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第62話 ダンジョン探索(12)
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「遅いな……」
私も思ったことをエリザさんが口にする。
所詮はスライム。
這いずって移動するしか手段が無い事から移動速度はとても遅い。
「二人とも油断するなっ! 相手は、キングスライムだ! 移動するだけが攻撃手段ではない! 体液を飛ばして攻撃してくるぞ!」
「「体液を!?」」
カグラさんの忠告に、私とエリザさんの声が重なる。
それと共に、キングスライムが体をブルルッと揺らしたかと思うと、半透明な液体を飛ばしてくる。
それは思ったよりも早くて――。
「アリーシャ! あぶないっ!」
私の前に一瞬で移動してきたエリザさんが両手剣を、横に一閃。
それにより液体は、粉々に砕け散り――、私は思わず悲鳴を上げてしまう。
だって体中にスライムの体液が降り注いだから。
「アリーシャ。大丈夫か?」
「えっと……、怪我などはないみたいで……す?」
手を差し出してきたエリザさんの手を掴み立ち上がろうとしたところで、バサッ! と、言う音が聞こえてくる。
どうして、そのような音が? と、振り向くとマントが半分ほど溶けており、留め具が溶解していた。
「これって……」
私が魔法文字を編んだマントが一瞬で無効化された?
つまり、魔法抵抗などを無視して物質を溶かす物質を飛ばしてきたってことで――、でも頭から被った液体は痛くもないわけで……。
「ま、まさか!?」
私は、キングスライムから距離を置く。
「か、カグラさん!」
「何だ? それよりワンピースも解けかけているから、さっさと魔法で洗い流さないと下着まで溶けて裸になるぞ?」
「わかっています!」
私は水の魔法でキングスライムが飛ばしてきた液体を全て洗い流す。
それよりも!
「あのカグラさん!」
私はアイテムボックスから予備の赤色のスカートと白のブラウスを取り出し、着ていく。
もちろん普段着なので、魔法文字などは刻印してないし普通の洋服。
「この魔物って洋服だけを溶かす魔物ですか!?」
「そのとおりだ!」
「そういうことは早く言ってください! 完璧に女性の天敵じゃないですか!」
「だから、油断するなと言っただろう?」
「もうっ! とりあえず、コイツは倒してしまってもいいのですよね?」
「もちろんだ」
「――なら!」
空間に積層魔法陣を展開していく。
夜なべして作った魔法衣とも呼べるワンピースとマントを溶かした罪は重い。
「お、おい! そんな魔法を、ここで発動させたら!?」
「極点結界魔法を発動! さらに同時に極大炎熱魔法エクスプロージョン!」
キングスライムを、丸い白色の結界が封じ込める。
その中で、焦点温度が数百万度の炎が発生しキングスライムを一瞬で消滅させた。
もちろん空間座標を指定した結界内で発動した魔法なので、爆風も熱も完全に遮っている。
「ば、ばかな……。高位魔法を同時に発動だと!?」
カグラさんが驚いた口調で、キングスライムが消滅した場所へ視線を向けていた。
私も思ったことをエリザさんが口にする。
所詮はスライム。
這いずって移動するしか手段が無い事から移動速度はとても遅い。
「二人とも油断するなっ! 相手は、キングスライムだ! 移動するだけが攻撃手段ではない! 体液を飛ばして攻撃してくるぞ!」
「「体液を!?」」
カグラさんの忠告に、私とエリザさんの声が重なる。
それと共に、キングスライムが体をブルルッと揺らしたかと思うと、半透明な液体を飛ばしてくる。
それは思ったよりも早くて――。
「アリーシャ! あぶないっ!」
私の前に一瞬で移動してきたエリザさんが両手剣を、横に一閃。
それにより液体は、粉々に砕け散り――、私は思わず悲鳴を上げてしまう。
だって体中にスライムの体液が降り注いだから。
「アリーシャ。大丈夫か?」
「えっと……、怪我などはないみたいで……す?」
手を差し出してきたエリザさんの手を掴み立ち上がろうとしたところで、バサッ! と、言う音が聞こえてくる。
どうして、そのような音が? と、振り向くとマントが半分ほど溶けており、留め具が溶解していた。
「これって……」
私が魔法文字を編んだマントが一瞬で無効化された?
つまり、魔法抵抗などを無視して物質を溶かす物質を飛ばしてきたってことで――、でも頭から被った液体は痛くもないわけで……。
「ま、まさか!?」
私は、キングスライムから距離を置く。
「か、カグラさん!」
「何だ? それよりワンピースも解けかけているから、さっさと魔法で洗い流さないと下着まで溶けて裸になるぞ?」
「わかっています!」
私は水の魔法でキングスライムが飛ばしてきた液体を全て洗い流す。
それよりも!
「あのカグラさん!」
私はアイテムボックスから予備の赤色のスカートと白のブラウスを取り出し、着ていく。
もちろん普段着なので、魔法文字などは刻印してないし普通の洋服。
「この魔物って洋服だけを溶かす魔物ですか!?」
「そのとおりだ!」
「そういうことは早く言ってください! 完璧に女性の天敵じゃないですか!」
「だから、油断するなと言っただろう?」
「もうっ! とりあえず、コイツは倒してしまってもいいのですよね?」
「もちろんだ」
「――なら!」
空間に積層魔法陣を展開していく。
夜なべして作った魔法衣とも呼べるワンピースとマントを溶かした罪は重い。
「お、おい! そんな魔法を、ここで発動させたら!?」
「極点結界魔法を発動! さらに同時に極大炎熱魔法エクスプロージョン!」
キングスライムを、丸い白色の結界が封じ込める。
その中で、焦点温度が数百万度の炎が発生しキングスライムを一瞬で消滅させた。
もちろん空間座標を指定した結界内で発動した魔法なので、爆風も熱も完全に遮っている。
「ば、ばかな……。高位魔法を同時に発動だと!?」
カグラさんが驚いた口調で、キングスライムが消滅した場所へ視線を向けていた。
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