上 下
27 / 44

第27話:学園の最大の行事

しおりを挟む
オレは自由を手にして、北の名門キタエル剣士学園に入学。
お姫様のマリエルと、猫獣人の少女ミーケ、三人で同居しながら平和で順調な日々だった。

だが、そんなある日、幼馴染のエルザが学園に現れた。
情緒不安定なエルザを説得しようとしたが、彼女は放心状態で消えてしまう。



エルザが消えてから一週間が経つ。
未だに彼女は見つかっていない。

「エルザ大丈夫かな……タフで強いから、きっと大丈夫。そう思うしかないよな、今は。よし、今週も授業を頑張るとするか!」

気持ちを切り替えていく。
何故ならオレは剣士学園の生徒。
まずは未熟な自分を、鍛えていくのが先決なのだ。

朝一、部屋で制服に着替える。
よし、今日も一日、頑張っていくぞ。

「ハリト様、私たちも準備が終わりました」

「さぁ、行くにゃん!」

マリエルとミーケも制服に着替えていた。
三人で屋敷を出て、校舎に歩いていく。

「そういえばハリトたんは、毎日、早起きにゃんね?」

「そうかな? 早起きは、嫌いじゃないからね」

オレは昔から早く寝て、早起きるタイプ。
朝日が昇る前に、毎日目が覚めてしまうのだ。

だから、この二人を起こす係りだ。

「さすがハリト様です、私たちも見習わなくては……」

「それならマリエルも、もうちょっと早起きするニャン! あと寝事でいつも『ハリト様~、ハリト様~』って言うもの、直した方が、いいニャン?」

「ちょ、ちょっと、ミーケ! それはハリト様の前では、言わない約束でしょう!」

「あっはっは……二人とも、朝から元気だね」

そんな感じで雑談しながら、校舎に向かう。

「ハリト様、いつも起こしていただき、本当にありがとうございます。お蔭で私も昔に比べたら、少しだけ早起きは出来るようになりました」

「えっ、昔はもっと朝は苦手だったの?」

「はい……王都にいた時から、朝だけは、どうしても……」

マリエルは顔を赤くして説明してくる。

どうやら幼い時から朝が苦手らしい。
完璧そうに見えて、実は抜けているところもあるのだろう。

「そんなに悩まなくても大丈夫だよ。何しろ睡眠は身体を成長させるために、大事な要素だからね」

「えっ……睡眠で、成長が、ですか?」

「そう。前に読んだ専門書によると。特に成長期は質の良い睡眠が必須らしい。十分に睡眠時間を確保しないと、身体が適切に成長していかないんだ」

オレは昔から、一人前の剣士になりたかった。
だから強くなるために、色んな知識を勉強してきたのだ。

「なるほど……質の良い睡眠は、成長に大事……ですか」

マリエルは言葉の意味を噛みしめている。

強くなるために、剣技を鍛えるだけは駄目。
更なる高みを目指すために、マリエルも意識を変えていた。

「そうだニャン。ちゃんと寝ないと、マリエルの胸も大きくならないニャン! ミーみたいに!」

ミーケは自分の胸に手を当てながら、笑っていた。

そう言われてみれば、胸はミーケの方が大きい。
一方で細身なマリエルは、“ちょうどいい可愛い大きさ”だ。

「ちょ、ちょっと、ミーケ! ハリト様に聞こえてしまいますわ!」

「大丈夫にゃん。だってハリトたんは、いつもマリエルたんの、胸を見ているニャン! あっ、でもミーの胸も見ているニャン? つまりハリトたんは、どんな大きさの胸でも発情するから、大丈夫ニャン!」

朝から凄いことを連発している。

オレは気まずいので距離をとる。
小走りで、さっさと教室に向かっていく。

「あっ、お待ちください、ハリト様! 急ぎますわよ、ミーケ」

「そうだニャン!」

二人も雑談を止めて、追いかけてくる。
何とも朝から元気の良いことだ。



教室に到着。

今日の午前中は座学。
長い椅子の教室で、先生の話を聞くスタイルだ。

「今日も、三人で並んで座るニャン!」

「ですわね。“ハリト団”の団結のためにですわ!」

「席はいいけど、その“ハリト団”って、何かな?」

「昨日、マリエルと二人で考えたニャン。三人のパーティー名ニャン!」

「我ながら見事な名だと思います。ハリト団……きっと大陸に名を響かせていく予感がします」

「そ、そうなだ……」

何やら三人のパーティー名が、勝手に決まっていた。
多数決の原理で、オレは頷くしかできない。

それにしても“ハリト団”か……ちょっと恥ずかしいな。

「よし、今日は、この席にするニャン」

「そうですわね」

三人に並んで座る。
長椅子にサンドイッチ状態で、席に着く。

真ん中はオレの定位置になってしまい、両脇に女性陣。
三人で座るには、けっこう狭い長椅子。
マリエルの真っ白な太ももと、ミーケの胸が、どうしてもオレにぶつかってしまう。

(ふう……仕方がないな……)

オレは基本的には孤独を愛する。
だが今は二人に頼まれたら断れない。

クラスメイトを刺激しないように、上手くやっていくしかない。

よし、今日も頑張って勉強していくぞ。



その日も順調に、午前と午後の実技が終わる。
充実した一日だった。

今は帰宅前の、帰りのホームルーム。
担任のカテリーナ先生から、今後のスケジュールの連絡があった。

「来月の上旬に“学内選抜戦”を行います。先日も説明しましたが、詳しい内容は、この掲示物で各自に確認しておいてください」

先生は教室の横に、大きな掲示物を張り出す。
内容は“学内選抜戦”について書いてあるという。

「それでは今日の授業は、ここまで」

「「「先生、ありがとうございました!」」」

終礼の挨拶を是認でして、先生は教室を去っていく。

今日の授業は終わり。
生徒は寮の自室に戻る流れだ。

だが教室内がザワついていた。

「ついに“学内選抜戦”があるのか……」

「いよいよか……」

クラスメイト誰一人として、教室を去っていない。
みんなで掲示物に群がり、真剣な表情になっている。

「ん? “学内選抜戦”?」

オレは首を傾げる。

何しろ初めて聞く内容の単語。
一体に何を行う、行事なのだろうか?

「えっ、ハリトたん。二日目の“学内選抜戦”の話を、聞いていなかったニャン?」

「もしかして、ハリト様は、ここ数日、忙しかったので、前回の掲示物を見逃していた、かもですね」

そうか……そういえばエルザ捜索で、最近のオレはバタバタしていた。

だから二日前の啓示物を、オレは見逃していのだ。

「とりあえず、一回見てくるね」

少し時間が経ったので、掲示物の人混みも緩和されていた。
オレは内容を確認していく。

「ふむふむ……これは。つまり、キタエル学園の一年生が、全員で模擬戦をして、一年の代表を決めるのかな? この選抜チーム? こっちは何のことだろう?」

読み込んでみたが、表現が曖昧で、いまいちよく分からない。
文章が全体的に遠まわしなのだ。

「ハリト様、その学内選抜戦は剣士学園の中でも、一、二を争う重要な行事でございます!」

「そうだニャン。一年の中で優勝できたら、“一人前の剣士”に近づくチャンスにゃん!」

「あっ……そうなんだ、知らなくて、ごめん」

マリエルとミーケは、かなり興奮していた。
というか興奮し過ぎて、少し怖い。

だが興奮しているのは、二人だけはなかった。
まだ教室に残る、他のクラスメイトも興奮している。

「この学内選抜戦を勝ち抜いて、キタエル一年の代表になれたら……」

「ああ、称号持ちになれる、確率が一気にアップだな……」

「どんなことをしても、絶対に勝ちぬかないとな……」

皆はかなり興奮している。
鼻息が荒い者もおり、学内選抜戦の重要さが伺える。

(それほど、一大イベントなのか……とりあえず、もう一回ちゃんと、読み込んでみるか……)

今度はメモをとりながら、学内選抜戦の概要を確認していく。

それによると詳細は、次のような感じだった。

――――◇――――◇――――

《キタエル学園学内選抜戦》

・一年生は三人一組のチームを作る。

・選抜戦は学園内の闘技場で行う。

・トーナメント方式の勝ち抜き戦を行っていく。

・チーム対抗戦で一対一の個人戦を、三回行う。より多く勝ち星があるチームが、勝ち抜け。
(一勝一敗一分け、などで同点の時は、延長試合で決定。他にも特別ルールあり)

・優勝チームには褒美の武器を与える。

・優勝チームは王都で行わる、学園対抗戦の出場権利を与える。

・なお優勝できなくても、剣士への道が閉ざされる訳ではない。その後は授業も続いていく。

――――◇――――◇――――

だいたいこんな感じの内容だった。

(ふーん。つまり三人一組でチームを作って、一年の中で最強チームを決める……のか?)

大まかに説明するなら、こんな感じだろう。
早い話が、腕自慢大会みたいな感じだ。

(優勝の特典は、褒美の武器か……)

これはかなり魅力的な賞品。
だからクラスメイトも、あんなに目を輝かせているのだろう。

(でも“王都で行われる学園対抗戦の出場権”……これって、何だろう?)

これまた初めて聞く単語である。
何と何が対抗して、戦うのであろうか?

「ハリト様、“学園対抗戦”は、王国内にある五つ学園で行う対抗戦ですわ」

首を傾げているオレに、マリエルがそっと耳打ちしてくれる。
王女である彼女は、王国内の行事について詳しいのだ。

「へー、そうか。ありがとう」

王国内には全部で、五個の学園がある。
東西南北に一カ所ずつ。

あとは王都に一個、剣士学園がある。

「あっ、そうか。王都学園は、マリエルが……」

「はい、そうでございます。私は王都学園の元生徒でした……」

王都学園の話になって、マリエルは急に眉をひそめる。

先日のオレに話してくれたこと。
王都学園時代の事件を、彼女は思い出しているのであろう。

「“あの者”は必ず王都学園の代表として、学園対抗戦に出てきます。だから私も負ける訳いないのです。今回の学内選抜戦は……」

マリエルはいつになく真剣な表情だった。
王都のライバルに負けたのが、よほど悔しかったのであろう。

下唇をぐっと噛みしめている。
あまりの力に血が染み出している。

「マリエルたん、大丈夫にゃん? これハンカチにゃん」

「ありがとう、ミーケ。ごめんなさい、みっともないところを見せて……」

「気にすることないニャン。マリエルたんは本気で強くなりたから、そこまで真剣なんだニャン。ミーも負けてられないニャン!」

ミーケは純粋で優しい性格。
思いつめているマリエルに共感していた。

「うん……ありがとう、ミーケ。一緒に頑張りましょう」

「ちょ、ちょっと、ミーまで、もらい泣きしちゃうニャン」

二人の少女はやや涙目になりながら、ギュッと抱き合う。
同じパーティーとして選抜戦で、勝ち進むことを誓い合っている。

(学内選抜戦か……でも、このルールだと、少しばかり面倒かもな……)

そんな中、オレは掲示物を読みこみながら、あることに気が付く。

(『三対三の個人戦によるポイント制で……トーナメント方式か……』

気になったのは、学内選抜戦のルールについて。

(普通に考えたら、マリエルとミーケで一勝ずつ。オレが負けても、何とかなりそうだけど……)

現時点の一年の中でマリエルの総合力は、一人だけ飛びぬけている。
さすがは【薔薇の剣姫】の二つ名持ち。
不安な要素といえば実戦経験が、まだ少ないこと。

あと性格的に、たまにポカをやらかす部分。
でも、よほどの大失敗さえなければ、マリエルによる一勝は固い。

あとミーケも一年生の中では、けっこう強い。
猫獣人としての身体能力の高さ。

剣士としての技術も、ぐんぐんと急成長している。
他のクラスのトップにさえ気を付ければ、なんとか勝ち星は狙えそうだ。

(問題はオレはか……)

正直なところ、まだオレは自信がない。
たしかに三人での特訓を始めてから、自分の戦闘力は急成長している。

だが、あくまでの“最初のハリト”に比べての成長。
学年の中で、どのくらいの位置にあるのか、実感できていないのだ。

(まぁ、心配しすぎかな、オレ? マリエルとミーケで二勝したら、オレは負けででも、チームは勝ちぬけるからな……)

選抜戦ともなれば、参加者はヒートアップしてしまうのであろう。

とにかく大きな怪我をしないように、選抜戦は安全で楽しくいきたい。

「あのう……ハリト様、大丈夫ですか?」

「へっ? あっ、うん。話は聞いていたよ!」

考え事していたから、変な声が出てしまった。
急いで意識を現実に戻す。

「学内選抜戦のことだよね? そうだね。三人で力を合わせて頑張っていこう!」

どうせ負けても退学になる訳ではない。
それなら安全で楽しく対抗戦に参戦だ。

あっ……でも、やっぱり、どうせ参加するのなら、いけるところまで勝ち進みたい。

よし、そのためには選抜に向けて、対策もしていかないとな
二人に提案してみよう。

「ねぇ、明日から特別訓練をしていかない? 選抜戦で、勝ち進むために? 二人とも大丈夫かな?」

オレたち三人は今まで、対魔物の実戦稽古が多かった。

だが学内選抜戦は対人戦だけ。
練習プログラムを少し変えて、対人戦を多くしてきたいのだ。

「もちろん大丈夫です、ハリト様。厳しい鍛錬は、私も望むところです!」

「ミーも大丈夫ニャン! 三人で強くなるニャン!」

二人の了承は得られた。
これで今日からの訓練は、選抜戦に特化していける。

「よし、三人で頑張っていこう! とりあえず目指せ、優勝かな?」

「もちろんだニャン! 目指せ優勝だニャン!」

「ハリト様、よろしくお願いします!」



こうしてオレたち三人は、選抜戦に向けて鍛錬をスタートする。

かなり厳しい内容だったが、二人とも脱落することなく付いてきてくれた。

また他の一年生たちも選抜戦に向けて、各チームで特訓をしていたようだ。

一年生の全員が、とにかく異様な熱気に包まれていた期間。

全員が優勝を目指して、選抜戦まで精進していたのだ。



そして日が経ち、月が明ける。

キタエル学園内の最大の行事。

ついに学内選抜戦の当日の朝がやってきたのだ
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

催眠術師は眠りたい ~洗脳されなかった俺は、クラスメイトを見捨ててまったりします~

山田 武
ファンタジー
テンプレのように異世界にクラスごと召喚された主人公──イム。 与えられた力は面倒臭がりな彼に合った能力──睡眠に関するもの……そして催眠魔法。 そんな力を使いこなし、のらりくらりと異世界を生きていく。 「──誰か、養ってくれない?」 この物語は催眠の力をR18指定……ではなく自身の自堕落ライフのために使う、一人の少年の引き籠もり譚。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G
ファンタジー
神様と名乗るおじいさんに転生させられること3521回。 レベル、ステータス、その他もろもろ 最強の力を身につけてきた服部隼人いう名の転生者がいた。 彼の役目は異世界の危機を救うこと。 異世界の危機を救っては、また別の異世界へと転生を繰り返す日々を送っていた。 彼はそんな人生で何よりも 人との別れの連続が辛かった。 だから彼は誰とも仲良くならないように、目立たない回復職で、ほそぼそと異世界を救おうと決意する。 しかし、彼は自分の強さを強すぎる が故に、隠しきることができない。 そしてまた、この異世界でも、 服部隼人の強さが人々にばれていく のだった。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

家族に無能と追放された冒険者、実は街に出たら【万能チート】すぎた、理由は家族がチート集団だったから

ハーーナ殿下
ファンタジー
 冒険者を夢見る少年ハリトは、幼い時から『無能』と言われながら厳しい家族に鍛えられてきた。無能な自分は、このままではダメになってしまう。一人前の冒険者なるために、思い切って家出。辺境の都市国家に向かう。  だが少年は自覚していなかった。家族は【天才魔道具士】の父、【聖女】の母、【剣聖】の姉、【大魔導士】の兄、【元勇者】の祖父、【元魔王】の祖母で、自分が彼らの万能の才能を受け継いでいたことを。  これは自分が無能だと勘違いしていた少年が、滅亡寸前の小国を冒険者として助け、今までの努力が実り、市民や冒険者仲間、騎士、大商人や貴族、王女たちに認められ、大活躍していく逆転劇である。

一人だけ竜が宿っていた説。~異世界召喚されてすぐに逃げました~

十本スイ
ファンタジー
ある日、異世界に召喚された主人公――大森星馬は、自身の中に何かが宿っていることに気づく。驚くことにその正体は神とも呼ばれた竜だった。そのせいか絶大な力を持つことになった星馬は、召喚した者たちに好き勝手に使われるのが嫌で、自由を求めて一人その場から逃げたのである。そうして異世界を満喫しようと、自分に憑依した竜と楽しく会話しつつ旅をする。しかし世の中は乱世を迎えており、星馬も徐々に巻き込まれていくが……。

家族に辺境追放された貴族少年、実は天職が《チート魔道具師》で内政無双をしていたら、有能な家臣領民が続々と移住してきて本家を超える国力に急成長

ハーーナ殿下
ファンタジー
 貴族五男ライルは魔道具作りが好きな少年だったが、無理解な義理の家族に「攻撃魔法もろくに使えない無能者め!」と辺境に追放されてしまう。ライルは自分の力不足を嘆きつつ、魔物だらけの辺境の開拓に一人で着手する。  しかし家族の誰も知らなかった。実はライルが世界で一人だけの《チート魔道具師》の才能を持ち、規格外な魔道具で今まで領地を密かに繁栄させていたことを。彼の有能さを知る家臣領民は、ライルの領地に移住開始。人の良いライルは「やれやれ、仕方がないですね」と言いながらも内政無双で受け入れ、口コミで領民はどんどん増えて栄えていく。  これは魔道具作りが好きな少年が、亡国の王女やエルフ族長の娘、親を失った子どもたち、多くの困っている人を受け入れ助け、規格外の魔道具で大活躍。一方で追放した無能な本家は衰退していく物語である。

巻き込まれて気づけば異世界 ~その配達員器用貧乏にて~

細波
ファンタジー
(3月27日変更) 仕事中に異世界転移へ巻き込まれたオッサン。神様からチートもらってやりたいように生きる… と思ってたけど、人から頼まれる。神から頼まれる。自分から首をつっこむ! 「前の世界より黒くないし、社畜感無いから余裕っすね」 周りの人も神も黒い! 「人なんてそんなもんでしょ? 俺だって黒い方だと思うし」 そんな元オッサンは今日も行く!

処理中です...