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第三章 魔王討伐という名の試練

遂に死亡者がでてしまいました

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 翌朝、魔王ファゼルを討伐する作戦会議をした。といっても、どんな男かもわからないので、スキル無効結界をどのようにして破壊するかの作戦会議となった。
 透明結界で守られてる可能性が高いので、ユリが口上を述べている時に、透明結界の制御装置の場所を確認し、僕以外の全員掛かりで取り押さえ、身体検査して鍵を奪い取るという作戦になった。
 ダニエルの念力だけで、抑え込めるのが理想的だが、おそらくそう簡単には行かず、近接して、抑え込む必要があると予想される。その際に反撃され、多数の重傷者がでるので、僕は彼らが死なない様に、回復に徹するという作戦だ。僕のリジェネと、エクストラヒールがカギになるので、魔力総量の少ない僕にはもったいない話だが、最後のマナポーションは僕が持って、勝手に使用してよいことになった。
 勿論、それでも回復が間に合わず、死亡者がでるリスクもあるが、魔王を倒すには、スキル無効では不可能という結論からの苦肉の作戦だ。

 万全な準備をして、ドアを開け、魔王の間に突入したが、もぬけの殻で、魔王がいない。
 奥にスキル無効結界制御装置らしき装置があり、その装置の前に置かれた立派な椅子には、誰も座って居なかったのだ。
 装置に近づくと、やはり透明結界に守られいた。

「魔王はどこ?」
 本当に誰もいないのかと、透明結界解除装置探しも兼ねて、部屋の中を探した。
 棚には、目玉がコレクションの様に瓶詰めして、沢山飾ってあった。第三夫人は、両目がなく、第一夫人も片目に眼帯をしていたことを思い出した。魔王は、目玉の収集家なのかもしれない。

「こっちに来て」 部屋の隅からフレイアの声がした。
 そこに向かうと、机の下で頭を抱えて震えている幼児が居た。
「あなたが、魔王ファゼルなの?」
「僕は違う。魔王の替え玉」
 影武者だというが、只の幼児とは思えない。
「こんなガキが、魔王とは思えないが、遣っちまおうぜ」
 少し前のブリットなら、問答無用にナイフで目を切っていた筈だが、ユリの正義感の影響を受けたのか、ちゃんとユリに、確認するようになっていた。
「何もしないから、出てきなさい。少し話を聞かせて貰えるかしら」
 幼児は頷き、震えながら、出てきたが、本当に幼く可愛い五、六歳の男の子だった。
 だが、僕らが油断した隙に、突如殺気を発し、ユリに、目つぶしでもするように、手を伸ばしてきた。
 ユリは間一髪でそれを交し、剣をぬく。
「御免なさい。魔王様に、勇者を殺せと言われていたから」
 その子は、直ぐに手を上げ、降参のポーズを取った。

「これが結界制御装置」
 その机のサイドテーブルに見えていたが、フレイアは見破った。
 ローラが杖を構えて、念じると、その偽装魔法が解除され、制御装置が現われた。
「大人しく、鍵を渡しなさい」
 男の子は、ズボンのポケットに手を突っ込み、結界解除用の魔法の鍵を取り出した。
 きっと、何かの攻撃をしてくるのではと、全員が身構えたが、素直に鍵を取り出したのには拍子抜けだ。
「鍵を、下に落とし、こっちに蹴りなさい」
 ユリは、鍵を受け取ることをせず、念には念を入れ、鍵をこっちに蹴らせた。
 ユリはそれでも警戒し、視線を幼児に向けたまま、鍵を拾い、フレイアに渡した。

 透明結界が消えると、突如警戒音が鳴り、パトライトが回り出した。
「結界解除すると、装置が大爆発する仕組みになっているんです。ここから早く出て行かないと、全員大怪我することになりますよ」
 幼児は、自分だけは被害を受けないと確信しているかのように、大胆不敵な笑みを浮かべた。
「だから、大人しく、鍵を渡したのか」
「ローラ、なんとか耐えられる?」
「分からない。でもやるしかないでしょう。全員集まって」
「僕はあらゆる魔法に精通した魔王だよ。防壁なんか張らせると思っているのかな」
 やはり、影武者ではなく、魔王そのものだった。

「ダメ。防壁が直ぐに解除されちゃう」
「五、四、三」
「ダニエル」
 ダニエルは一歩後ろに下がって目をつぶると、制御装置の周辺にあったものが、一斉に壁際に移動していく。
「一」
 ドカン。
 爆発の直前、アーロンが僕たちに覆いかぶさる様にして、盾になってくれたが、爆風で、全員が入り口付近の壁まで吹き飛ばされた。
 ダニエルの念力のお蔭で、周囲にあったものは飛んでこなかったが、装置の破片は防ぎきれず、ダニエルの身体は、破片が体中に刺さる重傷だ。全員が傷を負ったが、特にアーロンは瀕死の重傷だった。
 僕は直ぐにアーロンにエクストラヒールを掛け、ダニエルにスーパーヒールを掛けて治療した。

 砲煙が晴れると、奥の壁はなくなっていて、オーロラのベールも消え、熱風が吹き込んできていて、天井も次々と崩落を始めていた。
 だが、幼児姿の魔王だけは、その場から一歩も動かずに、立っていた。
「あぁあ、折角の空調設備が、台無しになってまいましたね。蒸し暑いのは嫌いなんですが」
 そんなことより、一番爆心地近い位置にいながら、傷一つ追っていない事の方が疑問だ。
「不思議ですか? 種明かしすると、強固な防壁を展開したんですよ。私の前に立っていれば、皆さんも、被害は受けなかったんですがね」

「こいつ」 まだ治療をしていないのに、ボルドーがビックを手に、魔王に襲い掛かる。
「能力は大したことないな。これなら倒せる」 ブリッドもナイフで殺しに向かった。
「不用意に突っ込まないで。この子、とんでもない化け物よ」
 ユリは気配感知でその子のオーラを感知したらしい。
「フレイア、どうなんだ」 僕はフレイアに鑑定結果を尋ねた。
「分からない。魔力量だけは飛びぬけているけど、他はAランク程度で、スキルもない。でも、この動きはこの能力値では説明できない」
 確かに、二人の攻撃が全く当たっていない。ぎりぎりで交わしているので、あまり目立たないが、ぺセププの様な超高速移動を十センチ程度の距離で繰り返している。
「能力偽装よ。一旦引いて」
 ユリは戦闘中の二人に指示をだしたが、遅かった。ブリッドは何とか戻ってきたのだが、ボルドーは、何をされたのか分からないが、その場に立ち尽くし、苦しそうに胸を掻き見知り始めたのだ。
 そして、膝をついて倒れると、心臓を右手に握りしめている小学生くらいの少年が立っていた。
「あぁあ、鑑定偽装までみやぶられてしまいましたか」
 少年は、どんどん大きくなっていき、ついには大人になって、その心臓を握りつぶした。
 その途端、ボルドーは、前のめりに倒れた。
 あれが、ボルドーの心臓なのかはわからないが、遂に死亡者が出てしまった。

「皆さんは酷い人たちですね。かわいい子供の姿だと襲われないと、トルスタン王は教えてくれたのに、容赦なく襲ってくるんですから」
 さっきまでの声とは全く違う、良く通る低音ボイスでそう言ってきた。
「トルスタンには王などいないぞ」
「ええ、革命で殺されましたからね。お蔭で、その後の人間界を観察する手段を失ってしまいました。でも、トルスタンはモーラシア大陸の統一を成し遂げたんじゃないですか。私たちが手を貸してあげたんだから、それくらいしてもらわないとね」
「どういうことなの?」
「三百年前、トルスタン王が魔人の力を貸して欲しいと、共闘の申し入れに、ここまでやってきたんですよ。国民十万人の命を捧げるので、モーラシア大陸の強豪国を倒して欲しいってね」
 魔王討伐ではなく、魔王の力を借りに同盟交渉にきていたとは、驚きだ。

「申し遅れました。私、この魔界を統治するファゼルと申します。私のコレクションも爆発で失ったので、十万人の人命を差し出すなら、あなた達に力を貸してあげても、いいですよ」
「ふざけるな」
「ユウスケ、静かに」 ユリに言われ、自分が何をすべきかを思い出した。今の立ち位置なら、魔王だけに空気遮断を掛けることができるのだ。

「こちらこそ、自己紹介が遅れました。私はプルキナス王国の勇者ユリとその仲間です。トルスタン王国は、御察しの通り、現在、モーラシア大陸の統一を成し遂げ、トルスタン合衆国となっています。そして、彼らは、そのトルスタン合衆国が派遣した魔王討伐隊の一員です。私たちと志を同じくし、あなたを討つために共闘させてもらっています」
「そんなことは、分かっていますよ。あなた達を殺さない為に、こちらから提案してあげたのに、頭の固い人は、話になりませんね」
 魔王が手で払う様にすると、僕の身体は強烈な風をうけ、吹き飛ばされた。空気遮断が解除されただけでなく、既に壁が無くなっているので、落下死しそうになった。だが、ぎりぎりのところで、床の端にぶら下がった。
「いいことを教えてあげましょう。空気遮断も、細胞変質も、私の魔法を使えるようにスキルとして、トルスタン王に私が授けてあげた者なんです。あなた方が必勝スキルと考えているものは、魔法として私も使えるんですよ」
 そう言えば息苦しい。まさか、既に空気遮断を発動されているのか。
 僕は、透明化して気配を消し、何とか無事、床の上に戻ってきたが、その際、床の一部が崩れ落ちた。

「あぁあ、降参しないから、一人、落ちてしまいましたね。まあ、命を落とすことないでしょうけど」
 どうやら、僕が落下したと思い込んでいるらしい。なら、自由に攻撃できるが、問題はいつ攻撃を仕掛けるかだ。
 そんなことを考えていると、全員が、苦しそうな表情になり、膝をついて動けなくなった。
 だが、僕だけは、苦しくない。どういうことだかわからなかったが、透明化スキルを発動したことで、僕に掛けられていた魔法の効果も解除されたらしい。
「苦しいですか。今なら、見逃してあげてもいいですよ」
「私たちは、あなたの討伐をやめる気はありません」
 ユリは苦しくても、信念を曲げない。

「いや、待ってくれ。俺たちは降参する」
 ブリッドが降参のポーズをとり、ダニエルも直ぐにそれに倣った。
「いいでしょう」
 二人は、はぁはぁと粗い息使いを始めた。
「あなたたちは、何時まで頑張るつもりなんですか。もう意識が遠のいているんじゃないですか」
 ローラとフレイアは、本当に苦しそうで、顔をしかめて青白くなり、ふらふらだ。
 ここは、僕が魔王に切りかかって、スキル解除すべきだろうか。
 そんなことをすれば、逆転チャンスを失うことになるが、僕は必死に頭を悩ませていた。

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