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第26話 商業ギルドマスターさん。
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「本気です」
「ふむ……。だが、市民権が無いと購入することはできないぞ?」
「あります」
私は、迷宮都市グラナドに入る際に作って頂いた身分証をアイテムボックスから取り出し男性へ見せる。
私から受け取った身分証を見た男性は小さく溜息をつくと――、
「一応、資格はあるようだな。だが、土地代は金貨200枚からだが、手続きなどで、かなりの費用が掛かるぞ?」
「そうなのですか? いくらくらいですか?」
「そうだな。司法所へ出す書類手続きなどを含めると金貨1000枚くらいか」
「金貨1000枚!?」
思わず、「高っ! 手続きだけで、金貨800枚近いの? ぼったくりなの!?」と、叫ばなかった自分を褒めてあげたい。
「分かったか? とりあえず、いまのお前さんの手持ちでは購入することは難しい」
「えっと、他にも魔物の素材を購入して頂くことは出来ますか? それで、何とか購入と手続きのお金を確保したいです」
「構わないが、ワイバーンと同じくらいの物でもない限り、焼け石に水だと思うがな」
「それでは、これを――」
私は、アイテムボックスから、エリザさんが魔の森で暮らしていた時に狩り集めてきたワイバーンを次々と出していく。
「――お、おい……。ま、まさか……、ストップ! ちょっと待ってくれ!」
男性が焦った様子で制止してきた所で、5匹目のワイバーンをアイテムボックスから出して長机の上へ乗せたところで、長机はワイバーンの重みに耐えきれなくなり大理石の柱が粉砕され、ワイバーンは床へと転がる。
ズシン! ズシン! と、連続した音が商業ギルドの中に響き渡ると、多くの方が集まってきた。
「ジョルジュ! 一体、何が起きた! ――って、うお!? なん……なんだ!? このワイバーンの数は!?」
「メルドランさん。この冒険者が、ワイバーンの素材を売りにきたんですが……」
まるで機械が故障したかの様子で、私へと顔を向けてくる60歳近くの老人。
身長は私より10センチほど小さい感じではあるけど、ガッシリとした体形。
老人は、私の方を眉間に皺を寄せながら見てくる。
「名前は?」
「えっと、アリーシャと言います」
「アリーシャ? ほう……」
目を細めるメルドランという老人。
彼は、自身の顎髭を右手で摩ると口を開く。
「ジョルジュ。将来、有望な赤魔導士が、商業ギルドに来ると冒険者ギルドマスターより連絡がきておる」
「本当ですか!?」
「うむ。アリーシャ様には、くれぐれもご無礼のないようにな」
「わ、分かりました。あとメルドランさん、この者が土地を買いたいと――」
「土地か。なら、商業ギルドが保有している利用していない土地があっただろう? それを売ればいい」
「――ですが! あそこはオアシス近くの……」
「よいな? 命令だ」
「わ、分かりました」
メルドランという人物は、それだけジョルジュさんに命じると去っていく。
「それと、アリーシャ様」
「はい? あと、私は様と呼ばれるような身分ではありませんので……」
「それでは、アリーシャさん。土地の売買手続きは、商業ギルドで行っておきますので、ワイバーン2匹分の対価で十分ですので2匹はアイテムボックスに入れておいてください」
「は、はい……」
私は2匹のワイバーンをアイテムボックスに入れる。
「よろしい。では、アリーシャさん、失礼致します」
彼は、そう言うと、商業ギルドの2階へと上がっていってしまった。
「ふむ……。だが、市民権が無いと購入することはできないぞ?」
「あります」
私は、迷宮都市グラナドに入る際に作って頂いた身分証をアイテムボックスから取り出し男性へ見せる。
私から受け取った身分証を見た男性は小さく溜息をつくと――、
「一応、資格はあるようだな。だが、土地代は金貨200枚からだが、手続きなどで、かなりの費用が掛かるぞ?」
「そうなのですか? いくらくらいですか?」
「そうだな。司法所へ出す書類手続きなどを含めると金貨1000枚くらいか」
「金貨1000枚!?」
思わず、「高っ! 手続きだけで、金貨800枚近いの? ぼったくりなの!?」と、叫ばなかった自分を褒めてあげたい。
「分かったか? とりあえず、いまのお前さんの手持ちでは購入することは難しい」
「えっと、他にも魔物の素材を購入して頂くことは出来ますか? それで、何とか購入と手続きのお金を確保したいです」
「構わないが、ワイバーンと同じくらいの物でもない限り、焼け石に水だと思うがな」
「それでは、これを――」
私は、アイテムボックスから、エリザさんが魔の森で暮らしていた時に狩り集めてきたワイバーンを次々と出していく。
「――お、おい……。ま、まさか……、ストップ! ちょっと待ってくれ!」
男性が焦った様子で制止してきた所で、5匹目のワイバーンをアイテムボックスから出して長机の上へ乗せたところで、長机はワイバーンの重みに耐えきれなくなり大理石の柱が粉砕され、ワイバーンは床へと転がる。
ズシン! ズシン! と、連続した音が商業ギルドの中に響き渡ると、多くの方が集まってきた。
「ジョルジュ! 一体、何が起きた! ――って、うお!? なん……なんだ!? このワイバーンの数は!?」
「メルドランさん。この冒険者が、ワイバーンの素材を売りにきたんですが……」
まるで機械が故障したかの様子で、私へと顔を向けてくる60歳近くの老人。
身長は私より10センチほど小さい感じではあるけど、ガッシリとした体形。
老人は、私の方を眉間に皺を寄せながら見てくる。
「名前は?」
「えっと、アリーシャと言います」
「アリーシャ? ほう……」
目を細めるメルドランという老人。
彼は、自身の顎髭を右手で摩ると口を開く。
「ジョルジュ。将来、有望な赤魔導士が、商業ギルドに来ると冒険者ギルドマスターより連絡がきておる」
「本当ですか!?」
「うむ。アリーシャ様には、くれぐれもご無礼のないようにな」
「わ、分かりました。あとメルドランさん、この者が土地を買いたいと――」
「土地か。なら、商業ギルドが保有している利用していない土地があっただろう? それを売ればいい」
「――ですが! あそこはオアシス近くの……」
「よいな? 命令だ」
「わ、分かりました」
メルドランという人物は、それだけジョルジュさんに命じると去っていく。
「それと、アリーシャ様」
「はい? あと、私は様と呼ばれるような身分ではありませんので……」
「それでは、アリーシャさん。土地の売買手続きは、商業ギルドで行っておきますので、ワイバーン2匹分の対価で十分ですので2匹はアイテムボックスに入れておいてください」
「は、はい……」
私は2匹のワイバーンをアイテムボックスに入れる。
「よろしい。では、アリーシャさん、失礼致します」
彼は、そう言うと、商業ギルドの2階へと上がっていってしまった。
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