38 / 112
第38話 野菜が売れまくりです。
しおりを挟む
「すごいです。野菜が飛ぶように売れていきます」
市場で空いている場所を見つけて販売を開始したところ、野菜があっと言う間に売れていきます。
「エリーゼ」
「はい。どうかしましたか?」
「今、市場を見てきたが野菜などが高騰していたぞ」
「そうなのですか?」
「ああ、うちは半額以下の価格で販売している」
「――え? 以前に、フェルベール地方へ向かっている途中で野菜を買った事がありますけど、どこも、今、私達が販売している価格だったような……」
「どうやら不作らしい」
「そうなのですか……。それでは――」
「価格を上げるか?」
「いえ! たくさん持ってきます!」
「だが、ここで購入して倍の価格で売っている奴もいるんだぞ?」
「転売という奴ですか?」
「ああ、だから――」
「つまり、それだけ需要があるという事ですね?」
「まぁ、そうなるな」
「それならいい案があります!」
「良い案?」
「はい!」
「アネットさん」
「何でしょうか? エリーゼ様」
「ここでの販売をお願いできますか? 私は、カーネルさんと商業ギルドへ行ってきます」
「商業ギルドですか? 先ほど、場所を借りるのに場所代を払ったばかりですが……」
「いえ、そうではないのです。困っている方がいたら、助けてあげないと! 美味しいご飯が食べられなくなります!」
「そういうことですか……。それなら、あと少しで売り切れると思いますので、私も一緒に行きます」
「分かりました」
アネットさんの言葉通り、すぐに持ってきた野菜は完売。
惜しまれながらも出店を片付けて、その足で商業ギルドへと向かいます。
商業ギルドは、煉瓦作りの建物で白いペンキで外装が塗られていることもあり、茶色い煉瓦作りの建物が多いイスタンブールの町の中では比較的に目立っている。
「すいません」
「はい。先ほど、市場での場所代をお支払いされた方ですね。何か問題でもありましたか?」
カウンターの女性が、私達のことを覚えてくれていたみたいで話は早く進みそう。
「じつは、商業ギルドの一番偉い人と会いたいのですが……」
「アポイントなどはとっておられますか?」
「――いえ、とってはおりません」
「それでは……、今からアポイントを取りますと……二週間後となりますが……」
「2週間……」
それだと野菜の収穫時期も考えると……。
「エリーゼ、ロマネスクに会いたいのか?」
「もしかして、カーネルさんは、ここの責任者の方と知り合いなのですか?」
「ああ、昔の冒険者仲間だ」
「そうなのですか! それでは、私と同じ冒険者なのですね!」
「そうだな」
なるほど、そう言うことなのですね。
つまり、冒険者としては私の先輩ということ。
そんな話をしていると、私とカーネルさんの話を聞いていた受付の女性は、恐る恐るカーネルさんの方を見ると口を開き――、
「あの、あなたは……」
「俺か? カーネルという。ロマネスクは、俺の友人だ。すぐに話を通してくれ」
「――は、はい。すぐに確認して参ります」
受付の女性は慌てた様子で建物の奥へと向かっていく。
そして、しばらくすると恰幅のいい身なりの整ったダンディなおじさまが歩いてきた。
「おう、久しぶりだな。カーネル」
「貴様こそ、無事で何よりだ。ところで商業ギルドに何の用だ? ここは冒険者ギルドじゃないぞ?」
「じつはな、こっちのエリーゼが、お前に話があるらしくてな」
「エリーゼ? どこかで聞いたような……」
そう呟きながら、ロマネスクさんの視線は私の方へ。
すると大きく目を見開く。
「こ、こここ、これは――、カーネル!」
「落ち着け。とりあえず、静かな場所を用意してくれ」
「当然だ」
すぐに、私達は商業ギルドの中でも一番奥の豪奢な部屋へ通される。
「お久しぶりでございます。エリーゼ様。それより、このようなむさ苦しいところへ何故に――」
「じつは、お願いがあって……」
市場で空いている場所を見つけて販売を開始したところ、野菜があっと言う間に売れていきます。
「エリーゼ」
「はい。どうかしましたか?」
「今、市場を見てきたが野菜などが高騰していたぞ」
「そうなのですか?」
「ああ、うちは半額以下の価格で販売している」
「――え? 以前に、フェルベール地方へ向かっている途中で野菜を買った事がありますけど、どこも、今、私達が販売している価格だったような……」
「どうやら不作らしい」
「そうなのですか……。それでは――」
「価格を上げるか?」
「いえ! たくさん持ってきます!」
「だが、ここで購入して倍の価格で売っている奴もいるんだぞ?」
「転売という奴ですか?」
「ああ、だから――」
「つまり、それだけ需要があるという事ですね?」
「まぁ、そうなるな」
「それならいい案があります!」
「良い案?」
「はい!」
「アネットさん」
「何でしょうか? エリーゼ様」
「ここでの販売をお願いできますか? 私は、カーネルさんと商業ギルドへ行ってきます」
「商業ギルドですか? 先ほど、場所を借りるのに場所代を払ったばかりですが……」
「いえ、そうではないのです。困っている方がいたら、助けてあげないと! 美味しいご飯が食べられなくなります!」
「そういうことですか……。それなら、あと少しで売り切れると思いますので、私も一緒に行きます」
「分かりました」
アネットさんの言葉通り、すぐに持ってきた野菜は完売。
惜しまれながらも出店を片付けて、その足で商業ギルドへと向かいます。
商業ギルドは、煉瓦作りの建物で白いペンキで外装が塗られていることもあり、茶色い煉瓦作りの建物が多いイスタンブールの町の中では比較的に目立っている。
「すいません」
「はい。先ほど、市場での場所代をお支払いされた方ですね。何か問題でもありましたか?」
カウンターの女性が、私達のことを覚えてくれていたみたいで話は早く進みそう。
「じつは、商業ギルドの一番偉い人と会いたいのですが……」
「アポイントなどはとっておられますか?」
「――いえ、とってはおりません」
「それでは……、今からアポイントを取りますと……二週間後となりますが……」
「2週間……」
それだと野菜の収穫時期も考えると……。
「エリーゼ、ロマネスクに会いたいのか?」
「もしかして、カーネルさんは、ここの責任者の方と知り合いなのですか?」
「ああ、昔の冒険者仲間だ」
「そうなのですか! それでは、私と同じ冒険者なのですね!」
「そうだな」
なるほど、そう言うことなのですね。
つまり、冒険者としては私の先輩ということ。
そんな話をしていると、私とカーネルさんの話を聞いていた受付の女性は、恐る恐るカーネルさんの方を見ると口を開き――、
「あの、あなたは……」
「俺か? カーネルという。ロマネスクは、俺の友人だ。すぐに話を通してくれ」
「――は、はい。すぐに確認して参ります」
受付の女性は慌てた様子で建物の奥へと向かっていく。
そして、しばらくすると恰幅のいい身なりの整ったダンディなおじさまが歩いてきた。
「おう、久しぶりだな。カーネル」
「貴様こそ、無事で何よりだ。ところで商業ギルドに何の用だ? ここは冒険者ギルドじゃないぞ?」
「じつはな、こっちのエリーゼが、お前に話があるらしくてな」
「エリーゼ? どこかで聞いたような……」
そう呟きながら、ロマネスクさんの視線は私の方へ。
すると大きく目を見開く。
「こ、こここ、これは――、カーネル!」
「落ち着け。とりあえず、静かな場所を用意してくれ」
「当然だ」
すぐに、私達は商業ギルドの中でも一番奥の豪奢な部屋へ通される。
「お久しぶりでございます。エリーゼ様。それより、このようなむさ苦しいところへ何故に――」
「じつは、お願いがあって……」
763
お気に入りに追加
2,321
あなたにおすすめの小説
魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
富士とまと
ファンタジー
一緒に異世界に召喚された従妹は魔力が高く、私は魔力がゼロだそうだ。
「私は聖女になるかも、姉さんバイバイ」とイケメンを侍らせた従妹に手を振られ、私は王都を追放された。
魔力はないけれど、霊感は日本にいたころから強かったんだよね。そのおかげで「英霊」だとか「精霊」だとかに盲愛されています。
――いや、あの、精霊の指輪とかいらないんですけど、は、外れない?!
――ってか、イケメン幽霊が号泣って、私が悪いの?
私を追放した王都の人たちが困っている?従妹が大変な目にあってる?魔力ゼロを低級民と馬鹿にしてきた人たちが助けを求めているようですが……。
今更、魔力ゼロの人間にしか作れない特級魔力回復薬が欲しいとか言われてもね、こちらはあなたたちから何も欲しいわけじゃないのですけど。
重複投稿ですが、改稿してます
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
公国の後継者として有望視されていたが無能者と烙印を押され、追放されたが、とんでもない隠れスキルで成り上がっていく。公国に戻る?いやだね!
秋田ノ介
ファンタジー
主人公のロスティは公国家の次男として生まれ、品行方正、学問や剣術が優秀で、非の打ち所がなく、後継者となることを有望視されていた。
『スキル無し』……それによりロスティは無能者としての烙印を押され、後継者どころか公国から追放されることとなった。ロスティはなんとかなけなしの金でスキルを買うのだが、ゴミスキルと呼ばれるものだった。何の役にも立たないスキルだったが、ロスティのとんでもない隠れスキルでゴミスキルが成長し、レアスキル級に大化けしてしまう。
ロスティは次々とスキルを替えては成長させ、より凄いスキルを手にしていき、徐々に成り上がっていく。一方、ロスティを追放した公国は衰退を始めた。成り上がったロスティを呼び戻そうとするが……絶対にお断りだ!!!!
小説家になろうにも掲載しています。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
【完結】神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました
土広真丘
ファンタジー
神と交信する力を持つ者が生まれる国、ミレニアム帝国。
神官としての力が弱いアマーリエは、両親から疎まれていた。
追い討ちをかけるように神にも拒絶され、両親は妹のみを溺愛し、妹の婚約者には無能と罵倒される日々。
居場所も立場もない中、アマーリエが出会ったのは、紅蓮の炎を操る青年だった。
小説家になろう、カクヨムでも公開していますが、一部内容が異なります。
外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。
地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。
俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。
だけど悔しくはない。
何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。
そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。
ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。
アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。
フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。
※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる