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第37話 迷宮都市グラナド(9)
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エリザさんと図書館内受付の女性の話が終わったあと、私達は館内を見て回る。
蔵書の数は、王宮図書館と比較にならないほど多く、王宮内の図書館では見た事が無い本も多数見受けられた。
「なあ、アリーシャ」
「どうか致しましたか?」
「これ見てみろよ」
「これは……地図でしょうか?」
エリザさんが差し出してきた古びれた書物は、羊皮紙ではなく見た事がない材質で作られた紙で、紙らしい手触りを感じる事は出来るけど、それだけで――。
「羊皮紙ではないですね」
「だろ? それに、この絵、すごく精巧に描かれている。この本を作った奴は、そうとうすごい職人じゃないのか?」
「そうですね」
私は、地図らしきモノが描かれている本に目を通しながら、本の文字へと視線を落とすけれど難解すぎて読み解くことが出来ない。
おそらくは古代文明よりも前に使われていた言語だと思う。
一度だけ、王宮図書館内で古代文明について教育を受けた際に、見た事がある。
「それにしても、これって世界地図だよな?」
「私達の解釈が間違っていないのなら、世界の地図ですね。それにしても、こんな軍事機密に抵触するモノが、普通に閲覧できる状況に、少し驚きを感じます」
「だよな。普通は地図なんて国同士の最重要機密だもんな」
そのエリザさんの言葉に私は頷く。
他国へ攻撃を仕掛ける時、もしくは妨害工作を仕掛ける時、商隊を襲う時など、鮮明な地図は無くてはならないモノ。
それを、高くは無いと言っても金貨を払うだけで入手できるのは、異常と言って差し障りないと思う。
とりあえず、私は地図を見ていく。
覚えておいて損はないから。
でも、ある事に気がつく。
「迷宮都市がないですね……。それに、魔の森らしき所もないです」
「ほんとだ。どういうことだ?」
私達が暮らしている大陸は巨大な大陸が一つあり、その周辺の海域は、小島が存在していたとしても、他に大きな大陸はなかったはず。
「これって……、もしかして私達が住んでいる場所とは全く異なる大陸のモノ?」
そうとしか考えられない。
それほど、書かれている地図と私達が暮らしている大陸の地形が異なっている。
「アリーシャもそう思うか?」
「はい。――だとすると、公開している事にも納得はできますね。まったく役に立たない地図を機密にしても意味はありませんから」
「だよな」
私は書架へ本を戻すと、他の本を見て回ることにする。
何冊かの本を――、主に見つけた料理本を手に取り近くの椅子へと腰を下ろして文章に目を通していく。
「うっ、これ読めるのか?」
「――翻訳された文章のようです。隣に、この世界標準語の文字が書かれています」
「へー。――でも、ここに書かれている文字って、さっきの良く分かんない地図に書かれていた文字と同じだよな?」
「そうですね」
私は頷く。
現在、大陸で使われている一般的な標準文字と標準言語。
そして、それと別で存在する古代文字と呼ばれる魔法を使う為の言語と文字列体系。
この二つが主に大陸で使われている。
これと別に、存在しているのが数千年から数万年前に存在していたと言われている神代の時代に使われたとされる神代文明文字。
言語は既に存在しておらず、使える者もいない。
そして――、それと同じく神代文明文字は存在しているけれど、存在しているだけで読める人はいない。
それなのに……。
「私、少しだけ気になってきました」
「アリーシャ?」
私は、翻訳者の名前を見ながら呟く。
そう――、翻訳者は迷宮都市グラナドを統治・管理しているカンダ・グラナド・エイジという人物。
神代文明文字を解読した方に関して、私は少しだけ興味が湧いてきた。
蔵書の数は、王宮図書館と比較にならないほど多く、王宮内の図書館では見た事が無い本も多数見受けられた。
「なあ、アリーシャ」
「どうか致しましたか?」
「これ見てみろよ」
「これは……地図でしょうか?」
エリザさんが差し出してきた古びれた書物は、羊皮紙ではなく見た事がない材質で作られた紙で、紙らしい手触りを感じる事は出来るけど、それだけで――。
「羊皮紙ではないですね」
「だろ? それに、この絵、すごく精巧に描かれている。この本を作った奴は、そうとうすごい職人じゃないのか?」
「そうですね」
私は、地図らしきモノが描かれている本に目を通しながら、本の文字へと視線を落とすけれど難解すぎて読み解くことが出来ない。
おそらくは古代文明よりも前に使われていた言語だと思う。
一度だけ、王宮図書館内で古代文明について教育を受けた際に、見た事がある。
「それにしても、これって世界地図だよな?」
「私達の解釈が間違っていないのなら、世界の地図ですね。それにしても、こんな軍事機密に抵触するモノが、普通に閲覧できる状況に、少し驚きを感じます」
「だよな。普通は地図なんて国同士の最重要機密だもんな」
そのエリザさんの言葉に私は頷く。
他国へ攻撃を仕掛ける時、もしくは妨害工作を仕掛ける時、商隊を襲う時など、鮮明な地図は無くてはならないモノ。
それを、高くは無いと言っても金貨を払うだけで入手できるのは、異常と言って差し障りないと思う。
とりあえず、私は地図を見ていく。
覚えておいて損はないから。
でも、ある事に気がつく。
「迷宮都市がないですね……。それに、魔の森らしき所もないです」
「ほんとだ。どういうことだ?」
私達が暮らしている大陸は巨大な大陸が一つあり、その周辺の海域は、小島が存在していたとしても、他に大きな大陸はなかったはず。
「これって……、もしかして私達が住んでいる場所とは全く異なる大陸のモノ?」
そうとしか考えられない。
それほど、書かれている地図と私達が暮らしている大陸の地形が異なっている。
「アリーシャもそう思うか?」
「はい。――だとすると、公開している事にも納得はできますね。まったく役に立たない地図を機密にしても意味はありませんから」
「だよな」
私は書架へ本を戻すと、他の本を見て回ることにする。
何冊かの本を――、主に見つけた料理本を手に取り近くの椅子へと腰を下ろして文章に目を通していく。
「うっ、これ読めるのか?」
「――翻訳された文章のようです。隣に、この世界標準語の文字が書かれています」
「へー。――でも、ここに書かれている文字って、さっきの良く分かんない地図に書かれていた文字と同じだよな?」
「そうですね」
私は頷く。
現在、大陸で使われている一般的な標準文字と標準言語。
そして、それと別で存在する古代文字と呼ばれる魔法を使う為の言語と文字列体系。
この二つが主に大陸で使われている。
これと別に、存在しているのが数千年から数万年前に存在していたと言われている神代の時代に使われたとされる神代文明文字。
言語は既に存在しておらず、使える者もいない。
そして――、それと同じく神代文明文字は存在しているけれど、存在しているだけで読める人はいない。
それなのに……。
「私、少しだけ気になってきました」
「アリーシャ?」
私は、翻訳者の名前を見ながら呟く。
そう――、翻訳者は迷宮都市グラナドを統治・管理しているカンダ・グラナド・エイジという人物。
神代文明文字を解読した方に関して、私は少しだけ興味が湧いてきた。
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