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第五章 平和を目指して頑張って来ただけなのに
5-4 フェンの進化は、凄すぎでした
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アクネルが、誰にも見つからずに、魔王城に行けると自慢したので、彼女に道案内を任せたが、それを信じた僕が馬鹿だった。
魔族領に入って、十分もしない内に、雑魚からなる討伐隊がやってきた。
雑魚といっても、魔人二十人程と、魔獣百匹弱。対するこっちはたったの四人なので、苦戦することになった。
それでも、なんとか退けることができた。
魔獣を半分くらい片付け、魔人を八人程殺すと、勝てないと悟って慌てて逃げ出した。
「進化可能になったけど、ここで進化した方がいいかな」
フェンもついにレベル40となっていた。精神力も今回ついに四万を超え、全てが四万超となり、攻撃力は遂に五万を超えた。
既に、とんでもない化け物なので、二メートル近い大女になるより、このままのフェンで居て欲しい気はする。
大女になると、服の問題もあり、進化すべきか悩んだが、やはり進化機会を失しないたくない。
そこで、転移魔法で、ドリーたちの許に行き、そこで進化して、彼女の身体にあった新たな服を作ってもらうことにした。
「私一人でいく。アクネルとルネールだけでも大丈夫だと思うけど、今度はもっと沢山の兵を引き連れてやって来るかもしれないでしょう。それに、進化の時、裸になるから……」
何度もセックスしているのに、そんなことを言い出して、少し変な気もしたが、確かに敵がまた襲ってくる可能性はある。
そういう訳で、フェン一人で行かせ、僕ら三人はその場にとどまり、戻ってくるのを待つことにした。
フェンを待つ間の時間潰しに、アクネルがどうやって魔王と出会い、妻になったのかを訊くことにした。
アクネルは、三年前に進化して、今のユニーク個体を手に入れたのだそう。以前より戦闘力が倍増し、これなら誰にも負けないと確信した。
そこで、自分がこの魔界を統一し、魔王になろうと考え、次々と隣接する領主を殺し、急速に領土を広げていったのだとか。
だが、アクネルを脅威に感じた周辺領主は、同盟を結び、アクネル抹殺に動きだす。五つの領主の軍に、取り囲まれ、領土をどんどん奪われて行き、遂に、彼女の根城まで陥落し、一族全員が殺された。
彼女だけは、命からがら逃げ出したが、瀕死の状態で絶命寸前。必死に逃げた先のとある森に身を潜めて、瀕死の傷をいやしていた。
そこに現れたのが、魔人ディボラだ。聖人の様に打算なく誰にも優しい男で、魔蜘蛛の彼女を保護して、彼の邸宅に運び、看病までして助けてくれた。
彼女は、魔人の姿になり、お返しとしてその身体を捧げたが、男は筋肉質のいい体をしていて、あっちの方も上手で、アクネルはその一回で、ディボラの虜になってしまったのだとか。
屋敷はそれなりに大きいのに、使用人が二人しかおらず、お金にも苦労していて、しかも独身者だった。
それで、彼女は、彼の妻となり、彼をこの魔界の覇王、魔王にしようと決めた。
でも、どんなに説得してもディボラは敵を作るのを嫌い、決して戦を仕掛けない。
貧しい生活を甘んじて受け入れ、領民に施しをするほどだった。
アクネルも、彼の説得を諦め、二人で静かにいきていこうと考える様になっていった。
だが、事件がおきる。親友だと思っていた隣国の魔人が計略で彼を嵌め、征服戦争を仕掛けてきたのだ。
それが切っ掛けで、彼の魔王としての覇道がはじまる。
幼馴染の親友に裏切られ、誰も信じられなくなった彼は、それならばと周辺の魔人領を次々と侵略し、平定していった。
捕えた領主は、その場で見せしめにして惨殺し、妻や娘やその領土の美女は、全て自分の女していった。
だが、それなりに強い領主も居る。のちに彼の側近の軍団長や四天王と呼ばれる魔人たちだ。
彼らは貴重な戦力になると考えたディボラは、捕えても殺さず、アクネルと一騎打ちさせるチャンスを与えた。
当然、彼の恋人や妻子にも手は出さず、彼の女まで与えて優遇し、配下として取り込むようにした。
そんな巧みな戦略により、瞬く間に魔界を統一して見せたというわけだった。
「そんな女たらしに、嫉妬しなかったのかよ」
「男はお主の様に、女たらしの方がいい。女にもてない様な男ではだめじゃ」
「そうそう、精力絶倫で優しくて強い男に、女は惹かれるのよ。魔王は健斗と同じタイプね」
そんな話をしていると、魔王の使者を名乗るサキュバスが現れた。
アクネルの人型形態を一回り小さくした感じで、胸は彼女の方が比率的に少し大きく、やはり全裸だ。
彼女は、ルネーラの前に跪き、用件を話し出した。
「亜人領の領主、ルネーラ様の一行で在らせらますね。私は魔王の秘書のエーレンと申します。魔王ディボラ様が、これ以上、無益な戦いはしたくないとの仰せで、あなた方にお会いになるそうです。案内致しますので、私についてきてください」
「僕たちは魔王に話があって来たので、ありがたいが、今は人を待っている。もう少し待って頂けないだろうか」
僕がそう言うと、彼女はきっと僕を睨みつけてきた。
彼女は、『魔族 アークデーモン サキュバス形態』となっていた。サキュバスは魔族の一種族だと思っていたが、アークデーモンの雌だったみたいだ。サキュバス形態以外の形態もあるらしく、どんな身体をしているのか知りたいが、いまはそれどころではない。
二人が怒り出してしまったのだ。
「無礼者。我らが主に威圧など発しおって、何を考えておる」
「たかがサキュバス風情が、妾の夫を睨むとは無礼にもほどがある」
エーレンは、慌てて目を丸して、深く首を垂れた。
「ルネーラ様、アクネル様、申し訳ありません。こちらのお方が主様であらせらましたか。人族とは異なるオーラを放たれておいでですが、よろしければ、どのようなお方なのか、お教え願いませんでしょうか」
「僕は、篠崎健斗。先週、人神という存在に進化し、亜人領の国王になった。二人は第三、第四王妃というわけだ」
「何も知らず、失礼いたしました。申し訳ありませんが、魔王ディボラ様に事前に報告してまいりますので、この場で暫くお待ちいただけますか?」
「ああ、どうせ人待ちしてるところだから」
彼女は血相を変えて、飛び去って行った。
そして、フェンが消えて、三十分程が経ち、フェンが戻って来た。
予想通りに二メートル近い大女になっていたが、そのドレスは前回までとは全く違った。
今度はバスタオル撒いている様な肩紐すらないミニ丈のミニドレス。ピチピチのボディコンドレスなので、フリル等も一切なく、乳首がハッキリ浮き上がっているし、乳房がほとんど露出しているので、谷間もハッキリと見える。下もパンツが見えないぎりぎりの丈なので、動けばパンチラ確定の丈だ。
正直、目のやり場に困る服だが、それでも彼女と見つめあって鑑定してみると、とんでもなかった。
【
攻撃力 80931
防御力 56217
耐久力 59873
精神力 49356
機動力 79856
知力 2607
創造力 2011
】
その能力値は、僕の予想をはるかに上回り、全てが大きく上昇していて、攻撃力と機動力は八万もある。
人間到達可能なレベル99の秀でた能力値が、9802に過ぎないので、化け物なんて表現でも足りない神クラスの能力値だ。
ルネーラも、アクネルもそれぞれ鑑定してみて、唖然としたほどで、アクネルはどっちが強いか勝負しようといいだして、止めるのに苦労したほどだ。
彼女にはバブ魔法や凄い攻撃スキルが沢山あるので、戦えばアクネル以上と思うが、少なくとも、ルネーラなんかよりずっと強くなっているのは間違いない。
そのすぐ後、再び、エーレンが現れ、人族にしか見えないフェンを不審な目でみていたが、僕の第二王妃だというと、改めて自己紹介して、僕ら四人を案内してくれた。
魔王城は、ゲーム世界でよく見る不気味なお城で、蝙蝠の様に、ガーゴイルが飛び回っている。
玄関には、ギガンテスという一つ目の巨人が門番をしていて、フロアには、全身鎧が左右にならんでいる。気配感知で魔物となっているので鑑定すると、ダークナイトという魔族だった。
そして、魔王との謁見の間に入ると、中央にローブ姿の魔人が足を組んで座っていて、その左右に、四天王と思われる魔人二人がいて、左右の壁際には、その配下とおもわれる魔人が四人ずつ直立姿勢で待機していた。
僕は、礼儀を重んじて、彼の前に跪いて首を垂れた。すると他の三人も慌てて僕を真似た。
「お前が、新たに亜人領の国王となった健斗という人神か。あのアクネルを手名付けるとは、なかなかの男らしいな」
「魔王ディボラ様ですか。私は先日、ケント王国という亜人族の国を建国し、初代国王についた健斗・篠崎と申します。先日のエルフの里襲撃事件に、腸が煮えくり返る思いですが、本日は、お招きに預かりありがとうございます。その件には、賠償請求したいところですが、私どもからの提案を受け入れて頂ければ、不問とさせていただきます」
「貴様ら、頭にのるなよ」 四天王が武器を抜いて身構えた。
「やめよ。無用な戦闘はしたくない。健斗とやら、その提案とやら、聞かせて貰おうではないか」
僕は、当初の提案どおり、先ずは、一年間、不可侵条約を結ばないかと提案した。もし、了承いただけない場合は、エルフの里襲撃の報復として、全面戦争する覚悟だと脅した。
「わっはっは。面白い冗談を申す。おぬしらが、人族と全面戦争をしたのを知らぬとでも思ったか? 沢山の兵を失い、疲弊していて、我らと戦う力もないことなど、百も承知よ」
「全面戦争? 確かに、二万の兵と、プレーヤー全員の総力戦で攻め込んで来ましたが、私が自ら、指揮を執ったんですよ。たった三時間で、全面降伏して逃げて行きましたよ。こっちも三人、貴重な戦力を失う事にはなりましたが、こちらの戦力は万全ですし、人族にはもう戦う力はない。魔族と全面戦争しても、挟撃される恐れは皆無ということですよ。情報収集ぐらいちゃんとしておくものです。本当に無能な魔王でらせられる。そうそう、最後の確認ですが、先ほどの回答は、条約締結する気はないという理解でいいんですよね」
「当たり前だ。人神だかなんだか知らぬが、この場で全員血祭りにあげてやる」
「血祭り? 今日は、第一王妃と眷属たち精鋭軍は残してきたが、貴様らなぞ、僕らだけで十分だ。無用な戦闘はしたくないというから、少しは期待してたのに、本当に残念です」
そういう訳で、僕ら四人は、魔王と四天王二人、雑魚八人と死闘を繰り広げることになってしまった。
「ルネーラは雑魚八人を、フェンは四天王の二人。そしてアクネルは魔王を頼む。全面戦争にはしたくないので、殺さず負けを認めさせるように」
当初は僕が雑魚を相手して、フェンとルネーラとに四天王を当てるつもりでいたが、フェンの進化後のパラメータを見て、僕は静観することにした。
「ええっ、私は四天王二人だよ。殺さない様にするのはきつすぎるよ」
「つべこべ言わない。進化直後で疲れてるかもしれないが、頑張れ。お前のバフで強化すれば、きっと何とかなるから」
僕の見立てが正しければ、フェン一人で勝てる筈だ。
前回、僕は四天王二人に押されてしまう不覚をとったが、それは彼女のバフを掛けてもらえていなかったのと、油断して操り人形のアイテムを使われてしまったからだ。
あのアイテムを使われると厄介だが、アイテムを取り出した時点で僕が介入して、アイテムを奪取すれば問題ない。
数値でみると、あの時の僕は、僕の身体強化のバフだけだったので、攻撃力は十二万弱。対して、彼女の攻撃増加バフは五割アップなので、攻撃力十二万強で、あの時の僕を上回る。
更に、彼女の格闘スキルは、更に二割から三割の増加があり、噛みつき攻撃にかぎり、その攻撃力はなんと二十四万にもなる。
攻撃増加、防御増加、魔法防壁を掛ければ、僕以上の強さという訳だ。
だから、二人相手でも勝てるという読みだが、それでも苦戦することになったら、僕も支援するつもりだ。
そう思って静観していたが、僕の想定以上で、一番最初に戦いを終えたのはフェンだった。
彼女は、敵の攻撃を回避しようとはせず、攻撃を受けても無視して、一人だけを徹底的に潰しにかかる。その戦法が功を奏した。
この戦法だと、とんでもなく被ダメージを受けるので、二人目の時は瀕死に近くなるものだが、今の彼女はバフを掛けているので、防御力と耐久力が化け物級で、この作戦が通用する。
六分程で一人目を戦闘不能にし、二人目は四分弱と、二人の四天王を十分もかからずに、戦闘不能にしてみせた。
僕の想定より遥かに強いという結果となり、フェンを怒らせでもしたら、僕は全くなすすべなく殺される。
その後、八人相手に苦戦していたルネーラも全員を戦意喪失させることができ、残るは圧倒的に押しまくっている魔王対アクネル戦を残すのみとなった。
互角との読みだったが、魔王は僕の想定よりも弱く、彼女の方が明らかに強い。体力や耐久力はそれなりにあり、一時間近くにも及ぶ長期戦にはなったが、魔王も勝てないと悟り、ギブアップした。
「分かった。降参する。不可侵条約に調印するから、許してくれ」
「ああ、私としては、条約調印できるのなら、何も問題ない。調印して裏切れば、今度は、僕、私が直接相手して、貴様の首を取る。第二王妃の力を見て分かるように、その上には、第一王妃がいて、その最上位の力をもつのが私だ。流石に秒殺とまでは行かないとは思うが、五分あれば必ず首をとってみせるから、絶対に条約を破らない事だな」
実際に第一王妃は戦力外の弱さだが、幸いにも、今回の戦闘では、ルネーラ、アクネル、フェンの順に強くなっているので、ビッチや僕は更に強いと印象づけられたはずだ。
きっちり脅して、無事調印式も終わり、僕はリット砦にワープして戻った。
そして、ルネーラ、アクネルの二人とは、遣ることがあるからと別れ、僕とフェンの二人だけで、街はずれの自宅にもどった。
昨晩は、リットの宿屋で泊まったが、昨日、城が完成するまでの仮住まいとして、大きな屋敷を借りたのだ。
築三十年と古いが、造りはしっかりしていて、リフォーム等は必要ないが、長年使われていなかったので、塵や埃が一杯だった。
僕らの住まいとなるので、皆で大掃除すべきだったのだが、ピッチ一人に任してしまった形になって、本当に申し訳ない。
「只今」玄関を開けて驚いた。床や手すり、階段等が、ピカピカに輝いていたのだ。
「あなた、お帰りなさいませ。今日は戻らないと思っていたので、何も準備をしておりませんで、申し訳ありません。条約の方は無事に調印できましたか?」
エプロンして、顔に煤でつけていて、今も一人で掃除していたのかと思うと申し訳なくてならない。
彼女に着替えてくるように言い、フェンとピッチと三人で、会食に出かけた。
その際、ピッチがしきりに、フェンに「お腹は大丈夫」とか、「気持ち悪くない」とか心配していて、それが気になってしかたがなかった。
この屋敷には、お風呂もあり、久しぶりに三人で入ろうと誘ったのに、「私は後でフェンさんと二人で入るから、一人で入って下さい」と言われてしまった。
そして、夜もなぜか、ピッチ一人。
理由を訊くと、「私が話したことは内緒にしてくださいよ」と注釈して教えてくれた。
今朝、フェンが初潮を迎えたのだとか。すっかり大人の身体なので、考えてもいなかったが、彼女はゼロ歳児だ。
初めての経血に、青い顔して大騒ぎしたのだそう。ピッチが彼女に子供を産める身体になったのよと話して聞かせ、彼女にタンポンをさせていたという話だった。
そんなことも知らず、僕は、彼女に四天王二人と相手にさせてしまって、申し訳なくてならなかった。
体調が悪い中、無理をさせてしまったことを激しく後悔したが、もう遅い。
明日は、人族の王都アッシムへと乗り込む予定だが、丸一日もかかる距離なので、フェンを連れていくべきか、ピッチを抱きながら、ずっと悩みつづけることになった。
魔族領に入って、十分もしない内に、雑魚からなる討伐隊がやってきた。
雑魚といっても、魔人二十人程と、魔獣百匹弱。対するこっちはたったの四人なので、苦戦することになった。
それでも、なんとか退けることができた。
魔獣を半分くらい片付け、魔人を八人程殺すと、勝てないと悟って慌てて逃げ出した。
「進化可能になったけど、ここで進化した方がいいかな」
フェンもついにレベル40となっていた。精神力も今回ついに四万を超え、全てが四万超となり、攻撃力は遂に五万を超えた。
既に、とんでもない化け物なので、二メートル近い大女になるより、このままのフェンで居て欲しい気はする。
大女になると、服の問題もあり、進化すべきか悩んだが、やはり進化機会を失しないたくない。
そこで、転移魔法で、ドリーたちの許に行き、そこで進化して、彼女の身体にあった新たな服を作ってもらうことにした。
「私一人でいく。アクネルとルネールだけでも大丈夫だと思うけど、今度はもっと沢山の兵を引き連れてやって来るかもしれないでしょう。それに、進化の時、裸になるから……」
何度もセックスしているのに、そんなことを言い出して、少し変な気もしたが、確かに敵がまた襲ってくる可能性はある。
そういう訳で、フェン一人で行かせ、僕ら三人はその場にとどまり、戻ってくるのを待つことにした。
フェンを待つ間の時間潰しに、アクネルがどうやって魔王と出会い、妻になったのかを訊くことにした。
アクネルは、三年前に進化して、今のユニーク個体を手に入れたのだそう。以前より戦闘力が倍増し、これなら誰にも負けないと確信した。
そこで、自分がこの魔界を統一し、魔王になろうと考え、次々と隣接する領主を殺し、急速に領土を広げていったのだとか。
だが、アクネルを脅威に感じた周辺領主は、同盟を結び、アクネル抹殺に動きだす。五つの領主の軍に、取り囲まれ、領土をどんどん奪われて行き、遂に、彼女の根城まで陥落し、一族全員が殺された。
彼女だけは、命からがら逃げ出したが、瀕死の状態で絶命寸前。必死に逃げた先のとある森に身を潜めて、瀕死の傷をいやしていた。
そこに現れたのが、魔人ディボラだ。聖人の様に打算なく誰にも優しい男で、魔蜘蛛の彼女を保護して、彼の邸宅に運び、看病までして助けてくれた。
彼女は、魔人の姿になり、お返しとしてその身体を捧げたが、男は筋肉質のいい体をしていて、あっちの方も上手で、アクネルはその一回で、ディボラの虜になってしまったのだとか。
屋敷はそれなりに大きいのに、使用人が二人しかおらず、お金にも苦労していて、しかも独身者だった。
それで、彼女は、彼の妻となり、彼をこの魔界の覇王、魔王にしようと決めた。
でも、どんなに説得してもディボラは敵を作るのを嫌い、決して戦を仕掛けない。
貧しい生活を甘んじて受け入れ、領民に施しをするほどだった。
アクネルも、彼の説得を諦め、二人で静かにいきていこうと考える様になっていった。
だが、事件がおきる。親友だと思っていた隣国の魔人が計略で彼を嵌め、征服戦争を仕掛けてきたのだ。
それが切っ掛けで、彼の魔王としての覇道がはじまる。
幼馴染の親友に裏切られ、誰も信じられなくなった彼は、それならばと周辺の魔人領を次々と侵略し、平定していった。
捕えた領主は、その場で見せしめにして惨殺し、妻や娘やその領土の美女は、全て自分の女していった。
だが、それなりに強い領主も居る。のちに彼の側近の軍団長や四天王と呼ばれる魔人たちだ。
彼らは貴重な戦力になると考えたディボラは、捕えても殺さず、アクネルと一騎打ちさせるチャンスを与えた。
当然、彼の恋人や妻子にも手は出さず、彼の女まで与えて優遇し、配下として取り込むようにした。
そんな巧みな戦略により、瞬く間に魔界を統一して見せたというわけだった。
「そんな女たらしに、嫉妬しなかったのかよ」
「男はお主の様に、女たらしの方がいい。女にもてない様な男ではだめじゃ」
「そうそう、精力絶倫で優しくて強い男に、女は惹かれるのよ。魔王は健斗と同じタイプね」
そんな話をしていると、魔王の使者を名乗るサキュバスが現れた。
アクネルの人型形態を一回り小さくした感じで、胸は彼女の方が比率的に少し大きく、やはり全裸だ。
彼女は、ルネーラの前に跪き、用件を話し出した。
「亜人領の領主、ルネーラ様の一行で在らせらますね。私は魔王の秘書のエーレンと申します。魔王ディボラ様が、これ以上、無益な戦いはしたくないとの仰せで、あなた方にお会いになるそうです。案内致しますので、私についてきてください」
「僕たちは魔王に話があって来たので、ありがたいが、今は人を待っている。もう少し待って頂けないだろうか」
僕がそう言うと、彼女はきっと僕を睨みつけてきた。
彼女は、『魔族 アークデーモン サキュバス形態』となっていた。サキュバスは魔族の一種族だと思っていたが、アークデーモンの雌だったみたいだ。サキュバス形態以外の形態もあるらしく、どんな身体をしているのか知りたいが、いまはそれどころではない。
二人が怒り出してしまったのだ。
「無礼者。我らが主に威圧など発しおって、何を考えておる」
「たかがサキュバス風情が、妾の夫を睨むとは無礼にもほどがある」
エーレンは、慌てて目を丸して、深く首を垂れた。
「ルネーラ様、アクネル様、申し訳ありません。こちらのお方が主様であらせらましたか。人族とは異なるオーラを放たれておいでですが、よろしければ、どのようなお方なのか、お教え願いませんでしょうか」
「僕は、篠崎健斗。先週、人神という存在に進化し、亜人領の国王になった。二人は第三、第四王妃というわけだ」
「何も知らず、失礼いたしました。申し訳ありませんが、魔王ディボラ様に事前に報告してまいりますので、この場で暫くお待ちいただけますか?」
「ああ、どうせ人待ちしてるところだから」
彼女は血相を変えて、飛び去って行った。
そして、フェンが消えて、三十分程が経ち、フェンが戻って来た。
予想通りに二メートル近い大女になっていたが、そのドレスは前回までとは全く違った。
今度はバスタオル撒いている様な肩紐すらないミニ丈のミニドレス。ピチピチのボディコンドレスなので、フリル等も一切なく、乳首がハッキリ浮き上がっているし、乳房がほとんど露出しているので、谷間もハッキリと見える。下もパンツが見えないぎりぎりの丈なので、動けばパンチラ確定の丈だ。
正直、目のやり場に困る服だが、それでも彼女と見つめあって鑑定してみると、とんでもなかった。
【
攻撃力 80931
防御力 56217
耐久力 59873
精神力 49356
機動力 79856
知力 2607
創造力 2011
】
その能力値は、僕の予想をはるかに上回り、全てが大きく上昇していて、攻撃力と機動力は八万もある。
人間到達可能なレベル99の秀でた能力値が、9802に過ぎないので、化け物なんて表現でも足りない神クラスの能力値だ。
ルネーラも、アクネルもそれぞれ鑑定してみて、唖然としたほどで、アクネルはどっちが強いか勝負しようといいだして、止めるのに苦労したほどだ。
彼女にはバブ魔法や凄い攻撃スキルが沢山あるので、戦えばアクネル以上と思うが、少なくとも、ルネーラなんかよりずっと強くなっているのは間違いない。
そのすぐ後、再び、エーレンが現れ、人族にしか見えないフェンを不審な目でみていたが、僕の第二王妃だというと、改めて自己紹介して、僕ら四人を案内してくれた。
魔王城は、ゲーム世界でよく見る不気味なお城で、蝙蝠の様に、ガーゴイルが飛び回っている。
玄関には、ギガンテスという一つ目の巨人が門番をしていて、フロアには、全身鎧が左右にならんでいる。気配感知で魔物となっているので鑑定すると、ダークナイトという魔族だった。
そして、魔王との謁見の間に入ると、中央にローブ姿の魔人が足を組んで座っていて、その左右に、四天王と思われる魔人二人がいて、左右の壁際には、その配下とおもわれる魔人が四人ずつ直立姿勢で待機していた。
僕は、礼儀を重んじて、彼の前に跪いて首を垂れた。すると他の三人も慌てて僕を真似た。
「お前が、新たに亜人領の国王となった健斗という人神か。あのアクネルを手名付けるとは、なかなかの男らしいな」
「魔王ディボラ様ですか。私は先日、ケント王国という亜人族の国を建国し、初代国王についた健斗・篠崎と申します。先日のエルフの里襲撃事件に、腸が煮えくり返る思いですが、本日は、お招きに預かりありがとうございます。その件には、賠償請求したいところですが、私どもからの提案を受け入れて頂ければ、不問とさせていただきます」
「貴様ら、頭にのるなよ」 四天王が武器を抜いて身構えた。
「やめよ。無用な戦闘はしたくない。健斗とやら、その提案とやら、聞かせて貰おうではないか」
僕は、当初の提案どおり、先ずは、一年間、不可侵条約を結ばないかと提案した。もし、了承いただけない場合は、エルフの里襲撃の報復として、全面戦争する覚悟だと脅した。
「わっはっは。面白い冗談を申す。おぬしらが、人族と全面戦争をしたのを知らぬとでも思ったか? 沢山の兵を失い、疲弊していて、我らと戦う力もないことなど、百も承知よ」
「全面戦争? 確かに、二万の兵と、プレーヤー全員の総力戦で攻め込んで来ましたが、私が自ら、指揮を執ったんですよ。たった三時間で、全面降伏して逃げて行きましたよ。こっちも三人、貴重な戦力を失う事にはなりましたが、こちらの戦力は万全ですし、人族にはもう戦う力はない。魔族と全面戦争しても、挟撃される恐れは皆無ということですよ。情報収集ぐらいちゃんとしておくものです。本当に無能な魔王でらせられる。そうそう、最後の確認ですが、先ほどの回答は、条約締結する気はないという理解でいいんですよね」
「当たり前だ。人神だかなんだか知らぬが、この場で全員血祭りにあげてやる」
「血祭り? 今日は、第一王妃と眷属たち精鋭軍は残してきたが、貴様らなぞ、僕らだけで十分だ。無用な戦闘はしたくないというから、少しは期待してたのに、本当に残念です」
そういう訳で、僕ら四人は、魔王と四天王二人、雑魚八人と死闘を繰り広げることになってしまった。
「ルネーラは雑魚八人を、フェンは四天王の二人。そしてアクネルは魔王を頼む。全面戦争にはしたくないので、殺さず負けを認めさせるように」
当初は僕が雑魚を相手して、フェンとルネーラとに四天王を当てるつもりでいたが、フェンの進化後のパラメータを見て、僕は静観することにした。
「ええっ、私は四天王二人だよ。殺さない様にするのはきつすぎるよ」
「つべこべ言わない。進化直後で疲れてるかもしれないが、頑張れ。お前のバフで強化すれば、きっと何とかなるから」
僕の見立てが正しければ、フェン一人で勝てる筈だ。
前回、僕は四天王二人に押されてしまう不覚をとったが、それは彼女のバフを掛けてもらえていなかったのと、油断して操り人形のアイテムを使われてしまったからだ。
あのアイテムを使われると厄介だが、アイテムを取り出した時点で僕が介入して、アイテムを奪取すれば問題ない。
数値でみると、あの時の僕は、僕の身体強化のバフだけだったので、攻撃力は十二万弱。対して、彼女の攻撃増加バフは五割アップなので、攻撃力十二万強で、あの時の僕を上回る。
更に、彼女の格闘スキルは、更に二割から三割の増加があり、噛みつき攻撃にかぎり、その攻撃力はなんと二十四万にもなる。
攻撃増加、防御増加、魔法防壁を掛ければ、僕以上の強さという訳だ。
だから、二人相手でも勝てるという読みだが、それでも苦戦することになったら、僕も支援するつもりだ。
そう思って静観していたが、僕の想定以上で、一番最初に戦いを終えたのはフェンだった。
彼女は、敵の攻撃を回避しようとはせず、攻撃を受けても無視して、一人だけを徹底的に潰しにかかる。その戦法が功を奏した。
この戦法だと、とんでもなく被ダメージを受けるので、二人目の時は瀕死に近くなるものだが、今の彼女はバフを掛けているので、防御力と耐久力が化け物級で、この作戦が通用する。
六分程で一人目を戦闘不能にし、二人目は四分弱と、二人の四天王を十分もかからずに、戦闘不能にしてみせた。
僕の想定より遥かに強いという結果となり、フェンを怒らせでもしたら、僕は全くなすすべなく殺される。
その後、八人相手に苦戦していたルネーラも全員を戦意喪失させることができ、残るは圧倒的に押しまくっている魔王対アクネル戦を残すのみとなった。
互角との読みだったが、魔王は僕の想定よりも弱く、彼女の方が明らかに強い。体力や耐久力はそれなりにあり、一時間近くにも及ぶ長期戦にはなったが、魔王も勝てないと悟り、ギブアップした。
「分かった。降参する。不可侵条約に調印するから、許してくれ」
「ああ、私としては、条約調印できるのなら、何も問題ない。調印して裏切れば、今度は、僕、私が直接相手して、貴様の首を取る。第二王妃の力を見て分かるように、その上には、第一王妃がいて、その最上位の力をもつのが私だ。流石に秒殺とまでは行かないとは思うが、五分あれば必ず首をとってみせるから、絶対に条約を破らない事だな」
実際に第一王妃は戦力外の弱さだが、幸いにも、今回の戦闘では、ルネーラ、アクネル、フェンの順に強くなっているので、ビッチや僕は更に強いと印象づけられたはずだ。
きっちり脅して、無事調印式も終わり、僕はリット砦にワープして戻った。
そして、ルネーラ、アクネルの二人とは、遣ることがあるからと別れ、僕とフェンの二人だけで、街はずれの自宅にもどった。
昨晩は、リットの宿屋で泊まったが、昨日、城が完成するまでの仮住まいとして、大きな屋敷を借りたのだ。
築三十年と古いが、造りはしっかりしていて、リフォーム等は必要ないが、長年使われていなかったので、塵や埃が一杯だった。
僕らの住まいとなるので、皆で大掃除すべきだったのだが、ピッチ一人に任してしまった形になって、本当に申し訳ない。
「只今」玄関を開けて驚いた。床や手すり、階段等が、ピカピカに輝いていたのだ。
「あなた、お帰りなさいませ。今日は戻らないと思っていたので、何も準備をしておりませんで、申し訳ありません。条約の方は無事に調印できましたか?」
エプロンして、顔に煤でつけていて、今も一人で掃除していたのかと思うと申し訳なくてならない。
彼女に着替えてくるように言い、フェンとピッチと三人で、会食に出かけた。
その際、ピッチがしきりに、フェンに「お腹は大丈夫」とか、「気持ち悪くない」とか心配していて、それが気になってしかたがなかった。
この屋敷には、お風呂もあり、久しぶりに三人で入ろうと誘ったのに、「私は後でフェンさんと二人で入るから、一人で入って下さい」と言われてしまった。
そして、夜もなぜか、ピッチ一人。
理由を訊くと、「私が話したことは内緒にしてくださいよ」と注釈して教えてくれた。
今朝、フェンが初潮を迎えたのだとか。すっかり大人の身体なので、考えてもいなかったが、彼女はゼロ歳児だ。
初めての経血に、青い顔して大騒ぎしたのだそう。ピッチが彼女に子供を産める身体になったのよと話して聞かせ、彼女にタンポンをさせていたという話だった。
そんなことも知らず、僕は、彼女に四天王二人と相手にさせてしまって、申し訳なくてならなかった。
体調が悪い中、無理をさせてしまったことを激しく後悔したが、もう遅い。
明日は、人族の王都アッシムへと乗り込む予定だが、丸一日もかかる距離なので、フェンを連れていくべきか、ピッチを抱きながら、ずっと悩みつづけることになった。
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