、俺の妻なのだから、妻の考えを肯定するのも夫の務めだろう。
「エイジさん。それでは、妹が発情したら抱いて頂けると言う事でいいのでしょうか?」
「どうして、そこで再確認してくるような聞き方をしてくるんだ?」
「だって、妹に知らせないといけませんから」
「そのへんは隠さないのか?」
「匂いで分かりますから! 隠す意味は、殆どないと思います」
たしかに獣人族は匂いに敏感だから、そういう風に言われると「なるほどな!」と、頷くことしかできないな!
「しかし日本だったら完全に事案だぞ!」
「えっと……、日本とは?」
「いや、何でもない。気にしないでくれ」
あまりにショックなあまり気が付けば言葉が口から出ていた。
「そうですか。それで、妹が成人したら、雄として躾けてくれると言う事でいいのでしょうか? エイジさんが、ご負担に思われるようでしたら、私も妹を躾けるのを手伝いますから、安心していいです」
これまたサラリと自分の妹を躾けるというとんでもないパワーワードを出してきたな。
それにしても、そんなに躾けることは大事なのか。
「そ、そうだな。その時になったら――、おいおいとな」
こう答えるしかできない。
「そういえば、エルナは何歳なんだ?」
「今年で11歳になります! 12歳になれば、体は成熟しますので!」
「そういう話を聞いたわけではないんだがな!」
そういえば、昔の日本でも元服は12歳から17歳の間だったな。
もしかしたら医療技術が未発達な世界だと早めに結婚するのが、異世界でも普通なのかも知れない。
「――それでは、どうして妹のことを聞いたのですか?」
「いや、年齢くらいは知っておいておかしくはないよな?」
「そうですね……。エイジさんには、説明したことはありませんが、獣人族は、発情期イコール妊娠適齢期です。ですから、昔から獣人族は、その少し前には特殊な匂いを発しますから、妊娠適齢期の年齢が近づいたら、成人の儀式をします」
「成人の儀式?」
「はい!」
「それは、どんなモノなんだ?」
「エイジさん、ここを見てください」
エルナが、銀色の毛で覆われた狐耳を俺に見せてくる。
すると、狐耳の一部に切れ込みが入っているのが見れた。
「これは……」
「成人の儀を行うと、雌は左耳に、雄は右耳に切れ込みを入れるのが獣人族の習わしとなっています」
「つまり……、切れ込みがある獣人族の男女は――」
「雄は、いつでも発情していますから気にしないでください。雌のことだけ考えてください。雌で、左耳に切れ込みがある雌は、いつ発情期が来てもおかしくない個体だと言う事をご理解ください」
「そ、そうか……」
「ちなみに、この開拓村エルでは、リルカとエイジさんの昔の仲間さん以外の全部の雌は耳に切れ込みが入っていますから――」
その言葉に、俺はゴクリと唾を呑み込む。
「つまり、全ての獣人族の雌は――」
「現在は発情期ですから、エイジさんは狙われます」
「それは、問題だな……。リルカとしても嫌だろ?」
「どうしてですか?」
首を傾げるリルカ。
きょとんとした表情から、俺が、どういう意味で聞いたのか理解していないようで――、
「だから、他の女と俺が寝たらリルカは嫌じゃないのか?」
「何を言っているのですか? エイジさん」
「ん?」
「強い雄の子を雌が孕んで産むのは常識ですよ? それに、今、この地で暮らしているのはエイジさんの所有物の雌だけですよ? なら、全員、孕ませるのは当たり前ですよ?」
「……そ、そうか……」
その辺は、獣人族はドライなんだな。
「まぁ、私はエイジさんの第一夫人ですから、私が子を孕むまでは許可は出しませんでしたけど、今日からは解禁です」
「……と、とりあえず、王都に向かうとしようか」
「――え? で、でも……、他の雌を待たせていると大変な事になりますよ?」
「大変な事とは?」
「あとで搾り取られます」
そういう言葉はリルカからは聞きたくなかったが、そのへんは獣人族では普通なのだろう。
そうだ! そうに違いない!
「わ、分かった……」
「それでしたら、数日間は、滞在された方がいいと思います」
「そんなに時間は――」
「大丈夫です! 夜伽に関しては、獣人族は本能で知っていますから! 飽きさせることはありませんから! 私と交尾をしていてもエイジさんは萎えることは無かったですよね? それと同じです」
「……そ、そうか……」
ソドムの町で使者を待たせているというのに、そんなことをしていいのか?
そんな事情を知っていたら、頭を撫でるような行為はしなかったというのに……。
――いや、それは今さらか。
郷に入っては郷に従えというし。
それにしても……、獣人族の習慣おそるべし。
「そ、そうなのか……。納得はできないが、理解はした」
一応、日本で暮らしてきた一般人として、中学生に行くか行かないかくらいの子供を抱くという常識は持ち合わせはいない俺としては、理解することは出来たが、納得することは出来なかった。
ただ、リルカ達、獣人族の理を真っ向から否定するのも良くないとは思っている。
なにせ、リルカは、俺の妻なのだから、妻の考えを肯定するのも夫の務めだろう。
「エイジさん。それでは、妹が発情したら抱いて頂けると言う事でいいのでしょうか?」
「どうして、そこで再確認してくるような聞き方をしてくるんだ?」
「だって、妹に知らせないといけませんから」
「そのへんは隠さないのか?」
「匂いで分かりますから! 隠す意味は、殆どないと思います」
たしかに獣人族は匂いに敏感だから、そういう風に言われると「なるほどな!」と、頷くことしかできないな!
「しかし日本だったら完全に事案だぞ!」
「えっと……、日本とは?」
「いや、何でもない。気にしないでくれ」
あまりにショックなあまり気が付けば言葉が口から出ていた。
「そうですか。それで、妹が成人したら、雄として躾けてくれると言う事でいいのでしょうか? エイジさんが、ご負担に思われるようでしたら、私も妹を躾けるのを手伝いますから、安心していいです」
これまたサラリと自分の妹を躾けるというとんでもないパワーワードを出してきたな。
それにしても、そんなに躾けることは大事なのか。
「そ、そうだな。その時になったら――、おいおいとな」
こう答えるしかできない。
「そういえば、エルナは何歳なんだ?」
「今年で11歳になります! 12歳になれば、体は成熟しますので!」
「そういう話を聞いたわけではないんだがな!」
そういえば、昔の日本でも元服は12歳から17歳の間だったな。
もしかしたら医療技術が未発達な世界だと早めに結婚するのが、異世界でも普通なのかも知れない。
「――それでは、どうして妹のことを聞いたのですか?」
「いや、年齢くらいは知っておいておかしくはないよな?」
「そうですね……。エイジさんには、説明したことはありませんが、獣人族は、発情期イコール妊娠適齢期です。ですから、昔から獣人族は、その少し前には特殊な匂いを発しますから、妊娠適齢期の年齢が近づいたら、成人の儀式をします」
「成人の儀式?」
「はい!」
「それは、どんなモノなんだ?」
「エイジさん、ここを見てください」
エルナが、銀色の毛で覆われた狐耳を俺に見せてくる。
すると、狐耳の一部に切れ込みが入っているのが見れた。
「これは……」
「成人の儀を行うと、雌は左耳に、雄は右耳に切れ込みを入れるのが獣人族の習わしとなっています」
「つまり……、切れ込みがある獣人族の男女は――」
「雄は、いつでも発情していますから気にしないでください。雌のことだけ考えてください。雌で、左耳に切れ込みがある雌は、いつ発情期が来てもおかしくない個体だと言う事をご理解ください」
「そ、そうか……」
「ちなみに、この開拓村エルでは、リルカとエイジさんの昔の仲間さん以外の全部の雌は耳に切れ込みが入っていますから――」
その言葉に、俺はゴクリと唾を呑み込む。
「つまり、全ての獣人族の雌は――」
「現在は発情期ですから、エイジさんは狙われます」
「それは、問題だな……。リルカとしても嫌だろ?」
「どうしてですか?」
首を傾げるリルカ。
きょとんとした表情から、俺が、どういう意味で聞いたのか理解していないようで――、
「だから、他の女と俺が寝たらリルカは嫌じゃないのか?」
「何を言っているのですか? エイジさん」
「ん?」
「強い雄の子を雌が孕んで産むのは常識ですよ? それに、今、この地で暮らしているのはエイジさんの所有物の雌だけですよ? なら、全員、孕ませるのは当たり前ですよ?」
「……そ、そうか……」
その辺は、獣人族はドライなんだな。
「まぁ、私はエイジさんの第一夫人ですから、私が子を孕むまでは許可は出しませんでしたけど、今日からは解禁です」
「……と、とりあえず、王都に向かうとしようか」
「――え? で、でも……、他の雌を待たせていると大変な事になりますよ?」
「大変な事とは?」
「あとで搾り取られます」
そういう言葉はリルカからは聞きたくなかったが、そのへんは獣人族では普通なのだろう。
そうだ! そうに違いない!
「わ、分かった……」
「それでしたら、数日間は、滞在された方がいいと思います」
「そんなに時間は――」
「大丈夫です! 夜伽に関しては、獣人族は本能で知っていますから! 飽きさせることはありませんから! 私と交尾をしていてもエイジさんは萎えることは無かったですよね? それと同じです」
「……そ、そうか……」
ソドムの町で使者を待たせているというのに、そんなことをしていいのか?
17
お気に入りに追加
608
あなたにおすすめの小説
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~
冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。
俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。
そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・
「俺、死んでるじゃん・・・」
目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。
新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。
元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる