31 / 109
030:南国娘とハイビスカス
しおりを挟む
『いいですか主、抜けるとは釣り上げたという事です。ですが主は今、岩自体をくり抜いてしまった。それは本来のスキル内容ではありません』
「まぁそれは分かるよ。〝器用貧乏〟は対象から釣り上げた中身を、具現化して使用できるようにするスキルだよな」
『そうです。もう一度言いますが、今回は岩自体をくり抜いてしまった。それは出来ないのです』
相棒の言葉に、ふんぞり返りながら「ふふん」とドヤりながら話す。
「べつに岩をくり抜いたわけじゃねぇって。いいか、この岩は何で出来ている?」
『岩の素材……ッ、まさかッ?!』
「そう、コイツは砂岩だ。その中から石英と長石を〝器用貧乏〟で弾いて固めた後、泥にちかい砂のみを、まとめてブッコ抜いたってわけさ」
『あ、ありえません。そんな使い方ができるなんて……』
絶句しつつ現実を認識しつつ在る相棒。
「それが出来ちまうんだから、仕方ないっしょ?」
『い、いえ。私はこのスキルの管理者ですから、その特性は誰よりもよく知っています! 〝スキル:器用貧乏〟は、そんなに汎用性の高いものではありません。むしろ失敗する確率が高いのです!』
そうまくし立てる相棒。
さらに聞けばどうやら本当らしく、良くて俺が最初に作った布程度のモノが出来ればいいそうだ。
確かにその話しなら理解も出来る……が、残念ながら出来てしまう。
特にあの赤金草から七色の調味料を釣り上げた時から、モノに宿る中心核が分かる気がする。
これはつまり――「――才能ってヤツっすね」と、ドヤ顔で言うと相棒が、『そう思います』としおらしく言う……。
このあと天からサメでも降るんじゃなかろうか?
そんな事を思っていると、相棒がブツブツと何かを言いながら、一つの答えにたどりつたようだ。
『もしかして……主、ス釣タスを開いてください!』
「なんだよいきなり?」
『いいから早くはやく! そして〝器用貧乏〟の項目を見てください!』
「わ、わかったよ。出てこいス釣タス! えっと器用貧乏は……あれ、ないぞ?」
俺の言葉に食い入りながら、ス釣タスを覗いてくる相棒。
竿の先端を曲げて、そんな必死に覗かなくてもいいと思うのだが。
なんて思っていると、『あ゛?!』と耳元で奇声をあげる。ホントうるさい釣り竿だよ。
そして今日なんどめかの『ありえない』を聞いた後、静かに話し始める。
『主よ、消えたのではありません……器用貧乏があった場所。そこをよく見てください』
「んんん? あれ? 〝変態的な器用さ:レベル2〟になってる! つか、ネェミングゥ??」
よく見れば〝人釣一体〟もレベルが3になっている事に気がつく。
「なんか色々と数値がアップしてるんだけど?」
『やはり……いいですか主。元々レベルもおかしかったですが、今は82です。具体的に言うと――』
そういうと相棒はス釣タスの一部を竿先で押すと、空間に立体的に内容が浮かび上がった。
【変態釣り氏(わらい)!! テメェの現在はコレダッ!!】
【釣果レベル:71→82】
攻釣力:129→312
防釣力:113→289
魔釣力:222→360
釣 運:???→???
MP釣: 260/300
現在使用できるスキル一覧
【人釣一体:LV3】
・ルアーの半径十センチを詳細に感知
【変態的な器用さ:LV2】
・晩秋の季節。凍える少女が針仕事をするよりも、正確にエモノを具現化してゲットする。
※器用貧乏は、変態ヤロウが酷使したために喰われました(ヘンタイさんめ)
以上のことより、〝器用貧乏〟は〝変態的な器用さ〟へ統合されました。
【???】
【??????】
【??????】――以下略
釣XP:25350/138000
「……もう意味がわからないんだけど? 大体なんだよ、変態的な器用さって!? しかも効果の説明がもっと意味が分からんうえに、ここは南国の島で、俺は南国少年だってばよ!!」
『なぜ少女? い、いやそこはどうでもいいのです。効果を見てください』
「だから南国娘だろ? 今度生まれ変わる時は〝理〟に言っといてくれ。ハイビスカスが似合う娘でヨロって」
そう言うと相棒は、呆れながら『その後です』と言う。
▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓
ここまでお読みいただきありがとうございます。
お気に入りや、コメントをいただき、とてもうれしいです。
あなた様に大感謝!!(´;ω;`)
▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓
「まぁそれは分かるよ。〝器用貧乏〟は対象から釣り上げた中身を、具現化して使用できるようにするスキルだよな」
『そうです。もう一度言いますが、今回は岩自体をくり抜いてしまった。それは出来ないのです』
相棒の言葉に、ふんぞり返りながら「ふふん」とドヤりながら話す。
「べつに岩をくり抜いたわけじゃねぇって。いいか、この岩は何で出来ている?」
『岩の素材……ッ、まさかッ?!』
「そう、コイツは砂岩だ。その中から石英と長石を〝器用貧乏〟で弾いて固めた後、泥にちかい砂のみを、まとめてブッコ抜いたってわけさ」
『あ、ありえません。そんな使い方ができるなんて……』
絶句しつつ現実を認識しつつ在る相棒。
「それが出来ちまうんだから、仕方ないっしょ?」
『い、いえ。私はこのスキルの管理者ですから、その特性は誰よりもよく知っています! 〝スキル:器用貧乏〟は、そんなに汎用性の高いものではありません。むしろ失敗する確率が高いのです!』
そうまくし立てる相棒。
さらに聞けばどうやら本当らしく、良くて俺が最初に作った布程度のモノが出来ればいいそうだ。
確かにその話しなら理解も出来る……が、残念ながら出来てしまう。
特にあの赤金草から七色の調味料を釣り上げた時から、モノに宿る中心核が分かる気がする。
これはつまり――「――才能ってヤツっすね」と、ドヤ顔で言うと相棒が、『そう思います』としおらしく言う……。
このあと天からサメでも降るんじゃなかろうか?
そんな事を思っていると、相棒がブツブツと何かを言いながら、一つの答えにたどりつたようだ。
『もしかして……主、ス釣タスを開いてください!』
「なんだよいきなり?」
『いいから早くはやく! そして〝器用貧乏〟の項目を見てください!』
「わ、わかったよ。出てこいス釣タス! えっと器用貧乏は……あれ、ないぞ?」
俺の言葉に食い入りながら、ス釣タスを覗いてくる相棒。
竿の先端を曲げて、そんな必死に覗かなくてもいいと思うのだが。
なんて思っていると、『あ゛?!』と耳元で奇声をあげる。ホントうるさい釣り竿だよ。
そして今日なんどめかの『ありえない』を聞いた後、静かに話し始める。
『主よ、消えたのではありません……器用貧乏があった場所。そこをよく見てください』
「んんん? あれ? 〝変態的な器用さ:レベル2〟になってる! つか、ネェミングゥ??」
よく見れば〝人釣一体〟もレベルが3になっている事に気がつく。
「なんか色々と数値がアップしてるんだけど?」
『やはり……いいですか主。元々レベルもおかしかったですが、今は82です。具体的に言うと――』
そういうと相棒はス釣タスの一部を竿先で押すと、空間に立体的に内容が浮かび上がった。
【変態釣り氏(わらい)!! テメェの現在はコレダッ!!】
【釣果レベル:71→82】
攻釣力:129→312
防釣力:113→289
魔釣力:222→360
釣 運:???→???
MP釣: 260/300
現在使用できるスキル一覧
【人釣一体:LV3】
・ルアーの半径十センチを詳細に感知
【変態的な器用さ:LV2】
・晩秋の季節。凍える少女が針仕事をするよりも、正確にエモノを具現化してゲットする。
※器用貧乏は、変態ヤロウが酷使したために喰われました(ヘンタイさんめ)
以上のことより、〝器用貧乏〟は〝変態的な器用さ〟へ統合されました。
【???】
【??????】
【??????】――以下略
釣XP:25350/138000
「……もう意味がわからないんだけど? 大体なんだよ、変態的な器用さって!? しかも効果の説明がもっと意味が分からんうえに、ここは南国の島で、俺は南国少年だってばよ!!」
『なぜ少女? い、いやそこはどうでもいいのです。効果を見てください』
「だから南国娘だろ? 今度生まれ変わる時は〝理〟に言っといてくれ。ハイビスカスが似合う娘でヨロって」
そう言うと相棒は、呆れながら『その後です』と言う。
▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓
ここまでお読みいただきありがとうございます。
お気に入りや、コメントをいただき、とてもうれしいです。
あなた様に大感謝!!(´;ω;`)
▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓
0
お気に入りに追加
412
あなたにおすすめの小説
目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し
gari
ファンタジー
突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。
知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。
正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。
過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。
一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。
父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!
地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……
ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!
どうする? どうなる? 召喚勇者。
※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
変わり者と呼ばれた貴族は、辺境で自由に生きていきます
染井トリノ
ファンタジー
書籍化に伴い改題いたしました。
といっても、ほとんど前と一緒ですが。
変わり者で、落ちこぼれ。
名門貴族グレーテル家の三男として生まれたウィルは、貴族でありながら魔法の才能がなかった。
それによって幼い頃に見限られ、本宅から離れた別荘で暮らしていた。
ウィルは世間では嫌われている亜人種に興味を持ち、奴隷となっていた亜人種の少女たちを屋敷のメイドとして雇っていた。
そのこともあまり快く思われておらず、周囲からは変わり者と呼ばれている。
そんなウィルも十八になり、貴族の慣わしで自分の領地をもらうことになったのだが……。
父親から送られた領地は、領民ゼロ、土地は枯れはて資源もなく、屋敷もボロボロという最悪の状況だった。
これはウィルが、荒れた領地で生きていく物語。
隠してきた力もフルに使って、エルフや獣人といった様々な種族と交流しながらのんびり過ごす。
8/26HOTラインキング1位達成!
同日ファンタジー&総合ランキング1位達成!
【完結】異世界で小料理屋さんを自由気ままに営業する〜おっかなびっくり魔物ジビエ料理の数々〜
櫛田こころ
ファンタジー
料理人の人生を絶たれた。
和食料理人である女性の秋吉宏香(あきよしひろか)は、ひき逃げ事故に遭ったのだ。
命には関わらなかったが、生き甲斐となっていた料理人にとって大事な利き腕の神経が切れてしまい、不随までの重傷を負う。
さすがに勤め先を続けるわけにもいかず、辞めて公園で途方に暮れていると……女神に請われ、異世界転移をすることに。
腕の障害をリセットされたため、新たな料理人としての人生をスタートさせようとした時に、尾が二又に別れた猫が……ジビエに似た魔物を狩っていたところに遭遇。
料理人としての再スタートの機会を得た女性と、猟りの腕前はプロ級の猫又ぽい魔物との飯テロスローライフが始まる!!
おっかなびっくり料理の小料理屋さんの料理を召し上がれ?
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
ポーション必要ですか?作るので10時間待てますか?
chocopoppo
ファンタジー
松本(35)は会社でうたた寝をした瞬間に異世界転移してしまった。
特別な才能を持っているわけでも、与えられたわけでもない彼は当然戦うことなど出来ないが、彼には持ち前の『単調作業適性』と『社会人適性』のスキル(?)があった。
第二の『社会人』人生を送るため、超資格重視社会で手に職付けようと奮闘する、自称『どこにでもいる』社会人のお話。(Image generation AI : DALL-E3 / Operator & Finisher : chocopoppo)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる