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第二章 赤竜討伐戦
第49話 農耕を始めよう(13)
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こいつらは自分が問題を起こしても棚上げにして、相手を批判することしかしない最低な奴だと思っていたはずだ。
それなら――。
伯爵家当主であるスザンナが、魔王が干渉してきたと勘違いしていることを、きちんと指摘して謝罪しないといけないじゃないか。
それが大人の対応というものだろう。
「スザンナ様、私は石鹸を用意したあと、商品の用意が出来たと説明に伺ったのです」
「そうだったのですか……、神田栄治様はアイテムボックスの使い手だったのですね?」
「そこまでは便利はありません。特定のアイテムしか入れることは出来ませんので――」
まぁ、嘘はついていない。
魔法でアイテムを生み出しているなら、それをアイテムボックスから取り出したと言い張れば何とかなるからな。
「――神田栄治様の話は分かりました。つまり――、現在、館を破壊している石鹸は……」
「おそらく魔王が増幅などの魔法を使ったのでしょう。それで――」
「――くっ!?」
思わず嘘をついてしまった。
汚い大人の仲間入りである。
ただ、俺には守るべきものがあるし、多少の嘘は仕方ない。
そう、俺は悪くない!
生活魔法が悪い!
もっと言えば魔法が存在しているこの世界が悪いのだ!
「――すぐに屋敷内に居る全ての人に避難指示をしてください。神田栄治様と、その奴隷の方々もすぐに避難してください」
「……わかった」
「エイジさん……」
どうやら、うまく説明が出来たようである。
全ては魔王が悪いということになった。
魔王さまさまである。
今度、どこぞの魔王と出会ったら菓子折りくらいは渡しても良いかも知れないな。
――ただ、リルカだけは……、大きく溜息をついていた。
避難が終わった俺達は、ニードルス伯爵邸が石鹸に埋もれていく様子を見ていた。
隣では、「ああっ……、私の屋敷が――」と、膝から崩れ落ちるようにして崩壊していくニードルス伯爵邸を見ているスザンナの姿が――。
そして石鹸は屋敷を破壊するだけでなく、石鹸の津波となって、すでに退避が終わっているソドムの町の一部を飲み込んでいく。
「これは、私に向けての罰なのでしょうか。神田栄治様の気持ちを裏切った私への罰なのでしょうか……」
何故か思いつめているスザンナに俺は声を掛けることにする。
不可抗力なことに関して思いつめるなど、あってはいけないことだし、心を病んでしまう。
自分は悪くないと思うくらいで丁度いい――、ということにしておこう。
「ニードルス伯爵様。全ては魔王が悪いのです。この神田栄治、不肖ながらソドムの町復興に力を貸しましょう!」
「――ううっ……、神田栄治様。私のような者に……」
「気にする必要はないです。人間、どんなときでも過ちと言うのはあるものです。その過ちから目を逸らさず受け止める謙虚さが大事だと思いますので――」
俺の言葉に、彼女は顔を上げて「そうですね……」と、力なく頷いてきた。
どうやら、綺麗に話が纏まったようでよかった。
多少、マッチポンプのような形になってしまったが仕方ない。
俺が悪いわけではないからな。
一回でも魔力を込めると途中で生活魔法発動が中止されない欠陥魔法が悪いのだ。
「エイジさん」
リルカの声に俺はうっすらと目を開ける。
俺の腰の上にはリルカが乗っていて頬をうっすらと赤く染めていた。
「どうし……ハッ!?」
――昨日、生活魔法を発動させた際に作り出した石鹸。
その際に、分量というか必要な魔力の消費量を俺は間違えた。
本来なら退避後に、石鹸の事と俺は悪くない! 魔王が悪いと被害者を装うことをするはずだったのに、それをする前に俺は意識を失って倒れてしまった。
「エイジさん、どうかしましたか?」
「いや……んっ――」
俺の腰の上に乗って体に抱きついてくるリルカは、扇情的な表情で口付けを交わしてくる。
「ふふっ――。昨日は、別々の部屋に寝られないと思っていましたから、良かったです」
リルカの言葉に「そういえば――」と、部屋の中を見渡す。
部屋の中は簡素な作りで壁も床も天井にも木材が利用されていて、遺跡を利用して建てたられているソドムの町の建物とは赴きが異なる。
まぁ、俺としては高級な部屋だと落ち着かないので、こういうテーブルと椅子とベッドとクローゼットしかない簡素な作りの宿屋の方が好きではある。
「この部屋は……?」
「ここはソドムの町の南側に位置する宿屋です。昨日の貴族が部下の方に命じて部屋を用意してくれたのです」
「――なるほど……」
俺はリルカの言葉に頷く。
以前に、ソドムの町に来たときには、西門から入ってカルーダの冒険者ギルドから受けた依頼を遂行していた。
そして人口1万人の都市ということもあって町は、それなりの規模がある。
全てのエリアを見て回ったわけでもないから、俺が知らない場所があってもおかしくはないだろう。
「すまなかったな……」
「エイジさん、謝罪をするのはいいです。でも、妻に内緒で外に女を作るのは良くないです。気をつけてくださいね!」
それなら――。
伯爵家当主であるスザンナが、魔王が干渉してきたと勘違いしていることを、きちんと指摘して謝罪しないといけないじゃないか。
それが大人の対応というものだろう。
「スザンナ様、私は石鹸を用意したあと、商品の用意が出来たと説明に伺ったのです」
「そうだったのですか……、神田栄治様はアイテムボックスの使い手だったのですね?」
「そこまでは便利はありません。特定のアイテムしか入れることは出来ませんので――」
まぁ、嘘はついていない。
魔法でアイテムを生み出しているなら、それをアイテムボックスから取り出したと言い張れば何とかなるからな。
「――神田栄治様の話は分かりました。つまり――、現在、館を破壊している石鹸は……」
「おそらく魔王が増幅などの魔法を使ったのでしょう。それで――」
「――くっ!?」
思わず嘘をついてしまった。
汚い大人の仲間入りである。
ただ、俺には守るべきものがあるし、多少の嘘は仕方ない。
そう、俺は悪くない!
生活魔法が悪い!
もっと言えば魔法が存在しているこの世界が悪いのだ!
「――すぐに屋敷内に居る全ての人に避難指示をしてください。神田栄治様と、その奴隷の方々もすぐに避難してください」
「……わかった」
「エイジさん……」
どうやら、うまく説明が出来たようである。
全ては魔王が悪いということになった。
魔王さまさまである。
今度、どこぞの魔王と出会ったら菓子折りくらいは渡しても良いかも知れないな。
――ただ、リルカだけは……、大きく溜息をついていた。
避難が終わった俺達は、ニードルス伯爵邸が石鹸に埋もれていく様子を見ていた。
隣では、「ああっ……、私の屋敷が――」と、膝から崩れ落ちるようにして崩壊していくニードルス伯爵邸を見ているスザンナの姿が――。
そして石鹸は屋敷を破壊するだけでなく、石鹸の津波となって、すでに退避が終わっているソドムの町の一部を飲み込んでいく。
「これは、私に向けての罰なのでしょうか。神田栄治様の気持ちを裏切った私への罰なのでしょうか……」
何故か思いつめているスザンナに俺は声を掛けることにする。
不可抗力なことに関して思いつめるなど、あってはいけないことだし、心を病んでしまう。
自分は悪くないと思うくらいで丁度いい――、ということにしておこう。
「ニードルス伯爵様。全ては魔王が悪いのです。この神田栄治、不肖ながらソドムの町復興に力を貸しましょう!」
「――ううっ……、神田栄治様。私のような者に……」
「気にする必要はないです。人間、どんなときでも過ちと言うのはあるものです。その過ちから目を逸らさず受け止める謙虚さが大事だと思いますので――」
俺の言葉に、彼女は顔を上げて「そうですね……」と、力なく頷いてきた。
どうやら、綺麗に話が纏まったようでよかった。
多少、マッチポンプのような形になってしまったが仕方ない。
俺が悪いわけではないからな。
一回でも魔力を込めると途中で生活魔法発動が中止されない欠陥魔法が悪いのだ。
「エイジさん」
リルカの声に俺はうっすらと目を開ける。
俺の腰の上にはリルカが乗っていて頬をうっすらと赤く染めていた。
「どうし……ハッ!?」
――昨日、生活魔法を発動させた際に作り出した石鹸。
その際に、分量というか必要な魔力の消費量を俺は間違えた。
本来なら退避後に、石鹸の事と俺は悪くない! 魔王が悪いと被害者を装うことをするはずだったのに、それをする前に俺は意識を失って倒れてしまった。
「エイジさん、どうかしましたか?」
「いや……んっ――」
俺の腰の上に乗って体に抱きついてくるリルカは、扇情的な表情で口付けを交わしてくる。
「ふふっ――。昨日は、別々の部屋に寝られないと思っていましたから、良かったです」
リルカの言葉に「そういえば――」と、部屋の中を見渡す。
部屋の中は簡素な作りで壁も床も天井にも木材が利用されていて、遺跡を利用して建てたられているソドムの町の建物とは赴きが異なる。
まぁ、俺としては高級な部屋だと落ち着かないので、こういうテーブルと椅子とベッドとクローゼットしかない簡素な作りの宿屋の方が好きではある。
「この部屋は……?」
「ここはソドムの町の南側に位置する宿屋です。昨日の貴族が部下の方に命じて部屋を用意してくれたのです」
「――なるほど……」
俺はリルカの言葉に頷く。
以前に、ソドムの町に来たときには、西門から入ってカルーダの冒険者ギルドから受けた依頼を遂行していた。
そして人口1万人の都市ということもあって町は、それなりの規模がある。
全てのエリアを見て回ったわけでもないから、俺が知らない場所があってもおかしくはないだろう。
「すまなかったな……」
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