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第二章 赤竜討伐戦
第80話 正妻戦争(30)レッドドラゴン強襲!
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そして赤い閃光は、建物へ着弾しつつも直進し数十もの建物を纏めて吹き飛ばした。
間一髪、ソルティは避けていたが、威力が今までの炎の弾と比べて段違いだ。
「何だ! 今のは!?」
「一体、何が……」
「リア!」
「大丈夫なの! 何とか避けられたけど……、今のは……、何なの?」
「荷電粒子砲よ……」
俺達の疑問に答えてきたのはソルティ。
彼女は額から汗を垂らしている。
「荷電粒子砲って、あの!?」
「ええ、まさか……。神代文明大戦末期の技術を使ってくるなんて思わなかったけど……」
「どれだけ、神代文明時代は物騒なんだ!」
俺は思わず叫びながら、ドラゴンと化したマリーを見上げた。
口元に無数の粒子が収束していくのが分かる。
「神田さん、荷電粒子砲を使ってきたということは、エンシェントドラゴンとしての個が定着してきた証です。時間がありません!」
「――だが、さっきの攻撃を打たれたら……、全滅する可能性も――」
「大丈夫です! 伊達に元・女神ではありません!」
ソルティが、叫ぶと同時に地面に手を着く。
「元・女神ソルティの名において命ずる!」
彼女が叫ぶと同時に、先ほどリアとマリーの間に生み出されたのと同程度の壁が無数に作り出されていく。
俺達の前にも数枚の壁が作られる。
壁が出来たと同時に、ドラゴンと化したマリーから赤い閃光が打ち出され壁を貫通。
何枚もの壁を破壊しながら直進すると、新たに壁が地面からせり上がってくると閃光を遮断した。
「一枚でダメなら何枚でも作りだします」
「ソルティ……、お前……」
「少しは見直しましたか?」
「ああ。お前、少し小さくなっているぞ?」
連続して壁を作り出しているソルティであったが、身長が10センチほど縮んでいる。
「だから、全力を出すのは嫌なのです! だけど……、いまは、そんなことを言っている場合ではないです! 最初に言ったとおりメディデータや私の体は魔力で維持されているのですから、消費魔力が多ければそれだけ身体に影響するのです!」
「なるほど……」
「なので! 早くマリーさんを何とか戻してください! 少女だからと適当なことは言わずに誠心誠意話し合ってください!」
「分かった!」
ソルティや俺達が無事だったのが、ドラゴンの本能として苛立ったか知らないがドラゴンと化したマリーの口元に粒子を集め始めると同時に俺は思った。
現在のソルティの身長が130センチくらいだ。
つまり12発打たれたら10センチまでソルティの身長が小さくなってしまう。
「タイムリミットは12発か……」
「ちょっと待ってください! どうして私が、そこまで小さくなる計算で物事を考えているのですか!?」
「いや、ほら……。最悪の事態を想像して行動しないとダメだろう? 社会人として!」
「そういう発想はいりませんから!」
「カンダさん、用意ができました」
俺の独り言に、魔法を行使しながら的確にソルティが突っ込み返してきているとソフィアが、遠慮がちに俺の手を握り話しかけてきた。
「ああ、すまない」
別に忘れていたわけではない。
少しというか、俺もかなりテンパっているだけだ。
よく見ると、ソフィアの足元には、無数の円が組み合わさったような魔法陣が浮かびあがっている。
「手を握ればいいのか?」
「はい!」
「分かった」
目配せするとセフィも慌てた様子で走り寄ってくると魔法陣の中に足を踏み入れてくる。
「それでは、いきます!」
ソフィアの魔法が発動すると同時に一瞬の浮遊感に包まれる。
体へ感じる重力が消えたと同時に、一瞬だけ思考が途切れる。
「カンダさん、大丈夫ですか?」
ソフィアの言葉に、俺は意識を取り戻す。
何が起きたのか確認するために周囲を確認する。
「何もないな……」
「ここは、マリーさんの精神世界です。人間だけでなく動物や植物全てが一つの世界を形成しているのですが……、黒一色ということはマリーさんの精神はもう……」
「そんな! 娘はどこにいるのですか?」
ソフィアの悲観的な言葉に、セフィが表情を強張らせる。
「マリーは、どこに……」
セフィは、焦りを含んだ声色で一人呟くと辺りを見渡し始め――。
「ソフィア。黒一色であるのはどういう理屈なんだ?」
「簡単に説明しますと、建物を作る際に木々を倒してから資材にすると思いますが、木々は倒されてから死ぬのです。その時に見せる光景が、このような形だったのですけど……」
「なるほど……」
実体験に基づいてという訳か。
問題は、どこまでも続くような広大な漆黒の空間でマリーを見つけることが出来るかどうかだが……。
「マリーが、どこ居るか分かるか?」
「いえ、ここまで進行していると――、もう……」
「……そうか」
とりあえず……だ。
ソルティは別にいいとして、早くしないとマリーが助けられない。
どうしたらいいものか……。
「ハッ!」
「カンダさん?」
俺は事態を打破する閃きを思いつく。
ただ、それが成功するかどうかは別問題だが……。
「セフィ。例の薬の予備があるか?」
「薬?」
「ああ、見た目を変化させる薬だ」
「予備が一個……」
「それを貸してくれ!」
間一髪、ソルティは避けていたが、威力が今までの炎の弾と比べて段違いだ。
「何だ! 今のは!?」
「一体、何が……」
「リア!」
「大丈夫なの! 何とか避けられたけど……、今のは……、何なの?」
「荷電粒子砲よ……」
俺達の疑問に答えてきたのはソルティ。
彼女は額から汗を垂らしている。
「荷電粒子砲って、あの!?」
「ええ、まさか……。神代文明大戦末期の技術を使ってくるなんて思わなかったけど……」
「どれだけ、神代文明時代は物騒なんだ!」
俺は思わず叫びながら、ドラゴンと化したマリーを見上げた。
口元に無数の粒子が収束していくのが分かる。
「神田さん、荷電粒子砲を使ってきたということは、エンシェントドラゴンとしての個が定着してきた証です。時間がありません!」
「――だが、さっきの攻撃を打たれたら……、全滅する可能性も――」
「大丈夫です! 伊達に元・女神ではありません!」
ソルティが、叫ぶと同時に地面に手を着く。
「元・女神ソルティの名において命ずる!」
彼女が叫ぶと同時に、先ほどリアとマリーの間に生み出されたのと同程度の壁が無数に作り出されていく。
俺達の前にも数枚の壁が作られる。
壁が出来たと同時に、ドラゴンと化したマリーから赤い閃光が打ち出され壁を貫通。
何枚もの壁を破壊しながら直進すると、新たに壁が地面からせり上がってくると閃光を遮断した。
「一枚でダメなら何枚でも作りだします」
「ソルティ……、お前……」
「少しは見直しましたか?」
「ああ。お前、少し小さくなっているぞ?」
連続して壁を作り出しているソルティであったが、身長が10センチほど縮んでいる。
「だから、全力を出すのは嫌なのです! だけど……、いまは、そんなことを言っている場合ではないです! 最初に言ったとおりメディデータや私の体は魔力で維持されているのですから、消費魔力が多ければそれだけ身体に影響するのです!」
「なるほど……」
「なので! 早くマリーさんを何とか戻してください! 少女だからと適当なことは言わずに誠心誠意話し合ってください!」
「分かった!」
ソルティや俺達が無事だったのが、ドラゴンの本能として苛立ったか知らないがドラゴンと化したマリーの口元に粒子を集め始めると同時に俺は思った。
現在のソルティの身長が130センチくらいだ。
つまり12発打たれたら10センチまでソルティの身長が小さくなってしまう。
「タイムリミットは12発か……」
「ちょっと待ってください! どうして私が、そこまで小さくなる計算で物事を考えているのですか!?」
「いや、ほら……。最悪の事態を想像して行動しないとダメだろう? 社会人として!」
「そういう発想はいりませんから!」
「カンダさん、用意ができました」
俺の独り言に、魔法を行使しながら的確にソルティが突っ込み返してきているとソフィアが、遠慮がちに俺の手を握り話しかけてきた。
「ああ、すまない」
別に忘れていたわけではない。
少しというか、俺もかなりテンパっているだけだ。
よく見ると、ソフィアの足元には、無数の円が組み合わさったような魔法陣が浮かびあがっている。
「手を握ればいいのか?」
「はい!」
「分かった」
目配せするとセフィも慌てた様子で走り寄ってくると魔法陣の中に足を踏み入れてくる。
「それでは、いきます!」
ソフィアの魔法が発動すると同時に一瞬の浮遊感に包まれる。
体へ感じる重力が消えたと同時に、一瞬だけ思考が途切れる。
「カンダさん、大丈夫ですか?」
ソフィアの言葉に、俺は意識を取り戻す。
何が起きたのか確認するために周囲を確認する。
「何もないな……」
「ここは、マリーさんの精神世界です。人間だけでなく動物や植物全てが一つの世界を形成しているのですが……、黒一色ということはマリーさんの精神はもう……」
「そんな! 娘はどこにいるのですか?」
ソフィアの悲観的な言葉に、セフィが表情を強張らせる。
「マリーは、どこに……」
セフィは、焦りを含んだ声色で一人呟くと辺りを見渡し始め――。
「ソフィア。黒一色であるのはどういう理屈なんだ?」
「簡単に説明しますと、建物を作る際に木々を倒してから資材にすると思いますが、木々は倒されてから死ぬのです。その時に見せる光景が、このような形だったのですけど……」
「なるほど……」
実体験に基づいてという訳か。
問題は、どこまでも続くような広大な漆黒の空間でマリーを見つけることが出来るかどうかだが……。
「マリーが、どこ居るか分かるか?」
「いえ、ここまで進行していると――、もう……」
「……そうか」
とりあえず……だ。
ソルティは別にいいとして、早くしないとマリーが助けられない。
どうしたらいいものか……。
「ハッ!」
「カンダさん?」
俺は事態を打破する閃きを思いつく。
ただ、それが成功するかどうかは別問題だが……。
「セフィ。例の薬の予備があるか?」
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