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第17話 一つ屋根の下での事情(2)
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「アイロンというのは、服の皺を伸ばす物です」
「ふむ……。――で、莉緒はソレが必要だという訳か?」
「はい。あると便利ですので」
「そうか」
「それでは、櫟原に用意させよう」
「ありがとうございます」
そのあとは夕食を摂る。
黙々と静かに時間だけが過ぎていき――、
「莉緒は、他に何か欲しいモノなどはないのか?」
「欲しいものですか?」
「そうだ」
「借金が増えるからいいです」
欲しいモノを伝えて買って来たモノが、私の借金に加算されたら何時まで経っても返済が終わらない。
「……」
無言になる高槻さん。
何だか視線を私から逸らして思案している様子だけど――、
「別に、お前が欲しいモノではない。家事などで必要な物という意味だ」
はい! そういうことだと思いましたよ。
お金を貸している人に、何か欲しいモノ=プレゼントを贈るなんてありえないと思ったし!
それよりも家事で必要なものか……。
「家事ですか……」
そう聞かれると必要な物はたくさんある。
特に、ここの母屋はリフォームが終わったばかりと聞いていたけれど、それ以上に生活感がまったくないのが問題なわけで!
そのおかげと言っていいのか微妙なところだけど、美穂の家にあるような調理器具や乾燥機などと言ったものがない。
――ただ無くとも支障は無いと思うけれど、雨の日には乾燥機があった方が便利だし、家の中で干しておくと湿気でカビなどが生えやすくなるからほしい。
まぁ、以前のアパートにはそんなモノはなかったけど。
それよりも家事について必要な物を聞いてくるということは――、
「総司さんは、家事はされたことは無いんですか?」
「そうだな」
夕食を淀みながら摂りつつ答えてくる高槻さん。
「家事を手伝ったりとかは――」
「ないな」
つまり、母親は専業主婦だったと言う事?
でも、それにしても今どき家事手伝いをした事がないなんて……、それになによりアイロンを知らないなんて思わなかった。
よっぽど大事に過保護にされていたのかも?
だから、尊大で俺様系な感じに育ってしまったと――。
「お前、今――、かなり失礼なことを考えていなかったか?」
「いえ! 全然っ!」
即、否定しておく。
肯定なんてした日には、暴言が飛んできそう。
「……明日は、大型ホームセンターに買い物にいく。その時までに必要な物を書きだしておいてくれ」
高槻さんは一人、食事を摂り終えると囲炉裏のある部屋――、彼の寝室の方へ向かってしまった。
たぶん、もう寝るのかも知れない。
私も食事を摂り、食器を洗ったあとはお風呂に入る。
一日の疲れを取ったあとは自室へ。
布団に入ったあとは、すぐに眠気が襲ってきた。
きっと常時、仕事モードだから疲れが溜まっていたのかも……。
――翌朝になり、目を覚ました私は朝早く起きて仕事着に着替える。
そして、何時も通り境内で竹箒を使い清掃を行い、衣類の洗濯をし――、お風呂場と手洗い場を掃除し朝食を作る。
高槻さんを起こしたあとは、一緒に食事を摂り学校まで車で送ってもらった。
「莉緒、おはー」
教室に入り自分の席に座ったところで、親友の美穂が話しかけてきた。
「美穂、おはよう」
「あれ? なんだか疲れている?」
「そんなことないよ?」
朝早くから起きて境内の清掃から家事をこなしたから実は眠いけど、それは言ってもどうにもなら事だから誤魔化す。
「ふむ……。――で、莉緒はソレが必要だという訳か?」
「はい。あると便利ですので」
「そうか」
「それでは、櫟原に用意させよう」
「ありがとうございます」
そのあとは夕食を摂る。
黙々と静かに時間だけが過ぎていき――、
「莉緒は、他に何か欲しいモノなどはないのか?」
「欲しいものですか?」
「そうだ」
「借金が増えるからいいです」
欲しいモノを伝えて買って来たモノが、私の借金に加算されたら何時まで経っても返済が終わらない。
「……」
無言になる高槻さん。
何だか視線を私から逸らして思案している様子だけど――、
「別に、お前が欲しいモノではない。家事などで必要な物という意味だ」
はい! そういうことだと思いましたよ。
お金を貸している人に、何か欲しいモノ=プレゼントを贈るなんてありえないと思ったし!
それよりも家事で必要なものか……。
「家事ですか……」
そう聞かれると必要な物はたくさんある。
特に、ここの母屋はリフォームが終わったばかりと聞いていたけれど、それ以上に生活感がまったくないのが問題なわけで!
そのおかげと言っていいのか微妙なところだけど、美穂の家にあるような調理器具や乾燥機などと言ったものがない。
――ただ無くとも支障は無いと思うけれど、雨の日には乾燥機があった方が便利だし、家の中で干しておくと湿気でカビなどが生えやすくなるからほしい。
まぁ、以前のアパートにはそんなモノはなかったけど。
それよりも家事について必要な物を聞いてくるということは――、
「総司さんは、家事はされたことは無いんですか?」
「そうだな」
夕食を淀みながら摂りつつ答えてくる高槻さん。
「家事を手伝ったりとかは――」
「ないな」
つまり、母親は専業主婦だったと言う事?
でも、それにしても今どき家事手伝いをした事がないなんて……、それになによりアイロンを知らないなんて思わなかった。
よっぽど大事に過保護にされていたのかも?
だから、尊大で俺様系な感じに育ってしまったと――。
「お前、今――、かなり失礼なことを考えていなかったか?」
「いえ! 全然っ!」
即、否定しておく。
肯定なんてした日には、暴言が飛んできそう。
「……明日は、大型ホームセンターに買い物にいく。その時までに必要な物を書きだしておいてくれ」
高槻さんは一人、食事を摂り終えると囲炉裏のある部屋――、彼の寝室の方へ向かってしまった。
たぶん、もう寝るのかも知れない。
私も食事を摂り、食器を洗ったあとはお風呂に入る。
一日の疲れを取ったあとは自室へ。
布団に入ったあとは、すぐに眠気が襲ってきた。
きっと常時、仕事モードだから疲れが溜まっていたのかも……。
――翌朝になり、目を覚ました私は朝早く起きて仕事着に着替える。
そして、何時も通り境内で竹箒を使い清掃を行い、衣類の洗濯をし――、お風呂場と手洗い場を掃除し朝食を作る。
高槻さんを起こしたあとは、一緒に食事を摂り学校まで車で送ってもらった。
「莉緒、おはー」
教室に入り自分の席に座ったところで、親友の美穂が話しかけてきた。
「美穂、おはよう」
「あれ? なんだか疲れている?」
「そんなことないよ?」
朝早くから起きて境内の清掃から家事をこなしたから実は眠いけど、それは言ってもどうにもなら事だから誤魔化す。
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