聖女な幼馴染に裏切られた少年、地獄の【一万倍の次元】の修行を突破。最強剣士として学園生活を満喫する

ハーーナ殿下

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第11話:個室に呼び出し

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自由を手にして北に旅立ち、オレは北の名門キタエル剣士学園に入学。
謎の激ヤセでイケメン風に激変したが、何とか元気に学園を過ごしている。

だが授業初日で、大事な魔道具を壊してしまう。



適性検査をした日の放課後になる。

「し、失礼します。ハリトです!」

緊張しながら、カテリーナ先生の教員部屋をノックする。

「開いています。入ってください」

「は、はい!」

心臓をバクバクさせながら、部屋に入っていく。
はたして、いったいどんな風に怒られるのであろうか。

「そこのソファーに座ってくだい」

「は、はい、失礼します!」

部屋の端にある、ソファーに姿勢を正して座る。
緊張しながら、チラリと部屋を見渡す。

白衣のカテリーナ先生は、読んでいた本を閉じている。
その後ろには本棚があって、難しそうな本が沢山並んでいる。

もしかしたらカテリーナ先生は、何かの研究もしている人なのかな?

「そうですね、私の本分は剣士ですが、魔道具の研究もしています」

あっ……また先生に表情を読まれてしまった。

でも、なるほど、そうだったのか。

たしかに先生は知的な眼鏡をかけて、研究者っぽさもある。
あと美人女医さん的な感じも。

とりあえず失礼にならないように、キョロキョロするのを止める。

「さて、本題に入ります。今日の午前中、ハリト君が使った魔道具が、謎の消失をしました」

「あっ……ほ、本当に申し訳ありませんでした」

いよいよ本題に突入した。
頭を深く下げて、精一杯の謝罪の気持ちを現す。

「いえ、消えてしまった物は、仕方がありません。ですが原因を調べる必要があります。とりあえずハリト君、服を全部脱いでください」

「えっ⁉ 服を⁉ は、はい……」

いきなりの指示だったので、思わず声を高める。
でも壊したのはオレ。断ることはできない。

制服とズボンを脱いでいく。
シャツも脱いで、パンツも……

「いえ、パンツは、そのままで結構です。では調べるので、立ってください」

「あっ、はい」

言われるがまま、立ち上がる。
パンツ一丁で直立不動の状態だ。

「ふむ……こうして見たところは、普通の身体ですね」

オレの周りを一周して、先生は首を傾げる。
一体何を調べているんだろう。

「それでは次はソファーに、上向きに寝転んでください。両手は真っ直ぐ上に、伸ばしてください。はい、そんな感じです」

先生に言われるままに、ソファーに寝転び万歳のポーズをとる。
少し恥ずかしいが、オレは過失者。
全てに従うしかない。

「これから、もう少し詳しくハリト君の身体を調べるので、我慢してください」

「えっ、我慢ですか? ひゃっ⁉」

思わず声を出してしまう。
なぜならカテリーナ先生が急に、オレの上の乗っかってきたのだ。
しかも凄い密着度で。

「せ、先生……何を……」

「これからハリト君の体内の魔力の流れを、不自然なところがないか、調べていきます。触診する必要があるので、我慢してください」

「ま、魔力の流れを? は、はい、我慢します!」

よく分からないが、我慢することにした。

「では、いきます」

先生は密着しながら、オレの全身を舐めるように触ってくる。

(うっ……先生……近すぎます……それに胸が、オレの顔に……)

カテリーナ先生の胸が、オレの顔に落ちてきた。
しかも白衣の生地は薄く、その下も薄い下着だけ。

先生の大きい胸が。
マシュマロのように柔らかい胸が、オレの顔に押しつけられる。

「ふむ……両手は問題ないようですね……」

でも先生は全く気にしていない。
調査に熱中して、ガンガン身体を押しつけてくる。

胸の柔らかさと大きいで、オレは息ができない。

「もしかしたら足の方の魔力の流れが、原因かもしれませんね……」

先生はブツブツ呟きながら、立ち上がる。

(ふう……よ、よかった……死ぬかと思った……)

「では次は足を調べます」

「えっ?」

安堵の息を吐いた瞬間だった。
今度は逆さまの状態で、先生が乗っかってきた。

(うっ……こ、今度は、先生の太ももが……オレの顔に……)

先生の白衣の下はミニスカート。
真っ白な太ももが、オレの顔を両側から挟む状態になる。

(し、しかも先生の赤い下着が……)

ミニスカートの下の下着が、目の前に迫ってくる。

物凄く官能的な香りが、オレの鼻の奥に流れ込んできた。
初めて嗅ぐ大人の女性の匂いだ。

うっ……この体勢も、かなりまずいぞ。

「ふむ……足の魔力の流れは正常ですね? 私の見当違いなのか?」

だが先生は気にする様子はない。
調査に熱中するあまり、自分の恥ずかしい体勢に気が付いていないのだ。

(せ、先生……そろそろ、オレ、ギブアップです……)

先生の大人の香りに、オレは意識が朦朧もうろうとしてきた。
このままでは気絶して、昇天しまいそうだ。

「ふう……どこも問題なしですか。私の見当違いだったのか? とりあえず、今日の触診は終わります」

間一髪のところで先生が離れてくれる。

「ぷ、プファー! はぁ、はぁ……」

すぐに深呼吸して、頭に空気を送り込む。
ふう……よかった、オレ。

死なないで、本当によかった。

「ん? どうしましたか、ハリト君? 顔が真っ赤ですが?」

「い、いえ。何でもありません。ところで、何にを調べていたんですか? 魔力の流れとか?」

心を落ちつかせて、気になることを質問する。
話の流れ的に、オレの身体に病気でもあるのだろうか?

「いえ、違います。午前の魔道具が異常表示……いえ、壊れてしまった原因を調べていたのです」

『異常表示』という言葉を、先生は言い直した。
オレにこっそり見られたことを、気が付いていないのだ。

(ん? ということは、あの【ランクX・次元剣士】は訳ありだったのかな?)

先生が隠している理由は分からない。
でも、雰囲気的にあまり良い方の理由ではなさそうだ。

おそらく【ランクX】はかなり悪い結果なのかもしれない。

(こういう場合は……オレも知らないフリが吉だな……)

何か問題があったら、先生の方からアプローチがあるだろう。
それまでオレからも言わないでおこう。

「それでは今日の呼び出しは、これで終了となります。服を着て帰宅して大丈夫です」

「あ、はい。ありがとうございました!」

とにかく先生は心配してくれている。
カテリーナ先生は少し変わっているけど、悪い先生ではない。

オレは服を着て、退出の準備をする。

「それでは失礼しました、先生」

「あっ、ハリト君。もしも身体に異変があったら、すぐに私に報告をしてください」

「異変を……はい、分かりました」

やっぱり先生は良い人だ。
今後も信頼して付いていこう。

「もしも異変があったら、次はパンツも脱いでもらいます。肛門内や性器も念入りに調べます」

「えっ……こうも……せ、せ……し、失礼しました!」

やっぱりカテリーナ先生は変な人だった。
ダッシュで研究室を飛び出していく。

全力で寮の自室に逃げ帰らないと!

(これから体調は、絶対に、最高に、常に万全にしていこう! パンツを死守するために……)

こうしてオレは一つ学んで成長した。

大人の女性には――――色んなタイプがいるということを。



翌日になる。

身体には特に異変はない。
むしろ絶好調なくらいだ。

朝の準備を終えて、オレは教室に向かう。

「よし、今日は失敗しないように、頑張るぞ!」

 気合を入れてから、教室に入っていく。

「それでは、今日の授業を始めます」

入室と同時に、白衣姿のカテリーナ先生も登場。
時間は開始ギリギリなので、例のピチピチ女の子三人衆は回避できた。

オレの作戦は大成功だ。

「さて授業を始めるまえに、新しいクラスメイトを紹介します。どうぞ、入ってきてください」

なんと転入生がいるという。
先生の紹介で、見慣れない少女が鍛錬場に入ってきた。

彼女が新しいクラスメイトなのであろう。

「この方は事故にあって、昨日の入学式に間に合いませんでした。ですが今日から同じクラスメイトになります。そではマリエルさん、自己紹介をどうぞ」

「私はマリエル・ワットソンと申します。皆さん、よろしくお願いたします」

転校生はマリエルという銀髪の少女だった。

歳はエルザと同じくらいだけど、身長はこちらの方が少しだけ小柄。
身体の線が細いく、すごく可愛らしい子……美少女だ。

口調は丁寧で、気品のある雰囲気。
もしかしたら、どこかの貴族令嬢なのかもしれない。

(ん? あれ……この子……どこかで見たことがあるような……)

可愛らしい顔に、なぜか見覚えがあった。
でも、着ている制服との違いで、なかなか思い出せない。

思い出すために、顔をじっと見つめてしまう。

「ん? えっ⁉」

そんな時、視線が合ってしまう。
マリエルさんはビックリした顔になっていた。

しまったジロジロ見てしまったことを、後悔してしまう。

「そ、そのお顔は!」

マリエルさん、急にこちらに向かってくる。
まだ朝のホームルーム中だというのに、お構いなしに一直線に近づいてきた。

「やはり! 貴方様は、あの時の“フードの剣士様”!」

「えっ、“フードの剣士様”……?」

聞きなれない二つ名に、思わず首を傾げる。
でも、どこか一度だけ聞いたような、気もするけど、どこだっけ?

「私はあの時、魔獣から救っていただいた者です!」

マリエルは真剣な表情で、オレの手を握ってきた。
すごく柔らかい手。

そして、真剣なその表情を見て、オレは全てを思い出す。

(あっ、そうか! この子は……“三つ目大熊”の時!)

ようやく思い出した。
三日前、この街に向かう道中での出来ごとを。

そうか、あの時の子はキタエル学園の新入生だったのか。

「そのお顔は、思い出してくれたのですね! ああ、お会いしたかったですわ!」

転校してきたばかりの美少女に、いきなり抱きつかれた。
マリエルは目をウルルさせて、ほおを赤くしている。

(えっ? えっ? ど、どうしたの、急に?)

こうして新しいクラスメイトを迎えて、オレの波乱の学園生活は続いていくのであった。
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