2 / 56
第一章 独りぼっちのメグ
私ってお嬢様なの?
しおりを挟む
『%#$!&¥$#&!%#』
さっきから頭の中に声の様な雑音がして、五月蝿い上に、生臭い臭いまでしてきて、ざらざらなもので、顔をやすり掛けされている気がする。
折角おいしいケーキを食べてた夢を見てたのに、これじゃ、寝ていられないじゃない。
ゆっくりと目を開くと、目の前に、巨大な虎がいた。
『えっ、どうゆうこと。ここはどこ。私、食べられちゃうの?』
急いで逃げ出したいのに、恐怖から腰が抜けた様になり、立ち上がれない。
「お願い、食べないで。私なんておいしくないから。お腹をこわすだけよ」
虎は、首をかしげて、じっと見つめている。
『¥#!&$%#、あっ、失礼しました。私としたことが失念しておりました』
頭の中の雑音が、はっきりと理解できる言葉になった。
『あなたは誰』
『はぁ? お嬢、否、メグ様は、私までもお忘れですか? あなたの従者のセージです』
『誰でもいいけど、従者なら助けてよ』
『と言われましても、私はここから動けませんし、メグ様ご自身の能力で何とかしていただかないと……』
「役立たず。あっ、あなたに言ったんじゃないのよ。ねっ、そんな目でみないで……」
虎はじっと睨みつけて座ったまま、微動だにしない。
『人間の言葉は理解できませんので、大丈夫です。この魔物、メグ様に敵意は向けておれませんので、友好を図ってはいかがでしょう。魔界語を有効にしますか?』
『魔界語? こんな獣に魔界語が理解できるの?』
『それは分かりかねますが、この者、なかなかの紳士の様に、私には見えますゆえ』
『分かった。魔界語を使えるようにして』
『了解しました。現在の言語能力に、魔界語を追加します。残り言語能力枠は一となります』
そう言われても、本当に魔界語が話せるようになったのかは、分からなかいし、どうやって魔界語を話せばいいのかも、分からない。
『魔界語と念じてから、普通に話せば、魔界語になります』
その助言を信じて、話し始めると、今までの言葉とは違う言語が口から出ていた。
「お願い、殺さないで! 私は……。あれ?」
何も覚えてない。自分の名前すら分からない。
『やはり、激突のショックで、記憶を失っていましたか。さて、どうしましょう』
セージとかいう役立たずが、また何か言っているけど、今はそれどころじゃない。
「なんでこんなところにいるのかもわからなけど、この森を荒らしに来たわけじゃないの。だから、殺さないで」
「殺すわけがありません。随分と大きくなられましたが、マーガレット姫様ですよね。その全身から溢れる出るオーラで確信いたしました。お会いできて光栄です。私、現世ではこのような魔物の姿になりましたが、嘗ては王の側近で、幼き頃の姫様を何度かご拝謁したことがあります」
「マーガレット姫? 私、どっかの王国の姫なの?」
「どうなされたのですか、まさかお記憶を……。むむっ、どうやら冒険者が来たようです。まだまだお話ししていたいですが、私目はこれにて、失礼させて頂きます」
その虎は、一瞬で姿を消してしまった。
「ねぇ、セージ。どういうこと。ちゃんと聞かせて。私はどこの誰なの?」
『メグ様、それはご勘弁下さい。記憶を無くされる前に、メグ様と約束されたことです。全ての柵を捨て、一村人メグとして、生きることを選択されましたので……』
もしかして、政略結婚させられることになり、どこかの王国から逃亡して、この地に逃げて来たということ?
まあ、くよくよ悩んでも仕方がない。
人が近寄って来るなら、その人たちに助けてもらおう。
メグは、ゆっくりと立ち上がると、虎が視線を向けていた方角に歩き始めた。
さっきから頭の中に声の様な雑音がして、五月蝿い上に、生臭い臭いまでしてきて、ざらざらなもので、顔をやすり掛けされている気がする。
折角おいしいケーキを食べてた夢を見てたのに、これじゃ、寝ていられないじゃない。
ゆっくりと目を開くと、目の前に、巨大な虎がいた。
『えっ、どうゆうこと。ここはどこ。私、食べられちゃうの?』
急いで逃げ出したいのに、恐怖から腰が抜けた様になり、立ち上がれない。
「お願い、食べないで。私なんておいしくないから。お腹をこわすだけよ」
虎は、首をかしげて、じっと見つめている。
『¥#!&$%#、あっ、失礼しました。私としたことが失念しておりました』
頭の中の雑音が、はっきりと理解できる言葉になった。
『あなたは誰』
『はぁ? お嬢、否、メグ様は、私までもお忘れですか? あなたの従者のセージです』
『誰でもいいけど、従者なら助けてよ』
『と言われましても、私はここから動けませんし、メグ様ご自身の能力で何とかしていただかないと……』
「役立たず。あっ、あなたに言ったんじゃないのよ。ねっ、そんな目でみないで……」
虎はじっと睨みつけて座ったまま、微動だにしない。
『人間の言葉は理解できませんので、大丈夫です。この魔物、メグ様に敵意は向けておれませんので、友好を図ってはいかがでしょう。魔界語を有効にしますか?』
『魔界語? こんな獣に魔界語が理解できるの?』
『それは分かりかねますが、この者、なかなかの紳士の様に、私には見えますゆえ』
『分かった。魔界語を使えるようにして』
『了解しました。現在の言語能力に、魔界語を追加します。残り言語能力枠は一となります』
そう言われても、本当に魔界語が話せるようになったのかは、分からなかいし、どうやって魔界語を話せばいいのかも、分からない。
『魔界語と念じてから、普通に話せば、魔界語になります』
その助言を信じて、話し始めると、今までの言葉とは違う言語が口から出ていた。
「お願い、殺さないで! 私は……。あれ?」
何も覚えてない。自分の名前すら分からない。
『やはり、激突のショックで、記憶を失っていましたか。さて、どうしましょう』
セージとかいう役立たずが、また何か言っているけど、今はそれどころじゃない。
「なんでこんなところにいるのかもわからなけど、この森を荒らしに来たわけじゃないの。だから、殺さないで」
「殺すわけがありません。随分と大きくなられましたが、マーガレット姫様ですよね。その全身から溢れる出るオーラで確信いたしました。お会いできて光栄です。私、現世ではこのような魔物の姿になりましたが、嘗ては王の側近で、幼き頃の姫様を何度かご拝謁したことがあります」
「マーガレット姫? 私、どっかの王国の姫なの?」
「どうなされたのですか、まさかお記憶を……。むむっ、どうやら冒険者が来たようです。まだまだお話ししていたいですが、私目はこれにて、失礼させて頂きます」
その虎は、一瞬で姿を消してしまった。
「ねぇ、セージ。どういうこと。ちゃんと聞かせて。私はどこの誰なの?」
『メグ様、それはご勘弁下さい。記憶を無くされる前に、メグ様と約束されたことです。全ての柵を捨て、一村人メグとして、生きることを選択されましたので……』
もしかして、政略結婚させられることになり、どこかの王国から逃亡して、この地に逃げて来たということ?
まあ、くよくよ悩んでも仕方がない。
人が近寄って来るなら、その人たちに助けてもらおう。
メグは、ゆっくりと立ち上がると、虎が視線を向けていた方角に歩き始めた。
10
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
王子妃だった記憶はもう消えました。
cyaru
恋愛
記憶を失った第二王子妃シルヴェーヌ。シルヴェーヌに寄り添う騎士クロヴィス。
元々は王太子であるセレスタンの婚約者だったにも関わらず、嫁いだのは第二王子ディオンの元だった。
実家の公爵家にも疎まれ、夫となった第二王子ディオンには愛する人がいる。
記憶が戻っても自分に居場所はあるのだろうかと悩むシルヴェーヌだった。
記憶を取り戻そうと動き始めたシルヴェーヌを支えるものと、邪魔するものが居る。
記憶が戻った時、それは、それまでの日常が崩れる時だった。
★1話目の文末に時間的流れの追記をしました(7月26日)
●ゆっくりめの更新です(ちょっと本業とダブルヘッダーなので)
●ルビ多め。鬱陶しく感じる方もいるかも知れませんがご了承ください。
敢えて常用漢字などの読み方を変えている部分もあります。
●作中の通貨単位はケラ。1ケラ=1円くらいの感じです。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界の創作話です。時代設定、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
【完結】記憶を失くした貴方には、わたし達家族は要らないようです
たろ
恋愛
騎士であった夫が突然川に落ちて死んだと聞かされたラフェ。
お腹には赤ちゃんがいることが分かったばかりなのに。
これからどうやって暮らしていけばいいのか……
子供と二人で何とか頑張って暮らし始めたのに……
そして………
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
王女殿下は家出を計画中
ゆうゆう
ファンタジー
出来損ないと言われる第3王女様は家出して、自由を謳歌するために奮闘する
家出の計画を進めようとするうちに、過去に起きた様々な事の真実があきらかになったり、距離を置いていた家族との繋がりを再確認したりするうちに、自分の気持ちの変化にも気付いていく…
【完結】ちびっこ錬金術師は愛される
あろえ
ファンタジー
「もう大丈夫だから。もう、大丈夫だから……」
生死を彷徨い続けた子供のジルは、献身的に看病してくれた姉エリスと、エリクサーを譲ってくれた錬金術師アーニャのおかげで、苦しめられた呪いから解放される。
三年にわたって寝込み続けたジルは、その間に蘇った前世の記憶を夢だと勘違いした。朧げな記憶には、不器用な父親と料理を作った思い出しかないものの、料理と錬金術の作業が似ていることから、恩を返すために錬金術師を目指す。
しかし、錬金術ギルドで試験を受けていると、エリクサーにまつわる不思議な疑問が浮かび上がってきて……。
これは、『ありがとう』を形にしようと思うジルが、錬金術師アーニャにリードされ、無邪気な心でアイテムを作り始めるハートフルストーリー!
【完結】 元魔王な兄と勇者な妹 (多視点オムニバス短編)
津籠睦月
ファンタジー
<あらすじ>
世界を救った元勇者を父、元賢者を母として育った少年は、魔法のコントロールがド下手な「ちょっと残念な子」と見なされながらも、最愛の妹とともに平穏な日々を送っていた。
しかしある日、魔王の片腕を名乗るコウモリが現れ、真実を告げる。
勇者たちは魔王を倒してはおらず、禁断の魔法で赤ん坊に戻しただけなのだと。そして彼こそが、その魔王なのだと…。
<小説の仕様>
ひとつのファンタジー世界を、1話ごとに、別々のキャラの視点で語る一人称オムニバスです(プロローグ(0.)のみ三人称)。
短編のため、大がかりな結末はありません。あるのは伏線回収のみ。
R15は、(直接表現や詳細な描写はありませんが)そういうシーンがあるため(←父母世代の話のみ)。
全体的に「ほのぼの(?)」ですが(ハードな展開はありません)、「誰の視点か」によりシリアス色が濃かったりコメディ色が濃かったり、雰囲気がだいぶ違います(父母世代は基本シリアス、子ども世代&猫はコメディ色強め)。
プロローグ含め全6話で完結です。
各話タイトルで誰の視点なのかを表しています。ラインナップは以下の通りです。
0.そして勇者は父になる(シリアス)
1.元魔王な兄(コメディ寄り)
2.元勇者な父(シリアス寄り)
3.元賢者な母(シリアス…?)
4.元魔王の片腕な飼い猫(コメディ寄り)
5.勇者な妹(兄への愛のみ)
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる