50 / 105
ダンジョン~〝戦極〟覚醒編
049:わん太郎の冒険🐾~ポコポコの章
しおりを挟む
「うわあああん! うわあああん! 痛いんだわあああああん」
『私を置いてどこへ行くのかな? かなぁ?』
水中へ置き去りにされてしまった美琴さん。
水も蒸発するいきおいで激怒である。
おかげで近くにいた魚は、その怒りにより水面へと浮かぶ。
あわれ、異世界初の悲恋美琴に呪い殺された最初の犠牲者は、ナズマと呼ばれるナマズみたいな魚であった。
大きさは五十センチほどであり、泥臭くかなりマズイ。
そんなマズイ魚でも、領主の許可なく捕獲する事は禁止だ。
しかしそれでも密猟は後をたたず、この街の貴重なタンパク源となっていた。
運良く? 死んだナズマを手に入れたことで、これまでの状況を美琴へとタンコブを三つ作り、ポロポロと涙を流して説明する。
『ふ~んなるほどね。そういう事なら許してあげるんだよ』
「えぐっえぐっ。なら初めから、ポコポコしないでほしいんだワンよぅ」
『それとこれとは別なんだよ!!』
「ひぃッ」
ミリーが美琴さんの怒りにより、顔を青くしてガクブルしちゃう。
慌てて美琴はミリーへと優しい言葉をかけ、怖くないよアピールに必死だ。
『だ、大丈夫だよミリーちゃん。私は怖くないよ~♪ ほら、ちょっと呪われた妖刀なだけの、ただの幽霊なんだよ』
「ヒィィィィィッ!?」
「よけいに怖がらせてどうするワン……。こんなおかしな幽霊だけど、怖くないから平気だワン。凶暴だけど」
「ヒェェェェェェ!?」
ミリーちゃん、もう涙目を通り越して涙が洪水のように流れ出る。
あわあわとする二人は、なんとかミリーちゃんをなだめると、ナズマを拾い歩き出す。
『そっか……ここはそんなに酷いんだね』
「うん……みんなお腹を空かせているんだ。だから、こうやって隠さないと盗まれちゃうの」
ミリーはナズマを服の中へとしまい込む。
ヌルヌルのナズマを、素肌と密着させて歩くのは、そうとう気持ちが悪いだろうと美琴は思う。
だがそうしないと盗まれてしまうと言うのは、ミリーをみる大人たちの視線をおえば、それが本当なのだろうと思えた。
『街中が荒んでいるんだよ』
「そうだワンねぇ。と~っても嫌な雰囲気だワン」
街を隠れるようにあるく三人。
ナズマを持っているとわからないように、ゴミを途中で拾いそれを抱きながら歩くミリー。
だがそれでも「あのガキ、何かあやしくないか」などと、陰口が聞こえてくる。
不安になるミリーへ美琴は優しく、『大丈夫だよ』と語りかけて落ち着かせた。
やがてミリーの家が見えたころ、家の前に一人の女が心配そうに周囲を見まわす。
それを見たミリーは、大きく右手をふり母親へと叫ぶ。
「ママー! ただいまー!」
「ミリー!? どこへ行っていたの、心配したじゃない! それより早くお家へはりなさい」
「うん。あの、ね。子狐ちゃんもお招きしたいんだけど……いいかな?」
「小狐ちゃん?」
ミリーの母親は彼女足元をみる。
そこには二本足で立ち上がる、変な子狐が胸を張っていた。
「くるしゅうないんだワン。ワレはエライからして、もてなしは必要だワン」
『馬鹿なこといってないで、ちゃんと挨拶をするんだよ。こんにちわミリーちゃんのお母さん』
「え、え、ええええ!? 子狐ちゃんと、棒が話している!?」
「と、とにかくママ。お家へはいろう?」
遠くからこちらを伺っている住民の視線を感じたミリーは、母親へ家の中へと逃げ込もうと話すのだった。
『私を置いてどこへ行くのかな? かなぁ?』
水中へ置き去りにされてしまった美琴さん。
水も蒸発するいきおいで激怒である。
おかげで近くにいた魚は、その怒りにより水面へと浮かぶ。
あわれ、異世界初の悲恋美琴に呪い殺された最初の犠牲者は、ナズマと呼ばれるナマズみたいな魚であった。
大きさは五十センチほどであり、泥臭くかなりマズイ。
そんなマズイ魚でも、領主の許可なく捕獲する事は禁止だ。
しかしそれでも密猟は後をたたず、この街の貴重なタンパク源となっていた。
運良く? 死んだナズマを手に入れたことで、これまでの状況を美琴へとタンコブを三つ作り、ポロポロと涙を流して説明する。
『ふ~んなるほどね。そういう事なら許してあげるんだよ』
「えぐっえぐっ。なら初めから、ポコポコしないでほしいんだワンよぅ」
『それとこれとは別なんだよ!!』
「ひぃッ」
ミリーが美琴さんの怒りにより、顔を青くしてガクブルしちゃう。
慌てて美琴はミリーへと優しい言葉をかけ、怖くないよアピールに必死だ。
『だ、大丈夫だよミリーちゃん。私は怖くないよ~♪ ほら、ちょっと呪われた妖刀なだけの、ただの幽霊なんだよ』
「ヒィィィィィッ!?」
「よけいに怖がらせてどうするワン……。こんなおかしな幽霊だけど、怖くないから平気だワン。凶暴だけど」
「ヒェェェェェェ!?」
ミリーちゃん、もう涙目を通り越して涙が洪水のように流れ出る。
あわあわとする二人は、なんとかミリーちゃんをなだめると、ナズマを拾い歩き出す。
『そっか……ここはそんなに酷いんだね』
「うん……みんなお腹を空かせているんだ。だから、こうやって隠さないと盗まれちゃうの」
ミリーはナズマを服の中へとしまい込む。
ヌルヌルのナズマを、素肌と密着させて歩くのは、そうとう気持ちが悪いだろうと美琴は思う。
だがそうしないと盗まれてしまうと言うのは、ミリーをみる大人たちの視線をおえば、それが本当なのだろうと思えた。
『街中が荒んでいるんだよ』
「そうだワンねぇ。と~っても嫌な雰囲気だワン」
街を隠れるようにあるく三人。
ナズマを持っているとわからないように、ゴミを途中で拾いそれを抱きながら歩くミリー。
だがそれでも「あのガキ、何かあやしくないか」などと、陰口が聞こえてくる。
不安になるミリーへ美琴は優しく、『大丈夫だよ』と語りかけて落ち着かせた。
やがてミリーの家が見えたころ、家の前に一人の女が心配そうに周囲を見まわす。
それを見たミリーは、大きく右手をふり母親へと叫ぶ。
「ママー! ただいまー!」
「ミリー!? どこへ行っていたの、心配したじゃない! それより早くお家へはりなさい」
「うん。あの、ね。子狐ちゃんもお招きしたいんだけど……いいかな?」
「小狐ちゃん?」
ミリーの母親は彼女足元をみる。
そこには二本足で立ち上がる、変な子狐が胸を張っていた。
「くるしゅうないんだワン。ワレはエライからして、もてなしは必要だワン」
『馬鹿なこといってないで、ちゃんと挨拶をするんだよ。こんにちわミリーちゃんのお母さん』
「え、え、ええええ!? 子狐ちゃんと、棒が話している!?」
「と、とにかくママ。お家へはいろう?」
遠くからこちらを伺っている住民の視線を感じたミリーは、母親へ家の中へと逃げ込もうと話すのだった。
0
お気に入りに追加
137
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
突然だけど、空間魔法を頼りに生き延びます
ももがぶ
ファンタジー
俺、空田広志(そらたひろし)23歳。
何故だか気が付けば、見も知らぬ世界に立っていた。
何故、そんなことが分かるかと言えば、自分の目の前には木の棒……棍棒だろうか、それを握りしめた緑色の醜悪な小人っぽい何か三体に囲まれていたからだ。
それに俺は少し前までコンビニに立ち寄っていたのだから、こんな何もない平原であるハズがない。
そして振り返ってもさっきまでいたはずのコンビニも見えないし、建物どころかアスファルトの道路も街灯も何も見えない。
見えるのは俺を取り囲む醜悪な小人三体と、遠くに森の様な木々が見えるだけだ。
「えっと、とりあえずどうにかしないと多分……死んじゃうよね。でも、どうすれば?」
にじり寄ってくる三体の何かを警戒しながら、どうにかこの場を切り抜けたいと考えるが、手元には武器になりそうな物はなく、持っているコンビニの袋の中は発泡酒三本とツナマヨと梅干しのおにぎり、後はポテサラだけだ。
「こりゃ、詰みだな」と思っていると「待てよ、ここが異世界なら……」とある期待が沸き上がる。
「何もしないよりは……」と考え「ステータス!」と呟けば、目の前に半透明のボードが現れ、そこには自分の名前と性別、年齢、HPなどが表記され、最後には『空間魔法Lv1』『次元の隙間からこぼれ落ちた者』と記載されていた。
私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ
Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」
結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。
「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」
とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。
リリーナは結界魔術師2級を所持している。
ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。
……本当なら……ね。
※完結まで執筆済み
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る
伽羅
ファンタジー
三つ子で生まれた銀狐の獣人シリル。一人だけ体が小さく人型に変化しても赤ん坊のままだった。
それでも親子で仲良く暮らしていた獣人の里が人間に襲撃される。
兄達を助ける為に囮になったシリルは逃げる途中で崖から川に転落して流されてしまう。
何とか一命を取り留めたシリルは家族を探す旅に出るのだった…。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる