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第一章 独りぼっちのメグ
魔物はやはり強かった
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討伐依頼の廃墟は、嘗て王族貴族の領地だっただけあって、かなり立派な建物が、今も壊れず残っていた。
伝染病の流行で、ほとんどの住民が死亡し、生き残った人たちも、この領地を放棄して離散し、こんな廃墟となったというけど、これだけの建物が残っているなら、もったいない気がする。
魔物も、そう思って住むことにしたのかなと、冗談半分に考えてしまった。
でも、この広い敷地の建屋のどこかに潜んでいるとすると、探すのは大変だ。
一軒一軒、虱潰しに探索すると、日が暮れそうな気がして、頭が痛くなる。
魔物の方から出てきてくれないかなと期待して、廃墟の街を一通り歩いて回った。
そして、魔物が居そうな雰囲気がする建屋から順に探していくことにした。
最初に向かったのは、不気味な寺院。窓も木枠で封がしてあり、いかにも怪しい雰囲気が漂っている。
中は、昼間だというのに、光があまり差し込まず、窓を覆っている木枠の隙間から、僅かに陽光が細い線の様に差し込み、埃が反射して、きらきら光っている。
空気が冷たく感じ、シーンと静まり返って、足音だけが、反響するように響く。
広いスペースの右奥に、奥の小部屋へと入れる通路があり、入ると蝙蝠が飛んできて、びっくりさせられたけど、魔物はどこにもいなかった。
その後も、片っ端に廃屋に入り、全ての建屋を探したものの、魔物は出てきてくれないし、どこにもいなかった。
昼前に着いていたのに、何の成果も得られないまま、日没を迎えてしまった。
こんな依頼受けるんじゃなかったと、後悔しながら、もう一度、最も怪しそうな寺院に、足を踏み入れた。
鳥型魔物なら、活動時間は昼間の筈だけど、梟の様な夜行性の魔物の可能性もあると、考え直し、昼間はどこかに身を潜めて寝ていたに違いないと、もう一度探してみることにした。
日没過ぎといっても、外はまだ白々としていたのに、寺院の中は暗闇に近く、目を凝らしてもよく見えないくらいの暗さだった。
そういえば、昼前に来た時に、奥の部屋の燭台に蝋燭が残っていたのを思い出し、僅かに差し込む明かりを頼りに、恐る恐る奥の部屋へと向かった。
その途中、ギーと何かの軋む様な音が、奥から聞こえた気がした。
耳をそばだてるも、もう何も聞こえない。
奥の部屋は、手前の広間とは違い、完全に真っ暗だった。
昼に来た記憶を頼りに、手探りで、燭台を探し出し、蝋燭に火をつけた。
すると、床の埃の上に、私の足跡とは異なる真新しい獣の足跡を見つけた。ついさっきまで、そいつがここにいた証拠。さっきの音は、どこかに魔物が逃げた時のものに違いない。
注意深く、床を見ると、昼間は気づかなかったけど、埃で消えそうになっている足跡も残っていた。
あの時、気づいていたら、こんなに時間を無駄にせずに済んだのにと、少し後悔した。
足跡からすると、鳥の魔獣ではなく、虎や獅子の様な大型動物型の魔獣に思われる。
どういう事だろうと疑問に思いながらも、足跡が消えている奥の棚へと近づいた。
足跡はこの棚の所で消えているので、隠し部屋があるということになる。
とりあえず、棚を横に押してみると、簡単にずらすことができ、地下へと続く階段が現れた。
こんな隠し地下室を良く見つけたものだと、感心していると、セージが囁いた。
『メグ様、作戦はどのようにお考えですか?』
鳥型魔物を想定して、事前に作戦を練っていたけど、獣型魔物の場合は想定してこなかった。以前に戦った狼より大きく、D級魔物だとすると、俊敏性も狼以上で、その一撃は遥かに重く、一発でも貰えば、致命傷になりかねない。
あの狼ですら、魔法を当てられなかったのに、どう戦えばいいのだろう。
『三倍速を掛けて、剣術で戦うしかないでしょう。私が発動しはじめたら、直ぐに身体強化をかけて』
『了解しました』
燭台の蝋燭を掲げて、階段をゆっくりと下り始めると、ギーと音がなり、背後の扉が閉まった。あの棚は自動で元に戻る仕組みらしい。
出る時は、どうやるのか、気になったものの、今は魔物退治が先と、先に進んだ。
「ついに、見つかったみたいだな」
「いいじゃない。返り討ちにするだけでしょう」
「ああ、そうするが、冒険者は、肉が固いから食べたくないんだ」
「あら、冒険者といっても、若い女の子もいるわよ」
魔界語の会話が聞こえてきた。魔物は一体という話だったのに、二匹いる。
これは想定外。俊敏な獣型魔物二匹を相手にするのは、幾らなんでも無謀すぎる。
寝床も食事もない生活はしたくないけど、依頼を断念せざるをえない。
『やむをえませんが、せめてどんな魔物だったのか確認した方がよろしいかと』
セージはそんなことを言ってきたけど、ここは一目散に退散するのみ。
そんなことを思って、階段を登ろうとすると、背後から再び声がした。
「ほら、若い女の子の冒険者。しかも一人よ」
「たった一人で、討伐に来るとは、舐められたものよ」
恐る恐る振り向くと、階段下に魔物がいた。
身体から、鷲と虎の頭が生え、大きな翼をもつキメラだった。
『キメラは、身体を二人で共有しているので、俊敏な動きができないはずです』
それを聞いて、勝てるかもしれないと考え直す。
振り向くと、直ぐ火炎放射を放ち、つらら攻撃の準備を始めた。
飛び退いたところに、つららの絨毯爆撃で串刺しにするつもりだった。
だが、魔物はその場を動かない。とっさの回避すらできない程の鈍間なのかもしれない。
なら丸焦げにするだけだと、火炎放射をし続けたが何か変だ。火が防火壁に遮られたように、横に広がっている様に見える。
手から火炎が出なくなると、魔物は、火傷一つ負っておらず、平然としていた。
『もしや、火属性魔法に対する防壁を展開しているのかもしれません』
ならばと、鎌鼬 を放つも、やはり傷一つつけられない。
「それで終わり? 大したことはないわね」
落雷 、岩柱壁 、氷柱雨、火球、高圧水刃、暴風波、雷球、火柱と、次々と魔法を繰り出すも、その魔物は防壁に守られているのか、ダメージを与えられない。
「ほう。若いのになかなかの魔法の使い手だな。だが、魔法は一切通用せん」
『そんな馬鹿な。全魔法防壁なんて、聞いたことが無い』
「それで御終い? じゃあ、こっちから行くわよ」
『ここは、足場が悪く、戦闘は不利です』
『その位、分かってるわよ』
さっき、岩柱壁 で空中に浮いたし、暴風波では一メートル程後退したの見逃さなかった。
メグは持続放水攻撃を放った。
魔法でダメージを与えられなくても、これなら、防壁毎、押し返すことはできる。
目論見通りに、魔物は、少しずつ後退していき、階段下にスペースができた。
すぐさま、二分の一時間圧縮を掛け、階段から飛び降りて、下のフロアへと移動し、剣を構える。
セージも同時に身体強化魔法を掛けてくれる。
セージがいる時は、二つの魔法を同時発動できるので、有難い。
強化した筋力で、素早く踏み込んで、剣を振り下ろす。
だが、鷲はその嘴で剣を防いだ。
二太刀、三太刀と切り込むが、ことごとく嘴で受けられる。
二倍速で筋力強化までして切り込んでいるのに、鷲の首はとんでもなく高速に動き、余裕で、剣を受けている。
しかも、翼でエアプレスの様な風圧攻撃してきて、身体が仰け反ってしまい、思ったように攻撃できないし、隙も生まれる。
その時、何もせずに静観していた虎が前足を動かしてきた。
前足で攻撃してくるつもりらしい。交わさなきゃ。
そう思っているのに、この態勢では逃げられない。身体が反って伸びきって、つま先立ちしている様な状態なので、地面を蹴ることができない。
次の瞬間、ものすごい力で、胸を殴られ、血しぶきをまき散らせながら、中を飛んでいた。
ああ、意識が遠のいていく。私、食べられちゃうの。
そんなことを考えたのが最後で、そのまま気を失った。
伝染病の流行で、ほとんどの住民が死亡し、生き残った人たちも、この領地を放棄して離散し、こんな廃墟となったというけど、これだけの建物が残っているなら、もったいない気がする。
魔物も、そう思って住むことにしたのかなと、冗談半分に考えてしまった。
でも、この広い敷地の建屋のどこかに潜んでいるとすると、探すのは大変だ。
一軒一軒、虱潰しに探索すると、日が暮れそうな気がして、頭が痛くなる。
魔物の方から出てきてくれないかなと期待して、廃墟の街を一通り歩いて回った。
そして、魔物が居そうな雰囲気がする建屋から順に探していくことにした。
最初に向かったのは、不気味な寺院。窓も木枠で封がしてあり、いかにも怪しい雰囲気が漂っている。
中は、昼間だというのに、光があまり差し込まず、窓を覆っている木枠の隙間から、僅かに陽光が細い線の様に差し込み、埃が反射して、きらきら光っている。
空気が冷たく感じ、シーンと静まり返って、足音だけが、反響するように響く。
広いスペースの右奥に、奥の小部屋へと入れる通路があり、入ると蝙蝠が飛んできて、びっくりさせられたけど、魔物はどこにもいなかった。
その後も、片っ端に廃屋に入り、全ての建屋を探したものの、魔物は出てきてくれないし、どこにもいなかった。
昼前に着いていたのに、何の成果も得られないまま、日没を迎えてしまった。
こんな依頼受けるんじゃなかったと、後悔しながら、もう一度、最も怪しそうな寺院に、足を踏み入れた。
鳥型魔物なら、活動時間は昼間の筈だけど、梟の様な夜行性の魔物の可能性もあると、考え直し、昼間はどこかに身を潜めて寝ていたに違いないと、もう一度探してみることにした。
日没過ぎといっても、外はまだ白々としていたのに、寺院の中は暗闇に近く、目を凝らしてもよく見えないくらいの暗さだった。
そういえば、昼前に来た時に、奥の部屋の燭台に蝋燭が残っていたのを思い出し、僅かに差し込む明かりを頼りに、恐る恐る奥の部屋へと向かった。
その途中、ギーと何かの軋む様な音が、奥から聞こえた気がした。
耳をそばだてるも、もう何も聞こえない。
奥の部屋は、手前の広間とは違い、完全に真っ暗だった。
昼に来た記憶を頼りに、手探りで、燭台を探し出し、蝋燭に火をつけた。
すると、床の埃の上に、私の足跡とは異なる真新しい獣の足跡を見つけた。ついさっきまで、そいつがここにいた証拠。さっきの音は、どこかに魔物が逃げた時のものに違いない。
注意深く、床を見ると、昼間は気づかなかったけど、埃で消えそうになっている足跡も残っていた。
あの時、気づいていたら、こんなに時間を無駄にせずに済んだのにと、少し後悔した。
足跡からすると、鳥の魔獣ではなく、虎や獅子の様な大型動物型の魔獣に思われる。
どういう事だろうと疑問に思いながらも、足跡が消えている奥の棚へと近づいた。
足跡はこの棚の所で消えているので、隠し部屋があるということになる。
とりあえず、棚を横に押してみると、簡単にずらすことができ、地下へと続く階段が現れた。
こんな隠し地下室を良く見つけたものだと、感心していると、セージが囁いた。
『メグ様、作戦はどのようにお考えですか?』
鳥型魔物を想定して、事前に作戦を練っていたけど、獣型魔物の場合は想定してこなかった。以前に戦った狼より大きく、D級魔物だとすると、俊敏性も狼以上で、その一撃は遥かに重く、一発でも貰えば、致命傷になりかねない。
あの狼ですら、魔法を当てられなかったのに、どう戦えばいいのだろう。
『三倍速を掛けて、剣術で戦うしかないでしょう。私が発動しはじめたら、直ぐに身体強化をかけて』
『了解しました』
燭台の蝋燭を掲げて、階段をゆっくりと下り始めると、ギーと音がなり、背後の扉が閉まった。あの棚は自動で元に戻る仕組みらしい。
出る時は、どうやるのか、気になったものの、今は魔物退治が先と、先に進んだ。
「ついに、見つかったみたいだな」
「いいじゃない。返り討ちにするだけでしょう」
「ああ、そうするが、冒険者は、肉が固いから食べたくないんだ」
「あら、冒険者といっても、若い女の子もいるわよ」
魔界語の会話が聞こえてきた。魔物は一体という話だったのに、二匹いる。
これは想定外。俊敏な獣型魔物二匹を相手にするのは、幾らなんでも無謀すぎる。
寝床も食事もない生活はしたくないけど、依頼を断念せざるをえない。
『やむをえませんが、せめてどんな魔物だったのか確認した方がよろしいかと』
セージはそんなことを言ってきたけど、ここは一目散に退散するのみ。
そんなことを思って、階段を登ろうとすると、背後から再び声がした。
「ほら、若い女の子の冒険者。しかも一人よ」
「たった一人で、討伐に来るとは、舐められたものよ」
恐る恐る振り向くと、階段下に魔物がいた。
身体から、鷲と虎の頭が生え、大きな翼をもつキメラだった。
『キメラは、身体を二人で共有しているので、俊敏な動きができないはずです』
それを聞いて、勝てるかもしれないと考え直す。
振り向くと、直ぐ火炎放射を放ち、つらら攻撃の準備を始めた。
飛び退いたところに、つららの絨毯爆撃で串刺しにするつもりだった。
だが、魔物はその場を動かない。とっさの回避すらできない程の鈍間なのかもしれない。
なら丸焦げにするだけだと、火炎放射をし続けたが何か変だ。火が防火壁に遮られたように、横に広がっている様に見える。
手から火炎が出なくなると、魔物は、火傷一つ負っておらず、平然としていた。
『もしや、火属性魔法に対する防壁を展開しているのかもしれません』
ならばと、鎌鼬 を放つも、やはり傷一つつけられない。
「それで終わり? 大したことはないわね」
落雷 、岩柱壁 、氷柱雨、火球、高圧水刃、暴風波、雷球、火柱と、次々と魔法を繰り出すも、その魔物は防壁に守られているのか、ダメージを与えられない。
「ほう。若いのになかなかの魔法の使い手だな。だが、魔法は一切通用せん」
『そんな馬鹿な。全魔法防壁なんて、聞いたことが無い』
「それで御終い? じゃあ、こっちから行くわよ」
『ここは、足場が悪く、戦闘は不利です』
『その位、分かってるわよ』
さっき、岩柱壁 で空中に浮いたし、暴風波では一メートル程後退したの見逃さなかった。
メグは持続放水攻撃を放った。
魔法でダメージを与えられなくても、これなら、防壁毎、押し返すことはできる。
目論見通りに、魔物は、少しずつ後退していき、階段下にスペースができた。
すぐさま、二分の一時間圧縮を掛け、階段から飛び降りて、下のフロアへと移動し、剣を構える。
セージも同時に身体強化魔法を掛けてくれる。
セージがいる時は、二つの魔法を同時発動できるので、有難い。
強化した筋力で、素早く踏み込んで、剣を振り下ろす。
だが、鷲はその嘴で剣を防いだ。
二太刀、三太刀と切り込むが、ことごとく嘴で受けられる。
二倍速で筋力強化までして切り込んでいるのに、鷲の首はとんでもなく高速に動き、余裕で、剣を受けている。
しかも、翼でエアプレスの様な風圧攻撃してきて、身体が仰け反ってしまい、思ったように攻撃できないし、隙も生まれる。
その時、何もせずに静観していた虎が前足を動かしてきた。
前足で攻撃してくるつもりらしい。交わさなきゃ。
そう思っているのに、この態勢では逃げられない。身体が反って伸びきって、つま先立ちしている様な状態なので、地面を蹴ることができない。
次の瞬間、ものすごい力で、胸を殴られ、血しぶきをまき散らせながら、中を飛んでいた。
ああ、意識が遠のいていく。私、食べられちゃうの。
そんなことを考えたのが最後で、そのまま気を失った。
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