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高槻家の親戚(1)

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 欠伸をしながら、起きると時刻は朝の6時少し前。
 昨日は、家事を殆どせずに寝ていたこともあり体調はすこぶる良い。
 
「何時までも寝ている訳にはいかないよね」

 高槻さんとは雇用関係があるから、いつまでも甘えている訳にいかない。
 学校指定のジャージを着たあと、その上から巫女服を着て寒くならないようにホッカイロを用意してから、母屋を出る。
 その際に、高槻さんの寝床を見たけど、また寝ていた。

 物置に向かい、竹箒を手にしたあとは、神社の境内の掃き掃除を行う。

「そういえば、そろそろ始業式よね……」

 もうすぐ4月。
 新入生も入ってくる時期。
 私も、あと一ヵ月で高校3年生になるので、進路などを含めてやることが多い。

「進学か……」

 進学校という訳ではないけど、少子高齢化になってから、日本の大学は何処も定員割れを起こしていて、生徒数の確保のために通う大学を選ばなければ、無理して勉強しなくても私立の大学には入れるようになっていると先生は言っていた。
 そういう事もあり、大学に進む学生は田舎の高校であっても多い。

「国公立は授業料が安いって、言っていたけどそれでも100万円近いから私には無理だし……、そもそも大学に行って何かをしたいって目標もないものね」

 一人呟きなら境内の掃除を終えたあとは、母屋に戻り朝食の準備を行う。

「総司さん、起きてください」

 食事の準備を終えたあとは何時も通り彼を起こして二人して朝食を摂る。

「無理をしなくてもいいんだぞ?」

 彼が、気をつかってくれるけど――、「大丈夫です」と、答えておく。
 もう身体の方は大丈夫だし、何時までも休んでいる方が落ち着かないから。

「そうか」

 高槻さんは納得したのか、食事を始める。
 私も無言になり食事を摂ったあと、片付けを行い出かける用意をしたあとは、境内を通り階段を降りていく。

「宮内さん、高槻様、おはようございます」
「おはようございます」

 私は、階段下で待ってくれていた櫟原さんと朝の挨拶を交わしたあと、高槻さんの後を追うようにして車に乗り込む。
 
「そういえば、言い忘れていたが」
「はい?」

 学校まで、あと少しで到着というところで高槻さんが忘れて物をしたかのような様子で口を開くと――、「今日は親戚の人間が来るから、早めに帰宅しておいてくれ」と、話しかけてきた。


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