上 下
59 / 65

一つ屋根の下での事情4(8)

しおりを挟む
<hr>
「――え? どうして、知っているんですか?」
「決まっている。お前の学校にはホームページがあるだろう? そこに年間行事が書かれている。神社も年間行事があるからな。きちんと確認しておかないと困るだろう?」
「そういえば……」

 うちの高校にもホームページが開設されているって話では聞いた事があったけど、携帯電話もパソコンも持っていない私は、そういったインターネット環境には触れた事が無かったので、ずっと失念していた。

「そんな話もあったような……」
「はぁー。本当に、女子高生なのか?」
「一応は……」

 段々と普通の女子高生とは違うような気が最近してきたので、そこは否定できない。
 
「莉緒、お前の普段の成績は大丈夫なのか?」
「一応、赤点ギリギリは死守しています」
「それは死守とは言わないからな。まったく……、分からない事があれば聞けば教えてやるからな」
「総司さんは勉強とか得意そうですものね」
「一応な」
「そういえば、総司さんはお仕事とか順調なんですか?」
「そうだな。可もなく不可もなくと言ったところか……」
「それでは、分からないところがありましたら、勉強を見てもらえますか?」
「いいぞ。――なら、今からするか?」
「明日から頑張ります!」
「そういう言い方をする奴は明日からも勉強しないパターンだ。すぐに教科書をノートを持ってこい。見てやるから」
「はい……」

 私は総司さんからの提案を私が断れる事もなく――、そのあと2時間みっちりと理数系の勉強をさせれてしまった。



 翌朝、少し起きるのが遅かったせいで境内の掃除と家事が疎かになってしまったけど、総司さんは特に何も言ってはこなかった。
 もしかしたら遅くまで勉強していたのを考慮に入れてくれたのかも知れない。

「宮内さん。眠そうですね。昨日は、眠れなかったのですか?」

 車に乗っていると、私の体調に気が付いたのか櫟原さんが話しかけてくる。

「はい。昨日は、総司さんが中々寝かせてくれなくて……」
「高槻様……」
「莉緒! 言い方に気を付けろ! コイツが、あまりにも頭が悪すぎたから勉強を遅くまで見ていたんだ」
「高槻様が人に物事を……?」
「何か?」
「――いえ。そろそろ学校に到着致しますので――」

 櫟原さんの言葉どおり、すぐに学校の校門が視界に入ってくる。
 車は校門前に停まり、私は車から降りたあと校門をくぐった。
 学校では何事もなく過ぎて、家に帰れば家事と勉強。
 勉強は、高槻さんが早く帰ってきてくれて見てくれることが多くなったので、食事の時間も自然と早くなる。
 一日4時間ほど家で毎日勉強を教わり――、2週間後の前期中間考査の最終日――、クラス中からは「やっとテストが終わった」などと安堵が聞こえてくる。

 ちなみに高槻さんに教えてもらった事で、私のテストの自己評価は今までの中で一番出来ているような気がする!

「それじゃ来月には実力判定テストがあるから勉強しておけよ」

 帰りのホームルームに先生が気を抜くなという発言をして教室から出ていくと、喧噪が教室内に充満する。
 私は、それに参加せずにすぐに校門へと向かう。
 車は既に到着していて櫟原さんにエスコートされる形で車に乗ったあとは何時も通り家に帰ると、すでに高槻さんは帰宅していた。

「総司さん、おかえりなさい。今日は、早いですね?」
「巫女舞の舞台の回収作業が終わったと連絡があったからな」
「――ということは……」
「ああ、本格的に巫女舞の練習ができるようになるな」



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

旦那様に離婚を突きつけられて身を引きましたが妊娠していました。

ゆらゆらぎ
恋愛
ある日、平民出身である侯爵夫人カトリーナは辺境へ行って二ヶ月間会っていない夫、ランドロフから執事を通して離縁届を突きつけられる。元の身分の差を考え気持ちを残しながらも大人しく身を引いたカトリーナ。 実家に戻り、兄の隣国行きについていくことになったが隣国アスファルタ王国に向かう旅の途中、急激に体調を崩したカトリーナは医師の診察を受けることに。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

前略、旦那様……幼馴染と幸せにお過ごし下さい【完結】

迷い人
恋愛
私、シア・エムリスは英知の塔で知識を蓄えた、賢者。 ある日、賢者の天敵に襲われたところを、人獣族のランディに救われ一目惚れ。 自らの有能さを盾に婚姻をしたのだけど……夫であるはずのランディは、私よりも幼馴染が大切らしい。 「だから、王様!! この婚姻無効にしてください!!」 「My天使の願いなら仕方ないなぁ~(*´ω`*)」  ※表現には実際と違う場合があります。  そうして、私は婚姻が完全に成立する前に、離婚を成立させたのだったのだけど……。  私を可愛がる国王夫婦は、私を妻に迎えた者に国を譲ると言い出すのだった。  ※AIイラスト、キャラ紹介、裏設定を『作品のオマケ』で掲載しています。  ※私の我儘で、イチャイチャどまりのR18→R15への変更になりました。 ごめんなさい。

至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます

下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。

姉の身代わりで冷酷な若公爵様に嫁ぐことになりましたが、初夜にも来ない彼なのに「このままでは妻に嫌われる……」と私に語りかけてきます。

恋愛
姉の身代わりとして冷酷な獣と蔑称される公爵に嫁いだラシェル。 初夜には顔を出さず、干渉は必要ないと公爵に言われてしまうが、ある晩の日「姿を変えた」ラシェルはばったり酔った彼に遭遇する。 「このままでは、妻に嫌われる……」 本人、目の前にいますけど!?

公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-

猫まんじゅう
恋愛
 そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。  無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。  筈だったのです······が? ◆◇◆  「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」  拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?  「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」  溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない? ◆◇◆ 安心保障のR15設定。 描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。 ゆるゆる設定のコメディ要素あり。 つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。 ※妊娠に関する内容を含みます。 【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】 こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)

【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。

三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。 それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。 頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。 短編恋愛になってます。

【完結】私、四女なんですけど…?〜四女ってもう少しお気楽だと思ったのに〜

まりぃべる
恋愛
ルジェナ=カフリークは、上に三人の姉と、弟がいる十六歳の女の子。 ルジェナが小さな頃は、三人の姉に囲まれて好きな事を好きな時に好きなだけ学んでいた。 父ヘルベルト伯爵も母アレンカ伯爵夫人も、そんな好奇心旺盛なルジェナに甘く好きな事を好きなようにさせ、良く言えば自主性を尊重させていた。 それが、成長し、上の姉達が思わぬ結婚などで家から出て行くと、ルジェナはだんだんとこの家の行く末が心配となってくる。 両親は、貴族ではあるが貴族らしくなく領地で育てているブドウの事しか考えていないように見える為、ルジェナはこのカフリーク家の未来をどうにかしなければ、と思い立ち年頃の男女の交流会に出席する事を決める。 そして、そこで皆のルジェナを想う気持ちも相まって、無事に幸せを見つける。 そんなお話。 ☆まりぃべるの世界観です。現実とは似ていても違う世界です。 ☆現実世界と似たような名前、土地などありますが現実世界とは関係ありません。 ☆現実世界でも使うような単語や言葉を使っていますが、現実世界とは違う場合もあります。 楽しんでいただけると幸いです。

処理中です...