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第74話:調査開始
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現ミカエル国王のヒニクンを調査するため、王城の地下の鉱脈に潜入。
怪しげな神殿風の建造物を調査する。
超魔具《対環境服》のお蔭で、野外活動も可能になった。
ボクたち四人は“ハルク式荷馬車・参式”から降りて、怪しげな建造物の調査をしていく。
「うーん、これは石のように見えて、石じゃないな。原材料は何だろう?」
調査しながらボクは思わず首を傾げる。建造物は石のような固いモノで建てられていた。だが、今まで見たこともない材料なのだ。
「というか、どこから持ってきたのかな? こんなに沢山の建材は?」
ボクが以前に見た時には、ここは採掘後の空洞だった。だが久しぶりに来た今は、怪しげな建造物が出現していたのだ。
いったい誰がこんなものを建てたのだろうか? その目的はいったい何だろう?
「ふむ、ハルクよ。こいつは“召喚石”の一種じゃ」
そんな時、一緒に調査をしていたドルトンさんが、声をあげる。建材に心当たりがあるみたいだ。
「“召喚石”……ですか? それはいったい?」
「土系の魔法で召喚できる建材の一瞬じゃ。何もない空間に、魔法で任意の形の“召喚石”を出現させるのじゃ。この分野の話なら、サラ嬢ちゃんの方が詳しいだろう?」
サラは見習いだが、知識は豊富な魔術師。ドルトンさんが話をふる。
「えっ、はい、一応は知っています。ドルトンさんの指摘の通りに、これは“召喚石”だと思います。凄い魔法使いだと、一日で石の家を建ててしまうことも可能だといいます。ただ、お婆ちゃんの使う土魔法とは、これは少し種類が違うような気がしますが」
「へー、そんな魔法があるんだね。ボクも使えたら、採掘に便利だったのに」
二人の説明を聞きながら、思わずうなってしなう。
一介の鍛冶師でしかないボクは、魔法の知識は皆無。初めて耳にする土魔法の利便性に、思わず感心してしまうのだ。
「ふん、何を言っておるのじゃ。こんな広大なミスリル鉱脈を、たった一人で発掘できるオヌシの方が、魔法使いの何倍も凄いことなのじゃぞ」
「はっはっは……そうなんですね。でも、お蔭で、これを建てた人は、なんとなくイメージが湧いてきましたね」
この建造物を作ったのは、魔法使い系の人。目的は分からなけど、情報は少しずつ見えてきた。
「あと、ハルク。これを作ったヤツは“普通”じゃないわよ」
「えっ、どういうこと、エルザ?」
一緒に調査をしていた赤髪の女剣士エルザが、神妙な顔で意味深なことを言ってきた。どういう意味だろう。
「普通の奴はこの悪環境で、長時間作業して、こんな建造物を作れない、という意味よ」
「えっ、普通はそうなの⁉ ボクは普通に作業できるけど……」
「あんたみたいに、《対環境服》も無しに、涼しげな顔でこの悪環境を歩けるのは、普通じゃないのよ! まったく、どういう身体の作りをしているのかしら」
「あっ、そういう意味か。あっはっはっは……慣れ、かな?」
ボクは五歳の時から、この鉱脈の中で作業をしてきた。そのため濃い魔素や強い重力にも慣れてきたのだろう。
「何を言っているのよ。たとえ幼少期を過ごしても、普通はこんな場所に慣れることなんてないのよ⁉」
「えっ、そうだったの? 知らなくてごめんね」
「ふう……謝らなくてもいいわ。アンタが普通じゃないのは、最初の時から何となく気が付いていたから。はぁ……わたしも一応は最年少で《剣聖》の称号を得た自負はあったんだけど、ハルクを前にしたら凡人に思えてきたわ」
何やらエルザは複雑な顔をしていた。でも最後には諦めた顔で、かなりスッキリしている。
そんな話に調査しながらサラが混じってくる。
「ということは、これを建てた人は、“ハルク君並に凄くて危険な人”っていうことですか?」
「その可能性もあるわね、サラ。でも、この遺跡のデザイン的に、私はもう一つの可能性が高いと思うわ……」
サラの質問に、神妙な顔でエルザは意味深に答えてきた。
「“もう一つの可能性”ですか、エルザさん?」
「ええ、そうよ。ん? これは……どうやら、もう一つの可能性の方が当たったようね!」
その時であった。エルザは腰の剣を抜いて、周囲に向ける。
ガッガガガ……
直後、建造物の下から何かが浮かび上がる。
人影のようだが、明らかに人よりも大きい。羽が生えた人型の何かだ。
しかも全部で十体以上はいる。
「エルザ、こいつらは⁉」
「こいつらは“魔族人形”……“闇系の魔法の使い”が生み出す眷属よ」
「闇系の魔法の使い手? それって、もしかして」
「ええ、そうよ。こんな濃い魔素の中でも動ける、もう一つの連中は、“魔族に関係”がある奴らよ」
ガッガガガ……
こうしてボクたちは“魔族人形”に完全に包囲されてしまうのであった。
怪しげな神殿風の建造物を調査する。
超魔具《対環境服》のお蔭で、野外活動も可能になった。
ボクたち四人は“ハルク式荷馬車・参式”から降りて、怪しげな建造物の調査をしていく。
「うーん、これは石のように見えて、石じゃないな。原材料は何だろう?」
調査しながらボクは思わず首を傾げる。建造物は石のような固いモノで建てられていた。だが、今まで見たこともない材料なのだ。
「というか、どこから持ってきたのかな? こんなに沢山の建材は?」
ボクが以前に見た時には、ここは採掘後の空洞だった。だが久しぶりに来た今は、怪しげな建造物が出現していたのだ。
いったい誰がこんなものを建てたのだろうか? その目的はいったい何だろう?
「ふむ、ハルクよ。こいつは“召喚石”の一種じゃ」
そんな時、一緒に調査をしていたドルトンさんが、声をあげる。建材に心当たりがあるみたいだ。
「“召喚石”……ですか? それはいったい?」
「土系の魔法で召喚できる建材の一瞬じゃ。何もない空間に、魔法で任意の形の“召喚石”を出現させるのじゃ。この分野の話なら、サラ嬢ちゃんの方が詳しいだろう?」
サラは見習いだが、知識は豊富な魔術師。ドルトンさんが話をふる。
「えっ、はい、一応は知っています。ドルトンさんの指摘の通りに、これは“召喚石”だと思います。凄い魔法使いだと、一日で石の家を建ててしまうことも可能だといいます。ただ、お婆ちゃんの使う土魔法とは、これは少し種類が違うような気がしますが」
「へー、そんな魔法があるんだね。ボクも使えたら、採掘に便利だったのに」
二人の説明を聞きながら、思わずうなってしなう。
一介の鍛冶師でしかないボクは、魔法の知識は皆無。初めて耳にする土魔法の利便性に、思わず感心してしまうのだ。
「ふん、何を言っておるのじゃ。こんな広大なミスリル鉱脈を、たった一人で発掘できるオヌシの方が、魔法使いの何倍も凄いことなのじゃぞ」
「はっはっは……そうなんですね。でも、お蔭で、これを建てた人は、なんとなくイメージが湧いてきましたね」
この建造物を作ったのは、魔法使い系の人。目的は分からなけど、情報は少しずつ見えてきた。
「あと、ハルク。これを作ったヤツは“普通”じゃないわよ」
「えっ、どういうこと、エルザ?」
一緒に調査をしていた赤髪の女剣士エルザが、神妙な顔で意味深なことを言ってきた。どういう意味だろう。
「普通の奴はこの悪環境で、長時間作業して、こんな建造物を作れない、という意味よ」
「えっ、普通はそうなの⁉ ボクは普通に作業できるけど……」
「あんたみたいに、《対環境服》も無しに、涼しげな顔でこの悪環境を歩けるのは、普通じゃないのよ! まったく、どういう身体の作りをしているのかしら」
「あっ、そういう意味か。あっはっはっは……慣れ、かな?」
ボクは五歳の時から、この鉱脈の中で作業をしてきた。そのため濃い魔素や強い重力にも慣れてきたのだろう。
「何を言っているのよ。たとえ幼少期を過ごしても、普通はこんな場所に慣れることなんてないのよ⁉」
「えっ、そうだったの? 知らなくてごめんね」
「ふう……謝らなくてもいいわ。アンタが普通じゃないのは、最初の時から何となく気が付いていたから。はぁ……わたしも一応は最年少で《剣聖》の称号を得た自負はあったんだけど、ハルクを前にしたら凡人に思えてきたわ」
何やらエルザは複雑な顔をしていた。でも最後には諦めた顔で、かなりスッキリしている。
そんな話に調査しながらサラが混じってくる。
「ということは、これを建てた人は、“ハルク君並に凄くて危険な人”っていうことですか?」
「その可能性もあるわね、サラ。でも、この遺跡のデザイン的に、私はもう一つの可能性が高いと思うわ……」
サラの質問に、神妙な顔でエルザは意味深に答えてきた。
「“もう一つの可能性”ですか、エルザさん?」
「ええ、そうよ。ん? これは……どうやら、もう一つの可能性の方が当たったようね!」
その時であった。エルザは腰の剣を抜いて、周囲に向ける。
ガッガガガ……
直後、建造物の下から何かが浮かび上がる。
人影のようだが、明らかに人よりも大きい。羽が生えた人型の何かだ。
しかも全部で十体以上はいる。
「エルザ、こいつらは⁉」
「こいつらは“魔族人形”……“闇系の魔法の使い”が生み出す眷属よ」
「闇系の魔法の使い手? それって、もしかして」
「ええ、そうよ。こんな濃い魔素の中でも動ける、もう一つの連中は、“魔族に関係”がある奴らよ」
ガッガガガ……
こうしてボクたちは“魔族人形”に完全に包囲されてしまうのであった。
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