暗い夜

トマト

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大人は何しに

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三郎は、ザリガニのかいどり(川を石や枝でせきとめてその区間の水を掻き出す方法)で、どろだらけになった手拭いをもって、ばあちゃんのところにいった。

ばあちゃんは、たらいに洗濯板を突っ込んで、固形石鹸で、じいちゃんのふんどしを洗っていた。

「ばあちゃん。この手拭いも洗ってよ」

「また、汚したんか。仕方ないのう。おお、そうじゃ、お前、脱水手伝っておくれ。」

三郎のいえでは、最近、脱水つき洗濯機を買ったのだ。

でも、ばあちゃんは『電気代がもったいないし、洗えてる気がせん』と、いまだに、洗濯板をつかっている。三郎のいえは、みんな、けちけちだ。

脱水機は、2つ上下に並んだローラーの間に洗濯物を挟んで、ハンドルをぐるぐる回す手動式なので、厚いものを廻すのは力がいるのだが、手動は電気代かからないから、使わなきゃ損だと思っているのかもしれない。

(手で絞ったほうが、早いじゃん)
と、三郎は内心思っている。

金持ちの家では遠心力を使った脱水機ってのがあるらしい。それなら、もうちょっと、楽なのかなあ。

脱水を終えて、粉ジュースでも、飲もうと お勝手に入っていくと、母ちゃんが、届いたばかりの氷を冷蔵庫に収めているところだった。

冷蔵庫は、しっかりした箱のようなものの上に氷をいれただけのものだ。

イチゴ味のジュースを作っていると、じいちゃんが「わしも、メロン味で作ってくれや」

と、入ってきた。が、天井から長く伸びたハエトリ紙にハゲ頭がぺったりぶつかって、かあちゃんに文句をいう。

「春枝さん。ハエトリがみは、もっと、上にしといてくれや」
じいちゃんは年のわりに、背が高いのだ。

三郎のいえは、井戸水をつかっているので、ひんやりして美味しいジュースができる。

井戸といっても、毎回、汲み上げるのではなく、水道管をつなげてあるので、蛇口をひねったら、水はでてくる。

さて、三郎の家は小学校のすぐ近くで、便利なのだが、とてもいやなことがある。

外にあるお便所の窓から、学校へ行き来する友達の顔がみえたりしちゃうのだ。

恥ずかしいったらない。

そもそも、外にあるお便所は、よる怖くて、仕方ない。同級生には内緒だが、寝る前にお便所いくときは、母ちゃんについていってもらうんだ。

街灯だって、ほとんどない。真っ暗な夜に、外に出るなんて、恐ろしい。。。。

恐ろしいはずなのに、三郎の両親と祖父母は、子どもたちが眠ったあとで、毎晩出掛けていく。

三郎はあまり寝付きがよくないので、実はみんなが出掛けていくのを知っていた。

こんな夜中に何処へいってるんだろう。

まさか、泥棒とか。。。

ある日、こっそり、つけていくことにした。

四人は、なにも話さず、学校のほうへ向かっていく。
(学校?学校で、へんな集会でもあるのか)

門もなにもない裏口から、入っていき、できたばかりの体育館のほうへ歩いていく。

そして、

四人は、体育館のそとに並んだお便所にそれぞれはいっていった。

水洗ではないので、流水音がすることはない。

(集会前に、用足しかな?)


ところが、
四人はそれぞれ、用を足すと 顔を見合せ、そのまま、家に戻っていくではないか。

(え?え?ま、まさか 、、、、)

なんということだろう。

けちけち一家の大人たちは、バキュームカーのチケット代金をけちって、夜毎、学校まで、用足しに来ていたのだ。

三郎は、ほっとした。

だって、こういうのって、取ったんじゃなくて、置いてきたから、泥棒とはいわないんじゃないかな。

うん。大丈夫! うちの家族は泥棒じゃなかった!

安心して眠りについた。

もちろん、不法侵入だったり、ほかにももろもろ、犯罪なのだが、小学生の三郎には 難しいことは わかんないからね。

めでたしめでたし。。。なのかなあ?












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感想 1

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みんなの感想(1件)

堅他不願@お江戸あやかし賞受賞

 落語のしわい屋さながらのお話ですね。私は昭和47年(西暦1972年)生まれですが、粉ジュースやハエ取り紙は幼少期には普通にありました。その反面、二槽式の電気洗濯機が最初から使われていました。
 その意味でも懐かしいお話でした。

2019.05.24 トマト

ありがとうございます。
粉ジュースおいしいですよね。

殺虫剤を使いたくないとき、はえとり紙あったらいいなあと思います。

解除

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