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第三章 力を持つと人は道を踏み外すのかな

3-3 人魚姫を弄んでやりました

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 それにしても暑い。この強烈な日差しの中で、長時間戦闘を続けてきたので、激しい眩暈までし始めた。
 熱中症になりかけていると判断し、僕は水に浸かって、身体を冷やすことにした。
 とりあえず、リュックの脇の水筒を取り出し、水分補給し、残りを頭から掛け、ついでにマナヒールを掛け魔力回復させ、荒野を流れるあの大河に戻ることにした。
 その途中、脱皮した大蛇の抜け殻を見つけたので、これは日除けに使えるなと、僕はその頭の部分を切り取った。
 川岸の気配感知レーダーに魔物が映らない位置までくると、僕はまず水筒に水を補充し、装備を解除して、全裸になり、川に浸かった。
 冷たくて気持ちいい。川底は奥に行くほど深くなっていて、十メートル程進むだけで、胸まで水が来るが、流れがほとんどないので、流される心配もない。
 暫く、身体の熱をとって、再び川岸に上がり、再び戦闘服に身を包むと、さっきの大蛇の殻をパラソル代わりに加工して、僕は昼飯を食べることにした。

 すると、僕の気配感知レーザーが敵を捕らえた。五匹の魔物が川に沿ってこっちに近づいてきている。
 目を凝らしてそっちを見ていると、魚の様なものが、ジャンプして飛び跳ねた。今度は魚の魔物らしい。
 水中戦はしたくないなと、弁当箱をしまって、戦闘の準備を整えていると、近くでもう一度大きくジャンプして、その魔物の正体が分かった。人魚だ。
 しかも、戦闘する意思はないのか、こっちには来ないで、ばらばらに散開し始めた。
 人魚って、魔物じゃなくて、獣人の様な亜人種じゃなかったっけと、どうでもいいことを考え、僕は再び弁当箱を開けて、食事を継続することにした。

 人魚は、こちら岸から五、六十メートルの距離にある大岩に登り、手を振ってきた。一匹というか一人だけで、残りの四人は、分散して川の中に身を顰めている。
 目を凝らしてみると、やはり人魚で間違いないが、少し想像とは違った。下半身は青い鱗がきらきらしたイルカの様な形の尾ヒレで、臍の辺りから上は腰まである赤毛の長髪の裸の人間の女性なのだが、顔が人間とは少し異なっている。
 耳だと思うが、長く尖がったエルフの耳のようなものが、顔の横から、左右に垂れて伸びている。美人の様にも思えるが、ここからだと距離があり過ぎて、顔はいまいち分からない。
 彼女は、おいでおいでと、手で僕を招いてきたので、食事を中断して、靴だけ脱いで、ズボンを捲り上げ、できるだけ近づくことにした。
 気配感知に映っている四体が、さっと僕の近くに寄ってきた。どうやら、僕を水の中に引き込むつもりらしい。
 これ以上近づくと危険なので、彼女の目がハッキリと見えないので自信はなかったが、鑑定できるか試してみた。

   分類   魚人族 マーメイド
   レベル  42
   名前   マーム
   年齢   12歳
   性別   雌
   HP: 262/262
   MP: 248/248
   SP:  54/100

 どう見ても大人の女性だが、十二歳とは魚人族という種族は、成長が異常に早いらしい。
 もっと近くで見たいし、お近づきになりたい。連続瞬歩で空中を走って近づく手もあるが、『君子、危うきに近寄らず』だ。
 人魚の誘いは無視して、元の場所に戻り、弁当を平らげることにした。

 彼女は、僕の態度を見て、もう一度右手を大きく振ってアピールしてきたが、無視していると、水の中に飛び込み、時々ジャンプして気を引きながら、直ぐ川岸まできて、立ち泳ぎしながら、手招きした。
 今度ははっきりと容姿が確認できる。
 見た目は女子大生くらいの結構な美女。耳だと思っていたのは鰓みたいで、耳は別についていた。見慣れていないので、少し違和感を覚えるが、それ以外は普通の人間と変わりない。
 胸はフェイ位の程よい大きさで、陥没乳首というか、哺乳類でないから乳輪や乳首はない。先端部が少し色が違っていて乳首の様に見える様になっているだけだ。そもそも卵生なら、乳房も不要だが、人魚は人間の男を誑かすため、人間の女性に擬態している。
 臍が水面から見え隠れしているので、下がどうなっているのかも確認したいが、水中の四つの赤い点が、彼女の前に集まっているので、それは諦め、弁当を食べてしまう事にした。

「ちょっと、何で無視するの」魚人も日本語を話すらしい。
「泳ぎはあまり得意じゃないんでね。四人のお仲間が僕を水中に引き込もうと待機してるんだろう」
 金槌ではなく、高一の時、二十五メートルを何とかか泳ぎ切ったが、まっすぐに泳げず、なぜか右に曲がってしまい、山際武らに大笑いされた程、泳ぎが苦手だ。
「ちっ、分かってたか。それじゃ、しかたないね」
 彼女が水中に消えると、人魚とは明らかに違う何かが、上がってきた。
 僕は、最後の一口を食べ、弁当箱をしまうことにした。
 人魚は一人だけで、残り四人は銛を携えた半魚人だった。
 目は、左右に開いて丸く、口は大きく唇でない鯉の口のような厚みがあって、横に髭のような触手が延びていて、やはり耳の様な鰓がある。皆、二メートル近い大男だ。
 否、女もいた。彼らはレベル48の魚人族だったが、マーマンとなっていて、雄三匹と雌一匹だった。女性が人魚で男性が半魚人という認識は誤りだったみたいだ。マーメードの雄もいることになるが、それはどうでもいい話だ。
 問題は彼らの強さ。攻撃力、防御力、耐久力、精神力の全てが、3000前後もあり、人間でいうならレベル55ぐらいの強者たちだ。
 僕は既にレベル68相当だが、この四人相手だと勝てる自信はない。ただ、ここは陸上。彼らの得意な水中ではないので、勝てそうな気もする。経験値獲得の意味からも戦いたいところだ。
 だが、その反面、この世界に来て、初めての亜人種なので、友達になりたい気持ちもある。
 僕は弁当箱をリュックにしまって、それを背負うと、日陰から数歩前に出て、刀は抜かず、身体強化のバフだけ掛けて、敵の出方を見ることにした。
 
「ここ、人、立ち入り禁止。ここ、でていけ」口をバクバクさせて辛そうに話してきた。
 半魚人は、口を自由に動かせず、声帯そのものも未発達みたいで、片言だし、聞きづらい。
「そうはいかない。僕はここで修行して強くならないといけないから」
「なら、殺す」
 僕は、魔法威力を上げる精神強化のバフも掛けて、抜刀して、身構えた。
 四人掛りで、襲ってくると思っていたが、残りの三人、いや人魚もいつの間にか川から顔を出して観戦していたので、四人は、静観を決め、一対一での戦いになった。
 とりあえずは、相手の力をみるため、受けに徹したが、思った通り、陸上での動きが鈍く、魔法を使わなくても勝てそうだ。そろそろ本気でいくかと、その魚人を仕留めに掛かった。
「こいつ、強いよ。騎士道なんてくそくらえ。全員で川の中に引き込んで」
 人魚は見かねて、そう命じて来たが、三人の魚人は顔を見合わせ、躊躇していた。
「早くしないと、リキが殺されちゃう」
 三人もそれで覚悟を決めたのか、僕に襲い掛かって来た。
 陸上なら勝てると確信を持っていたが、四人相手だと、流石につらい。四人が次々と銛で突いてくるから、交わすのが精いっぱいだ。反撃して敵に傷を負わせてはいるが、致命傷となるような深い傷は負わせられない。
 またも、長期戦となって、疲弊してくる。しかも、昼間の炎天下。汗が滝の様に流れ、眩暈も酷くなっていく。
 そのため、僕の剣技も鈍ってきていたようだ。敵の一人が、銛で刀を受け止め、そのままねじって、刀をからめ取って、折ろうとしてきた。
 刀を折られるのは流石に不味い。
 銛を手で押さえて、刀を外したが、その隙に、三か所も銛で突かれ、ピンチになった。ヒールは勿論、治癒薬を飲む暇も与えてもらえない。
 でも、魚人もこの炎天下の長期戦で、身体中傷だらけになり、ふらふらだ。どちらが、先に力尽きるかの我慢比べとなり、僕がそれに勝った。兜割りで一人に深手を負わせ倒し、背後から襲って来たもう一人にも五月雨切りが決まり、尻もちを着かせることができた。その二人を庇いに、残り二人が離れた隙に、僕は距離をとり、治癒薬を飲む事ができた。
 僕だけが体力回復でき、そこからは、一方的に押していった。
 途中から、戦法を切り替えたのも大きい。戦闘開始当初は、縦切りを主体に攻撃していた。縦切りだと、兜割りのスキルが乗り、剣の威力が二割増しになるからだ。一対一ならそれでいいのだが、それだと周囲の三人は、安全圏となり、自由に攻撃できてしまう。
 そこで、胴打ちのような横切りを多用するように切り替えた。横切りだと、背後以外の三人が同時に回避行動せざるを得なくなる。こっちとしては連撃に繋ぐことができ、その結果、敵からの被ダメージを減らせるだけでなく、トータルで見た与ダメージを上げることもできるのだ。
 そんな訳で、僕がかなり押し始め、半魚人の一人の太ももを、横切りで深い傷を負わせた。
 その時だった。その魚人のSPが急激に減少し、足を引きずって、逃げていき、川に飛び込んだ。追撃して仕留めたかったのだが、残り三人の攻撃にも対応しなければならず、逃げられてしまった。
 それを見て、残り三人も一目散に、川の中に飛び込んで逃げ出した。
 僕は、そのうちの一人の背中を袈裟切りして深手を負わせたが、またも、一人も仕留められぬまま、逃げられてしまった。

「ちっ、親衛隊の癖に、情けない。今度は、あたいと勝負だ。こいつらには絶対に、手は出さないと約束するから、この川の中で勝負しな」
 彼女は、やる気満々で、SPが100になっていた。
「いやなこった。信用できない」
「嘘をついたら、あんたに女になってやる。絶対にこいつらには手を出させない。それに、あたいはこの足だから、陸には上がれないんだ。足がつく範囲に限定するから、勝負してくれ」
「分かった。なら、戦ってやる」
 そういう訳で、水深が臍の位置となる岸際五メートルから、肩まで浸かる十五メートルまでの水深範囲に限定して、決闘することになった。
 半魚人は約束を守り、かなり距離を取って、近づかないようにしていて、純粋に一対一での決闘だったのだが、水中の人魚はとんでもなく強く、僕は終始押されつづけた。
 彼女は、水中を高速で泳いで、武器を持たず、素手の格闘術で、尾ヒレでの蹴りや、体当たりをしてくるだけだなのに、僕にはなす術がなかった。
 水中の機動力が高いといっても、地上の蜘蛛の様な高速機動魔獣よりずっと遅いので、刀傷を負わせられると思っていたのに、実際にはかすりもしない。
 普段通りに動ければ、僕が勝てるはずなのだが、水中だと一気に間合いをつめる飛び込みができないので、刀が当たらないのだ。しかも、彼女泳ぎによる水圧で、体勢を崩される。
 一方、彼女は僕の周りを高速で泳ぎ回り、隙あらば、強烈なドルフィンキックを当ててくる。一歩下がって、直撃を避けても、水圧で僕の態勢を崩し、すかさず体当たり。
 暫くは、それでも、転ばないように耐えていたが、十分程経過すると、足を払われ、倒されてしまった。
 人魚は今だとばかりに、羽交い絞めして立ちあがれないようにして、僕を溺死させようとしてきた。
 スライムに窒息させられそうになった時、窒息耐性を獲得しているので、暴れていても一分位は耐えられるが、どうやっても、抜け出せず、息苦しくて意識が遠のいてきた。
 僕は、水中で連続瞬歩を使い、水面から飛び出した。まさか、僕が空中を飛べるとは思っていなかったみたいで、彼女もかなり動揺し、羽交い絞めしたまま、彼女も空中を上って行った。だが、流石に怖くなったのか、手を放し、ジャブンと、川に戻っていった。
 呼吸を整え、しっかり血液中の酸素濃度が高くなるのを待って、彼女を見ると、落ちた時、川底で強打したらしく、一か所にとどまったまま、身体を丸めて、必死に舐める様に治療していた。
 戦闘中なのに、こっちに意識を向けていないのが悪いと、隙だらけの彼女目掛け、空中を逆に蹴って加速して、刀で串刺しに行ったが、彼女も僕の殺気に気づき、間一髪で交わした。
 そこからは、また彼女のペース。またも、倒され、背後を取って溺れさせてきて、僕もまた連続瞬歩で空に逃げる。
 三回程、それを繰り返し、僕は刀をしまって素手での格闘を選択することにした。
 実は、三度目の水中戦の時、彼女の弱点を見つけてしまったのだ。
 羽交い絞めされまいと、左手を刀の柄から外し、必死に暴れていた時、彼女の乳房を偶然強くにぎってしまった。すると彼女は慌てて、逃げ出し、距離をとってきたのだ。
 胸を揉まれて、嫌がっただけかとも思ったが、胸は男を誘惑する為だけの飾りではなく、金玉の様な弱点が、その中にあるに違いない。
 二度目の時は、その胸に触れることすらできずに、羽交い絞めされてしまったが、両手を自由にして、胸を握る事だけに専念すれば、きっと彼女を倒せると確信したというわけだ。
 両手を前に構えて、胸を揉む格好は、変態親仁そのものだが、決してエッチしたくて、こんな格好をしているのではない。事実、僕の息子は平常心を保っている。
 高速に泳ぎ回る彼女を捕まえるのは大変だったが、なんとか彼女の腹にしがみつき、背後から片手で胸を揉んでやった。
 すると、やはり思った通りで、必死に暴れ出し、ジャンプしたり、川底に叩きつけたりして僕を振り払おうとしてきた。
 でも、急所が乳房に隠されているわけではなかった。無いと思っていた乳首が、とび出して来たのだ。
 もしやと思い、指で挟んで刺激してやったら、卑怯にも戦闘範囲外に逃げ出し、川底深くに潜って窒息死させようとしてきた。
 急所というより、感度が尋常じゃなく高かっただけみたいだ。
 僕は、仕方なく手を放し、連続瞬歩で空中に逃げ、再び浅瀬にもどった。
「範囲外に逃げるとは、卑怯だろう」
「分かってるわよ」
 彼女は再び戦闘領域に戻って来たが、ピンクの乳首が出たままで、SPも半分以下に低下していた。
 徐々にSPは回復していき、乳首も再び乳房の中に消えてしまったが、それでもSPは86までしか上がらない。
 僕との戦闘に躊躇いがあるのは間違いない。ならもっといい手がある。
 
 今度は捕まえると直ぐ、官能魔法センチュアルを発動した。思っていた通り、彼女は泳ぐことすらできなくなった。
 こうなればこっちのもの。正面を向かせて、左手で彼女の腰を抑え、右手で、乳房を強く握ってやった。案の定乳首が飛び出し硬くなっている。その乳首を強く摘まんでやると、「あっ」と声までだして、彼女のSPがみるみると下がっていく。
 僕は水中に顔を浸け、乳首をしゃぶりつき、右手を股間に回してみたら、驚いた。
 鱗で覆われていた筈の股間が、左右に割れて、穴が盛り上がって出て来ていて、その穴に指がすっぽりと入ったのだ。
「あっ、駄目っ。参った、降参。もう許して。参ったってば、ああ~~~っ」
 僕の息子はいつの間にか完全に勃起していて、やる気満々だったが、流石にフェイを裏切れない。
 彼女が、身体をビクンとさせたのを確認して、解放してやった。
 慌てて半魚人四人がやって来たので、僕は急いで陸に上がった。
 これは真剣勝負なので、止めを刺すべきだったのかもしれないが、僕には彼女の胸に刀を突きさすことはできなかった。
 でも、陸地に上がって、再び彼女を見ると、あれだけで失神してしまったのか、水面に、ぷかぷかと浮いたまま、痴態を晒していた。常に全裸なのに痴態と表現したのは、普段隠してみせていない女性器を晒しているからだ。
 ピンクの乳首が飛び出たままで、股間からも桃色の卵管を外に飛び出してる。しかも、それで呼吸するかのように、開いたり閉じたりして、顔は涎を垂らして恍惚の笑みを浮かべていた。
 人魚のオーガズムを始めて見てしまった。
 程なく、卵管も乳首も見えなくなり、はっとしたように、目を見開いて、彼女は真っ赤な顔をして水中に潜った。
 暫くすると、川のぎりぎりまで来て、寝そべった姿勢で、顔だけ持ち上げ、話して来た。
「あんた。強いね。あたいはマーム。あんたの名前は」
 すっかり元に戻っていたが、SPは46で、戦意は既にないみたいだ。
「健斗。篠崎健斗だ。俺を殺すんじゃなかったのか」
「人族を見つけたら、生きて返すなが掟。でも、あたいらは何も見なかった。人など見かけてないから。いくよ」
 彼女の言葉に、残りの四人は、素直に従い、来た方向へと戻って行った。
 マームは、半魚人のことを、確か親衛隊と言っていたので、彼女はもしかして姫様なのかもしれない。
 人魚姫に、絶頂の快感を教え込んだのかと、嬉しい様な残念な様な不思議な感覚を覚えながら、もう一度ジャンプしたマームに手を振って見送った。
 だが、よく考えてみると、今回も、また経験値獲得はできないまま終わったことになる。
 早く、レベルアップしなければならないのに、何をしてるんだと僕は頭を抱えた。

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