聖女な幼馴染に裏切られた少年、地獄の【一万倍の次元】の修行を突破。最強剣士として学園生活を満喫する

ハーーナ殿下

文字の大きさ
上 下
19 / 44

第19話:魔物退治

しおりを挟む
 オレは自由を手にして、北の名門キタエル剣士学園に入学。
 お姫様マリエルと同居を開始。魔の森に実戦式の特訓にきた。



森の浅いところで、魔物の群れを発見。
武装した五匹の子鬼ゴブリンだ。

「よし、マリエル。攻撃の前に、最終確認しよう。作戦は浮かんだ?」

「はい、まずは私の剣術技……風系の斬撃で先制攻撃をしかけます。その後は、攻撃力が高いハリト様が追撃を。この策でどうでしょうか?」

「良案だね」

前回の襲撃では、マリエルは風系の剣術技を使用してきた。
おそらく得意な分野なのであろう。

風系は先制攻撃にも向いているので、理にかなった作戦だ。

「よし、その作戦でいこう」

「はい」

いよいよ戦闘開始。

「ふう……」

マリエルは剣を構え集中。
体内の魔力を高めていく。

「それではハリト様、参ります! 『風の斬撃よ、彼方の敵を斬り裂け!』……剣術技【第二階位】二の型……【飛風斬ひふうざん】!」


詠唱を終えて、マリエルは斬撃を繰り出す。
鋭い風の斬撃が、剣から発射。
子鬼ゴブリンに直撃する。

ザッ、ゴォオオオオ!

着弾と同時に、風の衝撃波が発生。
凄まじい爆音と風の波が、こちらまで伝わってくる。

今の攻撃で二匹の子鬼ゴブリンを仕留めた。

「ナイス、マリエル! よし、次はオレの番だ!」

相手は混乱している。
オレはすぐさま追撃に移る。

茂みから飛び出して、混乱している三匹の子鬼ゴブリンの中に、突撃していく。

「ふう……」

 オレは駆けならが、深く息を吐き出す。
 腰だめに剣を構える。

「今回こそは、成功させるぞ……」

 意識を集中して、魔力を高めていく。
魔力による高揚感が、全身にみなぎる。

 よし――――今ならいけるかもしれない。

 マリエルとの戦いの後に、頭の中に浮かんできた言葉一つ。
剣術技を詠唱する。

「『春雷よ、敵を斬り裂け』 ……剣術技【第一階位】一の型……いくぞ【雷斬ライ・ザン】!」

無事に発動できた。
オレの右の手から光の筋、雷撃をまとった斬撃が繰り出される。

ゴォオオオオオ、ザァアアン!

次の瞬間、子鬼ゴブリンたちが吹き飛んでいく。
オレの新しい技が成功したのだ。

「よし!」

油断せずに周囲を確認。
今のところ他の魔物はいなそうだ。

「お見事です、ハリト様!」

「マリエルも先制攻撃、凄かったね!」

二人で合流して、子鬼ゴブリンが他にいない再確認していく。

どうやら本当にいなそうだ。
後は魔物退治の事後処理をする。

「ハリト様。魔物は倒せましたが、この後はどうすればよろしいのでしょうか?」

「そうだね。まずは子鬼ゴブリンの死体の後に、“魔石”があるはずだから、回収しておこう。授業でも教えてもらった感じで」

“魔石”は魔物や魔獣の体内にある器官。
死後は結晶化して、小さな石となって跡に残る。

街の魔法専門店にいけば、魔物の強さによって換金できるのだ。

「そうでしたね。ですが、この状況では……?」

マリエルが心配するのも無理はない。
五匹の子鬼ゴブリンは、跡形もなく吹き飛んでいた。

オレたちの攻撃がオーバーキルすぎたのだ。
小さな魔石を探すのは困難そう。

「でも、大丈夫。こんな時も【探知・魔】を使えば大丈夫だよ」

「なるほど、そういうことでしたか。では、さっそく……」

【探知・魔】は近距離なら、魔石も探知可能な技。
マリエルは発動して探す。

「あっ、ありました、ハリト様!

そして地面の下から魔石を発見。
周囲を警戒しながら、二人で回収していく。

よし、全部で五個あった。
これ子鬼ゴブリン討伐は完了だ。

「次はどうしますか、ハリト様?」

「そうだね。まだ時間も有るから、次の魔物を探してみようか。まだいけるマリエル?」

「はい、私は大丈夫です。それでは、また探知で魔物を探してみます」

マリエルは【探知・魔】を詠唱して、再び発動。
今度は先ほどよりも、少しだけ広範囲。
次の魔物を索敵している。

「ん? 反応がありました。でも、この反応は? 先ほどと違う感じです?」

マリエルは眉をひそめる。
一体の魔物は発見。

だが“魔物とは違う反応”が、その近くにいるという。

「違う反応? じゃあ、オレも調べてみるね」

オレも意識を集中して【探知・魔】を発動。

でもさっきよりも少しだけ、魔力を弱めて。
またキタエルの街までいかないように。

(おっ、いた。これか……)

オレも発見した。
一つ目は魔物の反応。
先ほどの子鬼ゴブリンよりも、かなり大きな反応魔物だ。

(あと、こっち反応は……あれ、これは?)

マリエルの言っていたように、もう一つは違った。

(これは人か……それも剣士の?)

もう一つは人を現す反応だった。
授業でも習ったもの。

(それに、この相手の魔物の大きさ……これはマズイな……)

【探知】によると対峙している魔物は、かなり強力な部類。
オレの全身が警戒音を発している。

「ハリト様……どうしましょう?」

マリエルは不安そうな顔だった。
おそらく彼女も感じているのであろう。

オレたち新入生には太刀打ちできない魔物がいる、危険な状況だと。


「よし……行こう、マリエル!」

「えっ、ハリト様……」

「大丈夫だ、オレに任せて。この人を助けよう!」

「はい、ハリト様! お供します!」

こうしてオレたちは魔の森に迷い込んだ人を、助けて向かうのであった。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜

𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。 だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。 「もっと早く癒せよ! このグズが!」 「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」 「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」 また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、 「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」 「チッ。あの能無しのせいで……」 頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。 もう我慢ならない! 聖女さんは、とうとう怒った。

処理中です...