家族に無能と追放された冒険者、実は街に出たら【万能チート】すぎた、理由は家族がチート集団だったから

ハーーナ殿下

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第30話:ダラク精鋭部隊

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家出したボクは都市国家ダラクで、憧れの冒険者のなることが出来た。
だがある朝、突然、皆既日食に似た奇妙な現象が起きる。
強大な魔物が、ダラクの街を向かってくるのだ。



ボクの到着した北の城壁広場には、圧巻の光景が広がっていた。
ダラクの精鋭部隊が集結していたのだ。

ダラク軍の主力である各騎士団と、ハンスさん率いる守備兵士団。

教会の神聖戦士団と宮廷魔術隊、ギルドの冒険者たち。

接近してくる強大な魔物を、迎え撃つために全勢力が集結してきたのだ。

「す、凄いな……あっ、そうだ。ボクも急いで向かわないと」

屋根の上から地面に着地。
冒険者ギルドの集合場所に、歩いて向かう。

緊張感のある広場の中を、進んでいく。

そんな時、一人の騎士に声をかけられる。

「ハリト、キミも来てくれたのか⁉」

「あっ、ハンスさん。はい。微力ながらお手伝いに来ました」

声をかけてきたのは、街の守備隊長である騎士ハンスさん。
背後に多くの守備兵団を従えている。

「なにを言っている、ハリト君! キミこそが今回の戦いのキーマン。魔物の接近の報告は、最初は眉唾まゆつばだったが、ハリトの探知だと聞いて、私もすぐに動いたのだ!」

「そうだったんですね。ありがとうございます!」

ハンスさんは初対面の時、かなりボクに対して辛辣《しんらつ》だった。
でも一緒に《満月の襲撃》を乗り切ってから、対応がすごく親身になってくれた。

その後も街の城壁の修理にも、気軽に応じてくれて理解も深い。
とても有りがたい存在だ。

「街の守備と、住民のことは、私たち守備隊に任せてくれ。だからハリトは思い切り頼むぞ!」

「はい、頑張ります!」

ハンスさんから熱い激を貰い、オレは先に進んでいく。
さて、ギルドメンバーはどこにいるのかな?

そんな時、また声をかけてくる人がいた。

「ん? ハリト殿か?」

「あっ、カテランさん、こんにちです!」

声をかけてきたのは宮廷魔術隊の隊長カテランさん。
クルシュ姫の治療の時にいた男性だ。

「今日もハリト殿、頼みますぞ!」

「微力ながらお手伝いします!」

カテランさんたち宮廷魔術隊の人には、賊を探す時に少し手伝ってもらった。
お蔭で親しくなっていたのだ。
みんなに挨拶をして先に進んでいく。

そんな時、また声をかけてくる人がいた。

「ハリト殿! よくぞ来てくれた!」

「あっ、バラストさん。こちらこそ、ありがとうございます!」

次は近衛騎士団長のバラストさんだ。
背後に完全武装の近衛騎士団を従えている。

「あの謁見の間でのハリト殿の言葉、私も深く感銘を受けましたぞ!」

「いやー、ありがとうございます。緊急だったとはいえ、今では反省しています」

先ほどの謁見の間では、ボクは先走っていた。
強引に忍び込んで、強引に王様に進言。
かなり危険が行動で今。思い出しても冷や汗が出てくる。

「あれ? でもバラストさんたちは、ここに来ても大丈夫なのですか?」

ふと疑問が浮かぶ。
近衛騎士団は精鋭で頼もしいが、王様の側を離れない存在。
こんな最前線に来ても大丈夫なのかな?

そんな時、更に声をかけてくる人がいた。

「もちろん、大丈夫だぞ、自由冒険者ハリトよ」

「あっ⁉ 陛下⁉ もしかして陛下も、魔物と戦うんですか⁉」

やってきたのは王様。
いつもとは違い完全武装。
全身から覇気を放っている。

「ああ、そうだ。自国の危機に、城の中に隠れている者は、王ではない。それに、こう見えて若い頃は、武で道を切り開いてきたからな」

「なるほど……そうだったんですね。有りがたいです!」

王様は確かに強そう。
初老だが全身から、強い覇気を放っている。

しかも王様がいることによって、騎士と兵士団の士気が高い。
誰も魔物に怯えている者がいないのだ。

「ハリトよ、感謝している」

「えっ⁉ ど、どうしたんですか、陛下⁉ そんな、ボクは何もしていないですよ!」

「相変わらず謙虚だな、お主は。それなら、この戦が終わった後に、ゆっくりと話をしようではないか。ワシとお前の二人きりで?」

「あっはっはは……ありがとうございます。失礼します!」

なんか凄いことを言われてしまう。
気まずいので、笑って立ち去る。

ふう……緊張したな。
まさか王様まで出陣して、声をかけられるとは。

さて、ギルドメンバーを探していくか。

そんな時、また声をかけてくる人がいた。
今度は女性だ。

「あっ⁉ ハリト様⁉ 探しましたわよ!」

「あっ……ララエルさん? えっ、あなたも討伐隊に?」

次に声をかけてきたのは、金髪縦ロールな女神官ララエルさん。
今日は神官戦士として武装している。

「ええ、もちろんですわ! この街の危機を救うのは、偉大なる祖母【大聖女】の孫娘として、当たり前のことですわ! オッホホホ……」

「そうですか……頼りにしています」

レイチェルさんは色々とキャラが濃いが、聖魔法の使い手としてはレベルが高い。
魔物相手だと、かなりの心強いサポートだ。

「それにハリト様が、必ずここに来ると信じていました! まさに運命ですわね!」

「あ、ありがとうございます……あ! そろそろ行くね!」

話が長くなりそうなので、走って逃げだす。

ふう……悪い人じゃないけど、色々と大変なんだよな。

でも街のために危険に冒して、助けに来てくれたのは有りがたい。
心の中で感謝して移動する。

そして更に声をかけてくる女性がいた。

「ハリト君!」

「マリア? えっ、キミも来ていたの⁉」

声をかけてきたのは、同居人の女神官マリア。
彼女も神官戦士として武装している。

「はい、街の危機と聞いて、名乗り出ました」

「そっか……ありがとう、マリア」

「あと、今回の騒動は、たぶんハリト君が裏で糸を操っていると思いましたので、同居人として責任を取るためにです」

「あっはっはは……なるほど」

たしかに今回の大集結。
ここまで大騒動になったのは、ボクにも少しは原因がある。
否定はできない。

「でも頼りにしています、ハリト君。こう言っては何ですが、私たちのことを……街のことを守ってください」

「うん、そうだね。ボクも全力を尽くすよ!」

マリアの言葉が有りがたい。
街の人たちを守る……凄く胸が熱くなる言葉だ。
よし、全力で頑張ろう!

「あっ、でもハリト君は“全力”は気をつけてくださいよ。この街を逆に、消滅させてしまいそうな気がします」

「あっはっはは……気を付けるね」

たしかに未熟なボクは、攻撃力の失敗が多い。
もう少しマリアと話をしていたいが、今は時間がない。
先に進んでいく。

でも今は【完全探知エクス・スキャン】を常時発動中。
彼女の場所と状態は、常に確認が可能だ。
何かあったら助けに向かう。

よし、時間が迫ってきた。
早くメンバーに合流しないと。

あっ、いた!
冒険者ギルドのメンバーだ。
北の城壁の上に、早くも陣取っている。

ボクは城壁を駆け上がっていく。

「皆さん、お待たせしました!」

ギルドメンバーに声をかける。
全員から「遅いぞ、ハリト!」とヤジを飛ばされる。
でも誰もが温かく歓迎してくれた。

「おう、ハリト。ようやく来たか」

「あっ、ゼオンさん。遅くなりました。色んな人に捕まってちゃって……」

「そうだな。ここから見ていたぞ。それにしても、よくぞ陛下たちを説得してくれたな。感謝する」

「いえ、ボクはたいしたことはしていません。事情を離したら、王様がすぐに理解してくれたんです。【完全探知エクス・スキャン】のことも知っていたみたいで」

「ああ。やっぱり、そうか。でも本当にお前のお蔭で、こんなにダラクの精鋭部隊が集結できたんだな。見てみろ、すごい光景だろ?」

「はい……凄いですよね。胸がドキドキします」

城壁の上からの光景は、まさに圧巻。
騎士と兵士、宮廷魔術、神官戦士と冒険者。
職種を超えて、多くの人たちが集結していた。

彼に共通しているのは、一つの想い。

――――愛するこのダラクの街を必ず守る、という想いだ。

「この光景を作ったのは、お前なんだぜ、ハリト?」

「えっ? ボクがですか? まさか……」

「いや、間違いない。お前が来てから、ダラクの街は……いや、ダラクの国は大きく変わってきた。そして、これからもな」

「そんな……でも、そうなれるように、これからも頑張っていきます!」

ゼオンさんの言葉の意味は、まだ半分くらいしか分からない。
でも想いは伝わっていた。

もう少し一人前になったら、ボクにも全てが分かりのだろう。

――――そんな時、下から歓声が上がる。

王様が……完全武装のダラク国王が、挨拶を始めたのだ。

「ここに集まった勇敢な者たちよ! もうすぐ強大な魔物が、この街に押し寄せてくる! だが決して怯んではならぬ! 何故なら我々の背後には、大事な者たちがいるからだ!」

王様の声は、広場に響いていた。
終結した全て者たちが注目して、視線を向けている。

「そして我々は、この戦いに必ず勝利する! 何故ならこのダラクは、初代勇者を迎え、武によって支えてきた栄光の地! 今日の戦いで、また伝説を作るのだ、皆の者よ!」

「「「おぉおおお!」」」

王様の激に反応して、広場に大歓声が湧きあがる。
誰もが武器を天に掲げて、咆哮していた。

凄まじい気迫と、士気の高さ。
これならどんな魔物が来ても怖くない。

――――そう思っていた時だった。

見張り台の兵が、声を上げる。

「魔物、発見! 北の空より接近してきます!」

ついに目視できる距離まで、魔物が近づいてきたのだ。

広場は臨戦態勢に入る。
ダラク国王も確認のために、城壁の上に上がってきた。

「む、あれか……」

王様は目を細めて、魔物を見つめる。
まだ距離があるが、確実にこちらに近づいてきていた。

そして隣にいるゼオンさんに、声をかける。

「ゼオンよ、あれはもしや?」

「はい、陛下。“北の覇者”かと」

「やはり、そうか。嫌な予感が当たってしまったか」

二人は魔物のことを、知っているようだ。
段々と輪郭が見えてきたのは、飛行系の魔物だ。

いったい何なのだろうか、あの魔物は?

「ゼオンさん、あれを知っているんですか?」

「そうだな。このダラク市民なら、嫌というほど知っている相手……あれはダラク北地方を総べる魔物“北の覇者”アバロン……“古代竜エンシェント・ドラゴン”の一体だ」

「えっ……“古代竜エンシェント・ドラゴン”⁉」

まさかの魔物だった。

こうして最強の魔物“古代竜エンシェント・ドラゴン”との戦いが、幕を開けるのであった。
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