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第82話 各々の休日(5)
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クエスト報酬の金貨を受け取り、冒険者ギルドを出たあとは迷宮都市を散策する。
「何しようかな……」
ポツリと出る言葉。
普段は、目的があって行動していたから、一人になるとやる事が思いつかない。
ダンジョンに1人で潜るのもいいかも知れないが、アリーシャが心配する事を考えると、二の足を踏んでしまう。
「そこのねーちゃん」
「――ん?」
「げっ!? エリザかよ……。なんで、そんなヒラヒラした服を着てるんだよ……」
「お前には関係ないだろ」
男は私が着ている服をだらしない表情で見てきている。
「それにしても、ずいぶんと薄地の踊り子の衣装だな。お前、性格はアレだが、見た目はいいからなって――イタタタタッ」
私は男が話している途中で、その腕を掴み軽く握りしめる。
リンゴも素手で簡単に握りつぶせる私の握力に男が悲鳴を上げて必死に腕を振るうが、そんなもので私の手が外れる訳もなく――。
「わかったって! すまなかったから!」
「まったく。女をそのような目で見るものじゃないぞ」
「見て欲しいから買ったんじゃないのか?」
「動きやすく涼しかったからだ」
「そ、そうか……。なら忠告しておくが、それは花売りが着ている事が多い衣装だからな。気をつけろよ」
「分かった」
男が腕を摩りながら去っていく。
それにしても、迷宮都市の冒険者は、女を外見で見過ぎではないのか?
私にだって、少しは良い所はあると思うのだが……。
「誰と比べているんだか……」
私は、市場を巡り屋台で食事をしながら、武器を扱っている店舗を梯子してみていく。
何か掘り出しモノはないか? と、期待していたが……、結局、何も見つからなかった。
路地を通り、自宅へ戻ろうとしたところで私は足を止める。
「何のようだ?」
私の言葉を合図にするかのように男達が姿を見せた。
口元はスカーフを巻いていて誰かは判別がつかないし、服は闇夜に溶け込めるかのように黒一色。
「エリザベート・フォン・クラウンだな?」
目の前に対峙している男が、スカーフごしにくぐもった声で問いかけてくる。
「誰かと勘違いしているんじゃないか?」
「そうか。――では、あとでじっくりと聞かせてもらおうか」
男が腕を振り下ろす。
それと同時に、10人近い男達がナイフを抜き向かってくる。
「まったく――」
私は、演武をするかのように舞いながら男達の四肢を素手で破壊していく。
戦闘時間は、わずか数秒。
「ば、ばかな……」
私の目の前に立っていた男が驚愕の声を上げると同時に、四肢を破壊された黒の衣装をきた男達は一斉に地面の上へ崩れ落ちた。
「まだやるのか?」
私の言葉に男は無言。
「まぁ、相手にして欲しいならいつでもかかってこい。ラッセル王家の飼い犬共」
「くっ――、グハッ」
男の首に手刀を一閃。
その意識を刈り取る。
「さて――、これで3回目の襲撃か。父上が言っていたとおり、ハイデンブルグ公爵は余程に、アリーシャ様を危険視しているようだな」
「何しようかな……」
ポツリと出る言葉。
普段は、目的があって行動していたから、一人になるとやる事が思いつかない。
ダンジョンに1人で潜るのもいいかも知れないが、アリーシャが心配する事を考えると、二の足を踏んでしまう。
「そこのねーちゃん」
「――ん?」
「げっ!? エリザかよ……。なんで、そんなヒラヒラした服を着てるんだよ……」
「お前には関係ないだろ」
男は私が着ている服をだらしない表情で見てきている。
「それにしても、ずいぶんと薄地の踊り子の衣装だな。お前、性格はアレだが、見た目はいいからなって――イタタタタッ」
私は男が話している途中で、その腕を掴み軽く握りしめる。
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「わかったって! すまなかったから!」
「まったく。女をそのような目で見るものじゃないぞ」
「見て欲しいから買ったんじゃないのか?」
「動きやすく涼しかったからだ」
「そ、そうか……。なら忠告しておくが、それは花売りが着ている事が多い衣装だからな。気をつけろよ」
「分かった」
男が腕を摩りながら去っていく。
それにしても、迷宮都市の冒険者は、女を外見で見過ぎではないのか?
私にだって、少しは良い所はあると思うのだが……。
「誰と比べているんだか……」
私は、市場を巡り屋台で食事をしながら、武器を扱っている店舗を梯子してみていく。
何か掘り出しモノはないか? と、期待していたが……、結局、何も見つからなかった。
路地を通り、自宅へ戻ろうとしたところで私は足を止める。
「何のようだ?」
私の言葉を合図にするかのように男達が姿を見せた。
口元はスカーフを巻いていて誰かは判別がつかないし、服は闇夜に溶け込めるかのように黒一色。
「エリザベート・フォン・クラウンだな?」
目の前に対峙している男が、スカーフごしにくぐもった声で問いかけてくる。
「誰かと勘違いしているんじゃないか?」
「そうか。――では、あとでじっくりと聞かせてもらおうか」
男が腕を振り下ろす。
それと同時に、10人近い男達がナイフを抜き向かってくる。
「まったく――」
私は、演武をするかのように舞いながら男達の四肢を素手で破壊していく。
戦闘時間は、わずか数秒。
「ば、ばかな……」
私の目の前に立っていた男が驚愕の声を上げると同時に、四肢を破壊された黒の衣装をきた男達は一斉に地面の上へ崩れ落ちた。
「まだやるのか?」
私の言葉に男は無言。
「まぁ、相手にして欲しいならいつでもかかってこい。ラッセル王家の飼い犬共」
「くっ――、グハッ」
男の首に手刀を一閃。
その意識を刈り取る。
「さて――、これで3回目の襲撃か。父上が言っていたとおり、ハイデンブルグ公爵は余程に、アリーシャ様を危険視しているようだな」
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