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第75話 ダンジョン探索(25)
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「そうだろう! 君は、一体!」
「普通の冒険者ですが?」
「普通の冒険者ではないと私は思っているが……?」
「まぁ、細かい話は別にいいんじゃないか? 私としては20階層まで、さっさと降りたいんだが?」
エリザさんが、手にしていた杖を私に放り投げてくる。
杖の材質は木製。
先端には赤く光る宝石が埋め込められていて、その周りを青く光る玉が回転していた。
「魔法の杖ですか。鑑定は出来ませんから、どんな能力があるか分かりませんけど……」
私はアイテムボックスに杖を入れる。
「二人とも、私の話を聞け! 20階層まで探索済みというのは、あくまでも探索が出来る範囲であって、無事に探索できる範囲ではないんだぞ? それなのに、監督者である私が二人の実力を知らないのは問題があるだろう?」
「いえ、特に問題は無いと思います」
「そうだな。問題ないな」
カグラさんの説得に近い言葉を私とエリザさんは一蹴する。
だって、二人とも脛に傷がある者同士。
実力を教える必要があるのなら、経歴だって分かってしまうし。
「なら、これ以上の探索は――」
「そうですね。今日は、ここまでにしましょう」
「え? アリーシャ!?」
「エリザさん。冒険者には知られたくない力の一つや二つはあるものです。それを聞き出そうとしてくるのは、正直言って迷惑だと思いませんか?」
「そうだな……」
エリザさんが、しばらく考えたあとに頷く。
「ということで、カグラさん。一度、戻りましょう」
「お、おい!」
私は、踵を返して来た道を戻る。
もちろん、索敵の魔法で通ってきた道は分かるので、地上に出るまではそんなに時間は掛からなかった。
「ようやく地上に到着しましたね」
「もう夕方だな」
迷宮内を走って戻った私達は、外に出て一息つく。
「はぁはぁはぁ……。……や、やっと追いついた」
「お疲れ様です。カグラさん、本日は迷宮内を案内していただきありがとうございます」
「あ、ああ……」
もう疲れて果ててしまっているのかカグラさんはうなだれるようにして近くの椅子に座る。
「二人共、ダンジョンから持ち帰ったアイテムは、向こうの清算所にもっていくようにな」
私は頷き、カグラさんが指差した建物の扉を開ける。
「失礼します」
私は扉を開けながら中を見渡す。
カウンターは3つほどあり、冒険者ギルドの制服を着た女性達が一斉に私の方を見てきた。
一番近いカウンター席に座る。
「女性二人組の冒険者ね。その恰好からすると魔術師と剣士かしら?」
「はい」
私は、出入り口近くに置かれていた長椅子に座っているエリザさんを見たあと、頷く。
「それじゃ冒険者ギルドカードを出してもらえるかしら?」
「わかりました」
アイテムボックスから、冒険者ギルドカードを取り出して女性へと渡すと、女性は書類を見比べてから気の毒そうに視線を私へ向けてきた。
「今日は、冒険者ギルド主任と一緒に、ダンジョンに潜ってきたの?」
「そうですけど……」
「今日は、大変だったでしょう? あの人、スパルタだから」
「え? そ、そうですね」
「大丈夫。あの人って、すごくSだから、始めてカグラ主任とダンジョン探索に行った冒険者の9割は、冒険者を引退しちゃうの。貴女は頑張ってね!」
「はい。がんばります」
そこまで、カグラさんがスパルタだとは思わなかったけど……。
どちらかと言えば王妃教育されていた時の先生の方が酷いスパルタだったと思う。
「普通の冒険者ですが?」
「普通の冒険者ではないと私は思っているが……?」
「まぁ、細かい話は別にいいんじゃないか? 私としては20階層まで、さっさと降りたいんだが?」
エリザさんが、手にしていた杖を私に放り投げてくる。
杖の材質は木製。
先端には赤く光る宝石が埋め込められていて、その周りを青く光る玉が回転していた。
「魔法の杖ですか。鑑定は出来ませんから、どんな能力があるか分かりませんけど……」
私はアイテムボックスに杖を入れる。
「二人とも、私の話を聞け! 20階層まで探索済みというのは、あくまでも探索が出来る範囲であって、無事に探索できる範囲ではないんだぞ? それなのに、監督者である私が二人の実力を知らないのは問題があるだろう?」
「いえ、特に問題は無いと思います」
「そうだな。問題ないな」
カグラさんの説得に近い言葉を私とエリザさんは一蹴する。
だって、二人とも脛に傷がある者同士。
実力を教える必要があるのなら、経歴だって分かってしまうし。
「なら、これ以上の探索は――」
「そうですね。今日は、ここまでにしましょう」
「え? アリーシャ!?」
「エリザさん。冒険者には知られたくない力の一つや二つはあるものです。それを聞き出そうとしてくるのは、正直言って迷惑だと思いませんか?」
「そうだな……」
エリザさんが、しばらく考えたあとに頷く。
「ということで、カグラさん。一度、戻りましょう」
「お、おい!」
私は、踵を返して来た道を戻る。
もちろん、索敵の魔法で通ってきた道は分かるので、地上に出るまではそんなに時間は掛からなかった。
「ようやく地上に到着しましたね」
「もう夕方だな」
迷宮内を走って戻った私達は、外に出て一息つく。
「はぁはぁはぁ……。……や、やっと追いついた」
「お疲れ様です。カグラさん、本日は迷宮内を案内していただきありがとうございます」
「あ、ああ……」
もう疲れて果ててしまっているのかカグラさんはうなだれるようにして近くの椅子に座る。
「二人共、ダンジョンから持ち帰ったアイテムは、向こうの清算所にもっていくようにな」
私は頷き、カグラさんが指差した建物の扉を開ける。
「失礼します」
私は扉を開けながら中を見渡す。
カウンターは3つほどあり、冒険者ギルドの制服を着た女性達が一斉に私の方を見てきた。
一番近いカウンター席に座る。
「女性二人組の冒険者ね。その恰好からすると魔術師と剣士かしら?」
「はい」
私は、出入り口近くに置かれていた長椅子に座っているエリザさんを見たあと、頷く。
「それじゃ冒険者ギルドカードを出してもらえるかしら?」
「わかりました」
アイテムボックスから、冒険者ギルドカードを取り出して女性へと渡すと、女性は書類を見比べてから気の毒そうに視線を私へ向けてきた。
「今日は、冒険者ギルド主任と一緒に、ダンジョンに潜ってきたの?」
「そうですけど……」
「今日は、大変だったでしょう? あの人、スパルタだから」
「え? そ、そうですね」
「大丈夫。あの人って、すごくSだから、始めてカグラ主任とダンジョン探索に行った冒険者の9割は、冒険者を引退しちゃうの。貴女は頑張ってね!」
「はい。がんばります」
そこまで、カグラさんがスパルタだとは思わなかったけど……。
どちらかと言えば王妃教育されていた時の先生の方が酷いスパルタだったと思う。
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