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第63話 ダンジョン探索(13)
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「アリーシャ、少しやりすぎじゃないのか?」
「当然の報いです!」
本当に! せっかく夜なべして作った防具を壊してくれたのですから。
それに、お気に入りのマントとワンピースだったのに!
「まぁいいけど、とりあえず先に進むとするか?」
「そうですね」
またキングスライムが出てきて、装備が壊されたら困りますし。
もはや装備ではなく普段着ですけどね。
「ちょ、ちょっと待った!」
私とエリーゼさんが談笑していると、横から顔色を変えたカグラさんが話に割って入ってくる。
「カグラさん、どうかしましたか?」
「どうかも何も今の魔法は何だ? 高位魔法なのは分かったが、同時に発動させていたよな?」
「はい。それが何か?」
私は首を傾げる。
高位魔法ではあるけれど、最上級攻撃魔法ではないので、魔力にモノを言わせた魔法に過ぎないから私は、カグラさんが何を驚いているのかサッパリですけど。
「それが何か? じゃない! 君は――、アリーシャ君は、普段からあんな魔法を使って魔物を倒しているのか!?」
「――いえ。お気に入りの服を壊されたので」
「つまり、アリーシャ君は、自分の装備が壊されたから、あれほどの力を発揮したと?」
「何を言ってらっしゃるか分かりませんけど先ほどの魔法のことですか?」
「あ、ああ」
「私、魔力の量は人よりも多いみたいなので魔力の強さにモノを言わせて魔法を同時に発動させただけです」
「……どれだけの魔力を持って……」
「それと普段戦っているのはエリザさんですので」
「……つまり、エリザ君も、同じような事が出来ると?」
「私は剣士だから、普通だぞ」
「そ、そうか……」
「それより、2階層に早く向かわなくていいのか? また、キングスライムが出たら装備が壊されることになるが……。主に、ドンくさいアリーシャの装備が」
「エリザさん、ドンくさいは余計です。それより、カグラさん、早く進みましょう。私としては、さっさと目的のモノを入手して帰りたいので」
「……分かった。君達は、ずいぶんとマイペースなのだな」
さっきグリーンスライムを倒せた事で、私は自分でも気がつかない内に緊張感が解けていたみたい。
カグラさんの言葉に私達は頷く。
そのあとは地下1階層のボス部屋を通り過ぎ、奥の扉を開ける。
すると地下へと通じる階段が目に入った。
「そういえばカグラさん」
「何だ?」
「ボスの間のキングスライムですけど、普段は出ないのですか?」
「出る事はでるが、冒険者ギルドに所属している高位冒険者か総督府に所属している騎士団が定期的に倒しているから、普段はでないんだが……」
「それが、今回は出たと?」
「ああ。だから驚いたんだ。魔物が復活するサイクルは完璧に把握しているはずなんだが」
「そうなのですか」
ということは何かイレギュラーな事が起きたと考えた方が良いかも知れないですね。
「よし! 帰りましょう!」
「いあいあ、アリーシャ。今、来たばかりだろう?」
私の提案にエリザさんが突っ込みを入れてきた。
「当然の報いです!」
本当に! せっかく夜なべして作った防具を壊してくれたのですから。
それに、お気に入りのマントとワンピースだったのに!
「まぁいいけど、とりあえず先に進むとするか?」
「そうですね」
またキングスライムが出てきて、装備が壊されたら困りますし。
もはや装備ではなく普段着ですけどね。
「ちょ、ちょっと待った!」
私とエリーゼさんが談笑していると、横から顔色を変えたカグラさんが話に割って入ってくる。
「カグラさん、どうかしましたか?」
「どうかも何も今の魔法は何だ? 高位魔法なのは分かったが、同時に発動させていたよな?」
「はい。それが何か?」
私は首を傾げる。
高位魔法ではあるけれど、最上級攻撃魔法ではないので、魔力にモノを言わせた魔法に過ぎないから私は、カグラさんが何を驚いているのかサッパリですけど。
「それが何か? じゃない! 君は――、アリーシャ君は、普段からあんな魔法を使って魔物を倒しているのか!?」
「――いえ。お気に入りの服を壊されたので」
「つまり、アリーシャ君は、自分の装備が壊されたから、あれほどの力を発揮したと?」
「何を言ってらっしゃるか分かりませんけど先ほどの魔法のことですか?」
「あ、ああ」
「私、魔力の量は人よりも多いみたいなので魔力の強さにモノを言わせて魔法を同時に発動させただけです」
「……どれだけの魔力を持って……」
「それと普段戦っているのはエリザさんですので」
「……つまり、エリザ君も、同じような事が出来ると?」
「私は剣士だから、普通だぞ」
「そ、そうか……」
「それより、2階層に早く向かわなくていいのか? また、キングスライムが出たら装備が壊されることになるが……。主に、ドンくさいアリーシャの装備が」
「エリザさん、ドンくさいは余計です。それより、カグラさん、早く進みましょう。私としては、さっさと目的のモノを入手して帰りたいので」
「……分かった。君達は、ずいぶんとマイペースなのだな」
さっきグリーンスライムを倒せた事で、私は自分でも気がつかない内に緊張感が解けていたみたい。
カグラさんの言葉に私達は頷く。
そのあとは地下1階層のボス部屋を通り過ぎ、奥の扉を開ける。
すると地下へと通じる階段が目に入った。
「そういえばカグラさん」
「何だ?」
「ボスの間のキングスライムですけど、普段は出ないのですか?」
「出る事はでるが、冒険者ギルドに所属している高位冒険者か総督府に所属している騎士団が定期的に倒しているから、普段はでないんだが……」
「それが、今回は出たと?」
「ああ。だから驚いたんだ。魔物が復活するサイクルは完璧に把握しているはずなんだが」
「そうなのですか」
ということは何かイレギュラーな事が起きたと考えた方が良いかも知れないですね。
「よし! 帰りましょう!」
「いあいあ、アリーシャ。今、来たばかりだろう?」
私の提案にエリザさんが突っ込みを入れてきた。
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