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第79話 王都事件(4)
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「そうなりますわ」
「……それって、国王陛下などには……」
「お父様の事ですので、許可は得ていると思いますけど? それに、フェルシアさんは私の獣魔と言うことで冒険者ギルドに登録をかけていますから」
「そうなのですか……、どうりで……」
溜息交じりに呟くアディ―さん。
「それにしても、国を単体で落とす力を持つ魔獣を手懐けるとは、聖女の力を有している時にも驚きましたけど……」
「もっと驚いたかしら?」
彼女は、頷く。
普段は貴族の礼儀作法に煩いアディ―さんですけれど、どうやら想定外の物事が起きた際には、色々と考えているのか困った表情を見せていた。
それからは、特に何事もなく一日が過ぎていく。
お父様が寄こした付き人やメイドに屋敷の管理をされている方が、館を手入れしてくださっていたおかげで、何不自由なく暮らせている。
「主よ」
「何でしょうか?」
「ここに居て良いのか?」
湯浴みと夕食を摂り終えた私は、館の一室――、一番大きな広間で横になっているフェルシアさんの元へと来て、彼女のモフモフな毛並みの中にモゾモゾと入っていき……、しばらくして眠くなってきた所で、フェンリルのフェルシアさんに声をかけられていた。
「貴族タイムは終わりました」
「……それは、あのアディ―という人間の前で振る舞っていた畏まった行動のようなモノか?」
私は、真っ白な毛並みの中に半ば埋もれながら「そうですね……」と、答える。
正直、辺境の地で数か月暮らしていた私としては、貴族らしい振る舞いというのは、形式を重視した物と言うこともあり好ましいとは思えない。
ただ、今までは未来の王妃になるのだからと、半ば諦めていたので仕方なく甘んじてはいたけれど……。
すでに現在は、婚約破棄を王太子様からされたことで晴れて自由の身。
そこまでこだわる必要はないと、せいせいしていましたけど……。
どうやら、それも間違っているようで……。
「フェルシアさん」
「何だ? 主よ」
「貴族って引退したら駄目でしょうか?」
「駄目かどうかは知らぬが、貴族という身分として生まれてきたのだろう?」
「そうですね」
「そうか……。ならば、きちんと清算せずには立場というのは捨てられないのではないのか?」
「それって、生まれが貴族なのだから貴族らしく決着をつけるという事ですか?」
「うむ。我らフェンリルも生まれた時から、ある程度は、生き方が決まっているからな」
「そうですよね……」
私は、フェルシアさんの子供が、私や両親と獣魔契約を結んだ時のことを思いだし頷く。
「……それって、国王陛下などには……」
「お父様の事ですので、許可は得ていると思いますけど? それに、フェルシアさんは私の獣魔と言うことで冒険者ギルドに登録をかけていますから」
「そうなのですか……、どうりで……」
溜息交じりに呟くアディ―さん。
「それにしても、国を単体で落とす力を持つ魔獣を手懐けるとは、聖女の力を有している時にも驚きましたけど……」
「もっと驚いたかしら?」
彼女は、頷く。
普段は貴族の礼儀作法に煩いアディ―さんですけれど、どうやら想定外の物事が起きた際には、色々と考えているのか困った表情を見せていた。
それからは、特に何事もなく一日が過ぎていく。
お父様が寄こした付き人やメイドに屋敷の管理をされている方が、館を手入れしてくださっていたおかげで、何不自由なく暮らせている。
「主よ」
「何でしょうか?」
「ここに居て良いのか?」
湯浴みと夕食を摂り終えた私は、館の一室――、一番大きな広間で横になっているフェルシアさんの元へと来て、彼女のモフモフな毛並みの中にモゾモゾと入っていき……、しばらくして眠くなってきた所で、フェンリルのフェルシアさんに声をかけられていた。
「貴族タイムは終わりました」
「……それは、あのアディ―という人間の前で振る舞っていた畏まった行動のようなモノか?」
私は、真っ白な毛並みの中に半ば埋もれながら「そうですね……」と、答える。
正直、辺境の地で数か月暮らしていた私としては、貴族らしい振る舞いというのは、形式を重視した物と言うこともあり好ましいとは思えない。
ただ、今までは未来の王妃になるのだからと、半ば諦めていたので仕方なく甘んじてはいたけれど……。
すでに現在は、婚約破棄を王太子様からされたことで晴れて自由の身。
そこまでこだわる必要はないと、せいせいしていましたけど……。
どうやら、それも間違っているようで……。
「フェルシアさん」
「何だ? 主よ」
「貴族って引退したら駄目でしょうか?」
「駄目かどうかは知らぬが、貴族という身分として生まれてきたのだろう?」
「そうですね」
「そうか……。ならば、きちんと清算せずには立場というのは捨てられないのではないのか?」
「それって、生まれが貴族なのだから貴族らしく決着をつけるという事ですか?」
「うむ。我らフェンリルも生まれた時から、ある程度は、生き方が決まっているからな」
「そうですよね……」
私は、フェルシアさんの子供が、私や両親と獣魔契約を結んだ時のことを思いだし頷く。
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