14 / 112
第14話 徴税は無理みたいです。
しおりを挟む
久しぶりに、キチンとしたというのは言い過ぎかも知れないけど、それなりの見た目のドレスを着て村へと向かう。
もちろん、村までの道中で馬車の中では、ウルリカにたくさん怒られました。
「到着しました!」
「エリーゼ様、口調!」
「あ、はい……到着いたしましたわ」
最近は、お屋敷に篭って、ずっとフェルシアさんの仔犬と遊んで、お腹に顔を埋めて深呼吸したり、フェルシアさんの毛の中で、夢の世界に旅だったりと、癒されていたため、少し貴族風な話し方や仕草が抜けているような気がする。
そう! 私は、しっかりしないと!
やればできる子!
自分を振るい立たせていると村長のアルさんが近くにきて頭を下げてくる。
「エリーゼ様、お待ちしておりました。本日は、村を見てみたいと、ウルリカ殿から伺っておりますが……」
「はい。村での農作物の出来などを見せて頂ければと思いまして」
「なるほど」
「そういえばアルさん」
「何でしょうか?」
「ここの領地で得られた作物から得られる利益などは、メレンドルフ公爵家には、どの程度、納めていらっしゃるのですか?」
「公爵様からは、村で得た収益に関しては、納める必要はないと命じられております」
「――え? そうなのですか?」
お父様に送った手紙。
それは、まだ届いていないので、どういう徴収方法を取っているのか知らなかったのだけれども、まさか無税だとは……。
「――ですが、野菜などの栽培に恵まれない町や村に野菜を売りに行き得られた利益に関しては、森の魔物を討伐する為に冒険者への依頼で消えておりますので」
「そうなのですか……」
それなら仕方ないですね。
徴税は諦めましょう。
それよりも、必要な町や村に野菜を売りにいくというのは、始めて聞いたかも。
それって私の回復魔法も必要な町や村にいけば稼げるということよね?
「依頼書などの控えはありますか? あれば見せて頂きたいのですが?」
私が納得し、商売のいい方法を考えていた所で、ウルリカがアルさんに書類提示を求めていた。
「分かりました。少しお待ちください」
アルさんは、自宅に戻るとすぐに戻ってくる。
その手には、丸められた羊皮紙が抱えられていた。
羊皮紙を受け取り、依頼内容を確認していくと、たしかに冒険者に魔物討伐を依頼した内容が書かれている。
――それにしても……。
「ずいぶんと綺麗な文字を書かれるのですね」
「お褒めに頂きありがとうございます。以前は、王都の方で財務関係の仕事をしておりましたので……」
「そうなんですの?」
そうすると、目の前の年配の方は、貴族という事になる。
財務関係の職務は、王国のお金を扱う為に、貴族出身の人しかなる事ができないから。
「ええ。色々ありまして――、公爵様に拾って頂いたのです」
「そうでしたか。ありがとうございます」
「いえいえ。お気になさらずに。それより村の中を見て周りますか? 皆、エリーゼ様には感謝しておりますので、歓迎すると思います」
「それでは畑を見せて頂けますか?」
「分かりました」
アルさんの話と、冒険者への依頼という事を考えると、徴税を取るのは厳しい。
そうなると、他の方法でお金を稼がないと。
畑を一通り見て、帰りの馬車で思案していると「作物の成長はいいですが……」と、ウルリカが私に語り掛けてくる。
「ウルリカ?」
「申し訳ありません。実は、一つ気になった事がありまして……」
「気になること?」
「はい。村の規模の割には畑の大きさが不釣り合いだという事です」
「でも、他に畑とかは無いわよね?」
「そこが気になっているところなのです」
「そうですか。それより、私も一つだけ稼ぐ方法を見つけましたの」
「どんな方法でしょうか?」
「お医者様のいない村や町にフェルシアさんの背中に乗せてもらって移動して診療所を開くの。冒険者ギルドでも、たくさん稼げたから、もしかしたらいい稼ぎになるかも知れないわよね?」
「それは、たしかに良い案ですが……」
「それじゃ、決まりね!」
移動中にフェルシアさんの背中でモフモフしながら寝れるなんて最高の未来しか見えない!
もちろん、村までの道中で馬車の中では、ウルリカにたくさん怒られました。
「到着しました!」
「エリーゼ様、口調!」
「あ、はい……到着いたしましたわ」
最近は、お屋敷に篭って、ずっとフェルシアさんの仔犬と遊んで、お腹に顔を埋めて深呼吸したり、フェルシアさんの毛の中で、夢の世界に旅だったりと、癒されていたため、少し貴族風な話し方や仕草が抜けているような気がする。
そう! 私は、しっかりしないと!
やればできる子!
自分を振るい立たせていると村長のアルさんが近くにきて頭を下げてくる。
「エリーゼ様、お待ちしておりました。本日は、村を見てみたいと、ウルリカ殿から伺っておりますが……」
「はい。村での農作物の出来などを見せて頂ければと思いまして」
「なるほど」
「そういえばアルさん」
「何でしょうか?」
「ここの領地で得られた作物から得られる利益などは、メレンドルフ公爵家には、どの程度、納めていらっしゃるのですか?」
「公爵様からは、村で得た収益に関しては、納める必要はないと命じられております」
「――え? そうなのですか?」
お父様に送った手紙。
それは、まだ届いていないので、どういう徴収方法を取っているのか知らなかったのだけれども、まさか無税だとは……。
「――ですが、野菜などの栽培に恵まれない町や村に野菜を売りに行き得られた利益に関しては、森の魔物を討伐する為に冒険者への依頼で消えておりますので」
「そうなのですか……」
それなら仕方ないですね。
徴税は諦めましょう。
それよりも、必要な町や村に野菜を売りにいくというのは、始めて聞いたかも。
それって私の回復魔法も必要な町や村にいけば稼げるということよね?
「依頼書などの控えはありますか? あれば見せて頂きたいのですが?」
私が納得し、商売のいい方法を考えていた所で、ウルリカがアルさんに書類提示を求めていた。
「分かりました。少しお待ちください」
アルさんは、自宅に戻るとすぐに戻ってくる。
その手には、丸められた羊皮紙が抱えられていた。
羊皮紙を受け取り、依頼内容を確認していくと、たしかに冒険者に魔物討伐を依頼した内容が書かれている。
――それにしても……。
「ずいぶんと綺麗な文字を書かれるのですね」
「お褒めに頂きありがとうございます。以前は、王都の方で財務関係の仕事をしておりましたので……」
「そうなんですの?」
そうすると、目の前の年配の方は、貴族という事になる。
財務関係の職務は、王国のお金を扱う為に、貴族出身の人しかなる事ができないから。
「ええ。色々ありまして――、公爵様に拾って頂いたのです」
「そうでしたか。ありがとうございます」
「いえいえ。お気になさらずに。それより村の中を見て周りますか? 皆、エリーゼ様には感謝しておりますので、歓迎すると思います」
「それでは畑を見せて頂けますか?」
「分かりました」
アルさんの話と、冒険者への依頼という事を考えると、徴税を取るのは厳しい。
そうなると、他の方法でお金を稼がないと。
畑を一通り見て、帰りの馬車で思案していると「作物の成長はいいですが……」と、ウルリカが私に語り掛けてくる。
「ウルリカ?」
「申し訳ありません。実は、一つ気になった事がありまして……」
「気になること?」
「はい。村の規模の割には畑の大きさが不釣り合いだという事です」
「でも、他に畑とかは無いわよね?」
「そこが気になっているところなのです」
「そうですか。それより、私も一つだけ稼ぐ方法を見つけましたの」
「どんな方法でしょうか?」
「お医者様のいない村や町にフェルシアさんの背中に乗せてもらって移動して診療所を開くの。冒険者ギルドでも、たくさん稼げたから、もしかしたらいい稼ぎになるかも知れないわよね?」
「それは、たしかに良い案ですが……」
「それじゃ、決まりね!」
移動中にフェルシアさんの背中でモフモフしながら寝れるなんて最高の未来しか見えない!
1,357
お気に入りに追加
2,299
あなたにおすすめの小説

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

パワハラ騎士団長に追放されたけど、君らが最強だったのは僕が全ステータスを10倍にしてたからだよ。外れスキル《バフ・マスター》で世界最強
こはるんるん
ファンタジー
「アベル、貴様のような軟弱者は、我が栄光の騎士団には不要。追放処分とする!」
騎士団長バランに呼び出された僕――アベルはクビを宣言された。
この世界では8歳になると、女神から特別な能力であるスキルを与えられる。
ボクのスキルは【バフ・マスター】という、他人のステータスを数%アップする力だった。
これを授かった時、外れスキルだと、みんなからバカにされた。
だけど、スキルは使い続けることで、スキルLvが上昇し、強力になっていく。
僕は自分を信じて、8年間、毎日スキルを使い続けた。
「……本当によろしいのですか? 僕のスキルは、バフ(強化)の対象人数3000人に増えただけでなく、効果も全ステータス10倍アップに進化しています。これが無くなってしまえば、大きな戦力ダウンに……」
「アッハッハッハッハッハッハ! 見苦しい言い訳だ! 全ステータス10倍アップだと? バカバカしい。そんな嘘八百を並べ立ててまで、この俺の最強騎士団に残りたいのか!?」
そうして追放された僕であったが――
自分にバフを重ねがけした場合、能力値が100倍にアップすることに気づいた。
その力で、敵国の刺客に襲われた王女様を助けて、新設された魔法騎士団の団長に任命される。
一方で、僕のバフを失ったバラン団長の最強騎士団には暗雲がたれこめていた。
「騎士団が最強だったのは、アベル様のお力があったればこそです!」
これは外れスキル持ちとバカにされ続けた少年が、その力で成り上がって王女に溺愛され、国の英雄となる物語。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
【完結】「異世界に召喚されたら聖女を名乗る女に冤罪をかけられ森に捨てられました。特殊スキルで育てたリンゴを食べて生き抜きます」
まほりろ
恋愛
※小説家になろう「異世界転生ジャンル」日間ランキング9位!2022/09/05
仕事からの帰り道、近所に住むセレブ女子大生と一緒に異世界に召喚された。
私たちを呼び出したのは中世ヨーロッパ風の世界に住むイケメン王子。
王子は美人女子大生に夢中になり彼女を本物の聖女と認定した。
冴えない見た目の私は、故郷で女子大生を脅迫していた冤罪をかけられ追放されてしまう。
本物の聖女は私だったのに……。この国が困ったことになっても助けてあげないんだから。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※小説家になろう先行投稿。カクヨム、エブリスタにも投稿予定。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様
コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」
ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。
幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。
早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると――
「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」
やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」
悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。
なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?
でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。
というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる