婚約破棄されたので暗殺される前に国を出ます。

なつめ猫

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第69話 ダンジョン探索(19)

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「ここがボスの出現する部屋だな! アリーシャ」

 ボス部屋前の扉に到着したところで、ウキウキと言った様子でエリザさんが扉のノブに手をかける。
 そんな様子を見た後、私は横に立っていたカグラさんの方を見る。

「そうですね。それよりも、気になっていた事がありますが、カグラさん」
「ん? どうした?」
「宝箱って、ボスの部屋でしか出ないのですか?」
「そうだが……」

 つまり、ボス部屋以外には特に宝箱は出ないということですか。
 今度からボス部屋を優先的に攻略していった方が話は早くていいですね。
 そこまで考えていた所で、爆発音と共にボス部屋に通じる扉が粉々に粉砕される。

「ずいぶんと脆い扉だな。鍵が掛かっていたようだから、結構固いと思っていたが――」
「おい! 待て! ボス部屋の扉が内側に開くものだ! それに!」

 カグラさんが、粉砕された扉を指差しながらツッコミを入れてくると同時に、部屋の奥から体躯の高さ4メートル近い巨漢が叫び声を上げて駆けてくる。

「なるほど……」

 それを見て何となく理解してしまう。

「つまりボス部屋の扉を破壊すると境界があやふやになってボスが出現して突っ込んでくると言う事ですか?」
「あ、ああ……」

 扉から出てきたのは鎧を着こんだオークであり、オークは涎を口元から零しながら直剣1メートル近い鉄球をエリザさんへと投げつけていた。

「避けろ! エリザ君! その攻撃は、避けないと死ぬぞ!」
「――ん? そうなのか?」

 高速で飛んできた巨大な鉄球を素手で、しかも片手に掴むエリザさん。
 さらに、その鉄球をオークへと向けて投げつけ、オークの身体は鉄球により爆散する。

「ふむ。そんなに強くないな」
「オ、オークジェネラルが一撃で!? 手練れの冒険者でも、数人がかりで数分は時間が掛かるというのに……」
「まぁ、エリザさんですから」
「ワイバーンを素手で倒したという話は本当なのか……。もう、ここまで行くと引率は要らないのではないのか?」
「いえいえ。とりあえず引率は強さというよりもダンジョン内がどのようになっているかの方が重要ですから」
「そうだな!」
「二人とも、とりあえず今日は20階層までいくんだろ? 急ぐぞ」

 6階層の宝箱から出てきたのは、刃渡り30センチほどのナイフ。
 両刃のナイフは見た事が無いから、結構レアな気がする。
 効果については良く知らないけど、刃の部分に特殊な波紋が浮かび上がっている事から、普通の武器ではないと思うけれど。
 アイテムボックスにナイフを入れてから、私達は7階層へ向かう。
 
 

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