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第89話 王都事件(14)
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貴族街と呼ばれる場所から、徒歩で王都の中心部へと向かう。
王都の中心部に近づくことに人通りが増えていく。
「すごい人の数ですね」
私は、馬車が3台並んで走れるほどの大通りを歩きながら、思ったことをそのまま口にする。
どこを見ても人が大勢いて、道の両脇にはお店らしきモノが軒を連ねていたから。
「今日は少ないくらいだぞ」
「そうなのですか!?」
「エリーゼは、王都を散策したことは――」
「きちんと探検したことは初めてですっ!」
「そうなのか?」
「はいっ! 国が出資している機関である冒険者ギルドや商人ギルドなどに妃教育の一つとして伺ったことはありますけど、その時は馬車での移動でしたので!」
「馬車での移動なら王都の様子くらいは見れたんじゃないのか?」
「カーネルさん。私は、そんなに出来のいい子ではないのです。ですから馬車での移動であっても各機関に赴く際に資料などを読んでいた事もあり、王都の景色を見る余裕なんてありませんでした」
「そ、そうなのか……。未来の王妃というのも大変だったんだな」
「元ですけどね」
私は、周囲を見渡しながらカーネルさんに言葉を返す。
「なので、私としては王太子殿下が婚約破棄してくれた事は、とても僥倖だと思っています」
「そうか。――で、何かしたい事があったりするのなら付き合うぞ?」
「えっと……。道の両脇にあるのは御店ですよね?」
「店というよりも屋台と言った方が正確なところだな」
「そうなのですか?」
「ああ、屋台ってのは簡単に言えばどっしりと店を構えているかどうかだからな」
「つまり、キチンとした建造物内に御店を構えているかどうかという事なのですか?」
「ああ」
「それって、私が治療を冒険者ギルド内で行った際にエリーゼ診療所みたいなのを作った?」
「ああいう適当なモノは屋台とも言わないな」
「適当って……。たしかに、その通りですけど!」
とても心外ですっ!
「まぁ、そんなに怒るな。――で、屋台が何かあったのか?」
「はいっ! 先ほどから、皆さんが色々なモノを購入して食べているものを私も食べてみたいです!」
王都の方が、どのようなモノを口にしているのか私はすごく興味があって、カーネルさんを見上げる。
「あまり立ち食いは良くないんだがな……」
「でも、皆様は普通に購入して食べておられますよ?」
「まぁ一般庶民は、それが普通だからな」
「――なら大丈夫です! 私も、一般人ですから!」
「今はだろ?」
「そうですけど……。王都散策と言ったら、王国民が普段はどのような食事をされておられるのか確認するのも重要な事だと思うのです!」
「そこまで力説することなのか……」
私は、呆れ顔のカーネルさんを見上げながらじーっと見つめる。
すると彼は、深く溜息をついたあと「仕方ないな」と折れてくれた。
「それなら、まずはアレを食べてみたいです!」
私は、先ほど歩いていた時から香ばしい肉の焼ける匂いを嗅いでいた事もあり、屋台という場所に向かう為に、カーネルさんの手を掴む。
王都の中心部に近づくことに人通りが増えていく。
「すごい人の数ですね」
私は、馬車が3台並んで走れるほどの大通りを歩きながら、思ったことをそのまま口にする。
どこを見ても人が大勢いて、道の両脇にはお店らしきモノが軒を連ねていたから。
「今日は少ないくらいだぞ」
「そうなのですか!?」
「エリーゼは、王都を散策したことは――」
「きちんと探検したことは初めてですっ!」
「そうなのか?」
「はいっ! 国が出資している機関である冒険者ギルドや商人ギルドなどに妃教育の一つとして伺ったことはありますけど、その時は馬車での移動でしたので!」
「馬車での移動なら王都の様子くらいは見れたんじゃないのか?」
「カーネルさん。私は、そんなに出来のいい子ではないのです。ですから馬車での移動であっても各機関に赴く際に資料などを読んでいた事もあり、王都の景色を見る余裕なんてありませんでした」
「そ、そうなのか……。未来の王妃というのも大変だったんだな」
「元ですけどね」
私は、周囲を見渡しながらカーネルさんに言葉を返す。
「なので、私としては王太子殿下が婚約破棄してくれた事は、とても僥倖だと思っています」
「そうか。――で、何かしたい事があったりするのなら付き合うぞ?」
「えっと……。道の両脇にあるのは御店ですよね?」
「店というよりも屋台と言った方が正確なところだな」
「そうなのですか?」
「ああ、屋台ってのは簡単に言えばどっしりと店を構えているかどうかだからな」
「つまり、キチンとした建造物内に御店を構えているかどうかという事なのですか?」
「ああ」
「それって、私が治療を冒険者ギルド内で行った際にエリーゼ診療所みたいなのを作った?」
「ああいう適当なモノは屋台とも言わないな」
「適当って……。たしかに、その通りですけど!」
とても心外ですっ!
「まぁ、そんなに怒るな。――で、屋台が何かあったのか?」
「はいっ! 先ほどから、皆さんが色々なモノを購入して食べているものを私も食べてみたいです!」
王都の方が、どのようなモノを口にしているのか私はすごく興味があって、カーネルさんを見上げる。
「あまり立ち食いは良くないんだがな……」
「でも、皆様は普通に購入して食べておられますよ?」
「まぁ一般庶民は、それが普通だからな」
「――なら大丈夫です! 私も、一般人ですから!」
「今はだろ?」
「そうですけど……。王都散策と言ったら、王国民が普段はどのような食事をされておられるのか確認するのも重要な事だと思うのです!」
「そこまで力説することなのか……」
私は、呆れ顔のカーネルさんを見上げながらじーっと見つめる。
すると彼は、深く溜息をついたあと「仕方ないな」と折れてくれた。
「それなら、まずはアレを食べてみたいです!」
私は、先ほど歩いていた時から香ばしい肉の焼ける匂いを嗅いでいた事もあり、屋台という場所に向かう為に、カーネルさんの手を掴む。
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