30 / 41
第30話:ダラク精鋭部隊
しおりを挟む
家出したボクは都市国家ダラクで、憧れの冒険者のなることが出来た。
だがある朝、突然、皆既日食に似た奇妙な現象が起きる。
強大な魔物が、ダラクの街を向かってくるのだ。
◇
ボクの到着した北の城壁広場には、圧巻の光景が広がっていた。
ダラクの精鋭部隊が集結していたのだ。
ダラク軍の主力である各騎士団と、ハンスさん率いる守備兵士団。
教会の神聖戦士団と宮廷魔術隊、ギルドの冒険者たち。
接近してくる強大な魔物を、迎え撃つために全勢力が集結してきたのだ。
「す、凄いな……あっ、そうだ。ボクも急いで向かわないと」
屋根の上から地面に着地。
冒険者ギルドの集合場所に、歩いて向かう。
緊張感のある広場の中を、進んでいく。
そんな時、一人の騎士に声をかけられる。
「ハリト、キミも来てくれたのか⁉」
「あっ、ハンスさん。はい。微力ながらお手伝いに来ました」
声をかけてきたのは、街の守備隊長である騎士ハンスさん。
背後に多くの守備兵団を従えている。
「なにを言っている、ハリト君! キミこそが今回の戦いのキーマン。魔物の接近の報告は、最初は眉唾だったが、ハリトの探知だと聞いて、私もすぐに動いたのだ!」
「そうだったんですね。ありがとうございます!」
ハンスさんは初対面の時、かなりボクに対して辛辣《しんらつ》だった。
でも一緒に《満月の襲撃》を乗り切ってから、対応がすごく親身になってくれた。
その後も街の城壁の修理にも、気軽に応じてくれて理解も深い。
とても有りがたい存在だ。
「街の守備と、住民のことは、私たち守備隊に任せてくれ。だからハリトは思い切り頼むぞ!」
「はい、頑張ります!」
ハンスさんから熱い激を貰い、オレは先に進んでいく。
さて、ギルドメンバーはどこにいるのかな?
そんな時、また声をかけてくる人がいた。
「ん? ハリト殿か?」
「あっ、カテランさん、こんにちです!」
声をかけてきたのは宮廷魔術隊の隊長カテランさん。
クルシュ姫の治療の時にいた男性だ。
「今日もハリト殿、頼みますぞ!」
「微力ながらお手伝いします!」
カテランさんたち宮廷魔術隊の人には、賊を探す時に少し手伝ってもらった。
お蔭で親しくなっていたのだ。
みんなに挨拶をして先に進んでいく。
そんな時、また声をかけてくる人がいた。
「ハリト殿! よくぞ来てくれた!」
「あっ、バラストさん。こちらこそ、ありがとうございます!」
次は近衛騎士団長のバラストさんだ。
背後に完全武装の近衛騎士団を従えている。
「あの謁見の間でのハリト殿の言葉、私も深く感銘を受けましたぞ!」
「いやー、ありがとうございます。緊急だったとはいえ、今では反省しています」
先ほどの謁見の間では、ボクは先走っていた。
強引に忍び込んで、強引に王様に進言。
かなり危険が行動で今。思い出しても冷や汗が出てくる。
「あれ? でもバラストさんたちは、ここに来ても大丈夫なのですか?」
ふと疑問が浮かぶ。
近衛騎士団は精鋭で頼もしいが、王様の側を離れない存在。
こんな最前線に来ても大丈夫なのかな?
そんな時、更に声をかけてくる人がいた。
「もちろん、大丈夫だぞ、自由冒険者ハリトよ」
「あっ⁉ 陛下⁉ もしかして陛下も、魔物と戦うんですか⁉」
やってきたのは王様。
いつもとは違い完全武装。
全身から覇気を放っている。
「ああ、そうだ。自国の危機に、城の中に隠れている者は、王ではない。それに、こう見えて若い頃は、武で道を切り開いてきたからな」
「なるほど……そうだったんですね。有りがたいです!」
王様は確かに強そう。
初老だが全身から、強い覇気を放っている。
しかも王様がいることによって、騎士と兵士団の士気が高い。
誰も魔物に怯えている者がいないのだ。
「ハリトよ、感謝している」
「えっ⁉ ど、どうしたんですか、陛下⁉ そんな、ボクは何もしていないですよ!」
「相変わらず謙虚だな、お主は。それなら、この戦が終わった後に、ゆっくりと話をしようではないか。ワシとお前の二人きりで?」
「あっはっはは……ありがとうございます。失礼します!」
なんか凄いことを言われてしまう。
気まずいので、笑って立ち去る。
ふう……緊張したな。
まさか王様まで出陣して、声をかけられるとは。
さて、ギルドメンバーを探していくか。
そんな時、また声をかけてくる人がいた。
今度は女性だ。
「あっ⁉ ハリト様⁉ 探しましたわよ!」
「あっ……ララエルさん? えっ、あなたも討伐隊に?」
次に声をかけてきたのは、金髪縦ロールな女神官ララエルさん。
今日は神官戦士として武装している。
「ええ、もちろんですわ! この街の危機を救うのは、偉大なる祖母【大聖女】の孫娘として、当たり前のことですわ! オッホホホ……」
「そうですか……頼りにしています」
レイチェルさんは色々とキャラが濃いが、聖魔法の使い手としてはレベルが高い。
魔物相手だと、かなりの心強いサポートだ。
「それにハリト様が、必ずここに来ると信じていました! まさに運命ですわね!」
「あ、ありがとうございます……あ! そろそろ行くね!」
話が長くなりそうなので、走って逃げだす。
ふう……悪い人じゃないけど、色々と大変なんだよな。
でも街のために危険に冒して、助けに来てくれたのは有りがたい。
心の中で感謝して移動する。
そして更に声をかけてくる女性がいた。
「ハリト君!」
「マリア? えっ、キミも来ていたの⁉」
声をかけてきたのは、同居人の女神官マリア。
彼女も神官戦士として武装している。
「はい、街の危機と聞いて、名乗り出ました」
「そっか……ありがとう、マリア」
「あと、今回の騒動は、たぶんハリト君が裏で糸を操っていると思いましたので、同居人として責任を取るためにです」
「あっはっはは……なるほど」
たしかに今回の大集結。
ここまで大騒動になったのは、ボクにも少しは原因がある。
否定はできない。
「でも頼りにしています、ハリト君。こう言っては何ですが、私たちのことを……街のことを守ってください」
「うん、そうだね。ボクも全力を尽くすよ!」
マリアの言葉が有りがたい。
街の人たちを守る……凄く胸が熱くなる言葉だ。
よし、全力で頑張ろう!
「あっ、でもハリト君は“全力”は気をつけてくださいよ。この街を逆に、消滅させてしまいそうな気がします」
「あっはっはは……気を付けるね」
たしかに未熟なボクは、攻撃力の失敗が多い。
もう少しマリアと話をしていたいが、今は時間がない。
先に進んでいく。
でも今は【完全探知】を常時発動中。
彼女の場所と状態は、常に確認が可能だ。
何かあったら助けに向かう。
よし、時間が迫ってきた。
早くメンバーに合流しないと。
あっ、いた!
冒険者ギルドのメンバーだ。
北の城壁の上に、早くも陣取っている。
ボクは城壁を駆け上がっていく。
「皆さん、お待たせしました!」
ギルドメンバーに声をかける。
全員から「遅いぞ、ハリト!」とヤジを飛ばされる。
でも誰もが温かく歓迎してくれた。
「おう、ハリト。ようやく来たか」
「あっ、ゼオンさん。遅くなりました。色んな人に捕まってちゃって……」
「そうだな。ここから見ていたぞ。それにしても、よくぞ陛下たちを説得してくれたな。感謝する」
「いえ、ボクはたいしたことはしていません。事情を離したら、王様がすぐに理解してくれたんです。【完全探知】のことも知っていたみたいで」
「ああ。やっぱり、そうか。でも本当にお前のお蔭で、こんなにダラクの精鋭部隊が集結できたんだな。見てみろ、すごい光景だろ?」
「はい……凄いですよね。胸がドキドキします」
城壁の上からの光景は、まさに圧巻。
騎士と兵士、宮廷魔術、神官戦士と冒険者。
職種を超えて、多くの人たちが集結していた。
彼に共通しているのは、一つの想い。
――――愛するこのダラクの街を必ず守る、という想いだ。
「この光景を作ったのは、お前なんだぜ、ハリト?」
「えっ? ボクがですか? まさか……」
「いや、間違いない。お前が来てから、ダラクの街は……いや、ダラクの国は大きく変わってきた。そして、これからもな」
「そんな……でも、そうなれるように、これからも頑張っていきます!」
ゼオンさんの言葉の意味は、まだ半分くらいしか分からない。
でも想いは伝わっていた。
もう少し一人前になったら、ボクにも全てが分かりのだろう。
――――そんな時、下から歓声が上がる。
王様が……完全武装のダラク国王が、挨拶を始めたのだ。
「ここに集まった勇敢な者たちよ! もうすぐ強大な魔物が、この街に押し寄せてくる! だが決して怯んではならぬ! 何故なら我々の背後には、大事な者たちがいるからだ!」
王様の声は、広場に響いていた。
終結した全て者たちが注目して、視線を向けている。
「そして我々は、この戦いに必ず勝利する! 何故ならこのダラクは、初代勇者を迎え、武によって支えてきた栄光の地! 今日の戦いで、また伝説を作るのだ、皆の者よ!」
「「「おぉおおお!」」」
王様の激に反応して、広場に大歓声が湧きあがる。
誰もが武器を天に掲げて、咆哮していた。
凄まじい気迫と、士気の高さ。
これならどんな魔物が来ても怖くない。
――――そう思っていた時だった。
見張り台の兵が、声を上げる。
「魔物、発見! 北の空より接近してきます!」
ついに目視できる距離まで、魔物が近づいてきたのだ。
広場は臨戦態勢に入る。
ダラク国王も確認のために、城壁の上に上がってきた。
「む、あれか……」
王様は目を細めて、魔物を見つめる。
まだ距離があるが、確実にこちらに近づいてきていた。
そして隣にいるゼオンさんに、声をかける。
「ゼオンよ、あれはもしや?」
「はい、陛下。“北の覇者”かと」
「やはり、そうか。嫌な予感が当たってしまったか」
二人は魔物のことを、知っているようだ。
段々と輪郭が見えてきたのは、飛行系の魔物だ。
いったい何なのだろうか、あの魔物は?
「ゼオンさん、あれを知っているんですか?」
「そうだな。このダラク市民なら、嫌というほど知っている相手……あれはダラク北地方を総べる魔物“北の覇者”アバロン……“古代竜”の一体だ」
「えっ……“古代竜”⁉」
まさかの魔物だった。
こうして最強の魔物“古代竜”との戦いが、幕を開けるのであった。
だがある朝、突然、皆既日食に似た奇妙な現象が起きる。
強大な魔物が、ダラクの街を向かってくるのだ。
◇
ボクの到着した北の城壁広場には、圧巻の光景が広がっていた。
ダラクの精鋭部隊が集結していたのだ。
ダラク軍の主力である各騎士団と、ハンスさん率いる守備兵士団。
教会の神聖戦士団と宮廷魔術隊、ギルドの冒険者たち。
接近してくる強大な魔物を、迎え撃つために全勢力が集結してきたのだ。
「す、凄いな……あっ、そうだ。ボクも急いで向かわないと」
屋根の上から地面に着地。
冒険者ギルドの集合場所に、歩いて向かう。
緊張感のある広場の中を、進んでいく。
そんな時、一人の騎士に声をかけられる。
「ハリト、キミも来てくれたのか⁉」
「あっ、ハンスさん。はい。微力ながらお手伝いに来ました」
声をかけてきたのは、街の守備隊長である騎士ハンスさん。
背後に多くの守備兵団を従えている。
「なにを言っている、ハリト君! キミこそが今回の戦いのキーマン。魔物の接近の報告は、最初は眉唾だったが、ハリトの探知だと聞いて、私もすぐに動いたのだ!」
「そうだったんですね。ありがとうございます!」
ハンスさんは初対面の時、かなりボクに対して辛辣《しんらつ》だった。
でも一緒に《満月の襲撃》を乗り切ってから、対応がすごく親身になってくれた。
その後も街の城壁の修理にも、気軽に応じてくれて理解も深い。
とても有りがたい存在だ。
「街の守備と、住民のことは、私たち守備隊に任せてくれ。だからハリトは思い切り頼むぞ!」
「はい、頑張ります!」
ハンスさんから熱い激を貰い、オレは先に進んでいく。
さて、ギルドメンバーはどこにいるのかな?
そんな時、また声をかけてくる人がいた。
「ん? ハリト殿か?」
「あっ、カテランさん、こんにちです!」
声をかけてきたのは宮廷魔術隊の隊長カテランさん。
クルシュ姫の治療の時にいた男性だ。
「今日もハリト殿、頼みますぞ!」
「微力ながらお手伝いします!」
カテランさんたち宮廷魔術隊の人には、賊を探す時に少し手伝ってもらった。
お蔭で親しくなっていたのだ。
みんなに挨拶をして先に進んでいく。
そんな時、また声をかけてくる人がいた。
「ハリト殿! よくぞ来てくれた!」
「あっ、バラストさん。こちらこそ、ありがとうございます!」
次は近衛騎士団長のバラストさんだ。
背後に完全武装の近衛騎士団を従えている。
「あの謁見の間でのハリト殿の言葉、私も深く感銘を受けましたぞ!」
「いやー、ありがとうございます。緊急だったとはいえ、今では反省しています」
先ほどの謁見の間では、ボクは先走っていた。
強引に忍び込んで、強引に王様に進言。
かなり危険が行動で今。思い出しても冷や汗が出てくる。
「あれ? でもバラストさんたちは、ここに来ても大丈夫なのですか?」
ふと疑問が浮かぶ。
近衛騎士団は精鋭で頼もしいが、王様の側を離れない存在。
こんな最前線に来ても大丈夫なのかな?
そんな時、更に声をかけてくる人がいた。
「もちろん、大丈夫だぞ、自由冒険者ハリトよ」
「あっ⁉ 陛下⁉ もしかして陛下も、魔物と戦うんですか⁉」
やってきたのは王様。
いつもとは違い完全武装。
全身から覇気を放っている。
「ああ、そうだ。自国の危機に、城の中に隠れている者は、王ではない。それに、こう見えて若い頃は、武で道を切り開いてきたからな」
「なるほど……そうだったんですね。有りがたいです!」
王様は確かに強そう。
初老だが全身から、強い覇気を放っている。
しかも王様がいることによって、騎士と兵士団の士気が高い。
誰も魔物に怯えている者がいないのだ。
「ハリトよ、感謝している」
「えっ⁉ ど、どうしたんですか、陛下⁉ そんな、ボクは何もしていないですよ!」
「相変わらず謙虚だな、お主は。それなら、この戦が終わった後に、ゆっくりと話をしようではないか。ワシとお前の二人きりで?」
「あっはっはは……ありがとうございます。失礼します!」
なんか凄いことを言われてしまう。
気まずいので、笑って立ち去る。
ふう……緊張したな。
まさか王様まで出陣して、声をかけられるとは。
さて、ギルドメンバーを探していくか。
そんな時、また声をかけてくる人がいた。
今度は女性だ。
「あっ⁉ ハリト様⁉ 探しましたわよ!」
「あっ……ララエルさん? えっ、あなたも討伐隊に?」
次に声をかけてきたのは、金髪縦ロールな女神官ララエルさん。
今日は神官戦士として武装している。
「ええ、もちろんですわ! この街の危機を救うのは、偉大なる祖母【大聖女】の孫娘として、当たり前のことですわ! オッホホホ……」
「そうですか……頼りにしています」
レイチェルさんは色々とキャラが濃いが、聖魔法の使い手としてはレベルが高い。
魔物相手だと、かなりの心強いサポートだ。
「それにハリト様が、必ずここに来ると信じていました! まさに運命ですわね!」
「あ、ありがとうございます……あ! そろそろ行くね!」
話が長くなりそうなので、走って逃げだす。
ふう……悪い人じゃないけど、色々と大変なんだよな。
でも街のために危険に冒して、助けに来てくれたのは有りがたい。
心の中で感謝して移動する。
そして更に声をかけてくる女性がいた。
「ハリト君!」
「マリア? えっ、キミも来ていたの⁉」
声をかけてきたのは、同居人の女神官マリア。
彼女も神官戦士として武装している。
「はい、街の危機と聞いて、名乗り出ました」
「そっか……ありがとう、マリア」
「あと、今回の騒動は、たぶんハリト君が裏で糸を操っていると思いましたので、同居人として責任を取るためにです」
「あっはっはは……なるほど」
たしかに今回の大集結。
ここまで大騒動になったのは、ボクにも少しは原因がある。
否定はできない。
「でも頼りにしています、ハリト君。こう言っては何ですが、私たちのことを……街のことを守ってください」
「うん、そうだね。ボクも全力を尽くすよ!」
マリアの言葉が有りがたい。
街の人たちを守る……凄く胸が熱くなる言葉だ。
よし、全力で頑張ろう!
「あっ、でもハリト君は“全力”は気をつけてくださいよ。この街を逆に、消滅させてしまいそうな気がします」
「あっはっはは……気を付けるね」
たしかに未熟なボクは、攻撃力の失敗が多い。
もう少しマリアと話をしていたいが、今は時間がない。
先に進んでいく。
でも今は【完全探知】を常時発動中。
彼女の場所と状態は、常に確認が可能だ。
何かあったら助けに向かう。
よし、時間が迫ってきた。
早くメンバーに合流しないと。
あっ、いた!
冒険者ギルドのメンバーだ。
北の城壁の上に、早くも陣取っている。
ボクは城壁を駆け上がっていく。
「皆さん、お待たせしました!」
ギルドメンバーに声をかける。
全員から「遅いぞ、ハリト!」とヤジを飛ばされる。
でも誰もが温かく歓迎してくれた。
「おう、ハリト。ようやく来たか」
「あっ、ゼオンさん。遅くなりました。色んな人に捕まってちゃって……」
「そうだな。ここから見ていたぞ。それにしても、よくぞ陛下たちを説得してくれたな。感謝する」
「いえ、ボクはたいしたことはしていません。事情を離したら、王様がすぐに理解してくれたんです。【完全探知】のことも知っていたみたいで」
「ああ。やっぱり、そうか。でも本当にお前のお蔭で、こんなにダラクの精鋭部隊が集結できたんだな。見てみろ、すごい光景だろ?」
「はい……凄いですよね。胸がドキドキします」
城壁の上からの光景は、まさに圧巻。
騎士と兵士、宮廷魔術、神官戦士と冒険者。
職種を超えて、多くの人たちが集結していた。
彼に共通しているのは、一つの想い。
――――愛するこのダラクの街を必ず守る、という想いだ。
「この光景を作ったのは、お前なんだぜ、ハリト?」
「えっ? ボクがですか? まさか……」
「いや、間違いない。お前が来てから、ダラクの街は……いや、ダラクの国は大きく変わってきた。そして、これからもな」
「そんな……でも、そうなれるように、これからも頑張っていきます!」
ゼオンさんの言葉の意味は、まだ半分くらいしか分からない。
でも想いは伝わっていた。
もう少し一人前になったら、ボクにも全てが分かりのだろう。
――――そんな時、下から歓声が上がる。
王様が……完全武装のダラク国王が、挨拶を始めたのだ。
「ここに集まった勇敢な者たちよ! もうすぐ強大な魔物が、この街に押し寄せてくる! だが決して怯んではならぬ! 何故なら我々の背後には、大事な者たちがいるからだ!」
王様の声は、広場に響いていた。
終結した全て者たちが注目して、視線を向けている。
「そして我々は、この戦いに必ず勝利する! 何故ならこのダラクは、初代勇者を迎え、武によって支えてきた栄光の地! 今日の戦いで、また伝説を作るのだ、皆の者よ!」
「「「おぉおおお!」」」
王様の激に反応して、広場に大歓声が湧きあがる。
誰もが武器を天に掲げて、咆哮していた。
凄まじい気迫と、士気の高さ。
これならどんな魔物が来ても怖くない。
――――そう思っていた時だった。
見張り台の兵が、声を上げる。
「魔物、発見! 北の空より接近してきます!」
ついに目視できる距離まで、魔物が近づいてきたのだ。
広場は臨戦態勢に入る。
ダラク国王も確認のために、城壁の上に上がってきた。
「む、あれか……」
王様は目を細めて、魔物を見つめる。
まだ距離があるが、確実にこちらに近づいてきていた。
そして隣にいるゼオンさんに、声をかける。
「ゼオンよ、あれはもしや?」
「はい、陛下。“北の覇者”かと」
「やはり、そうか。嫌な予感が当たってしまったか」
二人は魔物のことを、知っているようだ。
段々と輪郭が見えてきたのは、飛行系の魔物だ。
いったい何なのだろうか、あの魔物は?
「ゼオンさん、あれを知っているんですか?」
「そうだな。このダラク市民なら、嫌というほど知っている相手……あれはダラク北地方を総べる魔物“北の覇者”アバロン……“古代竜”の一体だ」
「えっ……“古代竜”⁉」
まさかの魔物だった。
こうして最強の魔物“古代竜”との戦いが、幕を開けるのであった。
89
あなたにおすすめの小説
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~
名無し
ファンタジー
突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。
自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。
もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。
だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。
グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。
人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います
長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。
しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。
途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。
しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。
「ミストルティン。アブソープション!」
『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』
「やった! これでまた便利になるな」
これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。
~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる