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「好き」の種類
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セレスティアを部屋に送り届けると、フェリクスも自室に戻った。
身体の奥底に残る、セレスティアの甘く暖かな抱擁の余韻で、彼の心は幸せに満ちていた。
「……お早い、お帰りで」
寝台の上に寝転んでいたアーブルが、フェリクスの姿を見ると、さも意外だと言わんばかりの顔で、起き上がった。
「セレスティアの部屋は、すぐそこだし、それほど時間はかからないと思うが」
フェリクスは首を傾げて、自分の寝台に腰かけた。
「てっきり、朝帰りかと思ってさ」
「朝帰り?」
アーブルの言葉の意味が直ぐに理解できず、フェリクスは少し考えた。
「……もしかして、俺が彼女と生殖行為を行うと思っていた、と言っているのか?」
「その言い方、なんか生々しいから勘弁してくれ」
フェリクスの返答に、アーブルが苦笑いした。
「悪い、八割くらいは冗談だよ。でも、どう見ても姫様はフェリクスに惚れてるし、あんただって、彼女の為なら自分の生命だって捨てるほどだろ? だから、そういう流れになっても、おかしくはないと思ってさ」
「……そうだ、『ぎゅってして』と言われたから、『ぎゅっ』としてきたな」
「それだけ?そこから先は?」
「それだけだが……」
「それだけかぁ~」
顔を覆いながら寝台の上をゴロゴロと転がるアーブルに、フェリクスはどう反応すべきか分からず、困惑した。
「あの、おしとやかな姫様が……物凄い勇気出したんだろうな。……そう思わない?」
アーブルは再び身を起こすと、フェリクスを見据えた。
「……彼女に抱きしめてもらったら、胸の中が暖かくなって……ずっと、そうしていたいとは思った。俺は、それで満たされた気持ちだったが……対応を誤ったのだろうか」
フェリクスは、少し不安になった。
「アーブルは、そういう経験も豊富なのか?」
「残念だけど、実戦経験はないよ。だけど、何となく想像はつくものだろ」
言って、アーブルは肩を竦めた。
「……想像……つくものなのか。俺は、駄目だな……」
その「何となく」が難しいのだ――フェリクスは肩を落とした。
アーブルは、立ち上がると、フェリクスの隣に移動し、寝台に腰を下ろした。
「いや、さっきから言ってることも俺の推測だから、必ずしも正解とは限らないぞ。俺は、あんたも姫様も好きだから幸せになって欲しくて、そういう願望を押し付けてるだけかもしれないし……その、なんだ、あんまりマジに落ち込まないでくれ」
少し申し訳なさそうな顔で言って、アーブルはフェリクスの背中を軽く叩いた。
「……やはり、お前は、いい奴だな」
フェリクスは、アーブルの顔を見返した。
「セレスティアに、俺を犠牲にしなければ助からない命なら要らないと言われて、気付いたんだ。俺は、彼女やアーブルを無事に逃がすという目的が達成されれば、それでいいと思っていた。だが、それで自分が死んだ場合に、お前たちがどんな気持ちになるかまでは考えていなかった」
「……気付くのが遅いよ」
「すまない。これからは、考えることにする」
不満げに唇を尖らせるアーブルの肩を、フェリクスは抱き寄せた。
「えぇ……何だよ、こういうのは姫様にしてやれよ!」
彼にとっては想定外の事態だったのか、アーブルは目を白黒させている。
「好きな相手との接触は、精神の安定をもたらすと思ったのだが……嫌だったか?」
「い、嫌ってのとは、ちょっと違うけどさぁ……『好き』の種類が違うだろ!」
顔を赤らめて、じたばたするアーブルを見ながら、やはり他人の心を推し量るのは難しい、と、フェリクスは思った。
翌朝、フェリクスたちは、迎えに来た反帝国組織「リベラティオ」の構成員たちと共に「目的地」へと出発した。
「姫様、ちょっと、顔色が良くなったんじゃないか。ここ最近は色々あって、疲れてるみたいだったけど」
車両の座席で、アーブルが、向かい合っているセレスティアに声をかけた。
「何か、いいことでもあった?」
「いいこと、ですか?」
セレスティアは、隣に座っているフェリクスに、ちらりと目をやると、少し頬を染めて微笑んだ。
彼らを乗せた車両は、街道沿いの街で食事などの休憩を挟みながら、順調に進んでいる。
やがて、車両は街道から脇道に入った。
「急に、自然が豊かになってきたな」
車窓から外の景色を眺めながら、フェリクスは呟いた。
街道の周囲には、街の他に、通行する者たちの為の施設が一定の間隔で存在していた。
しかし、脇道の周囲には人家も見られず、進むにつれて木々に囲まれた山道へと変化しつつある。
「この先は、廃棄された古城があるだけで、一般人が訪れることは、まずありませんから」
運転している構成員が言った。
しばらく山道を進み、日没が近付いた頃、夕日を背に、そびえる古城が見えてきた。
「……故郷の、王宮を思い出します」
セレスティアが、ぽつりと言った。
車両は城の前に到着したものの、城門は閉ざされたままだ。
――それどころか、城内に人のいる気配すらしない……
フェリクスが、そう思っていると、構成員の一人が、小型の通信端末で、どこかへ連絡した。
すると、「魔導絡繰り」の駆動音と共に、車両の前の地面が緩やかに傾斜し、地下への通路が現れた。
「へぇ、城は偽装の為のもので、本命は地下って訳か」
アーブルが、感心した様子で言った。
地下通路へ降りた車両は、更に進んで、広い空間へと出た。
他に数台の車両が停められているところを見ると、車庫のようだ。
「ここが、我々の潜伏先の一つです。これから、『頭領』のところへ御案内します」
構成員の一人が、そう言って、フェリクスたちに車両から降りるよう促した。
身体の奥底に残る、セレスティアの甘く暖かな抱擁の余韻で、彼の心は幸せに満ちていた。
「……お早い、お帰りで」
寝台の上に寝転んでいたアーブルが、フェリクスの姿を見ると、さも意外だと言わんばかりの顔で、起き上がった。
「セレスティアの部屋は、すぐそこだし、それほど時間はかからないと思うが」
フェリクスは首を傾げて、自分の寝台に腰かけた。
「てっきり、朝帰りかと思ってさ」
「朝帰り?」
アーブルの言葉の意味が直ぐに理解できず、フェリクスは少し考えた。
「……もしかして、俺が彼女と生殖行為を行うと思っていた、と言っているのか?」
「その言い方、なんか生々しいから勘弁してくれ」
フェリクスの返答に、アーブルが苦笑いした。
「悪い、八割くらいは冗談だよ。でも、どう見ても姫様はフェリクスに惚れてるし、あんただって、彼女の為なら自分の生命だって捨てるほどだろ? だから、そういう流れになっても、おかしくはないと思ってさ」
「……そうだ、『ぎゅってして』と言われたから、『ぎゅっ』としてきたな」
「それだけ?そこから先は?」
「それだけだが……」
「それだけかぁ~」
顔を覆いながら寝台の上をゴロゴロと転がるアーブルに、フェリクスはどう反応すべきか分からず、困惑した。
「あの、おしとやかな姫様が……物凄い勇気出したんだろうな。……そう思わない?」
アーブルは再び身を起こすと、フェリクスを見据えた。
「……彼女に抱きしめてもらったら、胸の中が暖かくなって……ずっと、そうしていたいとは思った。俺は、それで満たされた気持ちだったが……対応を誤ったのだろうか」
フェリクスは、少し不安になった。
「アーブルは、そういう経験も豊富なのか?」
「残念だけど、実戦経験はないよ。だけど、何となく想像はつくものだろ」
言って、アーブルは肩を竦めた。
「……想像……つくものなのか。俺は、駄目だな……」
その「何となく」が難しいのだ――フェリクスは肩を落とした。
アーブルは、立ち上がると、フェリクスの隣に移動し、寝台に腰を下ろした。
「いや、さっきから言ってることも俺の推測だから、必ずしも正解とは限らないぞ。俺は、あんたも姫様も好きだから幸せになって欲しくて、そういう願望を押し付けてるだけかもしれないし……その、なんだ、あんまりマジに落ち込まないでくれ」
少し申し訳なさそうな顔で言って、アーブルはフェリクスの背中を軽く叩いた。
「……やはり、お前は、いい奴だな」
フェリクスは、アーブルの顔を見返した。
「セレスティアに、俺を犠牲にしなければ助からない命なら要らないと言われて、気付いたんだ。俺は、彼女やアーブルを無事に逃がすという目的が達成されれば、それでいいと思っていた。だが、それで自分が死んだ場合に、お前たちがどんな気持ちになるかまでは考えていなかった」
「……気付くのが遅いよ」
「すまない。これからは、考えることにする」
不満げに唇を尖らせるアーブルの肩を、フェリクスは抱き寄せた。
「えぇ……何だよ、こういうのは姫様にしてやれよ!」
彼にとっては想定外の事態だったのか、アーブルは目を白黒させている。
「好きな相手との接触は、精神の安定をもたらすと思ったのだが……嫌だったか?」
「い、嫌ってのとは、ちょっと違うけどさぁ……『好き』の種類が違うだろ!」
顔を赤らめて、じたばたするアーブルを見ながら、やはり他人の心を推し量るのは難しい、と、フェリクスは思った。
翌朝、フェリクスたちは、迎えに来た反帝国組織「リベラティオ」の構成員たちと共に「目的地」へと出発した。
「姫様、ちょっと、顔色が良くなったんじゃないか。ここ最近は色々あって、疲れてるみたいだったけど」
車両の座席で、アーブルが、向かい合っているセレスティアに声をかけた。
「何か、いいことでもあった?」
「いいこと、ですか?」
セレスティアは、隣に座っているフェリクスに、ちらりと目をやると、少し頬を染めて微笑んだ。
彼らを乗せた車両は、街道沿いの街で食事などの休憩を挟みながら、順調に進んでいる。
やがて、車両は街道から脇道に入った。
「急に、自然が豊かになってきたな」
車窓から外の景色を眺めながら、フェリクスは呟いた。
街道の周囲には、街の他に、通行する者たちの為の施設が一定の間隔で存在していた。
しかし、脇道の周囲には人家も見られず、進むにつれて木々に囲まれた山道へと変化しつつある。
「この先は、廃棄された古城があるだけで、一般人が訪れることは、まずありませんから」
運転している構成員が言った。
しばらく山道を進み、日没が近付いた頃、夕日を背に、そびえる古城が見えてきた。
「……故郷の、王宮を思い出します」
セレスティアが、ぽつりと言った。
車両は城の前に到着したものの、城門は閉ざされたままだ。
――それどころか、城内に人のいる気配すらしない……
フェリクスが、そう思っていると、構成員の一人が、小型の通信端末で、どこかへ連絡した。
すると、「魔導絡繰り」の駆動音と共に、車両の前の地面が緩やかに傾斜し、地下への通路が現れた。
「へぇ、城は偽装の為のもので、本命は地下って訳か」
アーブルが、感心した様子で言った。
地下通路へ降りた車両は、更に進んで、広い空間へと出た。
他に数台の車両が停められているところを見ると、車庫のようだ。
「ここが、我々の潜伏先の一つです。これから、『頭領』のところへ御案内します」
構成員の一人が、そう言って、フェリクスたちに車両から降りるよう促した。
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