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ダンジョン~〝戦極〟覚醒編
062:本当の先生
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「えっと……あまりにも凄すぎって思っちゃいました」
凄すぎ? あぁそうか、忘れていたが俺は玄人だが二人は素人だったな。
俺が圧倒的に弱すぎるから、俺より上位の玄人と思いこんでいたわ。
そうだな、ならまずは……よし、決まりだ。
「なぁ二人ともさ、今さらだが俺は弱い。それは分かるよな?」
「えっと……はい」
「桜は素直でよろしい。で、だ。そんな弱い俺だが、実は剣術のプロだったりする」
「や、やっぱり! 僕はライオス先生から、ここ十日色々と教えてもらいました。だからこそわかります、戦極さんは普通じゃないって」
ライオンマン。基礎は教え込んだようだが、応用編はどうかな?
「なるほどな。じゃあ剛流は俺がどうやってゾンビを倒したか分かるか?」
「え、えっと……魔力は使えないから気力ってことですよね?」
「そうだな。だがソレだけじゃサクっとは倒せないんだ。そのあたりを聞いていたりするか?」
「い、いえ。僕は魔力での駆逐方法しかわかりません。桜ちゃんは?」
「私も同じだよ。むしろ魔法でしか倒せない感じだし」
だろうな。この短時間では魔力での強化が最適解だろう。
勇者のステータス力を使い、あとは力任せといったところか。
それが通用するんだから、勇者ってのはチートだねぇ。
「もし、だ。何かの状況におちいり、魔力がなくなったり封印された時の事を考えたことは?」
「た、たしかにこの世界なら、そういう事も十分にあるかもですね」
「考えてもみなかったです。私は魔法師だから、体術とかよりも魔法なのに……」
「まぁそれはそうだろうな。まして戦闘の経験もないのだから当然だよ。そこで万が一のために、桜でも戦える方法を教えようと思うが……どうする?」
二人は顔を見合わせてから、同時にうなずく。
そして戦極へ「お願いします!」と力強く頭を下げる。
「OK、なら時間も無いから階段を探しながらレクチャーしようか。ちょうど良いところに、腐ったお客様も来たしな」
行く先からゾンビが一体向かってくるのが見えた。
片足を負傷しているようで、ズルズルと右足を引きずりながらやってくる。
戦極は抜剣すると、背後の二人へと戦いのコツを話す。
「俺は気を使うのは知っての通りだ。が、それを常備使っていたら、あっという間に気力が無くなり、この死体すら倒せないだろうな」
「そ、そんな!?」
「焦るなよ剛流。だからトドメの一撃にしか使わないのさ、こんなふうにな」
なんの気負いなく歩を進める戦極。
生きている者への飽くなき食欲を満たすため、死体は腐った犬歯をむき出しに襲ってくる。
「まずはここ、右腕の関節を斬り飛ばす」
戦極をつかもうとする右手を、剣の腹で内側へと払いつつ、左足を背後へと引くことにより、空間を作る。
それと同時に左回りに回転しながら、ゾンビの真横へ向き直ったと同時に腕の関節を切断。
痛みは感じていないようだが、ゾンビは「グゴオオオ」と叫び、腕が無いのを忘れて掴みかかってくる。
「と、まぁこんな感じだ。大きく動いて見せたから、分かりやすいとは思うが、どうかな?」
「うん、とってもわかりやすかったです!」
「ぼ、僕もよくわかりました。つまり弱い部分を攻撃し、相手の攻撃力を削ぐということですね?」
「御名答。だが言うほど簡単じゃないのさ、例えばこんな風にな」
さらに戦極をつかもうと、左腕を伸ばしてくるゾンビをバックステップで躱し、半身かがみながら斜め下から関節の少し手前を斬る、が。
「え!? 斬れない!!」
「ど、どうして!? 僕にはさっきと同じ場所を、斬ったように見えたのに!」
弾いて上に向いた腕を、今度は真横から少し上に軌道をずらして斬る。
すると、今度はすんなりと腕が斬り飛ばされてしう。
「今度は斬れちゃった!?」
「ぼ、僕にはなんとなくだけど分かったかも。剣を当てている場所が微妙に違うんだよ」
剛流の答えに戦極はニヤリと口角を上げつつ、ゾンビにとどめを刺す。
断末魔をあげたゾンビは、そのまま背後へと倒れ動かなくなるのだった。
凄すぎ? あぁそうか、忘れていたが俺は玄人だが二人は素人だったな。
俺が圧倒的に弱すぎるから、俺より上位の玄人と思いこんでいたわ。
そうだな、ならまずは……よし、決まりだ。
「なぁ二人ともさ、今さらだが俺は弱い。それは分かるよな?」
「えっと……はい」
「桜は素直でよろしい。で、だ。そんな弱い俺だが、実は剣術のプロだったりする」
「や、やっぱり! 僕はライオス先生から、ここ十日色々と教えてもらいました。だからこそわかります、戦極さんは普通じゃないって」
ライオンマン。基礎は教え込んだようだが、応用編はどうかな?
「なるほどな。じゃあ剛流は俺がどうやってゾンビを倒したか分かるか?」
「え、えっと……魔力は使えないから気力ってことですよね?」
「そうだな。だがソレだけじゃサクっとは倒せないんだ。そのあたりを聞いていたりするか?」
「い、いえ。僕は魔力での駆逐方法しかわかりません。桜ちゃんは?」
「私も同じだよ。むしろ魔法でしか倒せない感じだし」
だろうな。この短時間では魔力での強化が最適解だろう。
勇者のステータス力を使い、あとは力任せといったところか。
それが通用するんだから、勇者ってのはチートだねぇ。
「もし、だ。何かの状況におちいり、魔力がなくなったり封印された時の事を考えたことは?」
「た、たしかにこの世界なら、そういう事も十分にあるかもですね」
「考えてもみなかったです。私は魔法師だから、体術とかよりも魔法なのに……」
「まぁそれはそうだろうな。まして戦闘の経験もないのだから当然だよ。そこで万が一のために、桜でも戦える方法を教えようと思うが……どうする?」
二人は顔を見合わせてから、同時にうなずく。
そして戦極へ「お願いします!」と力強く頭を下げる。
「OK、なら時間も無いから階段を探しながらレクチャーしようか。ちょうど良いところに、腐ったお客様も来たしな」
行く先からゾンビが一体向かってくるのが見えた。
片足を負傷しているようで、ズルズルと右足を引きずりながらやってくる。
戦極は抜剣すると、背後の二人へと戦いのコツを話す。
「俺は気を使うのは知っての通りだ。が、それを常備使っていたら、あっという間に気力が無くなり、この死体すら倒せないだろうな」
「そ、そんな!?」
「焦るなよ剛流。だからトドメの一撃にしか使わないのさ、こんなふうにな」
なんの気負いなく歩を進める戦極。
生きている者への飽くなき食欲を満たすため、死体は腐った犬歯をむき出しに襲ってくる。
「まずはここ、右腕の関節を斬り飛ばす」
戦極をつかもうとする右手を、剣の腹で内側へと払いつつ、左足を背後へと引くことにより、空間を作る。
それと同時に左回りに回転しながら、ゾンビの真横へ向き直ったと同時に腕の関節を切断。
痛みは感じていないようだが、ゾンビは「グゴオオオ」と叫び、腕が無いのを忘れて掴みかかってくる。
「と、まぁこんな感じだ。大きく動いて見せたから、分かりやすいとは思うが、どうかな?」
「うん、とってもわかりやすかったです!」
「ぼ、僕もよくわかりました。つまり弱い部分を攻撃し、相手の攻撃力を削ぐということですね?」
「御名答。だが言うほど簡単じゃないのさ、例えばこんな風にな」
さらに戦極をつかもうと、左腕を伸ばしてくるゾンビをバックステップで躱し、半身かがみながら斜め下から関節の少し手前を斬る、が。
「え!? 斬れない!!」
「ど、どうして!? 僕にはさっきと同じ場所を、斬ったように見えたのに!」
弾いて上に向いた腕を、今度は真横から少し上に軌道をずらして斬る。
すると、今度はすんなりと腕が斬り飛ばされてしう。
「今度は斬れちゃった!?」
「ぼ、僕にはなんとなくだけど分かったかも。剣を当てている場所が微妙に違うんだよ」
剛流の答えに戦極はニヤリと口角を上げつつ、ゾンビにとどめを刺す。
断末魔をあげたゾンビは、そのまま背後へと倒れ動かなくなるのだった。
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