371 / 486
第九章:奪還作戦と、国の闇
371:煙の中で女を口説く漢
しおりを挟む
曲刀のような刃先を持つ鉾を片手に、全力で落ちてくる龍人の男。その姿は見るだけで体が萎縮するほどの迫力があった。
そして流のすぐ目の間に着地すると、わき目もふらずにレッドの元へと駆けよる。
「レッド殿下!? このお姿は一体何事でございますか!! ああああああ!! おいたわしや……なぜこのような惨事に」
「あ~スマン。それ、やったの俺。優しく撫でただけだから、そのうち起きるだろ」
突如背後から聞こえた声に、エルギスは〝ピクリ〟と全身を震わせる。
そしてゆっくりと立ち上がると、振り返りながら震える指先を流へと向ける。
「ワシの聞き間違いかな? レッド殿下がキサマのような輩に嬲られた……と?」
「その質問に答えるまえに、その殿下とやらが『やらかしたこの惨状』をどう思う?」
「愚問。龍人と言う存在は、全ての摂理に優先される。すなわちそれが人の死であろうが、『だからどうした?』と言うことだ」
「やれやれ、龍人とは馬鹿が羽生やしてる生き物の総称なのか? 『理』が何かも知らず、摂理を語るな。いいか、悪いことをした。だから今そうなっている。分かるな?」
「……不遜なり、人の子よ。力が全てだと矮小なその身に刻み込んでシネ」
すでに悲恋へと戻った美琴を片手に、流はゆらりと歩き出す。上空ではエルギス様と叫ぶ龍人の事などほっておいて、にらみ合う二人。
龍人の男、エルギスは龍の口から生えているような鉾を流へと向け魔力を込める。
それに呼応するかのように、流もまた妖力を込め始める。
対峙する二人。その力だけが、青天井のように積み重なると思われた瞬間だった。
同じタイミングで踏み込む二人。まず流が左下から右斜め上へと斬り上げ、それを鉾の最も下の部分である石突きで器用に跳ね飛ばすエルギス。
そのまま弾かれた美琴に体を預け、勢いのまま左足でケリをエルギスのアゴへと食らわしたのを、状態をそらして躱す。
エルギスはそのまま鉾を打ち下ろし、縦に真っ二つにするように一閃。
それを右回りに回転しながら美琴の刃で滑らせて、地面へと鉾を誘導しめり込ませる。
瞬間、地面が爆発するように破裂し、視界が一瞬失われた二人は別々の行動にうつり、エルギスは空へ。流はそのまま土煙の中でたたずむ。
「土煙に紛れようと、この龍人から逃れられるとでも思ったか? マヌケめが」
「なぁ、頼むよ。いいだろう? ちょっとでいいからさぁ、ええ? 恥ずかしがるなよ」
「フン、同じ位置から気配が動かぬとはな。臆したか!?」
「いやいや、大丈夫。可愛いからさ。いつも見ている俺が言うんだぜ? 間違いないって」
龍人は視力もいいが、聴力も優れている。だって龍人だもの。
「……キサマ、一体何を言っておる!?」
「そりゃキモチワルイのは分かる。暑苦しいひげ面だけどさ、無駄に声デカイけどさ。お前がホンキになっちまったら、魅了させちまうだろ? だから、ちょっとだけその美しい顔を……な?」
「キサマああああああああああ!! 土煙の中で娘を口説いているのか!? なんと言う武人にあるまじき行為……骨すら残らず死滅せい!!」
エルギスは怒りのあまり開いた口が塞がらないように見える。そう見ていたドラゴンヘッドのエドばかりではなく、ルーセントや騎士たちまでそう思う。
この男は死地とも言える状況で、「セリアを口説く」とは正気の沙汰ではないと。
「な……何をしているんだ巨滅の英雄!! ジャジャ馬姫とイチャついてる場合じゃねえぞ!!」
「お嬢様!! そのような不埒な男から離れてください!! お子が出来たらどうします!? 汚れてしまいますぞ!!」
「「「団長そこですか!?」」」
エルギスは思う、ここまで人間共にバカにされたのは生まれて初めてだと。だからこそ、その怒りで開いた口の奥に、力を蓄積させる。
光る口内。それは緑色に輝きをまし一度口を閉じると、さらに震える大気を背負い静かに口を開く。
「ここまで馬鹿にされたのは生まれて初めてだ。あたり一帯、灰燼とかせ……消え失せろ! 緑雷口砲!!」
エルギスは〝ガバリ〟と口を開く、それもアゴが外れているしか思えない大きさでだ。
そのまま怒りが形になったかのような形相で、緑光の雷を吐き出す!
そのまるで緑色のいびつなレーザーとも言える雷撃が、流へと向けて容赦なく降り注ぐ。
「よかった、なら頼むぜぇ『天女ちゃん』よぉ? ジジイ流納刀術! 奥義・陸翔燕斬【改】!!」
流の頭上から直撃するコースの緑雷口砲は、いびつな光を放ちながら迫ること七メートル。
一気に美琴の鞘に妖力を込め、本来の鞘を吹き飛ばす事で威力を最大にするのを省き、手に持った状態で「妖艶天女」を召喚する。
天女は燕を引き連れ緑の雷撃へと楽しげに飛ぶ。それは恋する乙女が想い人の胸に飛び込むように、燕を――ぶん投げた!!
燕は「ギャアアア」と言うような顔で、緑の雷撃へ突っ込むと、そのまま食い破るように上昇する。
(何だ!? 鳥だと? ありえん!! だがッ!!)
エルギスはありえない状況に困惑しながらも、緑雷口砲を割りながら近づく銀鳥に〝ゾクリ〟とする。
このままだと押し負ける!? ありえないと思いながらも、それは確信とも言える力だ。
(フッザケルナアアアアアアアア!! たかが鳥如きに、この緑雷口砲が破られてたまるかあああああッ!!)
後先考えずに、エルギスは龍人のプライドを緑雷とかえ、さらにフルパワーで吐き出す。
やがてそれが尽きる頃、銀色の鳥が消失したのを確認し、エルギスは咆哮をあげるのだった。
そして流のすぐ目の間に着地すると、わき目もふらずにレッドの元へと駆けよる。
「レッド殿下!? このお姿は一体何事でございますか!! ああああああ!! おいたわしや……なぜこのような惨事に」
「あ~スマン。それ、やったの俺。優しく撫でただけだから、そのうち起きるだろ」
突如背後から聞こえた声に、エルギスは〝ピクリ〟と全身を震わせる。
そしてゆっくりと立ち上がると、振り返りながら震える指先を流へと向ける。
「ワシの聞き間違いかな? レッド殿下がキサマのような輩に嬲られた……と?」
「その質問に答えるまえに、その殿下とやらが『やらかしたこの惨状』をどう思う?」
「愚問。龍人と言う存在は、全ての摂理に優先される。すなわちそれが人の死であろうが、『だからどうした?』と言うことだ」
「やれやれ、龍人とは馬鹿が羽生やしてる生き物の総称なのか? 『理』が何かも知らず、摂理を語るな。いいか、悪いことをした。だから今そうなっている。分かるな?」
「……不遜なり、人の子よ。力が全てだと矮小なその身に刻み込んでシネ」
すでに悲恋へと戻った美琴を片手に、流はゆらりと歩き出す。上空ではエルギス様と叫ぶ龍人の事などほっておいて、にらみ合う二人。
龍人の男、エルギスは龍の口から生えているような鉾を流へと向け魔力を込める。
それに呼応するかのように、流もまた妖力を込め始める。
対峙する二人。その力だけが、青天井のように積み重なると思われた瞬間だった。
同じタイミングで踏み込む二人。まず流が左下から右斜め上へと斬り上げ、それを鉾の最も下の部分である石突きで器用に跳ね飛ばすエルギス。
そのまま弾かれた美琴に体を預け、勢いのまま左足でケリをエルギスのアゴへと食らわしたのを、状態をそらして躱す。
エルギスはそのまま鉾を打ち下ろし、縦に真っ二つにするように一閃。
それを右回りに回転しながら美琴の刃で滑らせて、地面へと鉾を誘導しめり込ませる。
瞬間、地面が爆発するように破裂し、視界が一瞬失われた二人は別々の行動にうつり、エルギスは空へ。流はそのまま土煙の中でたたずむ。
「土煙に紛れようと、この龍人から逃れられるとでも思ったか? マヌケめが」
「なぁ、頼むよ。いいだろう? ちょっとでいいからさぁ、ええ? 恥ずかしがるなよ」
「フン、同じ位置から気配が動かぬとはな。臆したか!?」
「いやいや、大丈夫。可愛いからさ。いつも見ている俺が言うんだぜ? 間違いないって」
龍人は視力もいいが、聴力も優れている。だって龍人だもの。
「……キサマ、一体何を言っておる!?」
「そりゃキモチワルイのは分かる。暑苦しいひげ面だけどさ、無駄に声デカイけどさ。お前がホンキになっちまったら、魅了させちまうだろ? だから、ちょっとだけその美しい顔を……な?」
「キサマああああああああああ!! 土煙の中で娘を口説いているのか!? なんと言う武人にあるまじき行為……骨すら残らず死滅せい!!」
エルギスは怒りのあまり開いた口が塞がらないように見える。そう見ていたドラゴンヘッドのエドばかりではなく、ルーセントや騎士たちまでそう思う。
この男は死地とも言える状況で、「セリアを口説く」とは正気の沙汰ではないと。
「な……何をしているんだ巨滅の英雄!! ジャジャ馬姫とイチャついてる場合じゃねえぞ!!」
「お嬢様!! そのような不埒な男から離れてください!! お子が出来たらどうします!? 汚れてしまいますぞ!!」
「「「団長そこですか!?」」」
エルギスは思う、ここまで人間共にバカにされたのは生まれて初めてだと。だからこそ、その怒りで開いた口の奥に、力を蓄積させる。
光る口内。それは緑色に輝きをまし一度口を閉じると、さらに震える大気を背負い静かに口を開く。
「ここまで馬鹿にされたのは生まれて初めてだ。あたり一帯、灰燼とかせ……消え失せろ! 緑雷口砲!!」
エルギスは〝ガバリ〟と口を開く、それもアゴが外れているしか思えない大きさでだ。
そのまま怒りが形になったかのような形相で、緑光の雷を吐き出す!
そのまるで緑色のいびつなレーザーとも言える雷撃が、流へと向けて容赦なく降り注ぐ。
「よかった、なら頼むぜぇ『天女ちゃん』よぉ? ジジイ流納刀術! 奥義・陸翔燕斬【改】!!」
流の頭上から直撃するコースの緑雷口砲は、いびつな光を放ちながら迫ること七メートル。
一気に美琴の鞘に妖力を込め、本来の鞘を吹き飛ばす事で威力を最大にするのを省き、手に持った状態で「妖艶天女」を召喚する。
天女は燕を引き連れ緑の雷撃へと楽しげに飛ぶ。それは恋する乙女が想い人の胸に飛び込むように、燕を――ぶん投げた!!
燕は「ギャアアア」と言うような顔で、緑の雷撃へ突っ込むと、そのまま食い破るように上昇する。
(何だ!? 鳥だと? ありえん!! だがッ!!)
エルギスはありえない状況に困惑しながらも、緑雷口砲を割りながら近づく銀鳥に〝ゾクリ〟とする。
このままだと押し負ける!? ありえないと思いながらも、それは確信とも言える力だ。
(フッザケルナアアアアアアアア!! たかが鳥如きに、この緑雷口砲が破られてたまるかあああああッ!!)
後先考えずに、エルギスは龍人のプライドを緑雷とかえ、さらにフルパワーで吐き出す。
やがてそれが尽きる頃、銀色の鳥が消失したのを確認し、エルギスは咆哮をあげるのだった。
0
お気に入りに追加
274
あなたにおすすめの小説
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
ゴミアイテムを変換して無限レベルアップ!
桜井正宗
ファンタジー
辺境の村出身のレイジは文字通り、ゴミ製造スキルしか持っておらず馬鹿にされていた。少しでも強くなろうと帝国兵に志願。お前のような無能は雑兵なら雇ってやると言われ、レイジは日々努力した。
そんな努力もついに報われる日が。
ゴミ製造スキルが【経験値製造スキル】となっていたのだ。
日々、優秀な帝国兵が倒したモンスターのドロップアイテムを廃棄所に捨てていく。それを拾って【経験値クリスタル】へ変換して経験値を獲得。レベルアップ出来る事を知ったレイジは、この漁夫の利を使い、一気にレベルアップしていく。
仲間に加えた聖女とメイドと共にレベルを上げていくと、経験値テーブルすら操れるようになっていた。その力を使い、やがてレイジは帝国最強の皇剣となり、王の座につく――。
※HOTランキング1位ありがとうございます!
※ファンタジー7位ありがとうございます!
平凡すぎる、と追放された俺。実は大量スキル獲得可のチート能力『無限変化』の使い手でした。俺が抜けてパーティが瓦解したから今更戻れ?お断りです
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
★ファンタジーカップ参加作品です。
応援していただけたら執筆の励みになります。
《俺、貸します!》
これはパーティーを追放された男が、その実力で上り詰め、唯一無二の『レンタル冒険者』として無双を極める話である。(新形式のざまぁもあるよ)
ここから、直接ざまぁに入ります。スカッとしたい方は是非!
「君みたいな平均的な冒険者は不要だ」
この一言で、パーティーリーダーに追放を言い渡されたヨシュア。
しかしその実、彼は平均を装っていただけだった。
レベル35と見せかけているが、本当は350。
水属性魔法しか使えないと見せかけ、全属性魔法使い。
あまりに圧倒的な実力があったため、パーティーの中での力量バランスを考え、あえて影からのサポートに徹していたのだ。
それどころか攻撃力・防御力、メンバー関係の調整まで全て、彼が一手に担っていた。
リーダーのあまりに不足している実力を、ヨシュアのサポートにより埋めてきたのである。
その事実を伝えるも、リーダーには取り合ってもらえず。
あえなく、追放されてしまう。
しかし、それにより制限の消えたヨシュア。
一人で無双をしていたところ、その実力を美少女魔導士に見抜かれ、『レンタル冒険者』としてスカウトされる。
その内容は、パーティーや個人などに借りられていき、場面に応じた役割を果たすというものだった。
まさに、ヨシュアにとっての天職であった。
自分を正当に認めてくれ、力を発揮できる環境だ。
生まれつき与えられていたギフト【無限変化】による全武器、全スキルへの適性を活かして、様々な場所や状況に完璧な適応を見せるヨシュア。
目立ちたくないという思いとは裏腹に、引っ張りだこ。
元パーティーメンバーも彼のもとに帰ってきたいと言うなど、美少女たちに溺愛される。
そうしつつ、かつて前例のない、『レンタル』無双を開始するのであった。
一方、ヨシュアを追放したパーティーリーダーはと言えば、クエストの失敗、メンバーの離脱など、どんどん破滅へと追い込まれていく。
ヨシュアのスーパーサポートに頼りきっていたこと、その真の強さに気づき、戻ってこいと声をかけるが……。
そのときには、もう遅いのであった。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
S級スキル【竜化】持ちの俺、トカゲと間違われて実家を追放されるが、覚醒し竜王に見初められる。今さら戻れと言われてももう遅い
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
ファンタジー
主人公ライルはブリケード王国の第一王子である。
しかし、ある日――
「ライル。お前を我がブリケード王家から追放する!」
父であるバリオス・ブリケード国王から、そう宣言されてしまう。
「お、俺のスキルが真の力を発揮すれば、きっとこの国の役に立てます」
ライルは必死にそうすがりつく。
「はっ! ライルが本当に授かったスキルは、【トカゲ化】か何かだろ? いくら隠したいからって、【竜化】だなんて嘘をつくなんてよ」
弟である第二王子のガルドから、そう突き放されてしまう。
失意のまま辺境に逃げたライルは、かつて親しくしていた少女ルーシーに匿われる。
「苦労したんだな。とりあえずは、この村でゆっくりしてくれよ」
ライルの辺境での慎ましくも幸せな生活が始まる。
だが、それを脅かす者たちが近づきつつあった……。
全裸追放から始まる成り上がり生活!〜育ててくれた貴族パーティーから追放されたので、前世の記憶を使ってイージーモードの生活を送ります〜
仁徳
ファンタジー
テオ・ローゼは、捨て子だった。しかし、イルムガルト率いる貴族パーティーが彼を拾い、大事に育ててくれた。
テオが十七歳になったその日、彼は鑑定士からユニークスキルが【前世の記憶】と言われ、それがどんな効果を齎すのかが分からなかったイルムガルトは、テオをパーティーから追放すると宣言する。
イルムガルトが捨て子のテオをここまで育てた理由、それは占い師の予言でテオは優秀な人間となるからと言われたからだ。
イルムガルトはテオのユニークスキルを無能だと烙印を押した。しかし、これまでの彼のユニークスキルは、助言と言う形で常に発動していたのだ。
それに気付かないイルムガルトは、テオの身包みを剥いで素っ裸で外に放り出す。
何も身に付けていないテオは町にいられないと思い、町を出て暗闇の中を彷徨う。そんな時、モンスターに襲われてテオは見知らぬ女性に助けられた。
捨てる神あれば拾う神あり。テオは助けてくれた女性、ルナとパーティーを組み、新たな人生を歩む。
一方、貴族パーティーはこれまであったテオの助言を失ったことで、効率良く動くことができずに失敗を繰り返し、没落の道を辿って行く。
これは、ユニークスキルが無能だと判断されたテオが新たな人生を歩み、前世の記憶を生かして幸せになって行く物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる