家族に辺境追放された貴族少年、実は天職が《チート魔道具師》で内政無双をしていたら、有能な家臣領民が続々と移住してきて本家を超える国力に急成長

ハーーナ殿下

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第11話:開墾

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ライル領の農地候補地は、とてつもない不毛な土壌。穀物を栽培するために解決する必要があった。

「不毛な土地を開墾する、魔道具をお見せします!」

ボクは自分用の《収納袋》を作動させて、準備しておいた魔道具を取り出す。
手押し車サイズの魔道具だ。

「「「おお! でたぞ!」」」

農業班の領民から歓声が上がる。
収納袋は珍しい魔道具なので、使用するたびに歓声が上がるのだ。
毎回なことだけど本当に照れてしまう。
よし、みんなに魔道具の説明をしないと。

「えーと、この魔道は《魔道農耕機トラクターヤンマー》といいます。簡単に説明すると土を耕す魔道具です!」

《魔道農耕機トラクターヤンマー》は手押し車型の魔道具で、それほど大きくない。
使い方は手で押しながら前に進めていくと、先端の刃物が高速回転。どんなに固い荒野でも、ドンドン開墾していけるのだ。

「あのー、ライル様。質問をしてもよろしいですか?」

おそるおそる手を上げてきたのはベテランの農民。《魔道農耕機トラクターヤンマー》の使い方について、一つだけ疑問があるという。

「はい、もちろんです。遠慮しないで何でも聞いてください」

「ありがとうございます。それならお聞きします。ライル様の魔道具の性能は偉大だと存知います。ですが、この不毛な土は、いくら耕しても……その……」

ベテラン農家が言おうとしている意味は分かる。
率直に言うならば「いくら土をフカフカに耕しても、この栄養価が低すぎる土では、穀物がまともに成長しない!」と言いたいのだろう。

「なるほど、そうですね。でも安心してください、その問題を解決する機能も付いています。えーと、口で説明するのも難しいので、実践してみますね。マリーさん、よかったらこの《魔道農耕機トラクターヤンマー》を動かしてみてください。使い方はボクが教えます」

農業班の中の唯一の女性マリーを指名する。
女性である彼女が扱えたなら、他の誰でも《魔道農耕機トラクター》を使用できる証明をしたいのだ。

小柄なマリーに《魔道農耕機トラクターヤンマー》の使い方を説明。実際に作業してもらう。

「では、いきます、ライル様」

マリーはおそるおそる《魔道農耕機トラクターヤンマー》を起動。

ウィ――――ン!

直後、埋蔵の魔道モーターが高速回転を開始。連動して前方の刃物も回転。土を耕しながら、そのまま車体が前進していく。

「「「おおお!」」」

領民から歓声が上がる。初めて見る種類の魔道具の始動に、誰もが感動しているのだ。
そして更に声が上がっていく。

「す、すごい開墾するスピードだな……さすがライル様の魔道具!」
「お、おい、見てみろ! 開墾した土の色が⁉」
「な、なんだ、あの土は……荒野の不毛な土ではない……あれは栄養価が高い土じゃないか⁉」
「ほ、本当だ! これはどういうことだ⁉」

《魔道農耕機トラクターヤンマー》が開墾していった跡地の様子に、誰もが目を丸くしていた。

何故なら先ほどまで砂色だった土が、漆黒でみずみずしい栄養価が高い土に変化していたのだ。
まるで魔法のような光景に、誰もが見合わせている。

よし、この反応なら説明をしてもよさそうだ。

「それでは説明します。この《魔道農耕機トラクターヤンマー》は開墾をしながら、土を丸ごと交換していく魔道具なんです!」

《魔道農耕機トラクターヤンマー》の仕組みを説明していく。
強力な魔道モーターで、車体の先端の刃物を高速回転させて、かなり深くまで土を掘り起こす。

その土は実は内蔵してある《収納袋》に、即座に収納しているのだ。
同時に別の《収納袋》から栄養価が高い黒い土を排出して、ふかふかに埋め立てていく。
この作業を連続して行っているのだ。

この黒い土は昨日の狩りの時に、森の地面からボクが《収納》しておいたもの。あの森の土は栄養価が高く、不毛な土の何倍も穀物の栽培に向いている。

ちなみに森の土は、かなり大量に収納してきた。だから数百人くらいの農地を開墾しても、十分に足りる計算だ。

まぁ、そのお蔭で森の一部の土を、かなりゲッソリ削ってしまった。今度、森に行った時に、削り出した荒野の土で穴埋めをしてくる予定だ。

「……という感じです? 分かりましたか?」

黙って聞いてくれていた皆に、内容を確認する。
《魔道農耕機トラクターヤンマー》は少し複雑な機能だから、上手く説明できたか心配なのだ。

「うっ……」
「うぉお! さすがライル様です! そんな素晴らしい魔道具をお作りになるとは!」
「無能なワシには、難しい仕組みはサッパリ分かりませんが、その凄さだけは理解できました!」
「ありがとうございます、ライル様! これで不毛な土地が、素晴らしい農地に生まれ変わります!」

よかった。なんとか機能だけは伝わったみたい。
これなら今後の作業に移ること可能。
ボクは《収納袋》から更に《魔道農耕機トラクター》を出して、農業班の全員に配分。使い方を個々に説明していく。

ウィ――――ン! ウィ――――ン! ウィ――――ン!

説明後、十台以上の《魔道農耕機トラクター》が起動。農業班に操作され、本格的な開墾作業が開始となる。

ウィ――――ン!  ガッ、ガッ、ガッ!

開墾作業は順調に進んでいく。
魔道モーターの金属音と、土を開墾する音が、リズミカルに荒野に響き渡る。
新たなる収穫への希望の音であり、聞いているボクには心地よい。

「もしも操作方法で分からないことがあったら、気軽に聞いてください!」

ボクは現場監督として作業を見守る。
開墾の手順や農地の広さの選定などは、プロである彼らに任せたほうが適切。《魔道農耕機トラクターヤンマー》の使い方のコツを、みんなに教える側にまわる。

――――そして数時間が経過する。

「おお、これは……」

つい先ほどまでは、不毛なネズミ色の荒野が広がっていた。
だが今は違う。一面に見事な農地が広がっていたのだ。

整然と開墾された黒土の開墾地。この広さに穀物と農作物を植えたら、どれほどの大量に収穫できるのだろうか……想像もできない。

本当に感動的な光景だ。

「みんな、お疲れ様です……えっ⁉」

作業を終えた領民を労おうと視線を向けた時、ボクは思わず言葉を失ってしまうのだった。
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