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第68話:秘密の入り口
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現ミカエル国王のヒニクンを調査するため、王城の地下の鉱脈に潜ることに。
キュィ――――ン!
屋敷から王城の地下までは、結構な距離がある。
整備された地下通路を、“ハルク式荷馬車・参式”で走行していく。
「あっ、あの扉です!」
しばらく走行していると、大きめの金属製の扉の前の到着。地下鉱脈への秘密の入り口だ。
「ふむ、随分と頑丈そうな扉だのう。まさか、これも?」
「はい、ミスリル製で頑丈にしています。ルインズ様から指示を受けていました」
王城の地下のミスリル鉱脈は、どうやら“普通の人”にとっては普通ではない場所らしい。だから先々代の国王ルインズ様から、入り口は常に厳重にしておけ、と言いつけられていたのだ。
「ちなみにハルク君、入り口は他にも、あるんですか?」
「そうだね、サラ。全部で三カ所あるよ。でも城からの入り口は、ヒニクン国王に見つかる可能性があるから、今回はこの秘密の入り口を使った方がいいんだ」
城にいた時にいつも使っていた入り口は、現在は国が鍵を管理中。そのため入り口には門番がいるはず。
だから極秘裏の調査の今回は、ボク以外の誰も知らないこの入り口を使うことにした。少し遠回りになるけど、ちゃんと目的の場所には到達できるはずだ。
「それじゃ、開けるね」
隠し通路の開門のハンドルを回して、扉を開けていく。
入口は結構な大きさ。“ハルク式荷馬車・参式”に乗ったままでも通行可能だ。
ガッガガガ……
荷馬車を通過させたら、また扉を閉める。帰りはまたハンドル操作で開けられるから、問題はない。
「ここがミスリル鉱脈の入り口……まだ明るいでんすね?」
「この辺はボクが整備してあるからね。でも、もう少し先に進むと薄暗い悪路になるから、気を付けておいてね」
今までの地下通路と同じように、坑道にも“発光石”を埋め込んで明るくしてある。だが地面は段々と、岩場のように荒れていく。
“ハルク式荷馬車・参式”は走行できる通路の幅と高さはあるが、今までと違って大きく揺れてしまうのだ。
「よし、それじゃ先に進むよ!」
扉を施錠を確認して、“ハルク式荷馬車・参式”を再発進させる。
ヴィ――――ン!
走行音が変わる。
ここから先はあまり速度を出せない。速度ギアを高速モードから、パワー重視モードに切り替えたのだ。
周囲に警戒しながら走行していく。
「この辺はまだ、普通の鉱山のようじゃのう?」
“ハルク式荷馬車・参式”の前方は、ミスリル強化ガラス製で、視認性に優れている。
ドワーフ族のドルトンさんは興味津々に、坑道の景色を観察していた。
「そうですね、もう少し先で、下層に降りていくと、少し景色が変わります。あっ、あの先がそうです!」
荷場馬で進んだ先に、広い空間が見えてきた。
見覚えのある場所。久しぶりの自分の職場の光景に、思わず胸が高まる。
「ハルク君……ここは……穴?」
「うん、そうだよ。ここは“露天掘り”っていう方式でボクが掘った跡だよ、サラ。車両でも通れるように、通路も螺旋状に作ってあるんだ」
到着した先にあったのは、竪穴式の古い坑道。円すい形を逆さまにした“少しだけ大きめ”の穴が、地下に向かって渦を巻いていた。
“ハルク式荷馬車・参式”でも一台分は通れる道幅もあるので、このまま地下のミスリル鉱脈本道に降りて移動できるのだ。
「ふう……まさか、こんな巨大な“地獄の穴”のような“露天掘り”を、たった一人で掘ったのか。まったく想像もできない男じゃのう、オヌシは」
「はっはっは……ありがとうございます。それじゃ降りていきましょう!」
こうして懐かしの仕事場へ。
城の人たちが昔から『あんな危険な場所は世の中にはないぞ!』と何故か恐れていた、ミスリル鉱脈の第一階層に、オレたちは降りていくのであった。
キュィ――――ン!
屋敷から王城の地下までは、結構な距離がある。
整備された地下通路を、“ハルク式荷馬車・参式”で走行していく。
「あっ、あの扉です!」
しばらく走行していると、大きめの金属製の扉の前の到着。地下鉱脈への秘密の入り口だ。
「ふむ、随分と頑丈そうな扉だのう。まさか、これも?」
「はい、ミスリル製で頑丈にしています。ルインズ様から指示を受けていました」
王城の地下のミスリル鉱脈は、どうやら“普通の人”にとっては普通ではない場所らしい。だから先々代の国王ルインズ様から、入り口は常に厳重にしておけ、と言いつけられていたのだ。
「ちなみにハルク君、入り口は他にも、あるんですか?」
「そうだね、サラ。全部で三カ所あるよ。でも城からの入り口は、ヒニクン国王に見つかる可能性があるから、今回はこの秘密の入り口を使った方がいいんだ」
城にいた時にいつも使っていた入り口は、現在は国が鍵を管理中。そのため入り口には門番がいるはず。
だから極秘裏の調査の今回は、ボク以外の誰も知らないこの入り口を使うことにした。少し遠回りになるけど、ちゃんと目的の場所には到達できるはずだ。
「それじゃ、開けるね」
隠し通路の開門のハンドルを回して、扉を開けていく。
入口は結構な大きさ。“ハルク式荷馬車・参式”に乗ったままでも通行可能だ。
ガッガガガ……
荷馬車を通過させたら、また扉を閉める。帰りはまたハンドル操作で開けられるから、問題はない。
「ここがミスリル鉱脈の入り口……まだ明るいでんすね?」
「この辺はボクが整備してあるからね。でも、もう少し先に進むと薄暗い悪路になるから、気を付けておいてね」
今までの地下通路と同じように、坑道にも“発光石”を埋め込んで明るくしてある。だが地面は段々と、岩場のように荒れていく。
“ハルク式荷馬車・参式”は走行できる通路の幅と高さはあるが、今までと違って大きく揺れてしまうのだ。
「よし、それじゃ先に進むよ!」
扉を施錠を確認して、“ハルク式荷馬車・参式”を再発進させる。
ヴィ――――ン!
走行音が変わる。
ここから先はあまり速度を出せない。速度ギアを高速モードから、パワー重視モードに切り替えたのだ。
周囲に警戒しながら走行していく。
「この辺はまだ、普通の鉱山のようじゃのう?」
“ハルク式荷馬車・参式”の前方は、ミスリル強化ガラス製で、視認性に優れている。
ドワーフ族のドルトンさんは興味津々に、坑道の景色を観察していた。
「そうですね、もう少し先で、下層に降りていくと、少し景色が変わります。あっ、あの先がそうです!」
荷場馬で進んだ先に、広い空間が見えてきた。
見覚えのある場所。久しぶりの自分の職場の光景に、思わず胸が高まる。
「ハルク君……ここは……穴?」
「うん、そうだよ。ここは“露天掘り”っていう方式でボクが掘った跡だよ、サラ。車両でも通れるように、通路も螺旋状に作ってあるんだ」
到着した先にあったのは、竪穴式の古い坑道。円すい形を逆さまにした“少しだけ大きめ”の穴が、地下に向かって渦を巻いていた。
“ハルク式荷馬車・参式”でも一台分は通れる道幅もあるので、このまま地下のミスリル鉱脈本道に降りて移動できるのだ。
「ふう……まさか、こんな巨大な“地獄の穴”のような“露天掘り”を、たった一人で掘ったのか。まったく想像もできない男じゃのう、オヌシは」
「はっはっは……ありがとうございます。それじゃ降りていきましょう!」
こうして懐かしの仕事場へ。
城の人たちが昔から『あんな危険な場所は世の中にはないぞ!』と何故か恐れていた、ミスリル鉱脈の第一階層に、オレたちは降りていくのであった。
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