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高槻家の親戚(3)

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「美穂っ!」

 私は、その態度に思わず肩を掴むけど、彼女は鬱陶しそうに私の手を払い――、「気安く話しかけないで!」と、強めの口調で言葉を紡いできた。

「何よ……」
「莉緒は、大和のことは……、友達の事はどうでもいいと思っているんだよね? だったら、もう話しかけないで!」

 今まで言われた事が無い美穂には言われたことがない内容で、私は思わず固まってしまう。

「そんなこと思ってなんて……」
「だったら! どうして大和の見舞いに行かなかったのよ!」

 ザワついていた教室内が静まり返る。

「それに! その指輪だってそう! 莉緒は、高槻さんって男性と一緒に大和が寝込んでいたのに! 指輪を買いにいったんだよね!」
「それは……」
「友達が大変な時に、そんな事をする人なんて、もう絶交だから! 話しかけないで! あとね! 大和は――」
「美穂、もういい」
「だって! 大和……」
「いいから!」

 まるで意思疎通しているように二人は口を閉じると私から視線を逸らす。
 そんな様子に私は、唇を噛みしめて……心の中で――、別に大和のことを心配していなかった訳じゃないのにと弁明に近い内容を刻むけど――、本当のことを言う訳にもいかず私は、黙ってしまう。
 お昼は、一人きりで食事を摂ったあと屋上に行き一人で時間を潰す事にしたけど、いつもは美穂が居たので今日はやけに静かに感じる。

「全部、誤解なのに……」

 だけど、全部――、悪い方に悪い方に進んでしまっているのは事実で、本当は大和が風邪で倒れた時にお見舞いにいくべきだった。
 
「私は……、何をしているのかな……」

 神社を守りたいと思って行動しているのに、結局のところ友人関係が破綻してしまっていて学校では一人きり。
 あれだけ来たかった学校が、いまでは色あせたようにつまらない。

「どうしよう……」

 親の借金もあるし、神社のこともあるし、何も出来ない。
 すごく無力で――、それどころか何もかもなくしてしまった。

「もう学校来るのやめようかな……」

 どうせ私なんて高校卒業しても意味ないし……、退学でもいいかも知れない。
 それに神社を存続させるなら、巫女として雇ってもらうのもありかも知れないし……。

 ――でも歳を取ったら……。

 色々と考えても何も言い案は思い浮かばない。
 私は、休憩時間も残っている間に教室に行くと、美穂と大和が居ない事を確認したあとカバンに教材を詰めてから職員室に向かう。

 職員室で先生に早退する旨を伝える。
 そして校門に到着する。
 櫟原さんは、まだ来ていない。

「授業が終わるまで2時間……」

 私は学校の外――、ブロック塀に身体を預けながら櫟原さんが迎えに来るのを待った。


 
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