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067:三番目の価値と路傍の小石

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「だからね、エクスポーションだよ。上から三つ目のやつね? 昔あんたに作り方見せたことあったでしょ。ほら、コレよ」

 司書さんは指をパチンと鳴らすと、目の前に大きな図鑑が出てきた。
 さらに勝手に本が開き、該当箇所が開く。

「あ! 本当だ、これ見たことあるよ。それで海傘草を見たんだね」
「そう。だからその草に上級硬水と魔力を込めただけで、エクスポーションになるのよ」

 本当に今更だけど思い出した。
 でも司書さんのいう事は理解できるけど、意味が分からない。
 本当にコレがあのエクスポーションになると言うのなら、この島はとてつもない資源が眠っている。

 上から三つ目のポーション……確かこんな順序だったはず。

 ノーマル(緑色)
 これは切り傷をそれなりに癒やし、深い傷なら治らない。価値は銅貨十枚。

 ダブルポーション(青色)
 ノーマルの倍の効果で、深い傷も少しは良くなるけど、銅貨の十倍もする。理由は戦闘で急いでいる時によく使われるからかな。価格は銀貨一枚。

 ハイポーション(赤色)
 深い傷も治り、骨折もヒビ程度までなら回復できけど、とても高価なんだよね。
 価格は銀貨の百倍で、金貨十枚。
 できの良いものによっては、さらに倍の価格にもなるみたい。

 ここまでが一般向けに流通しているポーション。
 そんな事を考えていると、司書さんが声をかけてきた。

「……なぁに? 価値を考えているの?」
「え、ええまぁ……だってノーマルポーションって銅貨十枚じゃないですか? 聞いた話しだと、ちょっと良いランチが食べるくらいのものらしい・・・ですよ?」
「らしいねぇ。ホント聖女ってのは、雲の上って感じねぇ。まぁ確かにそう考えると、エクスポーションの価値はヤバイわよね」

 そう、本当におどろく価格と効果なんだよ。
 ここからが一般人には出回らないし、目の前にあっても購入するのも難しい価格帯となる。

 エクスポーション(シルバー)
 深い切り傷・複雑骨折を一瞬で治癒し、さらに欠損して一時間以内なら、その部位をあてがえたまま飲めば、そこが復活するというものだ。
 さらに体力まで回復しちゃうから、本当にすごい。

 ちなみに価格は驚きの金貨千枚だったはず。高級なお家が買えちゃうよね。

 この上に伝説級のものが二つある。
 レジェンドポーション(金色)と、ゴッズポーション(金銀色)なんだけれど、さらにレアだから、私も見たことがない。

「とはいえアンタ。そんな幻の薬草が、雑草として生えているココはなんなのよ?」

 司書さんが言うのもわかる。
 図鑑にも載っていたけど、海傘草は不浄の地は無論、人が行ける場所に生えてはいないし、どこが群生地なのかも分かってない。

 生えるには相応の土地の力が必要みたい。

 だからこの幻みたいな草が、こんなに無造作に生えている・・・・・・・・・のかが、私たちには理解ができない。

「さぁ……私も気がついたら、この島に流れ着いていたの」 
「ハァ~お気楽ねぇ。あんた、そこに落ちている石を持ってきなさい」
「石? この赤っぽいのですか?」
「そう、その赤に白いものが混じったやつ」

 司書さんがそう言うので、首を傾げながら落ちている石を拾ってから見せた。
 すると「やっぱりねぇ」と声を固くして言う。

「ねぇ、この石はどのくらいあるの?」
「え、どのくらいと言われても……」

 司書さんの言葉への返事にこまる。
 なにせいたる所に落ちていて、数を数えることなんて出来ないのだから。

「いっぱいとしか言いようがないです」
「まぁ見れば分かるわよ」
「じゃあ聞かないでくださいよぅ」
「そうは言ってもアンタ、聞きたくもなるでしょう? だってその石……小粒のものでも金貨十枚はするわよ?」

 言っている意味が分からない。
 だってちょっと赤みがかったただの石・・・・だし、それがなぜ? と思っていた。
 司書さんの次の言葉を聞くまでは。
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