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第二章 赤竜討伐戦
第81話 正妻戦争(31)
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セフィが、何のために使うのか? と、疑問を浮かべた表情で薬瓶を差し出してくる。
俺は、薬瓶を受け取ると飲み干す。
「カンダさん……、その姿は!?」
「カンダさん!?」
俺は、二人の視線に頷きながら自分の体を確認する。
その姿はまさしく、俺の同期でありマリーの父親であるガーランドそっくりであった。
「でも、どうして精神世界で姿を変えられるのですか?」
ソフィアが納得いかないと言った様子で俺に問いかけてくる。
「実はな、以前から気になっていたことがあったんだ。エルナは相手の魔力を見て行動を映していた。それなのに、俺がリルカだと気がついたのは生活魔法を使っていたからだ。そこから一つの結論が導きだされる。それは魔力の質までリルカに変身していたのではないのか? という点だ。そして、ソルティが言っていたが、この世界の人間――、メディデータは、体の大半を魔力をエネルギーとして利用している。つまり体を構築している魔力を変質させるということは、精神世界における魔力の質も変化させるということだ!」
「すごいです! まるでカンダさんじゃないみたいです! 偽者じゃないですよね? 本物のカンダさんですよね? 今日のカンダさん、いつものカンダさんと違ってすごく冴えています!」
「ソフィア……」
10年近く一緒に冒険者をしていたというのに、酷い言われようだ。
「――そ、それじゃ! それでマリーさんを見つけ出すのですね!」
「違うな。見つけ出すんじゃない! マリイイイイイイ、お父さんがきたぞおおおお」
俺は大声でマリーの名前を呼ぶ。
勿論、声色も薬のおかげでマリーの父親であるガーランドと瓜二つだ。
おかげで、漆黒の空間に亀裂が入りそこからマリーが姿を現す。
「……だれ?」
姿を現したマリーは、虚ろな眼差しのまま俺を見上げてくると話かけてくる。
「俺だ! ガーランドだ! お前のことが心配になって来たんだ?」
「……」
俺の話し方に、セフィが眉間に皺を寄せて見てくるが、俺だってガーランドが家族に対してどんな話し方をしていたかなんて分からない。
とりあえず、俺がガーランドと一緒に冒険者をしていた頃を思い出しながら必死に言葉を紡ぐ。
「おとうさん……?」
「ああ、お父さんだとも! マリー、お父さんは死んだがお前をいつまでも見守っている。母さんにあまり心配かけさせるんじゃないぞ?」
「……おとうさん」
少しだけ瞳にハイライトが戻ったマリーが近づいてくる。
そのマリーをセフィが抱き上げると同時に、漆黒の空間が砕け散った。
「神田さん! すぐにマリーさんを!」
空間が砕け散ったと同時に、ソルティの声が耳元から聞こえてくる。
彼女の声に従い頭上を見上げると、ドラゴンから少女に変化したマリーが、10メートル以上もの高さから落下しつつあった。
「間に合えええ――」
俺は膝の痛みを我慢しながら、マリーの落下地点へ走る。
そして、ギリギリに抱きしめることに成功。
「神田さん!」
悲痛に近い声が耳元から聞こえてくる。
マリーを抱きしめたまま頭上を見上げると300メートルはあろうかという巨大な漆黒の炎の塊が落下しつつあり……。
「あんなの避けられないぞ! ソルティ、何とかしろ!」
「無理です! 私、こんなになっていますし!」
また耳元から声が聞こえてくる。
一体、ソルティはどこにいるんだ?
「ソルティ、どこにいるんだ!?」
「私はここです! ここ!」
抱き上げているマリーの胸元に10センチくらいの生き物が落ちてくる。
どこかで見た覚えがあるような……。
「ま、まさか――、お前はソルティか?」
「そうですよ! 神田さんが時間を掛けていたから! こんな姿になっちゃたんですよ!」
「そ、そうか……。あと一回くらいは塩の壁が作れそうだな……」
「――!?」
「冗談だ」
「びっくりしました。あと一回、魔法を使ったら私は消滅するところだったのですよ? それより、どうしましょうか?」
ソルティの言葉で意識が現実に引き戻される。
上空の炎の塊は、ゆっくりと落下してきているが走って逃げれるほどの時間があるとは思えない。
「リア!」
「無理なの! あんな巨大な魔法式を制御するなんて無理なの!」
「――だ、そうだが……。ソルティ、何か代案は無いのか?」
「……ないです」
使えない女神だな。
くそ、どうしたらいい。
「もう、こうなったら吹き飛ばすの!」
「――!」
リアの魔法詠唱が聞こえてくる。
これは――。
ま、まさか……。
「リア! お前、何をしようとしているんだ!?」
「カンダさん! 制御できない魔法は魔法式ごと吹き飛ばせばいいの!」
「まて! もう炎は物理的に存在しているんだぞ! 吹き飛ばしたら、それこそ大変なことになるぞ! その際の支払いを誰がすると思っているんだ!」
ただでさえ、正妻戦争でソドムの町の南側は壊滅したというのに、これ以上、被害が大きくなったら、どれだけの請求が来るのか分かった物ではない。
「それに伯爵邸が壊れた修理費などの借金もあるんだ! やめろ!」
「それならどうするの?」
俺は、薬瓶を受け取ると飲み干す。
「カンダさん……、その姿は!?」
「カンダさん!?」
俺は、二人の視線に頷きながら自分の体を確認する。
その姿はまさしく、俺の同期でありマリーの父親であるガーランドそっくりであった。
「でも、どうして精神世界で姿を変えられるのですか?」
ソフィアが納得いかないと言った様子で俺に問いかけてくる。
「実はな、以前から気になっていたことがあったんだ。エルナは相手の魔力を見て行動を映していた。それなのに、俺がリルカだと気がついたのは生活魔法を使っていたからだ。そこから一つの結論が導きだされる。それは魔力の質までリルカに変身していたのではないのか? という点だ。そして、ソルティが言っていたが、この世界の人間――、メディデータは、体の大半を魔力をエネルギーとして利用している。つまり体を構築している魔力を変質させるということは、精神世界における魔力の質も変化させるということだ!」
「すごいです! まるでカンダさんじゃないみたいです! 偽者じゃないですよね? 本物のカンダさんですよね? 今日のカンダさん、いつものカンダさんと違ってすごく冴えています!」
「ソフィア……」
10年近く一緒に冒険者をしていたというのに、酷い言われようだ。
「――そ、それじゃ! それでマリーさんを見つけ出すのですね!」
「違うな。見つけ出すんじゃない! マリイイイイイイ、お父さんがきたぞおおおお」
俺は大声でマリーの名前を呼ぶ。
勿論、声色も薬のおかげでマリーの父親であるガーランドと瓜二つだ。
おかげで、漆黒の空間に亀裂が入りそこからマリーが姿を現す。
「……だれ?」
姿を現したマリーは、虚ろな眼差しのまま俺を見上げてくると話かけてくる。
「俺だ! ガーランドだ! お前のことが心配になって来たんだ?」
「……」
俺の話し方に、セフィが眉間に皺を寄せて見てくるが、俺だってガーランドが家族に対してどんな話し方をしていたかなんて分からない。
とりあえず、俺がガーランドと一緒に冒険者をしていた頃を思い出しながら必死に言葉を紡ぐ。
「おとうさん……?」
「ああ、お父さんだとも! マリー、お父さんは死んだがお前をいつまでも見守っている。母さんにあまり心配かけさせるんじゃないぞ?」
「……おとうさん」
少しだけ瞳にハイライトが戻ったマリーが近づいてくる。
そのマリーをセフィが抱き上げると同時に、漆黒の空間が砕け散った。
「神田さん! すぐにマリーさんを!」
空間が砕け散ったと同時に、ソルティの声が耳元から聞こえてくる。
彼女の声に従い頭上を見上げると、ドラゴンから少女に変化したマリーが、10メートル以上もの高さから落下しつつあった。
「間に合えええ――」
俺は膝の痛みを我慢しながら、マリーの落下地点へ走る。
そして、ギリギリに抱きしめることに成功。
「神田さん!」
悲痛に近い声が耳元から聞こえてくる。
マリーを抱きしめたまま頭上を見上げると300メートルはあろうかという巨大な漆黒の炎の塊が落下しつつあり……。
「あんなの避けられないぞ! ソルティ、何とかしろ!」
「無理です! 私、こんなになっていますし!」
また耳元から声が聞こえてくる。
一体、ソルティはどこにいるんだ?
「ソルティ、どこにいるんだ!?」
「私はここです! ここ!」
抱き上げているマリーの胸元に10センチくらいの生き物が落ちてくる。
どこかで見た覚えがあるような……。
「ま、まさか――、お前はソルティか?」
「そうですよ! 神田さんが時間を掛けていたから! こんな姿になっちゃたんですよ!」
「そ、そうか……。あと一回くらいは塩の壁が作れそうだな……」
「――!?」
「冗談だ」
「びっくりしました。あと一回、魔法を使ったら私は消滅するところだったのですよ? それより、どうしましょうか?」
ソルティの言葉で意識が現実に引き戻される。
上空の炎の塊は、ゆっくりと落下してきているが走って逃げれるほどの時間があるとは思えない。
「リア!」
「無理なの! あんな巨大な魔法式を制御するなんて無理なの!」
「――だ、そうだが……。ソルティ、何か代案は無いのか?」
「……ないです」
使えない女神だな。
くそ、どうしたらいい。
「もう、こうなったら吹き飛ばすの!」
「――!」
リアの魔法詠唱が聞こえてくる。
これは――。
ま、まさか……。
「リア! お前、何をしようとしているんだ!?」
「カンダさん! 制御できない魔法は魔法式ごと吹き飛ばせばいいの!」
「まて! もう炎は物理的に存在しているんだぞ! 吹き飛ばしたら、それこそ大変なことになるぞ! その際の支払いを誰がすると思っているんだ!」
ただでさえ、正妻戦争でソドムの町の南側は壊滅したというのに、これ以上、被害が大きくなったら、どれだけの請求が来るのか分かった物ではない。
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