婚約破棄されたので暗殺される前に国を出ます。

なつめ猫

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第12話 魔の森からの脱出(3)

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 エリザさんが、トレーニングの為にと庭で腕立て伏せをしているのを見たあと、私はベッドの中にササッと入って掛毛布を頭から被る。

「さて、寝ましょう」

 2度寝は至福です。
 私は、瞼を閉じて夢の中へ――。
 


 ――数時間後

「まだ眠い……」

 欠伸をしながら起きる。

「どのくらい寝ていたのかしら」

 外を見ると、エリザさんが腹筋をしていた。
 どれだけ寝ていたか分からない。
 だけど、もしかして……私が寝ている間も、ずっと体を鍛えていたの? と考えてしまう。

 そうだったら、かなりの時間、トレーニングしていた事になるのだけれど……。
 そうなると、オーバーワークになるから止めないと。
 寝間着から、無地のワンピースに着替えてから庭へ。
 太陽の位置は、頭上の真上。
 たぶん、お昼に近い。
 そうなると、やっぱり4時間から5時間ほど、トレーニングをしていたことになる。

「エリザさん」

 私が話しかけても、エリザさんは腹筋をやめない。
 これは、間違いなく練習に集中しすぎていて、外野の声が届かないみたいな。

「エリザさん!」
「お、おお!? アリーシャか」

 エリザさんの耳元近くで、大声でエリザさんの名前を叫んで、ようやく私の声が届いた。

「もう、お昼の時間ですよ?」
「そうなのか?」
「はい。過剰なトレーニングは体に悪影響を及ぼします」
「――いや、それがな。アリーシャが夜なべして作ってくれた執事服だが、ヒールの魔法が掛かっているおかげもあって、全然っ! 疲れないんだっ」
「本当ですか? 無理はしないでくださいね。一応、トレーニング中に、かなりの負荷が肉体に掛かるようにしていますので」
「分かった」
「それでは、私はお昼を作ってきます」
「それまで体を鍛えておく」
「はい」

 どうやら、思っていたよりもチートな執事服だったみたい。
 チラリと、後ろを振り返ると一抱えあるほどの岩を片手で持ち上げている。

「あ、あれ?」

 たしか人の筋肉は鍛えれば鍛えるほど強くなるって聞いた事を、私を護衛してくれていた近衛騎士の方に聞いたことがあるけど……、筋肉を壊して瞬時に回復するヒールを混ぜ込んだことで、もしかして……エリザさん相当強くなってない? 

 ――これは、もしかすると本当に魔の森から脱出に成功しちゃうかも!?

 私が作ったお昼を二人で食べたあとは、エリザさんは迷宮都市に行った時に売れる獲物を取りに行き、私はエリザさんが投げるモノを探してまわっている。

「とりあえず、あれだよね……」

 空に向かって投げるなら軽い方がいいよね……。
 そうなると――。
 森の中で、軽くて投げやすくて、加工しやすいモノ。
 それは……一つしかない訳で……。

「エリザさんには丸太を投げてもらって、その上に乗っていくのが一番効率が良いわよね」




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