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第九章:奪還作戦と、国の闇

426:石油?

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 嵐影の額に浮かぶ紋様。それは円形と、それを囲むように翼のようなものが浮かび上がっていた。
 驚く全員。レッド・ドラゴンなどはイケナイもので大地を濡らす。
 そんな状況を呆然と見ながら、全員は一度顔を見合わせると、流は思い出したように話し出す。

「そいつは……ああそうだ。嵐影、おまえの爺さんにも似たような紋様があったぞ!」
「……マ?」
「そうだ。今のおまえにそれが出ている。ほら、見てみろよ」

 流はそう言うと、悲恋の腹を横にして嵐影の顔に映す。

「…………マ……」

 それを見た嵐影は驚き、つぶらな瞳で流と悲恋に写った自分を見つめる。
 やがてそれが本当の事だとわかると、嵐影は立ち上がり。

「……マママ~ママ~マッマッマ~!!」
「お、おう。たしかにおまえの言う通りだ。あの時の爺さん、疾風はやてとの会話に出てきてた事と似ている……いや、多分同じなんだろう」
「……マァ」
「って事は、コイツはおまえのモノになったと思っていいだろう」

 嵐影と流はレッド・ドラゴンに視線をうつす。どうやらまだ怯えているようで、巨体をブルブルと震えさせ、嵐影と流を交互に見る。

「ぅ……うう。やっぱり殺すのだな……そうか。我はここで死ぬのか……せめて痛くしないでね?」

 自分の最後を悟るレッド・ドラゴンは、滝のように青い瞳から涙ながす。
 そこに嵐影はしずかに近寄ると、そっと右手を出してそれを拭う。
 殺されると思ってビクリと震えるレッド・ドラゴンは、以外な展開に大きな青い瞳で嵐影を凝視する。

「……マァ」
「ぇ、助けてくれるの?」
「……マ~」
「そ、そりゃあもちろん! 助けてくれるなら、何でも言うことを聞きますよ!!」
「……マッママ」
「わっかりました! 今日からえっと……お名前は?」
「……マ」
「ランエイさんですね! ランエイさんの手下になります!!」

 レッド・ドラゴンが自分の胸をドンと叩き、腹からながれている青い血が、その反動で嵐影の顔へと〝ぺちょり〟と飛び散る。
 嵐影は嫌そうに一つうなる。その瞬間だった、嵐影の胸が光だし首飾りのような模様が出現し、その一つが赤く染まり輝く。
 それと同時にレッド・ドラゴンの胸にも、一つの模様が浮かび上がり、まるで首飾りのような形になる。
 

「ぬおおおおお!? 今、ランエイさんと我はつながった……な、なんだ……力が湧き上がる!?」

 レッド・ドラゴンは突如咆哮をあげる。その口からは、青い炎が吹き出す。それはレッド・ドラゴンが夢にまで見た「本当の炎」であった。

「わ……我が……本当の炎のブレスを……。うぅ、嬉しいいいいいい」

 感動したレッド・ドラゴンは、天に向け炎を何度も吹き出す。それは天をも穿つ勢いで吹き上がり、夕暮れの平原を明るく染める。
 それを見た遠くの街は、さらに恐怖で警報を打ち鳴らす。
 やがてそれも落ち着き、レッド・ドラゴンは嵐影へ向き直ると、頭をさげるのだった。

「もう本当に一生ついていく所存です、ランエイさん!!」
「……マァ」
「え? その人間、ナガレさんがランエイさんの主? そ、そいつは失礼しました。オイ、ナガレさん、これから世話になるぞ!!」
「お前さぁ、偉そうなんだか、弱そうなんだかはっきりしろよ。で、どうして襲いかかってきた?」
「ヒィッ!? そ、そんな睨まないでくださいよ。言いますから」

 レッド・ドラゴンは流たちを、襲った理由について話し出す。どうやら上位の竜からの指示らしく、その話は得体のしれない人間のようなものからだったらしい。
 その内容に流は難しい顔をしながら話を聞くと、思いつく事があると口を開く。

「――つまり、その人間は『俺とにたような雰囲気』だったと?」
「そ、そうなんです旦那。ナガレの旦那と同じように、人とは思えない雰囲気と威圧感を放っていました。だからてっきりそいつが来たのかと思い、理由を聞き殺してやろうかと……スミマセン」
「まぁそれはもういい。で、その指示とはなんなんだよ?」
「え~っとですねぇ。あ、そうそう。なんでも人間なのに、人間じゃない雰囲気のヤツが近くに来たら食べていいって言ってましたね!!」
「……おい、それって俺の事じゃねぇのか? ん?」

 流とレッド・ドラゴンは顔を見つめると、レッド・ドラゴンは「あ!」と一言驚く。

「そうか! 今思えばナガレの旦那の事か!! 納得」
「はぁ……そうなると、やっぱりこれは」
『人形がらみの、アルマーク商会でしょうね』
「またウチが関係しているのか……。早急に爺さんに合わないと、いけなくなったな」

 そうエルヴィスはつぶやくと、遠くの山をジっと見つめる。その様子にセリアもルーセントも黙って見ているだけだった。
 しばらくレッド・ドラゴンと話をしていると、面白い発見もあった。どうやらあの水は実は燃えるらしい。
 だが火を付けたくらいでは燃えず、火の上級魔法か、落雷にでも吹きかけないと燃えないとのことだ。
 
「と言うことはだ、燃える水を吐き出していたが、燃やす手段なくて水のブレスになっていたと?」
「自分でもよく分かんないんですけどねぇ、多分そうです」
「駄竜めぇ……ん? あれは」
「戦闘準備完了ってところかしらね」

 流たちは町の方から駆けてくる武装集団を確認すると、全員疲れた表情で顔を見渡すのだった。
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