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第4話 大事なものはなんですか?
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――1階の居間は昔ながらの囲炉裏がある部屋。
そこで、私――、宮内莉緒17歳とヤクザ顔負けの酷い目つきをした男性――、高槻総司、そして最後にその従者? とも思わしき櫟原さんの3人が、これからのことを相談する為に畳の上に座っていた。
まぁ、相談と言っても相手は雇用主であり部屋を提供している身である。
相談どころか一方的に、今後の事を命令されて終わりな気がしそう。
「――さて、もう時間もないから早めに今の状況と今後の事を話そうか。櫟原」
「はい。それでは宮内さん、まず表向きは高槻様に嫁ぐという体裁を取ることで、この神社で働いてもらう事になります。理由はお分かりですね?」
「理由?」
「お前は馬鹿なのか? 頭にはプリンしか入っていないのか?」
理由なんて、借金があるからでしょうに……、と! 思いながらも、何も考えずに答えたら10倍くらいの罵倒がかえってくる。
「バカじゃないですから! それなりの成績をとっていますから!」
「そうか。2学期期末テストで学年順位が下から数えた方がいいレベルなのに、それなりの成績なのか」
「ちょっ! どうして、私の成績を知っているんですか!?」
「お前の家を片付けていたら机の中にあった」
「……わ、私のプライバシーは……」
「そんなものはない!」
「高槻様、もう少しオブラートに包んで頂きませんと――」
「……分かった。それよりもだ。話が先に進まないから、さっさと言うぞ」
「あい……」
もう、私のプライベートは自分の下着まで見られた時点で、すごい疲労感から、どうでもいいや! って面持ちになっているので好きにしてくださいって感じだけど……。
「まずは、お前は借金があるから働いて返してもらう事にする。仕事の内容は、家事全般だが、出来るか?」
「家事は、お母さんが小さい頃に亡くなってからは一人でやってきましたので」
あのお酒とかギャンブルが好きなお父さんが家事をする事なんてありえないから、自然と私がする事になっただけなんだけど……。
あとは少ないお金で生活をやりくりする為には、家事は必須だったし。
思わぬところで芸は身を助けるみたいな感じになって正直ちょっと複雑な心境。
「そうか。あとは境内と本殿、それと参拝者の対応をしてもらうのが基本的な業務になる」
「あのー」
私は恐る恐ると言った感じで手を上げる。
「何だ?」
「私の下着とか洋服が入っていた箪笥は……」
「桐の箪笥か? ずいぶんと年期が入っていたな。それが、どうかしたのか?」
「やっぱり……」
「売ったが、何か問題でもあったのか?」
「いえ……」
「とりあえず、仕事の内容は以上となる。何か疑問点があったなら俺か櫟原に聞けばいい。分かったな?」
そっか……。
お母さんの唯一の想いでの品だったのに……。
「――! ど、どうした? 気分でも悪くなったのか?」
「え?」
「宮内さん、どうかしましたか?」
二人とも、私を見て慌てている。
何があったのかと思っていると――、
「これでも使え」
短い言葉と共に、高槻総司という男性が差し出してきたのは青い水色のハンカチ。
金色の刺繍で、イニシャルが刻まれている事から高そうなのは一目で分かった。
どうして、差し出してきたんか分からない私は、どう対処していいのか迷ってしまっていたけれど、彼が溜息を共に私の頬にハンカチを当てて来たことで初めて理解してしまう。
「わ、私……」
「何か嫌な事があったら言え。これから共同生活を一つ屋根の下で行っていくんだ。一応は雇用主と従業員という関係だが、多少のコミュニケーションは必要だからな」
「じつは、私の服が入っていたのはお母さんの形見の箪笥で……」
「高槻様……」
「そうか」
私の言葉に彼は短く呟くと私の腕を掴んで立ち上がる。
「櫟原、すぐに車の用意を」
「分かりました」
それだけのやりとりで櫟原さんは家から出ていく。
たぶん車を取りにいったと思う。
「まったく――、大事な物なら大事な物だと最初から伝えておけばいいものを」
彼は、私の腕を掴みながら歩きながら小さく呟く。
でも、その言葉は私にもシッカリと届いていた。
それから30分ほど車で移動した質屋で、無事に形見の箪笥を再度手に入れることに成功したあと、箪笥は業者の人が車で運んでくれることになった。
「――さて……」
店から出た時には、陽はすっかりと落ちていて夜と帳が近づいてきていた。
「時刻は19時か……。これから食事を作るのもアレか」
「はい。それよりも家には家財道具が殆どありません。近くの22時まで営業している店まで行き購入後に外食をされた方がいいかも知れません」
「そうだな」
「莉緒も、それでいいか?」
彼は、そう私に語り掛けてくるけど……。
私は頭を下げる。
「ありがとうございます。お母さんの形見を……」
「……気にするな。誰でも大切なモノはあるからな」
ぶっきらぼうな言葉を使っているのに、なんだか少し柔らかい口調に聞こえてしまうのは気のせいなのかな?
そこで、私――、宮内莉緒17歳とヤクザ顔負けの酷い目つきをした男性――、高槻総司、そして最後にその従者? とも思わしき櫟原さんの3人が、これからのことを相談する為に畳の上に座っていた。
まぁ、相談と言っても相手は雇用主であり部屋を提供している身である。
相談どころか一方的に、今後の事を命令されて終わりな気がしそう。
「――さて、もう時間もないから早めに今の状況と今後の事を話そうか。櫟原」
「はい。それでは宮内さん、まず表向きは高槻様に嫁ぐという体裁を取ることで、この神社で働いてもらう事になります。理由はお分かりですね?」
「理由?」
「お前は馬鹿なのか? 頭にはプリンしか入っていないのか?」
理由なんて、借金があるからでしょうに……、と! 思いながらも、何も考えずに答えたら10倍くらいの罵倒がかえってくる。
「バカじゃないですから! それなりの成績をとっていますから!」
「そうか。2学期期末テストで学年順位が下から数えた方がいいレベルなのに、それなりの成績なのか」
「ちょっ! どうして、私の成績を知っているんですか!?」
「お前の家を片付けていたら机の中にあった」
「……わ、私のプライバシーは……」
「そんなものはない!」
「高槻様、もう少しオブラートに包んで頂きませんと――」
「……分かった。それよりもだ。話が先に進まないから、さっさと言うぞ」
「あい……」
もう、私のプライベートは自分の下着まで見られた時点で、すごい疲労感から、どうでもいいや! って面持ちになっているので好きにしてくださいって感じだけど……。
「まずは、お前は借金があるから働いて返してもらう事にする。仕事の内容は、家事全般だが、出来るか?」
「家事は、お母さんが小さい頃に亡くなってからは一人でやってきましたので」
あのお酒とかギャンブルが好きなお父さんが家事をする事なんてありえないから、自然と私がする事になっただけなんだけど……。
あとは少ないお金で生活をやりくりする為には、家事は必須だったし。
思わぬところで芸は身を助けるみたいな感じになって正直ちょっと複雑な心境。
「そうか。あとは境内と本殿、それと参拝者の対応をしてもらうのが基本的な業務になる」
「あのー」
私は恐る恐ると言った感じで手を上げる。
「何だ?」
「私の下着とか洋服が入っていた箪笥は……」
「桐の箪笥か? ずいぶんと年期が入っていたな。それが、どうかしたのか?」
「やっぱり……」
「売ったが、何か問題でもあったのか?」
「いえ……」
「とりあえず、仕事の内容は以上となる。何か疑問点があったなら俺か櫟原に聞けばいい。分かったな?」
そっか……。
お母さんの唯一の想いでの品だったのに……。
「――! ど、どうした? 気分でも悪くなったのか?」
「え?」
「宮内さん、どうかしましたか?」
二人とも、私を見て慌てている。
何があったのかと思っていると――、
「これでも使え」
短い言葉と共に、高槻総司という男性が差し出してきたのは青い水色のハンカチ。
金色の刺繍で、イニシャルが刻まれている事から高そうなのは一目で分かった。
どうして、差し出してきたんか分からない私は、どう対処していいのか迷ってしまっていたけれど、彼が溜息を共に私の頬にハンカチを当てて来たことで初めて理解してしまう。
「わ、私……」
「何か嫌な事があったら言え。これから共同生活を一つ屋根の下で行っていくんだ。一応は雇用主と従業員という関係だが、多少のコミュニケーションは必要だからな」
「じつは、私の服が入っていたのはお母さんの形見の箪笥で……」
「高槻様……」
「そうか」
私の言葉に彼は短く呟くと私の腕を掴んで立ち上がる。
「櫟原、すぐに車の用意を」
「分かりました」
それだけのやりとりで櫟原さんは家から出ていく。
たぶん車を取りにいったと思う。
「まったく――、大事な物なら大事な物だと最初から伝えておけばいいものを」
彼は、私の腕を掴みながら歩きながら小さく呟く。
でも、その言葉は私にもシッカリと届いていた。
それから30分ほど車で移動した質屋で、無事に形見の箪笥を再度手に入れることに成功したあと、箪笥は業者の人が車で運んでくれることになった。
「――さて……」
店から出た時には、陽はすっかりと落ちていて夜と帳が近づいてきていた。
「時刻は19時か……。これから食事を作るのもアレか」
「はい。それよりも家には家財道具が殆どありません。近くの22時まで営業している店まで行き購入後に外食をされた方がいいかも知れません」
「そうだな」
「莉緒も、それでいいか?」
彼は、そう私に語り掛けてくるけど……。
私は頭を下げる。
「ありがとうございます。お母さんの形見を……」
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